広い異宙の草原にて、悟飯は目を瞑って立っていた。
「スゥ・・・・はぁああああああ!!」
気合の声を上げて、気を全力で出し超サイヤ人になる。
「あぁあああああああああああ!!!!!」
そこから更に気力を上げ、限界を超えようとした・・・・だが。
「うぐっ・・・はぁ・・・はぁ・・・うっ・・・。」
限界は越えれず、変身が解けて汗だくで膝をついた。
「だ、駄目だ・・・。これ以上、超サイヤ人の限界を超えられない・・・。」
この数週間、超サイヤ人に慣れる事は出来たが、そこから更に超サイヤ人を超えられることは出来なかった。
悔しそうに握った拳を見る悟飯の顔横からタオルが見えた。
「はい。悟飯君。」
「ムツミさん・・・すみません。」
タオルと水を持ってきて渡したムツミは悟飯の隣に座った。
「悟飯君のその変身、超サイヤ人・・・だったっけ?それを超えるのってそんなに大変なの?」
「はい・・・。超サイヤ人になるだけでも相当苦労しましたから・・・。」
「どうやって、変身できるようになったの?」
「怒りです。」
「怒り?」
「はい。穏やかな心を持ったサイヤ人が激しい怒りによって変身するんです。」
「サイヤ・・・・人?」
「あ、いや!サイヤ人っていうのは・・・!」
聞きなれない単語に戸惑うムツミにどう弁解しようかと慌てる悟飯。
「ねぇ。カゲも悟飯君も私達に話して無い事あるんじゃないの?」
「え!?そ、それは・・・。」
「同居人として、家族として知りたいの。教えて、悟飯君の事。」
「・・・・じ、実は・・・。」
じっと見つめられ、嘘をつくのが苦手な悟飯は観念したのか、自分の事を話し出した。
自分がこの世界の人間でない事、サイヤ人という戦闘民族の血が流れている事や、人造人間によって殺されてしまった事など素直に話した。
その話を聞いて、ムツミは大層驚いた。
「ふ、普通じゃないと思ってたけど、まさか悟飯君が別の世界の人間だったなんて・・・。」
「はは、俺も驚いてますよ。死んだと思ったら、まさかこの世界に生きて来てしまったなんて。」
「あ・・・ごめん・・・。辛いこと思い出させちゃったね。」
「い、いえいえ!!そんな事ないですよ!!確かに、俺の居た世界は辛い事ばかりでしたけど、今はこうして楽しく過ごせてますよ!」
「そっか・・・。」
悲しい表情になったムツミに慌ててフォローをする悟飯。あまりにもの慌てっぷりに少しだけ吹き出し、笑顔を見せた。
しばらくして、帰る道中、異宙の街に買い物しに向かおうとした悟飯とムツミ。
「それにしても、悟飯君の世界にもカゲは居たんだね。」
「はい。カゲ叔父さんはいつも優しくて父さんが居ない間も俺の面倒を見てくれました。俺の師匠のピッコロさんと一緒に俺を鍛えてくれたもう一人の師匠で父親代わりなんです。」
「信じられない・・・。オリジナルの記憶だと、カゲは人の面倒を見れるような性格じゃないんだけどなぁ~。」
「俺はいつも頼りになるカゲ叔父しか見た事ないですけど、昔はどうだったんですか?」
「オリジナルの記憶だと、昔はぐーたらでだらしなくて、スマホ依存者で調子乗りの陰キャだったはずだよ。」
「す、すごい言われようですね・・・。」
はははっと引き攣った顔で苦笑いする悟飯。
「まぁ、オリジナルはそんなカゲの事好きみたいだけどね。」
「えぇ!?そうだったんですか!?」
「・・・もしかして悟飯君。そういうの疎い?」
大袈裟に驚く悟飯に若干呆れてるムツミ。
そこで突如、ムツミはある事に気付いた。
「あれ?でも、悟飯君の世界にカゲが居たって事は・・・そのカゲは・・・。」
「・・・俺を残して亡くなりました。」
「!!」
その言葉を聞いて、ムツミは大きく動揺した。
「仲間のみんなが人造人間によって殺され、生き残ったのは俺とカゲ叔父さんでした。カゲ叔父さんは俺を人造人間と戦えるように鍛えてくれました。だけど、俺に後を託して一人で人造人間と戦って・・・・死んでしまいました。」
「・・・・っ。」
「カゲ叔父さんが亡くなったと引き換えに、俺は切れて超サイヤ人になる事が出来ました・・・。」
オリジナルの記憶を引き継いだムツミにとっては、残酷な現実を突きつけられた。自分と一緒に住んでるカゲチヨが、まさか死んでいたなんて誰も思わなかったからだ。
「あ、でもこの世界のカゲチヨさんは俺が居た世界とは同じ存在ですけど別人ですので・・・!」
「・・・でも、悟飯君の世界だとカゲは死んじゃったんだよね。」
「・・・はい。」
しばらく暗い雰囲気になった状態で街に向かおうとした二人だった。
ドガァァン!!
「「!!」」
街の方から壮大な爆発音が聞こえ、驚いた二人は街から大きな煙がたっているのを見て慌てて街へと向かった。
「こ、これは・・・。」
「酷い・・・。」
建物や道路が崩壊し、そこに住む人達が大怪我して倒れていた。中には息絶えている者まで居た。
「大丈夫ですか!!」
「しっかりしてください!!」
悟飯とムツミは、倒れてる人を安全な場所に避難っさせたり、瓦礫の中に埋もれた重傷者を救出したりと人命救助活動をしていた。
「何でこんな事に・・・。」
「わ、わからない・・・。突然光の光線が空から降ってきて・・・・。」
「光の光線?」
ドガァン!!ドガガァン!!
ズドォォォン!!
「あの爆音だ!」
遠くから更に爆音が聞こえ悟飯は慌てて、爆音の出先の方へと向かった。
「アハハハハハ!!」
「そらそらー!!」
二人の男女が楽しそうに手から出すエネルギー波で街を破壊尽くしていた。
「お前たち!!やめるんだ!!」
「ん?」
「っ!!」
悟飯の方へと向く二人に対して悟飯は驚愕の表情を浮かべた。
「おやおや。どこかで聞いた事がある声かと思えば。」
「あんたも生きていたとはね。」
「お、お前たちは・・・・。」
その二人は悟飯にとって因縁の存在。
「な、何でお前たちがこの世界に。」
「さぁな。気付いたら俺達もこの世界に居たのさ。」
自分を殺し、仲間を殺し、世界を滅茶苦茶にした悪魔達。
「この世界にまで破壊に尽くすつもりか人造人間!!」
「当然だろ?」
「それがあたし達の生きがいなんだよ。」
人造人間17号と18号が異宙の世界にて悟飯の前に現れたのだ。
「これ以上の破壊は俺がさせない!」
「あたし達に殺された事忘れたのかい?」
「お前に俺達に勝てると思ってるのか?学ばない奴だな。」
すると横から、瓦礫が飛んできて17号の顔面へと直撃した。
投げられた方向へと視線を向けると、ボロボロな状態で瓦礫を投げた筋肉質異宙人が息を荒げながら立っていた。
「こ、この化け物め・・!」
「・・・・。」
17号は無言で異宙人の方へと掌を向けてエネルギー波を放った。異宙人は避ける事もなくエネルギー波ののまれて消えて行った。
「ほぉ。以前より早いじゃないか。」
・・・・・普通だったら。
エネルギー波にのまれる前に悟飯は瞬時に異宙人を救出し、17号達の背後に移動していた。
「悟飯君!」
「ムツミさん。この人をお願いします。」
異宙人をムツミに託し、悟飯は超サイヤ人になって17号、18号を睨みつけた。
「あんたも懲りないねぇ。」
「どれだけ強くなってようと、お前じゃあ俺達には勝てない。」
「また前みたいに殺してやるよ。」
二人の言葉を聞き、ムツミは異宙人を抱えたまま動きを止めた。
(「前みたいに殺す」?・・・もしかして・・・あの二人が、別世界で悟飯君や悟飯君の仲間達を・・・カゲを殺した人造人間だっていうの?)
ムツミが見ていることなどお構いなしに余裕の表情を浮かべる二人。
それに対し、悟飯は険しい表情で拳を握りしめた。
「二度と負けない!今度こそ、俺がお前達を倒す!!」
悟飯の雪辱を果たす戦いが、今始まろうとしていた。