何時もの平日。
学生であるカゲチヨとヒサメと悟飯はいつもの様に登校しいつもの様に授業を受けていた。
そして、今日はテストの返却日。
「ヒーちゃんめちゃくちゃ点数高いじゃん!」
「流石だな。」
「いや~、でもいくつかミスしちゃった。」
「いやいや90点も取れば十分だろ。」
ヒサメはいつもの様に高得点を取ってるのを見て羨ましがるミキと褒めるノリコ。そんな二人にちょっと照れながら次も頑張ろう内心意気込むヒサメ。
一方カゲチヨ達、キモ5と悟飯がテスト用紙を持って集まっていた。
「それじゃあ行くぞ!せーの!」
アサヲの合図で、全員の点数を見せた。
アサヲ、チダイ、ルイ、マチャソはほぼ赤点の点数だったが、カゲチヨは80点台。悟飯に至っては100点を取っていた。
「100点とか凄すぎだろ!」
「あははは・・・。」
「しかし、悟飯殿はともかく・・・・。」
「まさかカゲチヨが80点台を取るなんて何かの間違いだよ。」
「きしゃしゃしゃしゃ!!(カンニングしたんじゃないだろうな!!)」
「するか馬鹿。」
(本当はカゲ叔父さんも本気出せば100点取れるんだけどなぁ~・・・。)
カゲチヨがテストに手を抜いてる事はこの学校の中で悟飯しか知らない。
「えー!悟飯君100点じゃん!」
「すごいね。今回のテスト難しかったのに。」
「優秀なんだな。」
「そ、そんな事ないですよ。今回は運が良かったんですよ。」
ミキ達に褒められ、ちょっと照れる悟飯。
そんな悟飯達と離れた所で坊主と金髪セミロングの男子生徒二人が気に入らなそうに見ていた。
「ふん。テストの点数がいいからって調子に乗りやがって。」
「あんなのガリ勉田舎野郎じゃん。」
彼らは悟飯が転校してきて女性陣、特にミキ達と楽しく会話してるのを見てずっと気に入らなかった。
特に片方の男子は坊主の方はミキに好意を持ってるため、ミキに絡んでいる悟飯に敵意を向けていた。
「次は体育か。」
「今日は何するんだっけ?」
「確か野球をするんだったな。」
「女子は確か男子の見学だったな。」
「野球・・・。」
次の授業が体育と知り、アサヲは憂鬱になりルイが何するかを聞きチダイが答えた。女子の方も見学だと知りノリコはラッキーだと思った。
そして野球だと聞き、苦い顔をするカゲチヨ。
「どうしたのカゲ?」
「いや、ちょっとな・・・。」
「?」
言葉を濁すカゲチヨに首をかしげるヒサメ。
「悟飯君!カッコいい所見せてよ!」
「え、は、はい・・・でも俺、野球やった事なくて正直自信はないですよ・・・。」
「え?そうなの?」
野球をやった事ない事に驚くカゲチヨ以外の全員。
「あ、そうか!悟飯君の住んでた所、子供が居ないからやった事ないか。」
「はは、そんな所です。」
以前、悟飯の住んでいた場所は子供が居ないという若干事実を混じった作り話を信じたミキは納得をしたが、悟飯は申し訳ないと思いながら笑う事しかできなかった。
「へぇ~。あいつ野球できないんだ~。」
「女子の前で恥をかかせてやろうぜ。」
そんな怪しい会話をしだした男子二人。
◇◇◇◇◇
ジャージに着替えたカゲチヨ達のクラス。
男子はグラウンド、女子は見学しやすい場所で座っていた。
「悟飯君頑張ってー!」
「カゲー!ファイトー!」
「ついでにアサヲ達もなー。」
ミキ達や他の女子たちに応援される悟飯達、特に悟飯を恨めしそうに睨む男子二人。
「おい!悟飯!」
「何ですか?」
「分かってると思うが・・・。」
「目立たないように、ですよね。分かってますって。」
「いいか!お前が思ってる基準よりも低めに頼むぞ!」
「は、はい。」
二人でこそこそとそんな会話をするカゲチヨと悟飯。
カゲチヨがそこまで釘を刺すのは、前回オレンジスターハイスクールでの体育の授業であまりにも目立ち過ぎた悟飯を目にしたからだ。
そんな悟飯のフォローをする事になるカゲチヨはその二の前にしないための行動なのだ。
男子達はそれぞれ定位置につき野球が開始された。
試合がしばらく続き、カゲチヨ達は後攻で悟飯に恥をかかせようとする男子二人先行となった。
(俺が軽くホームラン打ってミキちゃんにカッコいい所見せてやるぜ!)
カゲチヨチームのピッチャーは坊主男子と同じ野球部の人だったが、バッターの坊主男子は野球部の中でもレギュラーに入れるくらいの実力なため絶対に打たれると不安がっていた。
そして投げたら案の定、簡単に打たれてしまった。
「ホームラン貰い!」
坊主男子が打った球は、高く遠くに飛び、素人から見てもホームランだと確信する。
ミキ達はあーっと落胆し、坊主頭は意気揚々とベースランする。
ホームランボールを誰も止める事は出来なかった・・・・。
「よっ。」
ただ一人を除いては。
『え!?』
ライトを守っていた悟飯が通常の人よりも軽々と何百メートル高く飛びホームランボールをキャッチ。
そんな悟飯にカゲチヨ以外の全員の思考が停止。
(サードのランナーが飛びだしてる!この場合サードに投げれば確かアウトになるんだっけ?そーっと、そ―――っと・・・これくらいかな?)
そう言って高い所から投げた球は、悟飯自身そーっとのつもりだったが、一般人にとっては剛速球だった。
「ひぃっ!」
サードを守っていた生徒は怯えながらも悟飯のボールをなんとかキャッチした。
「あ、アウト・・・・。」
呆けて立っていた審判が気の抜けた声でそう告げた。
「やった!これでスリーアウトチェンジ・・・・へ?」
他の生徒どころか、教師もポカーンとした表情で悟飯を見た。
カゲチヨに至っては「再放送かよ」って思いながら目元を手に置き天を仰いだ。
(か、カゲ叔父さん。今のやりすぎちゃいましたかね・・・?)
(周囲を見ればわかるだろ・・・。)
カゲチヨに近付きこそこそと不安がる悟飯にちょっときつい言い方をする。
「すご・・・。」
「何メートルくらい飛んだんだ・・・?」
「10メートルくらい飛んでたよね・・・?」
呆けながらも驚くミキ達。
「き、君凄いね。結構高く飛んでたけど・・・。」
「ま、まぐれですよまぐれ!」
「あ、あれ、まぐれで飛べるものじゃないぞ?」
悟飯を怪しく思う男子たちにカゲチヨは割って入った。
「こ、こいつが住んで田舎は足場の悪い山とか流れの早い川とかが多くてアレくらい高く飛べなきゃ生活できないくらい厳しい環境なんすよ!だから悟飯にとってはあれが普通なんす!」
「そ、そうなのかい?」
カゲチヨの苦し紛れの言い訳に何とか納得してくれた周囲。
安堵する二人はベンチに戻る。
「おい、次のバッター君じゃないのか?」
「え?あ、すみません!」
「待て悟飯。」
バットを持ってバッターボックスに入ろうとしたらカゲチヨによって呼び止められた。
「いいか悟飯。これ以上目立たないためにバットは降るな。出来るだけバントをしろ。」
「バントですね!わかりました!」
「そ・れ・と!ボールが顔とかに当たりそうになったら避けろ!絶対に避けろ!当たりに行くなよ!」
「は、はぁ・・・。わ、わかりました・・・。」
悟飯の両肩を掴んで必死にそう言ってくるカゲチヨに動揺しながらバッターボックスに入った。
「君、左利きかい?」
「え?あ、はい。そうですけど、何か問題でも?」
「いや、手が逆・・・。」
「逆?」
「悟飯。左で打つなら右は下で左が上だ。」
「あ、そうでしたか!」
カゲチヨの指摘により正しい手の位置に直した悟飯を見て睨みつけるピッチャーボックスに入った坊主男子。
(さっきはよくも俺のホームランボールを取りやがったな!せっかくミキさんにかっこいい所見せられたのに!許さね〜!奴に向けてボール投げて恥をかかせてやる!)
そう思いながら足を上げて投げる体制に入る。
(無様に避けて恥かきやがれ!)
豪速球で悟飯の顔面に向けてボールが投げられた。
(確か、顔とかに当たりそうになったら避ければいいんでしたっけ?)
来たボールをヒョイっと軽々しく避けた。
思っていた避け方じゃなかったため不満げな坊主男子。
「アイツ、絶対わざと悟飯に投げただろ。」
「最低。」
「悟飯君!そんな球打ち返しちゃって!」
ミキ達からのヘイトを無視して、また悟飯に向けて投げようとする。
(今度は身体に当ててやる!)
(あ、またこっちに来た。どーしよ。・・・あ、そーだ!)
閃いた!と言わんとばかりに悟飯は向かってくる豪速球を避けつつ、バットを軽く当てる。
「な、なにぃ!?」
(バントってこれでよかったんでしたけっけ?)
「孫!走れ!早く塁に向かうんだ!」
「は、はい!」
「あ、馬鹿!」
アサヲが悟飯を早く走るようにいい、悟飯はバットを地面に投げ全力で走った。カゲチヨの静止を虚しく、一塁、二塁、三塁と走り抜き、坊主男子がボールを拾って投げようとするも既に遅く、ホームベースへと戻った。
「やったー!これで一点だ!・・・あれ?」
「あれ?じゃねーよアホ。」
悟飯の全力疾走にまたもやカゲチヨ以外のクラスの人達が呆けた顔で悟飯を見てた。
◇◇◇◇◇
そして、しばらく普通の試合が続き、守りのターンになったカゲチヨ達のチームだったが、ピッチャーが肩を押さえて肩肘をついた。
「いたたたっ。」
「大丈夫か?」
「やっぱり肩やられたみたい。」
「あぁ~、思いっきり当たったもんな。」
実は、ピッチャーの子がバッターボックスに入ったとき、悟飯に恥をかかすどころか自分が恥をかく事になった坊主男子は八つ当たりでピッチャーの子の肩にボールを投げて当てたのだった。
「あ、そうだ!孫君!君が僕の代わりに投げてくれないか!」
「うえ!?」
「ま、待てよ。悟飯は初心者だぜ?そんなの別の奴に・・・。」
「カゲチヨも見ただろ?ホームランボール取った後、三塁に投げた時と早いボール。あんなの初心者が出せる珠じゃねーよ。」
「あ、あれはまぐれだって本人も・・・。」
「それに初心者にピッチャーやらせてやるのも良くね?一々孫君に口挟んでくるけどさぁ。活躍したらお前に不都合な事でもあるのかよ?」
「・・・・。」
チームに視線を向けられ、流石の長年生きたカゲチヨでもぐうの字も出なかった。
「わかった。もう好きにしてくれ。」
もうこれは完全な諦めだった。
親戚の許可が出た事で悟飯がピッチャーマウンドに立って、ピッチャーの子に説明を受けた。
(頼むから遅くしてくれよ。)
(カゲ叔父さんの事だから球を遅くしろって言うと思うから・・・あのピッチャーの人と同じ・・・いやそれより少し遅めに投げなきゃ!)
カゲチヨの負担をできるだけ減らすために、悟飯なりに考えた事だ。
そして敵チームからバッターボックスに入ってきたのは、金髪のセミロング男子が立っていた。
(あいつ、わざとバットをあのガリ勉野郎に向けて振ると同時に投げろって軽々しくいいやがるぜ!ま、まぁ怖がらせる為って言ってたし、ガリ勉野郎もすぐに避けるだろーよ!)
若干不安ながらも坊主男子が考えた作戦を決行しようとした。
(そーっとそ――っと・・・・これくらいかな?)
さっきより、球の速度が平均くらいで投げた悟飯。ストレートなため初心者でも打てそうな球だった。
「(なんだ?このへなちょこボールは?俺でも打てそーだけど・・・・。)おっと!手が滑ったー!」
そう言って悟飯に向けてバットを投げた。
無様に怯えて避けるだろうと思ったが・・・・。
ガゴン!!
バットが悟飯の顔面に直撃してしまった。
「ばばば、馬鹿!?何で避けないんだよ!?」
「きゃああああ!!」
「ご、悟飯君!?」
まさか避けなかった事に目ん玉飛び出るくらい驚くセミロング男子。周りからは悲鳴が聞こえ、ミキが悟飯を心配する。
そして、バットを顔面にくらった悟飯はというと・・・・。
「・・・・?」
何事もなかったような表情をしていた。
地面に転がってるバットを拾ってセミロング男子に手渡した。
「しっかり握らないと危ないですよ?次は気を付けてくださいね。」
「は・・・はひ・・・・。」
化け物を見るような目で悟飯に怯えるセミロング男子は完全に意気消沈してしまった。
それからも試合は続き、悟飯の活躍によりカゲチヨのチームが勝利したとさ。
体育が終わった後の話。
「孫君サッカー部に入らないか!」
「いやバスケ部だ!」
「一緒に柔道で頂点目指さないか?」
「悟飯は野球部が貰うんだよ!」
「お、落ち着いてください!」
体育の活躍を聞き、部活の勧誘をしてくる同級生達にタジタジな悟飯。
「か、カゲチヨさん!た、助けて下さいよ~!」
「知らん。自力で何とかしろ。」
「そ、そんなぁ~!」
カゲチヨに助けを求めるも断られ落胆してしまう悟飯だった。
悟飯は更にクラスの人気者となり、悟飯に嫉妬していた二人は悟飯の訳わからなさに意気消沈したとさ。