カゲチヨとバルボアの激しい戦いが続き、周りは複数のクレーター出来ていた。
お互い殴り殴られ血を流すが、カゲチヨは余裕の表情でバルボアは焦りの表情をしていた。
(何なんだ・・・何なんだこいつは!!何で倒れない!!何で諦めない!!何で死なない!!破壊しても破壊してもすぐに再生する。しかも、再生すればするほど破壊しづらくなってる!!)
内心で今目の前で戦ってる相手を見て、段々と余裕をなくし、自分が負けると思い始める。
「だりゃりゃりゃりゃぁぁぁぁ!!でぇいりゃぁぁっ!!」
連続で蹴りを食らわせ、バルボアの脇腹に強めの蹴りを入れる。蹴りの強打で吹き飛ばされたバルボアは、苦しみ悶えながらカゲチヨを睨みつける。
「こんな・・・こんな人間に・・・この僕が・・・っ!!」
「これ以上は戦っても無駄だ。大人しく自分の居場所に帰れ。そして、二度と侵略行為や戦争を起こすようなことはするんじゃねぇぞ。」
「ぐっ・・・。」
「バルボア様!!」
バルボアと接吻をした女性の異宙人が現れ、守るかのように前に立つ。
「バルボア様!!私も戦います!!」
「やめろ。これ以上無駄な戦いはしたくないんだ。頼むから大人しく帰ってくれ。」
「うるさい!!バルボア様。二人であの男を・・・。」
言いかけたとき、女性の異宙人の胴体を、バルボアの手が貫いた。そんなバルボアの行動に彼女は口から血を流し目を見開いて「何で?」っという表情でバルボアを見た。
「君は最高の女だ。僕のためにその血、貰うね。」
「バル・・・ボア・・・・さ・・・ま・・・・。」
手を引っこ抜き、べっとりと付いた血を舐め、女性はそのまま力が抜けたように倒れ込んだ。
「お前っ。仲間をっ!」
「仲間?違うね。彼女はただの道具さ。僕が強くなるためのね。」
そういうと、余裕の笑みを見せたバルボア。その様子にカゲチヨはバルボアの気が先ほどより大きくなってることに驚く。
少しバルボアが力を放出するだけで、吹き飛ばされそうになるも耐える。
「驚いてるようだね?冥土の土産に教えてあげようか。彼女はちょっと特殊な一族でね。その一族の血を飲むと特大な力を手にする事が出来るんだ。ただ、それには条件があってね。誰かを心底愛さなきゃいけないんだ。彼女が僕を愛するまで時間かかったし面倒だったよ。でもそのおかげで、いまこうやって力を手に入れた。」
「てめぇ・・・とことん屑だな。」
「屑とは酷い事言うねぇ。そんな事言う悪い子は・・・」
一瞬にしてカゲチヨの前に移動し、腹に一発殴りつけた。
「死んでもらうね。」
「っ!!ぐっ!!」
豚模様に触れても崩壊はしなかったものの、単純な力でカゲチヨはもろに一撃を食らい数メートルほど後方に下がった。
しかし、休む間もなくバルボアの猛攻で、立場が逆転する。
「ほらほら。さっきまでの勢いはどうしたんだい?」
「くっ・・・ふっ・・・・ぐっ!!」
「そら、吹き飛びなっ。」
「ぐぁ!!」
バルボアの波動で、吹き飛ばされ大き目の岩に激突してしまう。
(まさか、ここまで強くなるとは、予想外だったな。)
そう思いながら立ち上がり、軽く体に着いた砂埃を掃う。
「苦戦しとるようじゃのぉ~カゲ男。」
「ボティス。」
唐突にカゲチヨの前にボティスが嘲笑うかのように表れた。
「何の用だ?言っておくがお前の嫌味を聞くつもりはないぞ。」
「ふん。いい加減諦めたらどうじゃ。おぬしは確かに前よりは強くなった。さっきまでだったら勝てたかもしれない。だが、今のバルボアは女の血によって貴様の数倍力を増してしまった。もう勝ち目などない。」
「彼女の言う通りさ。」
バルボアは余裕の笑みを浮かべカゲチヨに話しかける。
「さっきので分かっただろ?どうあがいたって君は僕には勝てないのさ。それとも、他に僕を倒す秘策でもあるのかな?まぁあったとしても無意味になるだろうけどね。」
「そいつはどうかな?」
にやりっと口角を上げ答えたカゲチヨにバルボアだけでなくボティスまでもが驚く。
「何?」
「お前を倒すとっておきの切り札があるのさ。」
「カゲ男、おぬしまさか・・・やめろ!前回と同じになるだけじゃ!」
「安心しろ。お前の手を煩わせねぇよ。」
拳を強く握りしめ、腰を少し低くし踏ん張るように気を上昇させ、雄叫びを上げる。
まるで、地震が起きてるように地形が震えだし、石や砂が起き出し、カゲチヨの周りは燃え上がる炎のような気のオーラが溢れ出す。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!っだぁぁぁぁぁぁ!!」
外は夜のはずなのに光が差し、一瞬だけ明るくなりバルボアもボティスも目を伏せた。
光が消えたそこには、髪が真っ赤に染まって逆立ち、周りには赤い気のオーラが溢れ出す。
前回までは碌に吸血鬼化のコントロールは出来なかった。だがカゲチヨにとっては100年以上前の話。サイヤ人との戦い以降からコントロールが出来、クウラとの戦いでは超サイヤ人と同等の力「超吸血鬼サイヤ」に進化し、今では血を吸わず自由自在に変身できるようになったのだ。
「またせたな。これでお前との力は五分と五分だ。」
「カゲ男・・・おぬし、いつの間に。」
「俺の事は心配してないで、お前は大人しく帰れ。」
「だ、誰がおぬしなんか心配するか!!」
「ふっ。そうかい。」
ボティスをひと撫でして前に出る。
「お前がやられた分、返してやるよ。」
「・・・・・。」
まるでケロッとしてるカゲチヨに苛立ちを見せ睨みつけるバルボア。
「僕と五分五分だって?笑えない冗談はやめてもらえないかな?僕の方が、君より上なんだ!!」
手の甲に豚の模様が浮き出た状態で殴り掛かる。カゲチヨも応戦るように殴り掛かり、拳と拳がぶつかり合う。
二人の居る場所にクレーターが出来、砂埃が舞い、地面や植物が振動する。
二人の激戦が繰り広げ、お互いの攻撃がぶつけ合うことで破裂音が鳴り響く。
バルボアは衝撃波を放ち、カゲチヨは瞬時に高く飛びあがり逆に気功波を撃ち放つ。ギリギリに後ろに避けたバルボアだが、砂埃で視界が見えないため警戒して身動きが取れなかった。その隙に気を探ってバルボアの横に移動し、カゲチヨはバルボアの横腹を強烈な一撃を叩き込む。
もろに攻撃を食らい苦い顔をしたバルボアは、何とか耐え、カゲチヨの顔面を殴りつけた。さらに、至近距離で衝撃波を放ち、カゲチヨを吹き飛ばす。追撃としてカゲチヨに殴りつけようとするも、躱され顔面に蹴りのカウンターが炸裂する。
そこから、カゲチヨの猛攻撃。顔や胴体を数か所も殴られ、両手を絡ませ思いっきりバルボアの後頭部に目掛けて振り落とし食らわせる。食らって頭が下に行ったときに、膝蹴りで上にあげさせ、回し蹴りで後方に飛ばした。
口の周りが血まみれのバルボアは痛みに苦しみ、自分をここまでコケにするカゲチヨにムカつきが止まらない。
その様子を眺めたカゲチヨの口からバルボアにとって思いもよらぬ言葉が放たれた。
「・・・やめだ。」
その一言で、驚きを隠せなかった。やめる?やめると言ったのか?この男は?今目の前に立っているこの男は、どこまでもふざけた奴だと怒り心頭に達した。
「どー言うことだ!!まだ戦いは終わってないぞ!!」
「まだ気づかないのか?」
「なに?」
「お前の気・・・力がどんどんと下がっている。」
理解できなかった。自分の力が下がってる?何を言ってるんだこの男は?そのふざけた発言にバルボアは怒りを抑えつつも体を震わせていた。
「ははは・・・面白くない冗談だよ。そんな戯言、僕が信じると思ってるのかい?」
「なら、一発当ててみろ。」
「な、舐めるなよ・・・。今ここで、君を粉々に消し飛ばしてあげるよ!!」
「カゲ男!!」
豚の模様が浮かんだ拳で殴り掛かるが、カゲチヨは避けることも反撃することもなく微動だにしなかった。
バルボアの拳がカゲチヨの顔面に直撃した。
・・・・・が、
「な・・・なんで・・・。」
完全に顔面に入ったのに傷一つも点けられなかった。
渾身の一撃だった。だが今目の前に居る男は平然と立っていた。
バルボアは無意識にカゲチヨから数歩後ろに下がった。
「これで分かっただろ。お前の力はさっきより低くなった・・・いや、元に戻ったと言ってもいい。」
「う、嘘だ・・・嘘だ嘘だ!時間かけてやっとあの女を惚れさせて、血を手に入れて強くなったのに・・・。」
「殺した事は失敗じゃったの。」
「何か知ってるのか?ボティス。」
「あの女の一族は愛する者に血を与え力を強化する特殊な存在。だがそれは一時的なもの。時間が経つにつれて効力が薄れる」
「つまり血を飲んでも永久ではないって事か。」
「それに、また飲んだ所で女が死んだことにより効力はもう発揮できない。」
「それがお前が言う失敗って奴か。」
「っ!」
膝をついて下を向くバルボア。
「お前の負けだ。大人しく投降して犯した罪の償いをするんだな。」
「・・・・っ!」
バルボアに背を向け、歩き出したカゲチヨに勢いよく立ち上がり手刀でカゲチヨの体を切断しようと襲い掛かるバルボア。
「ああああああああああ!!」
「・・・・っ!」
振り返り、血と気で作ったスピリッツソードでバルボアの体を切り裂いた。
切り裂かれたことで、バルボアは膝から崩れ落ち倒れていった。
「何でだ・・・僕の方が強いんだから・・・!!」
血を流しながらもまだ意識はあり、地面に突っ伏しながら現状に納得できずにいた。
「確かに・・・お前は強いよ。前の俺だったら絶対に力では勝てなかった。身も心も弱かったからな・・・。」
「・・・・。」
「弱いからこそ、絶対に信じられるものはねぇーと思ってたさ。自分に自信がない。友達が裏切ったかもって疑ってしまい、挙句仲間に捨てられたんじゃないかと頭をよぎった事もあった。でもな、今も昔も信じたいものはある。」
「・・・・。」
「今まで過ごしてきた日々。そのおかげで、今の俺がある。」
ヒビキやシロウとの日々、アサヲ達キモ5との日々、カレコレ屋での過ごした日々、そして悟空達と過ごした日々。それら全てがカゲチヨの力になる。
「そんな・・・もので・・・僕の力を否定する・・・つもりか?」
「否定はするつもりはねぇ・・・が、力だけでなく、こんな信じられない世の中でも「コレを信じたい」ってモノを見つければもっと違ったのかもしれない・・・っと思っただけだ。」
「・・・僕も・・・僕だって・・・そう思いたかったよ・・・。」
そう呟いたあと、バルボアは瞳を閉じで気絶してしまった。
「甘いの。今のうちに殺せばいいのに。」
「悪いな。無意味な殺しはしないつもりなんでな。」
バルボアの服を掴み、未だに攻防をしているであろうアサヲ達の方へと向かった。
「ぐっ」
「チダイ!!」
敵の攻撃を食らい脇腹を抑えるチダイを心配し近寄るルイ。
「問題ない!!」
「駄目だよ!!下がって!!」
「今我らが下がったら士気に関わる!!」
「で、でも。」
戦ってる周りの一族や軍達は傷を負い悲痛の叫びを上げる。怯え、助けを乞うい、士気が下がりつつあり、押されていた。
そんな絶望的状況に一人の兵士が崖の上を見て、目を見開いた。
戦っていた両軍は一斉に崖の上に居る人物を目にする。
その人物はアサヲ達が待ち望んでいたよく知っている存在。
バルボアを持ち上げたカゲチヨだった。
「聞けー!!バルボアは倒した!!これ以上の争いは無意味だ!!お前ら全員大人しく帰れ!!」
気絶しているバルボアを見て、信じられないという表情をするバルボア兵。
「それでもまだ続けるというなら・・・・俺が相手してやる!!」
気を強く放出し、突風を巻き起こす。そんなカゲチヨに恐れをなし、恐怖を抱き撤退しだした。
カゲチヨはバルボア兵から「地球の王」っと二つ名をつけられたことは、本人の知る由もなかった。