KAREKORE Z~Z戦士のカゲチヨ~   作:yakyo

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閑話3

 

 

エピソード7

 

「女友達を一日中無視し続けたら」

 

 

 

「カゲ・・・カゲってば・・・。」

 

「・・・・。」

 

「もう~~!」

 

 

ソファで読書してるカゲチヨの膝の上に頭を乗っけて寝っ転がりながら呼びかけるヒサメを無視している。

 

一見して読書に集中して無視してるように見えるが、これにはれっきとした訳があった。

 

 

 

時は数時間前に戻る。

 

 

 

依頼で暴漢を追い詰めたカレコレ屋の三人。

 

 

「これでもくらえ!!」

 

 

そう言ってその暴漢は『かまってろスプレー』をヒサメに吹きかけた。

 

その隙に逃げようとした暴漢をシディがとっ捕まえた。

 

 

「ヒサ、大丈夫か?」

 

「うぅ・・・カゲ・・・。」

 

「ヒサ?」

 

「わ~いカゲだあ〰〰〰〰!!」

 

 

そう言って笑顔でカゲチヨに抱き着いた。

 

何が何だかわからずカゲチヨは困惑した。

 

 

「ど、どうしたんだお前?」

 

「カ~ゲ~!」

 

「駄目だ、全然聞いてねぇ。」

 

 

恐らく、暴漢が持っていたスプレーに原因があると思い拾ってスマホで確認したところ異宙で話題の「かまってちゃんスプレー」というらしく、浴びた人は最初に見た相手にかまってちゃんとなってしまうらしい。

 

 

「またはた迷惑なグッズがあったもんだ。」

 

「まるで鶏の親子みたいだな。それで、ヒサメを治す方法は無いのか?」

 

「え~っと・・・人にかかった事例がないから分からねぇーな。」

 

「困ったな。」

 

 

一先ず病院に行ってみて治療法があるかどうかを確認したところ、カゲチヨがヒサメを「無視する」と言い渡された。

 

 

 

そして現在に至るわけだ。

 

 

「お腹すいた~。カゲは?空いてない?」

 

「・・・・」

 

「ねぇ起きてよ~。」

 

 

カゲチヨは本を読み終えて、ヒサメの話を無視し目を瞑って瞑想に入った。

 

こうでもしないとずっと質問攻めにあって精神的に辛いからだ。

 

 

 

 

あれから数時間ずっと瞑想していたところ、膝の上にドカッと何かが乗った。

 

目を開けなくても気配で分かる。

 

 

「カゲー!いい加減起きてよー!」

 

 

ヒサメが乗っかってるからだ。

 

 

(とうとう遠慮が無くなって行動で示したか。)

 

「もう〰〰!!返事くらいしてよ!!」

 

(悪いな、お前のためだ。もう少し我慢してくれ。しかし、いったい何時になったら戻るんだ?ずっとこのままとか言わねぇだろうな?)

 

 

構わず引き続き瞑想で蒸し続けるカゲチヨにしびれ切らしたのか、ヒサメが電気の能力を出し始めた。

 

 

「どうして無視するの?そんなに私が嫌いなの?私を無視し続けるなんて許さない!!絶対話してもらうんだから!!」

 

本気と感じたカゲチヨは、内心溜息を吐きながら瞬時にヒサメの背後に立ち、手刀で気絶させた。

 

 

「最初っからこうすればよかったな。」

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

「カゲ、カゲってば・・・。」

 

 

あれから翌朝。

 

ソファで眠っていたカゲチヨをヒサメが起こした。

 

目を開け、ヒサメを確認する。

返事しようと思ったが、瞬時に手で口を抑え様子を見た。

 

 

「な、なに?////そんなにジッと私の顔を見て・・・////顔に何かついてる?/////」

 

(戻った・・・のか?)

 

「私昨日の事覚えてないんだけど・・・何か知らない?////」

 

(これは答えていいのだろうか?)

 

「な、何か答えてよ・・・////」

 

 

顔を赤くして目線を外すヒサメの行動に困惑する。

 

そこにシディがやってきて二人に挨拶してきた。

 

 

「カゲチヨ、ヒサメ。おはよう。」

 

「シディ、おはよう。」

 

「ヒサメは・・・ウヌ。元に戻ったようだな。」

 

「やっぱりそうか。」

 

 

シディの言葉に安堵の息を吐いた。

 

 

「ど、どういう意味?」

 

「もしかして・・・記憶がないのか?」

 

「たぶん・・・?」

 

 

疑問に思うヒサメにシディは事の経緯を丁寧に教えた。

 

それを聞いたヒサメは若干恥ずかしそうな表情をした。

 

 

「私、かまってちゃんになってたんだ・・・。覚えてないけど恥ずかしいな・・・。」

 

「無視してなきゃ、ずっとかまってちゃんのままだったかもしれないんだ。」

 

「え、ずっと!?」

 

「正直、無視する方法は効果があったのかは疑問だったがな。」

 

「だがカゲチヨはよく耐えた。」

 

「心苦しさはあったがな。まぁ戻ったんなら何でもいい。」

 

「そっか・・・カゲ、ありがとうね!」

 

「ちなみに、どんな風だったか教えてやろうか?」

 

「いい////!!それはいいから////!!」

 

 

そう言って顔を真っ赤にして、両手をぶんぶんと大きく振って拒否する。

 

カゲチヨは口角を上げてこれで勘弁してやるかと思ったとさ。

 

 

 

 


 

 

 

エピソード8

 

「悟飯とミキ」

 

 

 

「最悪~!数学の宿題あったの忘れてたぁ~!!」

 

「あぁ~。」

 

「ヒーちゃんお願~い!!写させてぇ~!!」

 

「駄目だよ。そういうのはちゃんと一人でやらなきゃ。」

 

「ノリピー!!」

 

「私もヒサに同意だな。」

 

 

親友二人に断られたミキはうぅっと唸っていたが、何か閃いたように席を立った。

 

 

「孫君!宿題移させてぇ~!」

 

 

ミキの机の隣の席で勉強している悟飯に近付いて行った。

 

 

「え?あ、はい!いいですよ。」

 

「やったー!!」

 

 

簡単に了承する悟飯にミキは大喜びで声を上げた。

 

 

「ちょっと悟飯君!ミキを甘やかしちゃだめだよ!」

 

「ま、まぁまぁ。落ち着いて・・・。」

 

 

簡単に答案を写す事を許した悟飯に怒るヒサメを宥める。

 

 

「ミキさんだって、忘れたくて忘れたわけじゃないですし。今回は許してあげましょうよ。ね?」

 

「そ、そうだけど・・・。」

 

「いや~ん!孫君やっさしー!」

 

「ハハ・・・。」

 

 

甘い声を出したミキに若干引きつった笑みを浮かべる悟飯だった。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

「孫君ありがとうね!」

 

 

何とか数学の時間内に宿題を写し終え、無事提出できたミキは悟飯に感謝していた。

 

 

「これくいらいどうって事ないですよ。」

 

「・・・ねぇ孫君。」

 

「?」

 

「なんで敬語なの?うちら同級生だし、厳密には悟飯君の方が年上じゃん。」

 

「あぁ・・・なんて言うか、癖なんですよ。周りに俺より年上の人しかいなくて年下はそんなにいなかったので。」

 

 

悟飯は小さい頃から、ずっと年上に囲まれていた。

 

自分より年下はデンデとトランクスくらいなもんだった。

 

二人には敬語じゃなく、砕けた感じで話してはいたが、この世界でついついその癖が出てしまったのだ。

 

 

「へぇ~孫君が住んでた場所ってそんなに子供がいなかったんだ。」

 

「ま、まぁ・・・そんな所です。」

 

 

そー言えば、パオズ山に住んでる人ってそんなにいなかったなぁ~っと思った悟飯。

 

そんな自分の故郷を思い出したら、母親であるチチや祖父の牛魔王は元気にしてるのかと気になった。

 

自分が死んで、悲しんでいるんだろうなと申し訳なさが出た。そんな悟飯の表情を見たミキは、やってしまったという表情をした。

 

 

「ご、ごめん孫君。私余計な事言っちゃったよね。」

 

「え?」

 

「家族から離れて遠くからここに引っ越してきて、色々と大変なのに、寂しさを思い出させちゃったよね。」

 

「あ、だ、大丈夫ですよ!確かに母さんの事を心配はしましたけど寂しいとは思ってませんよ!母さんは強い人ですし、お祖父ちゃんもいますからきっと元気だと思います!それに僕にはカゲチヨさんやミキさん達が居ますので気にする事はないですよ!」

 

 

ミキの不安そうな表情を見て慌てて否定する悟飯の慌てっぷりを見て、ちょっと噴き出して笑った。

 

 

「はは、孫君慌て過ぎ。でもありがとうね。」

 

「い、いいえ。」

 

「宿題のお礼したいし、何か奢ってあげるよ!」

 

「い、いいですよそんな!」

 

「いいからいいから!ヒーちゃん!ノリピー!私先に帰るから!」

 

 

そう言って悟飯の手を引っ張って教室から出て行った。

 

 

「あの二人って仲いいよなー。」

 

「というより、ミキが一方的に話してるような気もするけど・・・。」

 

(俺が知ってる歴史だと、悟飯はビーデルと結婚したんだが・・・まさかミキと?・・・いやあいつはシディが好きなはずだし、考え過ぎか?)

 

 

出て行くミキと悟飯を見て、そう思ったカゲチヨだった。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

悟飯を連れて、ミキ行きつけのクレープ店に寄っていった。

 

 

「はいこれ!」

 

 

ミキが奢ったクレープを受け取る。

 

 

「ありがとうございます。へぇ。これがクレープですか。」

 

「あれ?孫くんの住んでた田舎ってクレープって無かったの?」

 

「あ、はい。名前は知ってたんですけど食べるのは初めてです。」

 

「そっかぁ〜。じゃあこれがクレープデビューだね!」

 

「はい。いただきまーす。」

 

 

そう言ってガブりっと一口食べた悟飯は、初めての味や食感に幸せそうな表情をした。

 

 

「これ、とても美味しいですね!」

 

「でしょ〜!ミキのオススメの店なんだ!」

 

 

喜んでもらって嬉しくなったミキは自分のクレープをカプリと食べた。

 

 

「ん~~!やっぱこれこれ!」

 

 

ミキの美味しそうにクレープを食べてる姿を見て、この世界は平和なんだなと思った悟飯。

 

 

「孫君って何時も家とかで何してるの?」

 

「ん?そうですね・・・カゲチヨさんの畑仕事を手伝ったり、勉強したり身体鍛えたりとかですね。」

 

「え?カゲチヨって畑仕事してたの?いが〜い。」

 

(し、しまった!余計な事行っちゃったかな!?)

 

 

墓穴を掘ったんじゃないかと慌てる悟飯。

 

何とか話題を変えようとした。

 

 

「だ、だから趣味らしい物は無いんですよ。」

 

「ふ〜ん。なんだかもったいないような気もするな〜。せっかく都会に来たんだから色んな物見たりした方がいいと思うよ。」

 

「そ、そうですかね?」

 

「そうだよ!うちらまだ若いんだし色んな事やってみなきゃ!そうだ!今度、ヒーちゃんやノリピー、ついでにカゲチヨ達も誘ってどこか遊びに行こうよ!もっと色んな所行って学生生活の思い出作っちゃおうよ!」

 

「思い出・・・。」

 

 

ミキの何気ない提案に悟飯は考えた。

 

自分は小さい頃から友達と呼べる同い年と遊んだ思い出は無かった。

だが辛くはなかった。

 

家族や仲間との楽しい記憶はあったから。

 

だが、父である悟空が心臓病で死んで、仲間たちが人造人間達よって殺され、修行と戦いの日々を送った記憶が大きかった。

 

友達を作る事も、学校へ行く事も、楽しい思い出を作る暇も無かった。

 

そんな自分が学校の同級生と遊ぶなんて考えもしなかった。

 

 

「もしかして、嫌った?」

 

 

悟飯が思考を巡らせてるとき、ミキが不安そうに悟飯の顔を覗き込んだ。

神妙な顔から一転して慌てた表情で弁解した。

 

 

「い、嫌じゃありませんよ!今まで同じ学校の人と遊んだ事ないので新鮮だと思ったんです!」

 

「ほ、ほんと?迷惑じゃない?」

 

「迷惑なんて、そんな事ありませんよ。俺もミキさん達との思い出をいっぱい作りたいです。」

 

 

悟飯の了承にミキは笑顔になった。

 

 

「うん!じゃあ明日、ヒーちゃんたち呼んで遊びに行こうか!」

 

「は、はい!」

 

 

この後もミキと放課後を過ごした悟飯。

 

 

(お父さん。お母さん。お祖父ちゃん。ブルマさん。トランクス。俺はもうそっちの世界には戻れないけど、俺はこの世界で元気に生きて行きます。カゲ叔父さんやミキさん達と共に。)

 

 

もう二度と会えない人達に、心の中でそう報告したのであった。

 

 

 

 

 

 

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