カゲチヨside
俺らは今、警察署内に居る予知魔ラプラスに会いに来た。
「ねぇカゲ。ラプラスってどんな人なの?」
「名の如く未来を予知する異宙の住人だ。」
「未来予知!?」
警察官が言うに、能力が能力だから悪用されるのを恐れて保護目的で軽犯罪を犯し、わざと捕まるラプラスがたまにいるらしい。
「私達も彼に予知で操作のヒントを得られるので正直助かってる面もあります。ただ少し気まぐれで・・・。今回の難事件については、カレコレ屋にだけ話すと言って黙ってしまったんです。」
そう。だから俺らは警察から依頼され、今現在シディがラプラスが居るであろう部屋に数分前に入っていったからだ。
「でも何で私達なんだろう・・・。しかも一人ずつ面会なんて・・・。」
「さぁな。」
何か企んでいるのか警戒しつつ待ってると、ドアが開いてシディが戻って来た。
・・・・・・・超絶笑顔で。
「どうだった?」
「ウム、三日後にスーパーで特売だ。高級肉が安いらしいぞ!」
「あの・・・捜査の方は・・・。」
「ハッ!」
「何しに行ったんだよお前は!」
通りで超絶笑顔かと思ったよ!
「彼に茶化されましたね・・・。」
「よ、よーし、次は私!」
ヒサはシディより天然じゃないし、大丈夫・・・・なのだろうか?
ヒサが入ってから30分後。
部屋から出て来たかと思えば超絶笑顔で帰って来た。
おい・・・まさかお前・・・・。
「聞いて二人とも!一週間後に食べ放題の店が出来るって!しかも近所だって!」
「あの・・・捜査は・・・。」
「ああっ!」
「お前も何やっとんじゃ!!」
数百歳に激しいツッコミさせるな!!
「はぁ・・・俺が行くから大人しく待ってろ。」
「はい・・・。」
「すまない・・・。」
俺はラプラスの部屋へと入っていった。
そこには優雅に紅茶を飲みながら椅子に座っている男性が居た。
こいつが予知魔ラプラスか。
「カレコレ屋のカゲチヨさん・・・ですね?」
「ほぉ。俺を知ってるのか。」
「もちろん。私はあなた方の・・・特にあなたのファンですから。生で見ると、思っていた以上にガタイが大きいのですね。」
「そんな事はどうでもいいだろ。さぁ、話してもらおうか?」
しばらくお互い目線を合わせ沈黙した後、ラプラスはクスリと笑った。
「いいでしょう。あなたに何をしても無駄そうですしね。・・・ですが、捜査のヒントを話す代わりに、カゲチヨさんに頼みたい事があるんですよ。」
「頼み事だと?」
「はい。これを聞いてくれないのなら捜査に協力はしません。」
怪しいが、了承しないと死んでも話す気ないだろう。
「わかった。内容次第では聞いてやる。」
「ありがとうございます。」
俺はラプラスの頼み事の内容を聞き、了承した。
◇◇◇◇◇
ヒサメside
カゲが入ってから30分くらいたった。
部屋のドアが開いてカゲが戻って来た。
「どうだった!?」
「ちゃんと捜査のヒント貰えたぞ。」
そう言って私達にメモ用紙を見せた。
「本当ですか!?」
「未来とか見られなかった?」
「あぁ見られたな。俺の未来じゃなかったがな。」
カゲじゃない未来?
どういう事だろ?
「それでも飲まれなかったのか。すごいなカゲチヨ。」
「こんなの余裕だ。とっとと事件解決させて帰るぞ。」
「そうだな。」
「うん!」
なんだかよく分からないけど、これで事件が解決できるならいっか!
あぁ~一週間後の食べ放題楽しみにだなぁ~!
この日を境に、カゲが私達の前から姿を消してしまった・・・・。
「カゲチヨが消えた?」
数日たっても帰ってこないカゲを心配した私達は、オーナーなら何か知ってるかもと思って店に寄って聞きに行った。
「はい、学校にも来てないし。悟飯君に聞いても、家に帰ってきてないって言うし。電話もつながらないんです。」
「内緒で何処かに遊びに行ってるとかじゃないですか?」
ヨーメイちゃんがそう言うけど、それなら事前に言ってくるし、書き置きも残すと思う。
「オーナー。何か知っているか?」
「いや、今のあいつの行動源は読めないからな。家に居ないとなるとお手上げ状態だ。」
「そう・・・ですか・・・。」
「すみません!」
店の前に誰かが声をかけてきた。この声は悟飯君だ。
そして一緒に居るのはムツミちゃんだ。
悟飯君もムツミちゃんもカゲを探す手伝いをしてくれてる。
「どうだった?カゲチヨは見つかったか?」
「駄目です。いくら気を探ってもそれらしい気配がありませんでした。」
悟飯君もカゲと同じで、気を感じる事が出来るとこの前教えてもらった。
カゲの気配なら分かるって言って任せたけど、それでも見つからなかった。
「でも、収穫はありました!」
「え!」
「本当か!」
どうやらムツミちゃんが全監視カメラをハッキングしてカゲの動向を探っていたらしい。
そして、警察署にカゲの姿を見つけたとの事だった。
「警察署って、確か・・・。」
「俺達が数日前、依頼で言った場所だな。」
「でも何しに?それに俺がカゲチヨさんの気を探っても全く感じません。」
「でも映像では、入ってく所が写ってるよ。」
いったいどういう事なの?
気配は感じない。でもカメラの映像がある。
警察署・・・確かそこには予知魔ラプラスが居たはず・・・・まさかカゲは・・・。
私達は真相を確かめるために、警察署に行きラプラスに会いに行った。
彼が居る部屋に入ると、待っていたとばかりに私達を見た。
「お待ちしておりましたよ。」
「どうやら俺達が来ることは全部お見通しという事か。」
私達が来る事を予知したって訳か・・・。
でも今はそんな事どうでもいい。
カゲの事を聞かなきゃ!
「率直に聞きますけど、カゲに何かしたんですか?」
「最初に言って置くけど私を倒しても、カゲチヨ君は戻らないよ。」
戻らない!?
「どういう事ですか!?」
「まぁ落ち着きなよヒサメ嬢。挽きたてのコーヒーは如何かな?」
「お前・・・何を考えている。」
「おやおや、君も来たのかい。孫悟飯君にムツミ嬢。」
「っ!俺の事も知っているのかっ。」
「教えてくれ。カゲチヨはどこだ。」
ラプラスはコーヒーを一口飲んでから口を開いた。
「彼は平行世界に行ったのだよ。私の不始末の尻拭いをしにね。」
「あなたの・・・尻拭い?」
「正確には平行世界の私だね。」
平行世界・・・?
「すまない。平行世界とはなんだ。」
「そうだね。簡単に言うと世界から分岐しそれに並行して存在する世界。例えば別の世界で君達3人が合わなかった世界・・・とかね。」
私達が出会わなかった世界・・・。
「私は捜査を協力する代わりに彼に頼み事をしたのさ。」
『平行世界に行って俺らを助けてほしいだって?』
『そう。』
『ふざけていってる・・・・訳じゃなさそうだな。』
『平行世界の私は、君達に試練を与えるために、別世界の危険な迷路に送り込んだ。運命というつまらないものに縛られないため、乗り越えてほしくてね。』
『それで、予知した所乗り越えなかった。』
『少し違う。』
『なに?』
『前までは3人協力して危機を乗り越えた・・・だが、数日前からその予知は最悪な形で変わった。』
『・・・・。』
『彼らは強大なミノタウロスを3人で倒した。そこまでは予知通り、変わったのはここからだった。突然6人の悪が3人を襲いかかり・・・・。』
『殺されたって訳か。それでお前は、俺にその不始末の尻拭いをしろという訳か。』
『・・・そーなってしまうね。』
『・・・・。』
『頼む。君の力で平行世界の君達を助けてやってくれ・・・。』
『何故だ?お前には関係ない話だろ。そこまで俺達を助けたい理由はなんだ?』
『簡単な事さ。君たちのファンだからさ。』
『・・・それだけの理由かよ。』
『ダメかね?』
『ダメじゃねぇーよ。分かった。その頼み事聞いてやる。明日、また来る。』
「そして彼は約束通りここに来て、私が渡した平行世界に行く鍵を渡し彼は行ってしまったという訳さ。」
何よそれ・・・。
「さっきカゲは「戻らない」って言いましたよね!もしかしてあなた、カゲを騙したんですか!?」
「騙してないさ。」
「どういうことだ?」
「平行世界に行く鍵は彼が持つあれが一つしかなくてね、壊れでもしたら最後戻ってこなくなる。」
「それを予知したのか・・・。」
「いいや違う。私の推測だよ。」
予知じゃなくて推測?
なんで?予知すれば分かる事なのに、なんでわざわざ推測するの?
「何でって顔してるね。私は生きてきた人生、予知が出来なことは一度もなかった。・・・・彼以外は。」
「彼って、カゲチヨの事か。なんでカゲチヨだけ予知できないんだ?」
「さぁ?私もそれは分かりません。見ようと思っても周りは真っ白い空間で情報が無かったので。だから私は彼に託したんです。もしかしたら未来を変えられるかもしれない・・・っと。」
「あなたの推測について話して。」
「おっと、そうでした。彼は私が今まで見た中で一番強い。そんな彼が数日間も平行世界から帰ってこない・・・っという事は。」
「鍵が壊れたかまだ戦ってるか・・・それとも死んでるか。」
そんな・・・・。
もう、カゲには・・・・会えないの?
そんなの・・・そんなの・・・・。
崩れ落ちるかのようにへたり込み、涙を流していた。
「それにしても、彼は私と同じ予知が見えていたのかもしれない。」
え・・・?
「もし彼が平行世界に取り残されて帰れなかった時、君達が私に会いに来たらこう伝えてくれとの事だ。」
『必ず帰ってくる。心配するな。』
「ってね。」
・・・・っ。心配するなって・・・・。
そんなの・・・・。
「するに決まってるじゃん!!」
「ヒサメさん・・・。」
「何で俺達を頼ってくれなかったんだ。言ってくれれば一緒について行ったのに・・・。」
「なんでいつも勝手に一人で決めて行っちゃうの・・・。ばか・・・・・カゲの馬鹿!!」
お願いだから・・・これ以上心配させないでよ・・・。
カゲが居なくなったら・・・私・・・私・・・。
◇◇◇◇◇
時は数日前に戻る。
「ここが、平行世界か・・・。」
カゲチヨは平行世界のカゲチヨ達が居るであろう危険な迷路の中に居た。
「とっとと助けて帰るか。ヒサ達には何も言わないで入っちまったしな。とりあえず、平行世界の俺達にバレない様に念のため超吸血鬼になるか。」
そう一人で駄弁りながら超吸血鬼になったカゲチヨは平行世界の自分達の気を探っていた。
そこに背後から鎌を持った死神のような存在が襲い掛かって来たが、カゲチヨは見もせずに鎌の刃を指二本で挟みへし折った。
「!?」
そして、気功波で死神を簡単に消し飛ばした。
「まるで絵とかで見た地獄みたいだな。そこら中変な物体がうようよいるな。」
気功波の音を聞きつけたのか、カゲチヨの周りを囲むように複数の化け物たちが姿を荒らす。
「まったく。人気者は辛いな。」
『ガァアアアアアアア!!』
一斉に襲い掛かる化け物たち。
普通の人間だったら、無傷で生き残る事は出来ない。
最悪な場合、死んでしまうだろう。
「はぁあああああ!!」
だがカゲチヨは普通ではない。
気合で化け物たちを吹き飛ばせ、退散させた。
「おいおい。ほんのちょっとした気を放ってねーぞ。しっかりしてくれよ。」
本来、この地獄のような迷路の世界は危険な化け物たちがそこら中に彷徨っている。そのはずだが、カゲチヨにとっては取るに足らなかったようだ。
危険だと聞いて、ちょっと期待していたが期待外れだと分かり溜息を吐いた。
「・・・っ!!」
その時だった。先ほどの化け物が可愛く思えるくらいのとてつもなくでかい気を察知した。
「向こうから強い気が五つ。そいつらよりも更にデカい気が一つ。微弱な気が三つ・・・。あれがラプラスが言っていた予言の六人か。」
平行世界の自分達が危ないと思い、急いで舞空術で向かっていた。
まかさ、この平行世界に取り残される事になるとは、この時のカゲチヨには知る由もなかった。