KAREKORE Z~Z戦士のカゲチヨ~   作:yakyo

52 / 63
天使病が変異したらどうなるのか

 

自分の世界に帰って来たカゲチヨはヒサメとシディと再会した後、自宅にいるであろう悟飯達に無事に帰還した事を報告しに家に戻った。

 

カゲチヨの帰還に、最初は驚いたり怒られたりもしたがそれでも帰って来た事を喜んだ。

 

 

「今まで留守にしててすまなかったな。」

 

「いえ。俺はカゲ叔父さんが帰ってくるのを信じてたので。」

 

「はは、そうかよ。」

 

 

悟飯も最初はカゲチヨが居なくなって心配をしていたが、予知魔ラプラスのカゲチヨからの伝言を聞いて信じる事にした。

 

きっと、自分の父、孫悟空の様に無事に帰ってくると思っていたからだ。

 

 

「ロットもムツミも寂しい思いさせて悪かったな。」

 

「僕はそこまで心配してなかったよ。だってカゲ兄ちゃん強いし、普通に帰ってくると思ったからね。」

 

「とかいって、前までは泣きべそかいて寂しがっていたくせに。」

 

「そうだったのか。」

 

「な、泣きべそなんかかいてないし!!嘘つくなよな!!」

 

 

ムツミのからかいに反応して顔を真っ赤にして怒るロット。

 

実際、心配で寂しがっていたのは事実なため慌てて否定してる所を見てあながち本当そうだなとカゲチヨは思った。

 

 

「でも、急にいなくなるのはやめてよね。私もそうだけど、オリジナルやシディは滅茶苦茶心配してたんだからね。」

 

「二人には散々怒られたよ。俺だってまさか鍵が壊れるとは思わなかったんだ。本当だったらラプラスの依頼をすぐに終わらせて帰る予定だったんだけどなぁ~。」

 

「何かあったんですか?」

 

「あぁ。それはだな・・・・。」

 

 

悟飯の質問に自分に起きた出来事を語る。

 

平行世界の鍵で別世界に行き、クラッシャーターレス軍団から平行世界のカレコレ屋の三人を助け出した後、ターレスという悟空に似たサイヤ人と戦った。

 

形勢的にカゲチヨが有利だったが、黒いオーラが突然ターレスの周りに溢れ出し凶暴化した。ターレスを何とか倒したが、攻撃を受け過ぎてしまい、懐にしまっていた鍵が壊れて帰られなくなった事を一通り説明した。

 

 

「ターレス・・・父さんやベジータさん以外にもサイヤ人の生き残りが居たんですね。」

 

「なぜ平行世界にそいつらが居たのかは知らねぇーがな。」

 

 

元々、異宙にサイヤ人が存在していたのか、それとも奴らも悟飯みたいに転移してきたのかは謎のままだが終わった事を考えても答えは出ないだろう。ムツミもロットも話について行けなさそうだと思い、この話題はやめる事にした。

 

 

「あ、そうだ。ポストにカゲ宛の手紙が届いてたよ。」

 

「このご時世に手紙?」

 

 

ムツミから手紙を受け取り中身を確認した。

 

 

『カゲチヨさんへ

 

この手紙を読んでいるという事は、すでにこの世界に帰ってこられたのでしょう。

 

私の依頼を引き受けていただき感謝します。

 

平行世界の鍵はあなたに差し上げます。

 

おそらくまた使う機会があるのかと思われますので、大事に保管してください。

 

一ファンとしてあなた方、カレコレ屋さんに今後も期待しています。

 

予知魔ラプラス』

 

 

内容はこう書かれていた。

 

ラプラスの手紙を一通り読んだカゲチヨは溜息交じりに頭を軽くかいた。

 

 

「あんにゃろー。本当は俺の事、予知できてたんじゃねぇーか?」

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

次の日、いつもの様に朝早く農業作業を終えてリサイクルショップに向かっていたが、もうリサイクルショップで働く必要がないんだと店に着いてから気付いた。

 

 

「いっけね。向こうで半年間働いた癖でいつもの様に出勤しちまった。習慣って怖ぇーな。」

 

 

ふと、店の中にヨーメイの気配を感じ疑問に思った。

 

店に着くとシャッターは開いており、店の中でヨーメイがモップを持って掃除しているではないか。

 

 

「カゲチヨ?なんで店の前に居るんですか?」

 

「いや・・・まぁ色々と。それよりお前こそどーしたんだよ。」

 

「どーもこーも普通に掃除してるだけですが?何か問題でも?」

 

 

問題だらけだよ。お前は率先して掃除するようなタイプではないだろっとカゲチヨはヨーメイの行動に困惑を隠せなかった。

 

 

「あれ・・・鍵が・・・。」

 

「おはようございます。掃除しておきましたよ。」

 

オーナーが店にやって来て鍵が開いてる事に驚いてる所にヨーメイが何もなかったかのように挨拶をし清掃完了の報告を告げた。

 

 

「掃除!?お前が!?」

 

「ビックリだよな~。」

 

「ってかお前も居たのか!?」

 

「今更かよ。俺は色々と訳があって来ちまっただけだよ。」

 

「あ、商品棚の整理もしておきましたから。」

 

 

オーナーが確認した所、棚の整理だけでなく帳簿までやっていた事に流石に驚きを隠せなかった。

 

 

「お前、どーしたんだよ。変な物食ったのか?」

 

「そんな訳ないじゃないですか。仕事の邪魔なのでどいてください。」

 

「あ、あぁ・・・。」

 

 

段ボールを持ってテキパキと動いていた。

 

 

「どー思うよ。」

 

「変な物を飲んだとしか思えない。じゃなきゃあんな風に行動はしないだろ。」

 

「こっそり店の物を拝借したんじゃねーか?」

 

「ヨーメイならやりそうだな。」

 

 

お互い顔を近づけて、コソコソとヨーメイの異変について話し合っていた。

 

 

「いててて!」

 

 

すると急にヨーメイが苦痛の声をあげ始めた。

 

 

「どうした!」

 

「急に重い物持って背中が・・・。気にしないで下さい。」

 

 

そのまま別の段ボールを持ってスタスタと運んで行った。

 

 

「しばらく様子見た方がよさそうだな。」

 

「そーだな・・・。ところで何でお前居るんだ?」

 

「・・・気にすんな。」

 

 

人が変わったかのように真面目に働くヨーメイを見て、何が起きたのか分からないまま、しばらく様子見する事しか出来なかった。

 

それからというもの、あれからもヨーメイの異変は戻る気配はなかった。

 

ある日は年配の荷物を持って運んだり、またある日はボランティアのゴミ拾いの活動に参加したりなど、今までのヨーメイでは絶対にしない行動をしていた。

 

 

「やはりヨーメイがおかしい。」

 

 

カレコレ屋にて、オーナーがソファに座ってそう呟いた。

 

 

「何だか、真人間になっている。」

 

「やっぱそーだよなぁ。この前とかゴミ拾いとかしてたし。」

 

「俺も昨日お婆さんに親切にしていたのを見たぞ。」

 

 

これは一般的にいい事なんだろうが、昨日今日でこんなに変わるものかと不気味がっていた。

 

まだ邪まな考えを持っていると思っていた方が安心できるレベルだ。

 

 

「オーナー!!」

 

 

ヒサメが声を荒げて、カレコレ屋に帰って来た。

 

そこには顔色が悪そうにしたヨーメイをヒサメが肩を借して運ばれていた。

 

 

「ヨーメイ!?」

 

「ヨーメイちゃんがお店で倒れていたんです!」

 

「大袈裟ですよ~。もう歩けます。」

 

「いいから今日はもう帰って休め!」

 

「でも・・・まだ仕事が・・・。」

 

 

明らかに体調が優れなさそうなヨーメイだったが、店の雇用主の指示を出されて渋々と帰る事になった。

 

そのまま帰ったヨーメイを心配するシディとヒサメとオーナー。

 

 

「働いてくれるのは嬉しいが、背中が痛くなるほど物を運んだり、飯や肉や魚を残して野菜ばかりだ。あれじゃ力が出ないだろうに。」

 

「なに?」

 

「どうしたのカゲ?」

 

「背中が痛くなって、肉類を避ける・・・。」

 

「なにか思い当たる事があるのか?」

 

「あくまで予想になるが、ヒサが天使病に掛ったのと状況が似てる気がする。」

 

 

前回ヒサメが被害に遭った事件。天使を偽ったハーヴェスターという異宙人が天使病を操り清い心を持った人間をターゲットにし、天使病に感染した人間は身体に強い罪の意識を宿らせ、清らかな魂を翼に変え生えさせ、収穫するという厄介な種族だった。

 

 

「確かに天使病に似ておるが、あれは清い心を持った者しか感染せん。ヨメ子にかかるはずがない。」

 

「だよなー。アイツはどちらかというとドブまみれの魂してんもんな~。」

 

「いや、それは言い過ぎでしょ。」

 

 

ヨーメイの事で話し合ってると外から扉を叩く音が聞こえた。

 

シディが扉を開けると、そこにはヒサを天使病にさせた張本人のハーヴェスターが青い顔をして入って来た。

 

 

「何の用だ。」

 

「た、助けてくれ・・・。アイツが・・・アイツが現れたんだ!」

 

「アイツ?」

 

「アイツが誰かを感染させた!俺達はもうおしまいだ・・・!」

 

 

そう叫び出したハーヴェスターの様子に、普通ではないと感じ取った。

 

 

「!」

 

「カゲ?」

 

「ヨーメイの気配の他に誰かいる。」

 

「「「!!」」」

 

「も、もしかして・・・!プランダラーだ!!」

 

「プランダラー?」

 

「俺らの天敵のプランダラーが出たんだ!!」

 

 

ハーヴェスターが怯え、説明を要求しても何を言っているのか分からなかった。

 

そんなハーヴェスターを嘲笑うボティスは機嫌がいいのか、プランダラーの事を軽く説明した。

 

 

プランダラーはハーヴェスターを食うハーヴェスター。

人を天使病にするが感染者の翼はハーヴェスターを集めるために使う、所謂「呼び寄せ」という事だ。

 

 

「なるほどな。それで俺らに助けてほしいと、都合がよすぎるな。」

 

「前の事は謝るから助けてくれ!!ちゃんと償うし言う事は何でも聞く!!だから頼む!!俺は食べられたくない!!」

 

「ヨーメイにそのプランダラーが側にいると仮定して、そいつはハーヴェスターの逆で俺やヨーメイみたいなクソ野郎に感染するみたいだな。」

 

「当たりじゃ。カゲ男の癖に頭は回る様じゃの。」

 

「一言余計だ。」

 

 

カゲチヨの言葉を聞いて、シディは慌てて外に出ようとしたがカゲチヨによって腕を掴まれた。

 

 

「カゲチヨ離してくれ!」

 

「落ち着けよ。」

 

「シディ、プランダラーの行動は詰まるところ食事。自然の摂理じゃ。己の都合でソレを身勝手に歪める人間を、お前は嫌悪していたではないか?」

 

「・・・だが、それでもヨーメイが傷つく理由はない!」

 

 

確かに、自然の摂理を己の身勝手な都合で歪めるのはシディにとって許せないものだが、それと比べてもヨーメイが大事だと言い切る。

 

 

「だからカゲチヨ、この手を・・・。」

 

「だから落ち着けって。誰も止めようなんて思ってねぇよ。」

 

「え?」

 

「ヨーメイの居場所は気配で分かってる。俺が飛んで連れて行った方が早い。だから行くぞ。」

 

「カゲチヨ!」

 

 

未だに怯えているハーヴェスターをヒサメに任せて、シディを背負ったカゲチヨは舞空術でヨーメイの場所まで飛んで行った。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

「これは・・・。」

 

「ハーヴェスター達が!」

 

 

街に建っているビルの屋上の上に辿り着いた二人だったが、周りにはハーヴェスター達が無残に倒れたていた。

 

 

「その声は・・・シディさん?」

 

 

そして、目の前には大きな翼を生やしたヨーメイが祈りのポーズをして立っていた。

 

 

 

「シディさん。私は今答えを見つけました。とっても幸せです。」

 

「何を言っている!」

 

「私みたいなクズをこの子は必要としてくれるんです。」

 

 

 

「そうだよお姉さん。」

 

 

そこにヨーメイの背後から紫色の髪に紫色の翼を生やした少年が現れた。

 

 

「お前がプランダラーっていう奴か。」

 

「あぁ僕の事知ってるんだ。そうさ。僕はハーヴェスターを食べるハーヴェスター。このお姉さんのお陰で僕のお腹は満足さ。」

 

「ヨーメイを解放しろ!」

 

「嫌だね。僕に餓死しろって言うの?人間って勝手だなぁ。君たちも「肉を食べるな、可哀想」って言われて素直に従うの?」

 

 

その言葉にシディは言葉を詰まらせる。

 

だが、そのせいで隙が出来、瞬間移動でシディの背後を取った。

 

 

「お姉ちゃんの言う通り、とんだ甘ちゃんだなぁ!!」

 

 

鎌を召喚し、シディに向かった振り落とした。

 

 

「!!」

 

「動物は食事中でも襲われる事がある。つまり、これも自然の摂理って奴じゃないのか?」

 

 

プランダラーの居る位置が分かっていたかのようにカゲチヨは鎌を掴かんで動きを封じた。

 

 

「ぐっ!くそっ!動かな・・・っ!」

 

 

力いっぱい引き抜こうとするも微動だにせずに焦りを見てた。

 

カゲチヨが拳を握った時、シディがカゲチヨの握り拳を掴んだ。

 

 

「シディ?」

 

「カゲチヨ。ここは俺に任せてくれ。」

 

「何でだ?今の内にこいつを倒して・・・。」

 

「頼む。このままカゲチヨに何でも頼ったら・・・駄目な気がするんだ。」

 

「・・・・。」

 

「わがままなのは分かってる。だが俺の手でやりたいんだ。」

 

 

しばらくお互いの目を見て、シディの決意が固いと感じたカゲチヨは拳を降ろした。

 

 

「お前は一度言ったら頑固だもんな。わかった。この件はお前に任せる。」

 

「すまない。」

 

「てめぇら!!僕を無視するんじゃ・・・ぐぇ!!」

 

 

鎌から手を放した後、勝手に二人が話を進め、自分を無視した事に怒り、再度襲い掛かるがカゲチヨの手の平から出る空圧で吹き飛ばされる。

 

 

「お前の力で奴を倒してヨーメイを救って見せろ。」

 

「あぁ。」

 

 

屋上のドアまで下がり、腕を組んでシディ達の戦いを見守る事に専念した。

 

 

「くっ、なんなんだこの人間は・・・まぁ出てこないなら別にいい。」

 

 

プランダラーはカゲチヨの存在に警戒しつつも、高速でシディの背後に立ち、鎌を振りぬ下ろした。

 

 

「ぐっ!」

 

「チッ浅ぇ。」

 

 

肩を斬られはしたが、ギリギリのところで避け、なんとか重傷を回避した。

 

 

だが、今は夜なため本来の力を発揮できないシディだったが、カゲチヨはそんなシディの状態に疑問を持った。

 

 

(夜の状態のシディは本来の力は発揮できないが、それでも勝てない相手ではないはずだ。なのになぜこんなに苦戦を・・・。)

 

 

その時瞬時に気付いた。

 

シディがプランダラーの行動に対応できないのは、ヨーメイが能力を発動してシディに何かしたからだ。

 

 

(まさか、ヨーメイが何かをしたのか?あいつも異宙の力を・・・。)

 

「ヨーメイ、これはお前がやってるのか!?」

 

「お兄さん達も知らなかったんだ?便利な力だよね。僕の天使・・・もう逃がさないよ。」

 

「あう、あああああ!!」

 

 

突如、能力を発動したまま、ヨーメイが苦しみだし白い翼が黒く染まる。

 

そんなヨーメイにお構いなしに、プランダラーは鎌でシディに攻撃を仕掛ける。

 

為す術がなく、回避に専念をするが避けきれず傷が一つまた一つ増えていく。

 

 

「ほらほらしっかり避けなよ?」

 

「ぐっ・・・ヨーメイ!目を覚ませ!」

 

「無駄無駄!お姉ちゃんは僕を救いだと思ってる!命が枯れるまで尽くしてくれるよ?馬鹿だねぇ~!」

 

「聞いたかヨーメイ!こいつはお前の求める答えなんかじゃない!」

 

 

斬撃を避けつつも、ヨーメイを説得を試みるシディ。

 

カゲチヨは何も発せず行動せず、黙って戦いを見据えた。

 

 

「忘れたのかヨーメイ!俺はお前自身が答えを見つけるまで寄り添う、そう誓った!!答えはお前が探すんだろ!!だからヨーメイ!!目を覚ませ!!」

 

 

シディの言葉にハッとしたヨーメイ。

 

『答えを探す』

 

それは、ヨーメイがシディに自分が混血児で有情解放戦線の一員だと正体を、そして過去を明かした時の日をフラッシュバックした。

 

 

 

 

 

『最初は人間なんてみんな嫌いだった・・・。でも、リサイクルショップで働くうちに・・・悪くないって思える人も増えて・・・でも・・・どう考えても何度考えても人間なんていない方がいい・・・。それに・・・私は命を助けてくれたギバー様を裏切れない・・・。』

 

『ヨーメイ・・・。』

 

『もう・・・どうしたらいいか分からないんです。シディさん・・・私を止めてください・・・。私を・・・助けて・・・。』

 

『俺は・・・助けない。』

 

『え?』

 

『ヨーメイは俺が正しいと思う方向に連れて行ってほしいのだろう?それは俺の正義だ・・・。ギバーの正義に従った時と同じだ。大切なのはヨーメイが決める事だと思う。カゲチヨもヒサメもきっとヨーメイを助けてくれるだろう。だが、俺は助けない。』

 

『・・・厳しいですよ・・・。シディさんは厳しすぎます。耐えられなくて壊れちゃう人もいるのですよ。』

 

『だから、ヨーメイが答えを出す。その時まで、俺が一緒に居よう。』

 

 

 

 

 

その言葉を思い出し意識を取り戻して、異宙の能力を消した。

 

 

「何!?力が消えた!?」

 

「おおおおお!!」

 

「ぎゃああああ!!」

 

 

隙ができた事で、渾身の一撃をプランダラーの腹に直撃させた。

 

 

「ガハッ!ま、参った!僕の負けだ!」

 

 

腹を抑え、自分の負けを認めたプランダラーを黙って見ていた。

 

 

「な、何だよ。痛めつける気か?アンタは良い奴だ。そうだろ?そんな事しないよな?な?」

 

「ヨーメイを治せ。俺は仲間を守るためなら何だってやるぞ。」

 

 

怒気を強め脅すと、怯えてヨーメイの背中に生えている翼を消した。

 

 

「こ、これで治ったよ・・・。」

 

「今回は見逃してやる。二度と現れるな。」

 

(馬鹿が。背中が隙だらけだ。)

 

 

背中に隠し持ってる鎌でシディを切りかかろとするプランダラーだったが、目の前に赤い水玉が浮かんでいた。

 

 

「な、何だこれ・・・・。」

 

 

その瞬間、プランダラーの目の前に浮かんだ赤い水玉が爆発し、顔面がやけどした。

 

 

「がはっ!!」

 

「そいつは俺の血だ。触れれば爆発する。」

 

「カゲチヨ。」

 

「お、お前!!」

 

 

カゲチヨの方に向いた瞬間、プランダラーの目の前に掌が映った。

 

そしてそのまま手からエネルギー波を撃ち、プランダラーの身体全体を覆った。

 

 

「ぎゃぁああああああ!!」

 

 

断末魔を上げ、エネルギー波によって塵となって消えていった。

 

 

「カゲチヨ・・・。」

 

「お前が手を下す必要はねぇーさ。」

 

「・・・すまない。」

 

 

ヨーメイを抱え、ビルの屋上から歩いて降りて行った。

 

無言の状態でビル内を歩いていた二人。

その静寂を打ち破ったのはヨーメイだった。

 

 

「何も聞かないんですね。」

 

 

その言葉は自分の能力に対して、そして自分が何者なのかに対しての質問だった。

 

 

「聞いたところで、答える気ないだろ。」

 

「・・・・。」

 

「言いたくないなら言わなくていい。聞いてほしくないなら聞くつもりもねぇ。・・・そーだな、強いて言えばお前は俺達に害するか?」

 

「・・・少なくとも、今はしません。」

 

「・・・そうか。ならいい。」

 

 

またしばし無言になった空間の中、シディは軽く息を吐いた。

 

 

「シディさん?」

 

「奴の行動は最初っから最後まで、生物として生きるためだった。それを俺は、俺の勝手な都合で・・・。」

 

「それでもシディさんは私を助けてくれました。」

 

「あぁ・・・だがこれは・・・やはり俺の・・・。」

 

 

「自分の罪・・・なんて言わせねぇぞ。」

 

 

難しい表情しながら言葉の続きを発しようとしたときカゲチヨが被せてきた。

 

 

「!カゲチヨ・・・。」

 

「お前の真面目過ぎな所は、良い所であり悪い所だ。」

 

「・・・・。」

 

「確かに自分のエゴで奴の生物としての生きる行為を邪魔したかもしれねぇ。だけど、そんなこと言いだしたら、この世の中が自然淘汰になっちまうよ。」

 

「それは・・・。」

 

「誰だって自分の身近な人が、生物の生きる糧になるのは嫌に決まってる。だからお前はここに来たじゃないか。その行動したのなら後悔はするな。罪を背負うなら俺達が一緒に背負う。仲間だろ?」

 

「・・・・カゲチヨ・・・すまない・・・・ありがとう。」

 

「おう。」

 

 

少し明るくなったシディの頭を乱暴に撫でた。

 

一瞬その行動に驚いたが、後にくすぐったそうな表情をした。

 

 

「カゲチヨは・・・まるで父のようだな。」

 

「こんなデカい息子持った覚えねぇーよ。」

 

 

シディが明るくなった事でヨーメイは安心した表情で一息ついた。

 

 

(もし、シディさんがこの出来事の罪で地獄に堕ちたなら、私も同じ罪を背負って深い地獄に堕ちたい。)

 

 

そう思いながら、瞳を閉じで眠りについた。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。