オーナーside
う・・・ここは・・・。
私は頭がくらくらした状態で目覚めた。
知らない部屋だがここはどこだ?
「!!」
首には鉄製の首輪、手首には手錠を付けられて壁に鎖で繋がられていた。
何故私はこんな所に居るんだ・・・?
「やっとお目覚めかい?ふふふ・・・美しいねぇ~。僕のコレクションにようこそ。今日から君も僕の奴隷だ。」
私の目の前に小太りの30代の男が気持ち悪い笑みを浮かべて目の前に現れた。
こいつは確か・・・・。
あぁ何だか少しずつ思い出して来た・・・。
◇◇◇◇◇
数時間前
その小太りの男は最近よく店に来てくれる常連だった。
「いや~。オーナーさんの商品にはいつも助かってますよ。この薬のお陰で私の不眠症が直りましたよ。」
「それはどうもありがとうございます。ですがその薬の大量に摂取には注意してくださいね。多く使うと、起きていても眠気が襲ってしばらく目が覚めなくなり、副作用で頭痛を起こします事がありますので。」
「分かってますよ。」
不眠症に悩んでいた彼はよく快眠の薬を買ってくれている。
「ねぇいいじゃん。少しくらいさぁ~。」
「や、やめてください!」
いかにも軟派な男が若い女性を店の前で口説いていた。
「こら!」
すると、常連の男がナンパ男を怒鳴りつけた。
「その女性が嫌がってるじゃないか!やめなさい!」
「あぁ?なんだよおっさん!邪魔っするなよ!」
「あまりにしつこいと通報しますよ!」
通報っという言葉にナンパ男は怖気づいて逃げていった。
ナンパされた若い女性は笑顔で常連の男にお礼を言った。
どうやら、この常連の男は「人助けおじさん」っと呼ばれているらしい。
困ってる人を見て見ぬ振りせずに助ける紳士な人だとか。
この時の私は、この男がいい人なんだと思っていた。
「戻ったぞぉ。」
彼が帰った後、孫が配達から帰って来た。
「ヨーメイさんは?」
「さぁ?そう言えば最近語尾に「でちゅ」とか言い出してたな。」
「なんだ?赤ちゃん返りか?」
そう雑談しつつ、次の配達に行ってもらった。
孫が居てくれたおかげで、配達物がすぐになくなる。
翼が無いのにいったいどうやって飛んでるんだか・・・。
「ったく!なんだよあのおっさん!!」
カゲチヨが何やら悪態を付けながら店にやって来た。
「店に来て早々なんなんだ。」
「オーナー聞いてくれよ!さっき小太りのおっさんに肩ぶつかって謝ったら舌打ちされたんだぜ!しかも俺だけじゃなく歩いてた老人にぶつかっておいてノロノロ歩くなとか言ってくるんだぜ?最悪だと思わないっすか!?」
「ふーん。・・・で?終わったなら出てけ。私は忙しいんだ。」
「ひでぇー!この事、ヒサに言ったら「人助けおじさんがそんな事するわけない」って言ってきやがったんだよ!」
カゲチヨの話を聞いて更に信憑性が感じなかった。
彼がそんな非常識な行動するのか疑問だった。
「そんな事より、私はこれから銀行に行ってくるから、孫が戻るまで留守番してろ。」
「え!?何で俺が!?」
「お前の下らない話を聞いてやったんだ。それくらいしてもいいだろ。」
「やっぱ俺に対して冷たくねぇ!?」
この時、カゲチヨの話をもっと聞いておくべきだったな。
私は銀行に行って、お金を通帳に入れた後、また常連と偶然会った。
「あ、オーナーさんこんにちは。」
「あぁ、これはどうも。」
「まさかこんな所で合うなんて奇遇ですね。あ、背中にゴミが着いてますよ?」
「ん、どこに・・・。」
「あぁ、僕が取るのでジッとしてください。」
彼の好意にを受け取り、背中のゴミを取ってもらおうとしたのが不味かった。
「っ!!」
口に布を押し付けられ、薬品を嗅がされて気を失ってしまった。
◇◇◇◇◇
そして目覚めたらこんな状態って訳か・・・。
私とした事が油断した。
カーテンが閉められてるから、どこに居るのかもわからない。
・・・駄目だ、嗅がされた薬品のせいで頭がぼんやりする・・・。
「あなたの店から買った快眠の薬を液状に溶かして布に染み込ませたんだぁ。おかげでいーっぱい僕のコレクションが手に入る事が出来たよ。」
不眠症だってのは嘘だったのか。
私の商品を悪用するとは・・・・。
「ほぉら皆、新入りだよ。返事は?」
私の他にも鉄の首輪で壁に鎖で繋がれた女性たちが顔色悪くして座っていた。この部屋に長くいたのか衰弱しきっていて返事が出来ていない。
表では親切に振舞って、裏ではこんな事しているとは、気持ち悪い。
「これはもう駄目かな。また新しい奴隷を見繕ってくるか・・・。」
奴が部屋から出た後、何とか脱出を試みるが手錠は外れ、鎖も切れなかった。
ご丁寧にポケットの中のスマホと財布と通帳を抜き取られてしまった。
カーテンは閉めているものの、外の明るさだけは分かっていた。私がこの部屋で監禁されてから数時間が経ち夜になってしまった。
電気が点いて無いから部屋中真っ暗だ。
奴はまた誰かを見繕ってくると言っていた。
また誰かを誘拐しに来るかもしれん・・・。
くそ、出来ればカレコレ屋の誰かか孫あたりが気付いてくれればいいが・・・。
すると遠くから、おそらく玄関のドアであろう開く音が聞こえた。
奴が帰って来たか!!
奴の足音がこちらにやってくる。
そしてこの部屋のドアを開けて入って来たのは・・・・。
「お、居た居た。心配したぞ。」
孫だった。
「孫!!」
「カゲチヨからオーナーが銀行に行って居ないって言ってたからずっと店に居たんだけどさ、全然帰ってこないから何かあったのかなと思って探してたんだ。ヨーメイさんはヒサメさん連れてどっか行っちまうしよぉ。」
そう言いながら、私や他の被害女性たちの鉄の首輪と手錠を壊して外してくれた。
素手で壊すとか、どんだけ馬鹿力なんだ。
「遅くなってすまなかったな。」
「いや、彼女たち程酷い事はされていない。お前が来てくれたおかげで助か・・・っ!」
「おっと!」
立とうとしたら、長時間座りっぱなしだった且つ薬のせいかで不安定だったためか、身体が崩れる様に倒れてしまった。
孫はそんな私の両肩を掴み身体を支えた。
「無理するなよ。」
「す、すまん。」
な、何だこの感じは。
何でこんなに胸が高まってるんだ?
薬の副作用のせいか・・・。
「なっ!誰だ貴様は!!不法侵入で訴えるぞ!!」
薬のせいで変な気持ちになった時、奴が帰って来て孫に向かってそう言い放った。
「いや、女性たちを監禁してるやつが何言ってんだよ。」
全くその通りだ。
「それに警察にはすでに連絡済みだから、すぐに来るぞ。」
「こ、このぉ~!」
「んじゃ、警察が来るまで気絶してもらうぞ。」
「ぐがっ!!」
いつの間にか奴の背後に移動した孫は、手刀で気絶させた。
「これでよしっと。」
「お前・・・なんでもありだな。」
その後、警察がやって来て男は逮捕され、パトカーに乗って連行された。
被害女性たちも警察に保護されて、一度病院へと連れて行ったようだ。
そして、私はというと・・・。
「しっかし、オーナーも災難だったな。」
「まったくだ。あいつの本質を見抜けなかったのは不覚だった。」
孫の背中に乗り、空を飛んで運ばれてるところだった。
「私は大丈夫だぞ。」
「さっきまで立つこともままならない奴が何言ってんだよ。大人しく人の好意を受けとけ。」
「む、うぅん・・・。」
何も言えないな。
常連だった男に簡単に騙されて、その上バイトの孫に助けられてしまったからな・・・。
それにしても・・・。
「何でそんなにお前は強いんだ?それに空も飛べるし・・・。というか、何で私の居場所が分かったんだ?」
「ア”ァ”ー、企業秘密ってやつさ。」
「おい。」
「あんただって人に言えない事はあるだろ?」
それはそうだが・・・なんか納得できないなぁ・・・。
はぁー。何を言っても、答えてくれなさそうだな。
「・・・・・。」
こいつの背中・・・大きくて暖かいな・・・・。
薬のせいか、なんだか眠く・・・・。
孫の身体の温もりを感じながら、私は重い瞼を閉じ眠りについた・・・。
◇◇◇◇◇
二日後
監禁された日から一日休んだおかげで体調も良くなった。
「おはよう。」
「おはようっす。まだ休んでてもいいんだぜ?」
「もう身体に異常はないんだ。これ以上休んだら怠けてしまうだろ。」
「そーかよ。」
それにお前はともかくヨーメイに店を任せるのは不安なんでな。休んでなんかいられんよ。
「すみません!!遅くなりました!!」
「うぉ!!」
ヨーメイが来たと思えば私と衝突して倒れそうになってしまう。
「おっと。」
「あ・・・・。」
そんな私を孫は私を真正面で支えてくれたおかげで地面に倒れることはなかった。
だがそのせいで・・・距離が近い。
「おいおいヨーメイさんよぉ。」
「すすすすみませんオーナー!!どうか説教はご勘弁をー!!」
・・・・・・。
「ちょっと顔を洗ってくるから、先に作業しておいてくれ。」
なるべく私は二人に顔をみえないように洗面所い向かった。
「普通怒る所なのにどうしたんですかね?」
「呆れて怒る気が失せたんじゃねーか?」
「なんかそれはそれで怖いです!もしかしてクビとかになってしまうんじゃ!!」
「どんまい。」
「そこは「そんなことない」って言ってくださいよ!!」
あぁ・・・顔が熱い。
まだ薬の副作用が残ってるのだろうか?
全力回避フラグちゃんの話から抜粋。