KAREKORE Z~Z戦士のカゲチヨ~   作:yakyo

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恋人救出ゲーム

 

森の奥の中、カゲチヨは超吸血鬼の状態で精神を統一していた。

 

 

「・・・・はあぁぁぁ。フン!!」

 

 

目を瞑ってイメージした相手と戦っていた。時にはピッコロと。時にはベジータと。また時には悟空と。今まで見てきた強者達を思い浮かべていた。

 

 

「はぁ!!だぁ!!でいやぁ!!」

 

 

激しい修行を終えた後、軽く川で汗を流し私服に着替えた。

 

 

「さて、そろそろ行くか。」

 

 

そう言って今いる場所から遠くにある店まで飛んでいった。

 

普通なら車で3時間以上掛かるが、カゲチヨにとっては数分で辿り着いてしまうのだ。

 

 

 

 

 

 

リサイクルショップにて。

 

 

「おはよっす。」

 

「あぁおはよう。何時も時間通りだな。」

 

「遅刻して給料減らされたくないんでね。」

 

「そんな事しないぞ。」

 

 

軽く挨拶を交わし、エプロンを付けて作業を始めた。

 

 

「お前を雇ってから早2ヶ月くらいか。」

 

「もうそんなに経ったのか。早いなぁ~。」

 

「まるでオッサンみたいな言動してるぞ。」

 

「はは。実際オッサンだしな。」

 

「・・・お前は本当に謎だらけだな。一体いくつなんだ?」

 

「二百歳は超えてるな。」

 

「・・・ハァ〜。本当の事言うつもりはないか・・・。」

 

 

本当の事なんだがなぁっとオーナーに信じてもらえなかったカゲチヨは内心で苦笑いをする。

 

 

「2ヶ月も一緒に働いてるんだ。少しは心を開いて貰いたい物だ。」

 

「ははは。」

 

 

確かに、自分が平行世界から来たカゲチヨだって事を黙っている辺りで言うなら心を開いて無いと思われてるのも仕方がないなと思った。

 

だがこのカゲチヨは、出来る限りややこしい事は極力避けたい性格をしているのだ。一々説明するのが面倒臭いとも言える。

 

何故ガタイが良いのか。何故強くなったのか。何故以前より落ち着いてるのか。

 

夏休み中に別世界に転移してから数百年。あまりにも濃い日々だったため、一日じゃ説明つかないからだ。

 

 

「あ!孫さん!」

 

「あ。」

 

 

ヒサメが店に入ってきて孫の顔を見て大声を上げた。

 

 

「すみません孫さん。私の依頼を手伝ってくれませんか?」

 

「どーいうことだ?」

 

「実は依頼人の妹が恋人を連れて出かけたっきり帰ってこないらしくて、カップルロードっていう恋人限定のテーマパークに行きたいんですけど彼氏役がいなくて困ってたんです。」

 

「なんで俺が・・・他のカレコレ屋の二人のどっちかと行けよ。」

 

「カゲはアサヲ君たちと出かけてて、シディは帰省してて居ないんですよ。」

 

 

シディはともかくカゲチヨは呼び戻せるだろうと呆れるカゲチヨ。

 

 

「悪いけど、俺は今仕事してて離れられないんだ。」

 

「行ってやれ。どーせしばらく暇だし、荷物の配達はまだ日にちがある。」

 

 

ひょっこりと顔を出してそう告げるオーナーに「マジかよ・・・」って顔になった。

 

 

「けどよぉ。」

 

「行ってくれたら、あの鍵の修理費を二割ほど免除してやるぞ。」

 

「し、仕方ねぇな~。」

 

カゲチヨは渋々と了承した。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

オーナーから許可を不本意ながらも貰ったカゲチヨは平行世界のヒサメと共にカップルロードというカップル限定のテーマパークにやって来た。

 

 

「孫さんを巻き込んでしまってすみません。」

 

「関わった以上は仕方ないさ。最後まで付き合ってやるよ。」

 

「ありがとうございます。」

 

 

しばらく店内を歩いていた二人。周りはカップルだらけで所構わずイチャイチャしてるカップル達の光景が見えた。

 

 

「何か甘ったるい空間だなぁ。」

 

「そ、そうですね!?」

 

「ん?どーした?顔が赤い様に見えるけど・・・。」

 

「ななな、何でもありませんよ!?おお、お腹空いたな〜!!何処かお店に入りません!?」

 

「お、おう。」

 

 

この甘い雰囲気にやられ、顔を赤くしたヒサメは誤魔化すかのように飲食店に入ろうと強引にカゲチヨの腕を引っ張った。

 

飲食店に入った二人はお互いメニューを注文し、ちょっと早めのお昼に入ることになした。

 

どこの世界でも、ヒサメは相変わらずの大食いぶりに苦笑いしながら、コーヒーを飲んだ。

 

 

「あの・・・孫さん。少しいいですか?」

 

 

口の中に食べ物を詰め込みながらカゲチヨに話し掛けた。

 

 

「孫さんは、何でオーナーの所で働こうと思ったんですか?」

 

「なんだよ急に。」

 

「この数ヶ月間よく会うけど、あまり孫さんのこと知らないなぁ~っと思って。」

 

 

確かに、この数か月間。

なんだかんだカレコレ屋と関わることはあるが、ヒサメ達にとっては名前と強い事と店のバイト以外何も知らなかった。

 

 

「俺の事知ってどーすんだ。」

 

「どーって、仲良くなりたいために色々と知りたいじゃないですか。」

 

「別に色々知らなくても仲良くは出来るだろ。」

 

「そーですけど、なんだか孫さんって誰かに似てるんですよねぇ。」

 

 

その言葉に少し肩をビクついた。

 

 

「だ、誰かって誰だよ。」

 

「ん~・・・分からないんですけど・・・なんだかカゲに似てるような・・・でもカゲは孫さんみたいにムキムキじゃないし。」

 

「はは・・・。」

 

 

当たりだ。

 

今近くにいるのは並行世界から来たカゲチヨなのだ。

 

女の感というべきか、ヒサメの当てずっぽうな言葉に冷や汗をかいた。

 

 

「俺が店で働いてるのは、鍵の修理費を稼ぐためだ。」

 

「そういえばオーナーがそんな事で言ってましたね。鍵って家のですか?」

 

「そんな所だ。」

 

 

平行世界を行き来きする鍵とまでは答えなかった。

 

冷や汗をかきながらコーヒーを飲むカゲチヨの心情など構わず、ヒサメの質問は終わらなかった。

 

 

「孫さんって異宙人なんですか?」

 

「違ェけど。」

 

「異宙人じゃないのに空飛んだりシディみたいな力持ってたり凄いですね。」

 

「そりゃ長年修行してきたからな。」

 

「修行したら空飛べるんですか!?」

 

 

元の世界のヒサメも修行したら飛べるって言ったら驚いてたなと懐かしむカゲチヨ。

 

 

「もう!孫さんから私に何か質問とかないんですか?答えられる範囲なら答えられますよ?」

 

「質問って言ってもなぁ~。」

 

 

大体知ってるしな~っと頭を抱えて考える。

 

 

「そんなに悩む事ですか?」

 

「わ、わりぃ・・・。」

 

「孫さんってもしかして人に興味ない性格ですか?」

 

「そー言う訳じゃねぇんだけどなぁ~・・・。」

 

 

本人の前で大体知ってます。なんて言えず、言葉を濁す事しか出来なかった。

 

しばらくして、ヒサメは欠伸をしてウトウトし始めた。それに釣られたのか、カゲチヨもウトウトしてしまう。

 

 

「あれ・・・・・・何だか眠く・・・・。」

 

 

ガクッとテーブルに突っ伏した。

 

 

「まさか・・・食べ物に何か・・・。」

 

 

カゲチヨも眠気に負けてヒサメと同じ様にテーブルに突っ伏してしまい眠ってしまった。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

「・・・ん、ここは・・・。」

 

 

目を覚めたカゲチヨはゆっくりと立ち上がり周囲を見て状況を確認した。

 

今カゲチヨがいる場所は大きめの画面とドアが一つだけあり、一緒に居たはずのヒサメはいなかった。

 

 

『お目覚めかな?』

 

 

画面が点き、怪しいマスクを着けた男性と背後には強制的に椅子に縛られ座らされたヒサメが映し出された。

 

 

「なんだテメェは?」

 

『私はこのでデスゲームの主催者と言っておこう。君にはこれからゲームをしてもらう。その名も「恋人救出ゲーム」』

 

「恋人救出ゲーム?」

 

 

なんだそりゃ?という顔で呆然としたカゲチヨに主催者の男はそんなこと気にせずにつらつらと説明していった。

 

 

『君にはいくつもの試練を受けてもらう。目の前にある扉を開けたまえ。』

 

 

主催者の言われた通りにドアノブに手を掛け、扉を開けるとそこには床一面水で埋め尽くされ、真ん中一直線に平たい石が数十個ある縦長い部屋が見えた。

 

しかも、水の中にはサメのような異宙の生物が数匹泳いでいた。

 

 

『彼女を助けるために君にはこのような厳しい試練が幾つも待っている。さぁ恋人のために頑張って乗り越えて見せろ。』

 

『孫さん!無理しないでください!逃げてカゲ達に・・・!』

 

「心配するな。」

 

『え?』

 

「お前は俺が助けてやっから、大人しく待っててくれ。」

 

『っ!!』

 

『カッコいいねぇ~。なら彼女のために頑張ってくれたまえ。あ、それと。その水の中で泳いでるのは異宙の人食い生物でね。落ちたら最後、君の身体はぐちゃぐちゃになるから気を付けたまえ。』

 

「御忠告どうも。」

 

 

カゲチヨはためらいなく水に浮いてる石に乗って一歩一歩前に進んだ。

 

 

「ほっ、よっ、ほい。」

 

 

順調に前に進んでいたが、次の石を踏んだ瞬間、水に沈んだ。

 

 

「おっとっと!」

 

 

バランスを崩してしまい、そのまま川に落ちてしまった。

 

落ちた瞬間。異宙生物たちがカゲチヨの周りに集まり食らいつきに行った。

 

 

『おっと言い忘れてたが、浮いてる石の中には偽物があってね。間違って踏んだら水に落ちる事になってしまうのだよ・・・と言ってももう遅いか。』

 

『孫さーん!!』

 

 

バシャバシャと水が飛び跳ね、周り一帯に血で赤く滲んで広がっていった。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

「ははは!残念!君の彼氏はゲームオーバーだね!助けるって豪語して置いてこの様とは無様だ!ハハハハハハハ!!」

 

 

この光景に高笑いする主催者。

 

ヒサメは悔しそうに睨みつけながら能力を使おうとするも、薬を盛られてるせいで上手く発動できなかった。

 

 

(私のせいだ・・・私のせいで孫さんが・・・。)

 

 

こんな危険な依頼に誘わなければ死なずに済んだと後悔した。

 

 

「おっと?どうやら君の彼氏が浮き上がるようだよ?よく見たらどうだ?」

 

 

ヒサメの顔を掴み、無理矢理画面に向けさせた。

 

 

「さぁ、どんなふうにぐちゃぐちゃになってるのか・・・・っ!!」

 

 

主催者の余裕な笑みから驚きの表情へと変わっていった。

 

水の中から浮かんできたのは、なんと異宙生物たちだった。

しかもその生物の胴体に大きな穴が開いていた。

 

 

「ど、どういう事だ!?」

 

「どうもこうも、見りゃ分かんだろ。」

 

 

主催者の背後にずぶ濡れのカゲチヨ立っており、驚いた主催者は何歩か後ろに下がった。

 

 

「おお、お前!いつの間にこの部屋に・・・どうやって入って来た!!この部屋は他の試練部屋を通過しないと入れない様になってるんだぞ!?」

 

「そりゃお前、他の部屋を通過したから入ったに決まってるだろ。そこの監視カメラでも見て確認しろよ。」

 

 

そう言われて主催者は慌てて他の部屋に設置してるカメラを操作してみた。

 

 

「ば、馬鹿な・・・。」

 

 

映像を見て驚愕した。

 

最初の試練を通過した次の部屋は色違いの平らを歩く中、間違って踏むと槍が飛び出るのを避けドアを目指す物だが、無数の槍が折られ、地面に転がされていた。

 

次の部屋は暗闇の中、怪物の異宙人を避けながら鍵を探してドアを目指す物だが、怪物は壁にめり込まれドアが壊れていた。

 

次の部屋は、巨人の異宙人が持ってる鍵を奪ってドアを目指すものだったが、巨人が腹を抑え口から血を流しながら倒れて気絶していた。

 

 

「そ、そんな・・・巨人の異宙人は、巨人族と呼ばれた最強の異宙人なのに・・・。」

 

 

そんな掠れた声で驚愕する主催者を余所に、カゲチヨは椅子に縛られたヒサメを救出。

 

 

「さて、全ての試練をクリアしたぞ。」

 

「ひっ!!ゆ、許してください!!お、俺はただ、真実の愛ならどんな困難も乗り越えられると思って動画のネタにしただけなんです!!そしたらエンタメ的にも盛り上がると思って・・・。でも俺の思いとは裏腹に視聴者には人が死んだ方が盛り上がっちゃって・・・それで調子に乗っちゃったって言うか・・・。」

 

「最低・・・。つまり、人の死を見世物にしてるって事じゃん。」

 

「わ、悪いのは俺じゃなくて、視聴者と試練に乗り越えなかった恋人たちなんです!恋人を守るためなら困難は普通乗り越えるもので・・・・げふっ!?」

 

 

言い終わる前にカゲチヨが主催者の頬をビンタ。

 

一発のビンタで頬が酷く腫れ上がり、色が真っ青になっていた。

 

 

「他責してんじゃねぇぞ。元はと言えばお前がこんな下らん物を企画したせいだろうが。」

 

「な、何をするんだ!?は、離せ!!」

 

 

主催者の襟元を引っ掴み、ずるずると引きずって最初のエリアまで連れて行った。

 

 

「実は、一匹だけまだ異宙生物が残ってんだ。」

 

「ま、まさか・・・・。」

 

「生き残れるといいな。」

 

「や、やめ・・・!!」

 

 

思いっきり水の真ん中まで投げ込み落とした。

 

 

「ギャァアアアアアアア!!」

 

 

まだ生き瀕死状態で残っていた異宙生物に襲われた。

 

 

 

その後、依頼者の妹を探した二人は、別の部屋にある監禁部屋を発見する。

そこには、依頼者の妹含め複数の女性達が入っていた。

 

どうやら彼氏が死んだ時、部屋に入れられ自分が楽しんだ後、奴隷として売るつもりだったらしい。

 

現在までそうして来たとのことだった。

胸糞ではあったが、必死に生き残った主催者は警察に連行され依頼主に妹を引き渡して無事依頼達成をした。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

あのデスゲームの事件から数日後。

 

やたらとヒサメが孫ことカゲチヨに絡んでくる。

 

 

「あ、あの・・・孫さん!い、一緒にご飯食べに行きませんか!?行きつけのお店があるんですが・・・。」

 

「あぁ。今休憩だし別に・・・。」

 

「悪いが、こいつにはまだやってもらわないといけないことがあるんだ。」

 

「は?いや、配達ならさっき・・・。」

 

「数十分の休憩くらいいいじゃないですか?」

 

「お前らとは違って忙しいのさ。カゲチヨかシディと行って来い。」

 

「私は孫さんを誘ってるんです。」

 

 

二人の間に何やらバチバチとした電撃が走る。

 

 

「な、何なんだ一体?」

 

「無自覚たらしですね。後ろから刺されても知りませんよ。」

 

「はぁ?」

 

 

ヨーメイの言葉にポカーンと口を開けて呆けていた。

 

結局、昼はオーナーとヨーメイも追加で4人で食べる事になった。

 

 

 

 

 

 

 

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