悟飯が覚醒する数分前。
邪悪の気を感じ、速度を上げて向かっていたカゲチヨは、森林の中で傷ついているフルトを見つけ、気で少しだけ分けた後、抱えて飛びながら悟飯達の方へと向かった。
「ま、前より数段強くなってるはずだったが・・・まさか、あんな化け物共が居たとは・・・・。」
「お前ほどの強者がそこまで言うって事は相当ヤバいんだな。その相手はいったい・・・。」
「ご、悟飯が言うには・・・じ、人造人間っと言っていた。」
「人造人間だと!」
フルトの口から人造人間という言葉が出るとは思わなく、カゲチヨは驚きを隠せなかった。
「知っているのか?」
「あぁ。俺も戦った事がある。」
まさかまだDr.ウイローが作った人造人間が残っていたのかとカゲチヨは考えた。
「どうやら、悟飯はそいつらに対して因縁があるようだ。」
「因縁・・・?」
人造人間に対する因縁・・・・・。
「まさかそいつら、名前は17号と18号って奴らか?」
「あ、あぁ・・・。確かそう言っていたはずだ・・・。」
もし悟飯を殺した人造人間達だったら、トランクスが倒したはず。
可能性があるとすれば、悟飯と同じで17号18号も、この異宙に転移してきたのかもしれないとカゲチヨは苦い表情で推測する。
「一体奴らは何なんだ。お前や悟飯はなぜ知っている。」
「・・・・。」
「奴らは俺を見てピッコロと言った。そしてお前もこの世界に来たのかも言っていた。」
「・・・・。」
「教えろ。悟飯は何者なんだ。奴らとの関係は何だ。」
真剣な表情で問いかけるフルトにカゲチヨはま黙っていたが、やがて口を開いた。
「・・・悟飯はこの世界の住人じゃない。別の世界の地球の人間なんだ。」
「なに?」
「そして奴らも、おそらく悟飯と同じ世界に居た存在だ。」
「そ、そうか・・・だから奴らは「この世界」と言っていたのか・・・。」
「そして、悟飯は奴らに殺された。」
「!!」
「だが、何が起きたかは知らないけど、死んだはずだった悟飯はこの異宙に転移してきた。」
「な、なるほどな。通りで悟飯の奴らに対する目が、鋭かったのか・・・。」
自分の師匠や仲間達、そして罪のない人々を殺していったのだ。今もなお許せず、二人に対しての見る目が鋭かったのだろう。
「その二人の人造人間も悟飯が鍛えた、トランクスっていう奴が居るんだがそいつが人造人間を倒したと聞いたはずだが・・・。」
「そいつらも、何かの拍子でこの世界に転移したという訳か・・・。」
「・・・待てよ?もし17号18号がこの世界に居たとしても、今の悟飯やお前なら倒せるはず。でもなんでそんな瀕死状態までに・・・。」
「奴らは向かってくる貴様と俺達が組まれたら厄介だと感じて、合体しやがった。」
「が、合体だと!?」
まさか17号と18号が合体するとは思わなかったカゲチヨは驚愕した。
それと同時にありえない話じゃないとも思った
過去に、あの世の17号とこの世の17号が合体した姿「スーパー17号」が誕生したのを思い出し、Dr.ゲロの事だから自爆装置と同時に合体プログラムを埋め込めたんだろうと憶測だが納得した。
「それより、速度を上げろ。俺の事なら気にするな。少しだけだがマシになっている。」
「わかった。じゃあ・・・!!」
速度を上げようとした時、遠くからどでかい気を感じ驚きを見せたカゲチヨとフルト。しかも、その感じた気は悟飯だと気付いた。
「な、なんだ・・・。悟飯の気が爆発的に上がりやがった。」
「い、一体何が・・・まさか。」
カゲチヨは、何かがきっかけで悟飯の怒りが爆発して超サイヤ人の限界を超えたんだと憶測していた。だが、悟飯は優しい性格をしていて怒ることはあってもキレることは滅多に無い。
嫌な予感しながらも速度を上げて急いで悟飯の下へと向かった。
街に着いたが、人はほとんど居なく、建物が崩壊し火事や死体などで地獄絵図になっていた。
そして、カゲチヨの目の前にムツミの残骸が転がっていた。
「ムツミ・・・・そんな・・・・。」
完全に機能停止したムツミの上半身部分を抱え、悲痛の表情を浮かべる。
嫌の予感はあたっていた。
悟飯が超サイヤ人の限界を超えたのは、ムツミがやられたからなんだと。
「その女がやられて、悟飯は怒りで限界を超えたという事か・・・。素直に喜べんな。」
「・・・・・。」
カゲチヨはムツミの頬を撫で、しばし沈黙していたが、まだ諦めるのは早いと思った。
身体は粉々になって機能が停止し動力源が完全に壊れてしまっているが・・・
ドガァアアン!!
「な、何だ!?」
「向こうからだ!」
そう思った瞬間、遠くから壮大な爆発が起きた。
二人は爆発元へと向かっていった。
◇◇◇◇◇
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。」
身体全体から気で大爆発を起こしたイナイパは息を荒げて立っていた。
数キロメートルの範囲で更地と化してしまった。
「は、はは・・・。ハハハハハハハハ!!」
確実にこの大爆発で消滅した。もろに喰らった事で生きてるはずがない。そう思ったイナイパだったが、高笑いしていたが喉を詰まらせたように止まり、徐々に汗を流し驚愕な表情をしていった。
煙の中から、悟飯が無傷でイナイパを見据えていた。
「は・・・あぁ・・・・。」
「お前は今まで俺の大事な物を奪って来た。」
「っ!」
「カゲ叔父さんを殺し、ピッコロさんやクリリンさん達、そして俺をも殺し・・・・・・・ムツミさんまでっ!」
「あ・・・あ・・・・。」
「お前だけは、絶対に許さない!!」
気を更に上げ、身体を横にして腰を低くして構え、両手から気を溜め始めた。
「か~・・・め~・・・は~・・・め~・・・。」
「う、うあぁあああああああ!!」
上空へと飛び、逃げだしたイナイパだったが、悟飯は逃がすつもりはなく、全力のかめはめ波を放った。
「波ぁあああああああああああ!!!!」
特大の全力かめはめ波がイナイパに向かった。
「あ、あぁ・・・・ぐぁあああああああああああ!!!!」
そして逃げる事も構わず、イナイパはかめはめ波に飲まれ塵ひとつ残らずに消滅していった。
しばし静寂になり、イナイパが出てくる様子もなかった事を悟った。
戦いは終わった。超サイヤ人の限界を超え、自分の手で人造人間を倒して皆の仇を取れた・・・だが素直に喜べなかった。
自分が怒らなかったせいで、大事な家族を失ってしまった。
そんな後悔を表情に出さなくも、拳を強く握りしめ、血を流す姿を見れば一目瞭然だった。
「悟飯。」
「っ!・・・か、カゲ叔父さん・・・フルトさん。」
背後からカゲチヨの声が聞こえ振り返ると、カゲチヨの腕の中に無残な姿のムツミが映った。
耐えず守れなかったんだと思い、涙目になってしまう。
「すみません・・・・俺がもっと早く力を出してたら・・・。」
「悟飯、まだ諦めるのは早い。」
「え?」
「確かに、動力源は完全に壊れちまってるけど、記憶装置はまだ生きてるはずだ。」
「じゃ、じゃあ!!」
「もしかしたらムツミは甦るかもしれねぇ。」
よかった・・・。悟飯はそう呟いて膝をつき、今度は嬉し涙をポロポロと涙を流した。
しばらくして、悟飯やフルトの体力を回復させつつ生存者が居ないかを探索した後、フルトは二人に別れを告げ去って行った。
今以上に強くなるために、彼は更に修行の旅を続けるのだった。
残された二人も帰りつつ、悟飯は今まで起こった事を説明するのであった。
◇◇◇◇◇
人造人間との激闘から数日後。
「心配かけてごめんね。みんな。」
「む、ムツミさん!?」
ムツミの姿がドローンにモニターが付けられ、画面からムツミの姿が映し出された。
そんな姿を目にした悟飯とロットは驚きの表情を隠しきれなかった。
「これ・・・直ったって言えるの?」
「仕方がないだろ?前の身体を一から作るのは流石に時間がかかる。」
「で、でもよかったです!記憶回路は正常に動けたんですね!」
「まぁな。悪いなムツミ。しばらく不便だけど、身体ができるまで我慢してくれ。」
「大丈夫だよ!これでも結構便利だし、遠隔で機械操作できるから不便じゃないよ!」
そう言ってドローンをゆらゆらと揺らしたり一回転したりと問題ないアピールをする。
「でも、料理作るのはちょっと難しいかな・・・。」
「・・・すみません。」
「悟飯君?」
「俺が・・・もっと早く力を出してたら・・・。」
悟飯は眉を下げ、落ち込んだ表情でムツミに謝罪した。
そんな悟飯に、画面の中で笑みを見せてムツミは気にしてないと言った。
「悟飯君が気にする事じゃないよ。私が悟飯君を守りたいっと思って勝手にやった事だから。」
「でも・・・。」
「それにもし、記録回路も壊れて、本当の意味で死んだとしても私は後悔はしなかったと思う。悟飯君なら、きっと勝ってくれるって信じてたから。」
「え・・・・。」
「悟飯君は皆を守る希望だから。」
「!!」
”希望 ”という言葉を聞いて、過去にカゲチヨに言われた事を思い出した。
『悟飯・・・お前はこの世界の希望だ。』
っとカゲチヨから託された。
カゲチヨが亡くなってからも、その言葉を胸にトランクスと共に修行を続けていた。
しかし、人造人間によって片腕を失い、自分自身では人造人間には勝てないと悟り、世界の希望をトランクスに託した。
過去ではカゲチヨから託され約束は守れなかったが、この世界に転移して人造人間を倒した事で無意識ながらも約束を果たせる事ができた。
「悟飯兄ちゃんどーしたの?ボーっとして。」
「あ、いや。ちょっと、昔の事を思い出してね・・・。」
「昔の?どんな?」
「はは。内緒!」
「何それ?」
四人は笑い合い、何の変哲もない平和な時間を過ごしていた。
そんな時間の中、悟飯は密かに決意した。
今度こそ、街や大切なものを守るために更に強く、そしてどんな困難も乗り越えて見せる。
世界の・・・みんなの希望として。
そう心の中で誓ったのだった。