KAREKORE Z~Z戦士のカゲチヨ~   作:yakyo

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カゲチヨとカゲチヨ

 

オーナーside

 

 

「・・・・・・。」

 

 

もう少しで、孫に頼まれた鍵の修理が完了する。

 

この鍵が修復完了すれば、孫はそのまま向こうの世界に帰って行ってしまうかもしれない・・・。

 

約束は約束。

直して渡すのは正しい事だ。

 

 

「何を悩んでいるんだか・・・。」

 

 

別にあいつが別世界に帰ろうと、私には関係ない事だ。

 

 

「なのに・・・何故こんなに胸が苦しいんだ・・・。」

 

 

あいつに・・・ずっと居てほしいとでも言うのか?

 

・・・馬鹿だな。

 

平気な顔しているが、あいつはすぐにだって帰りたい筈だ。

私の一存で止めるわけにはいかない。

 

分かっている・・・・分かっているんだ。

 

 

「オーナー。孫さん何処にいるか分かりません?」

 

「孫は休日で居ないぞ。」

 

「え~。買い物行ってくるように頼みたかったのに・・・まったく使えない後輩ですね。」

 

「その買い物は私がお前に頼んだんだが?」

 

「ひっ!い、いや~・・・その~・・・。」

 

「孫に仕事を押し付けてサボろうとするな!!」

 

「ご、ごめんなさ~い!!」

 

 

・・・やっぱりしばらく孫に居てもらった方が良い気がしてきた。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

孫(カゲチヨ)side

 

 

現在住んでる森に昨日ぶりに帰って来たかと思えば、近くでこの世界のカゲチヨと知らない誰かの気を感じた。

 

若干カゲチヨの気が弱っているが無事の様だった。

 

 

「ん?もう一人の気が離れた?」

 

 

どーなってんだ?

 

少し確かめに行くか。

 

 

カゲチヨの気を頼りに近付いて行くと、金髪でガラの悪い男が血まみれ悔しそうに歩いていた。

 

 

「おい。この辺で何してやがった。」

 

「あぁ?テメェには関係ねぇーだろ!」

 

「そんな血だらけで関係ないもクソもないだろ。」

 

「うるせぇーな!テメェもこいつで殴られてぇのか!?あぁ!?」

 

 

片手に持ってる鉄パイプを俺に向ける

 

殴る・・・って事はその血はもしかしてカゲチヨのか?

 

 

「テメェ、カゲチヨに何かしたのか?」

 

「!!なんでそんな事!!見てやがったのか!!」

 

「いいから答えろ。」

 

「誰が答えるか!!見られたからには生かす訳にはいかねえな!!」

 

 

男は持っていた鉄パイプで俺に殴って来た。

何もせずに殴られたら鉄パイプが曲がった。

 

 

「な・・・な・・・。」

 

「もう一度だけ言う。カゲチヨに何をした。」

 

「ひ、ひぃ!!化け物!!」

 

 

化け物とは・・・ひでぇーなぁ。

 

逃げていく男を放っておいて、カゲチヨが居る方向に向かった。

 

 

ボロボロの小屋の中で血だらけのカゲチヨが倒れ、そんなカゲチヨに犬が擦り寄っている。

 

 

「よぉ。」

 

「お前は・・・。」

 

「随分とやられたみたいだな。」

 

「うるせぇ・・・。」

 

 

こいつの事だ。

また無茶な事したんだろう。

 

同じ存在だしな。

何となくわかる。

 

 

「犬探ししてたら、さっきの男に掴まって暴行されたって訳か。」

 

「何でわかんだよ!エスパーかよ!」

 

「ほれ、軽く手当すんぞ。」

 

「いいよ別に。俺の身体は吸血鬼とゾンビで出来てんだよ。時間が経てば回復する。」

 

「知ってる。少しでも手当てした方が治りは早い。あの2人に心配かけたくねぇーんだろ?」

 

「うっ・・・。」

 

 

オメェの考えくらい分かんだよ。

 

 

俺はカゲチヨをおぶって犬と共に野宿場所へと戻った。

 

戻る最中、終始無言だった俺達。

 

 

「・・・・なぁ。」

 

「ん?」

 

「あんたは復讐したい奴っているのか?」

 

 

か細い声でカゲチヨはそう問いかけてきた。

 

 

「あぁ。居るな。」

 

「え!?」

 

「自分から聞いておいて何驚いてんだよ。」

 

「いや・・・あんたみたいな奴でも復讐したい奴いたんだなって・・・。」

 

「まぁな。そいつには大事なもんを奪われてきたからな。」

 

「大事なもんって・・・。」

 

「親友と大切だった人。」

 

 

カゲチヨの言葉に、自分と同じたど思い驚く平行世界のカゲチヨ。

 

それからしばらく沈黙が流れた。

 

ずっと黙って犬と共に野宿場所に向かう途中、平行世界のカゲチヨからか細いながらも口を開いた。

 

 

「復讐って意味ねぇのかな?」

 

 

それは、自分が決めた道への不安だった。

 

 

「・・・さっき血まみれの男とすれ違ったが、あいつに何か言われたのか?」

 

「そんなんじゃねーよ。ただ、俺に復讐したかったくせに悔しそうっていうか、諦めたっていうか・・・。あいつを見たら、復讐した所で、虚しいだけなんじゃねーのかなって・・・。」

 

「・・・・・・。」

 

「俺、このままでいいのかな・・・。」

 

 

平行世界のカゲチヨの悩みの問いかけにカゲチヨは・・・

 

 

「いいじゃねーか。そのままで。」

 

 

即答で答えた。

 

 

「は!?即答かよ!?」

 

「なんだ?即答しちゃダメだったのか?」

 

「駄目ッつうか・・・もっと溜めたりとか・・・。」

 

 

ごにょごにょとする平行世界のカゲチヨに軽くため息を吐きながら話の続きを始める。

 

 

「復讐する事で、目的が無くなって虚しさを覚えてしまうかもしれない。」

 

「・・・・」

 

「けどよぉ。考え方によっちゃー心のしこりはなくなるじゃねーかなと俺は思うぜ。復讐をやり遂げたことで自分の人生の新たな目標への一歩が踏み出せる。・・・お前は復讐をやり遂げた後、何をしたい?」

 

「・・・俺は・・・。」

 

 

同じ自分の言葉に、言葉を詰まらせて黙ってしまう。

 

鈴の吸血鬼やトッププレデターを倒した後の事なんて、考えてなかった。

 

急に質問されて、次の目標の事なんてとっさに思いつかなかった。

 

そんな平行世界の自分に小さく口角を上げる。

 

 

「思いつかないなら今はまだいいさ。人生は長いんだ。何かしら見つかるだろうよ。」

 

「・・・あんたはどうなんだ?」

 

「俺か?そーだな・・・。内緒かな?」

 

「はぁ!?なんだよそれ!?」

 

 

答えてはくれなかった事に怒りながらツッコむ平行世界の自分に軽く笑って、木で作った自宅に戻っていった。

 

 

自宅に戻り、軽く治療をして包帯を巻いてやり、安静させる様に椅子に座らせた。

 

 

「しっかし、こんな山奥に住んでるのかよ。よくオーナーの店まで行けるよな。」

 

「ま、鍛えてるからな。」

 

 

木で出来た家をきょろきょろするカゲチヨの言葉に、子犬をあやしながら返答するカゲチヨ。

 

 

「あんたと初めてあった時、あの5人を倒せるくらい強いもんな。どーやったら強くなれんだ?」

 

「ありきたりな返答ではあるが修行だな。」

 

「うげっ。修行かよ。そんか漫画みたいにコスパよく強くなれんのか?」

 

「一日、二日で強くなれば苦労はしねぇよ。俺でさえ今の力を手に入れるのに何十年もかかってるぜ。」

 

「マジかよ。あんたでもそんなにかかるのかよ。辛くなかったのかよ?」

 

「辛かったさ。・・・でも、強くならざるを得なかった状況だったから辛くても耐えた。」

 

 

悟空達の世界は、異宙とは違った危険がある事を思い出して懐かしんだ。

 

時には恐竜、時には巨大人食い魚、また時には巨大な獣人などが存在していた世界。

 

更にピッコロ大魔王、サイヤ人、フリーザ、人造人間、魔人ブウ、ベビー、一星龍。他にも現れた強敵たちと戦う為に今まで仲間たちと共に修行してきたのだ。

 

 

「けっ。あんたから強さの秘訣を聞き出そうと思ったんだけどな。」

 

「面倒くさいか?」

 

「まぁ。キャラじゃねーしな。俺はクズだからな。セコいやり方でやっていくさ。」

 

「それでいいと思うぜ。」

 

「は?」

 

 

一言小言を言われると思っていたが、思いのほか肯定の言葉を聞いて呆けた。

 

 

「弱い奴は弱い奴なりの戦い方がある。腕力が無理なら知力を鍛えて武器にしてしまえばいい。そっちのほうがお前の戦い方に合ってると思うぜ。」

 

 

もし自分が強くなかったらそうしていただろう。

カゲチヨはそう思いながら自分の手を見て軽く握った。

 

 

「腕力の二人と頭脳のお前。三人合わせれば最強さ。」

 

「・・・は!何だよそれ。あんたに言われなくても俺等は最強だっーの。」

 

 

そう吐きつつも、何処か嬉しそうに笑う平行世界の自分を見て口角を上げる。

 

 

「ま、だからといって身体を鍛えない理由にはならないけどな。」

 

「うっ。」

 

「怠けてるとあの二人に置いてけぼりにされて泣く羽目になるから気ぃつけろよ。」

 

「よ、余計なお世話だ!!」

 

 

平行世界のカゲチヨのツッコミが森に響いてから数時間後。

 

カゲチヨの背中におぶって、舞空術でカレコレ屋に戻って行った。

 

 

「む、カゲチヨ。戻ったか。」

 

「あ、カゲ!この二日間何してたの!また依頼サボってたでしょ!」

 

 

部屋の中には、いつもの如く笑顔なシディと帰って来ない事に怒っているヒサメが出迎えてきた。

 

 

「サボってねぇーよ!頑張って犬探ししてたんだぞ!!」

 

「ヒサメさん。こいつの言っている事は本当だ。ずっと犬を探していたのを何度も見かけた。」

 

 

平行世界のカゲチヨが拉致られて暴行された事を隠しつつフォローを入れる。

 

 

「まぁ、孫さんが言うなら。」

 

「何で孫の言葉の方に信用すんだよ!!」

 

「依頼に乗り気じゃなかったじゃん!そーじゃなくても普段からダラシないから信用出来なくなるんだよ!!」

 

「仲間なら信用しろよ!!流石に泣くぞ!!」

 

(俺等って、端からこんなふうに見られていたのか。)

 

 

二人の言い争いを見て、苦笑いをするカゲチヨ。

 

それと同時に懐かしさを感じた。

 

ヒサメとの喧嘩は遥か昔のように感じ、長く生きて変わってしまった自分ではもう出来ないなと思いながら二人を眺めた。

 

口では罵倒してるが、ヒサメは平行世界のカゲチヨを心配して怒っている事に気付くカゲチヨは元の世界のヒサメ達の事を考えた。

 

 

俺が居なくなって、ヒサとシディは怒ってるのだろうか?悟飯やムツミが居るとは言え、ロットは寂しがってないだろうか?元の世界では、どれくらいの月日が経ったのか。

 

っと思っていた。

 

 

「帰りてぇなー。」

 

 

目の前で騒がしくしてる三人に聞こえないような声量で口にした。

 

 

 

 

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