エピソード14
「ケーキ病になるとどうな・・・」
ヒサメside
私は今、久しぶりにカゲと二人だけで一緒に下校していた。
いつもは悟飯君やミキとノリコが一緒だったから、二人だけっていうのもなんだか久しぶり。
「あれ?」
ふと横を向いたら綺麗な花が沢山外に置かれていた。
お花屋さんかな?
でもお店じゃなく、テントを立てて無精髭の男性が座って販売していた
「こんな所に露店か。」
「みたいだね。」
でも何でこんな人通りが少ない所で販売してるんだろ?
「いらっしゃい。珍しい異宙の花だよ。」
私たちが見ていたら、販売してる男性に声を掛けられた。
せっかくだし、見て見ようかな。
「見た事ないお花ばかりですね。」
「意外と育てやすいんだよ。」
「そうなんですか?」
「いつもは通販なんだけどね。たまにはお客さんの顔見たいからこうしてお店出してるんだ。」
「へ~。」
一つ買ってみようかな?
「・・・。」
「カゲ?」
なんだか、カゲはお花を見てからずっと黙ってる。
どーしたんだろ?
気になるお花でもあるのかな?
「あ、これ可愛い。」
私は小さい枝が生えてる鉢を手に取った。
「それはケーキメーカーって言うんだ。」
「名前もカワイイ!」
「ケーキみたいに白い花を作る。世話も簡単、初心者におすすめ。」
値段もお手ごろだし、これにしよ!
「これくだ・・・。」
「買うな。」
「え?」
カゲに買うのを止められた。
「ヒサ。警察を呼べ。」
「え?どうしたのカゲ?」
「け、警察なんて、急に何を言い出すんだい?」
「お前。それ使って生物テロをするつもりだな?」
せ、生物テロ!?
どーいう事なの!?
「チッ!」
カゲの言葉に、男性は走って逃げだした。
「俺から逃げられると思うなよ。」
「がっ!!」
カゲが先回りして、男性を気絶させた。
「な、何が何だか分からないけど・・・。」
「お前が持ってるのはマンイーター・・・別名ケーキメーカーだ。今すぐ捨てろ。」
「マンイーター・・・。」
確か、人食い動物とか男性を翻弄する女性って意味だよね。
「そいつは咲いた白い花の花粉を吸うと、その人間は一時的に美味になる。」
「美味?」
「吸った奴はケーキみたいになるって事だ。」
け、ケーキみたいになるって・・・なんだかそこまで危険には聞こえないけど・・・。
「危険に聞こえないって思ってるみたいだが大間違いだ。言ったろ?生物テロって。周囲の人間は何が何でもケーキの人間を「食べたく」なる。」
「それって、食べたくなるほどいい匂いって事じゃなくて、文字通り・・・って事だよね。」
「あぁ。バラバラに食い散らかされた死体からマンイーターは芽を出すんだ。」
もしこれが出回ったら、パニック映画みたいになるって事か・・・。
危うく買う所だったよ・・・。
「でもよく知ってたね。」
「これでも、色々と読んでるんだよ。異宙の生物は危険な物が多いしな。少しでもそういう知識をあった方が色々と回避できるだろ?」
「確かに・・・。」
何も知らずにその危険な異宙の物を手にしたら命のかかわるんだもんね。
「私もそういう知識取り入れようかな?」
「いいと思うぞ。覚えて損することはないだろ。」
「色々と教えてねカゲ!」
「はいはい。」
自分や仲間の身を守るために、知識付けなきゃね。
エピソード15
「モテ度が可視化されるとどうなるのか」
カゲチヨside
俺達の目の前に一人娘を持つ男性が娘の入学先が異宙の技術をと入れたらしい。
「異宙の技術?」
「何でも生徒の頭の上に数字が見えるのだとか。」
嫌な評価方法だな。
数字でいじめやら差別がありそうだ。
それで俺達はその技術を取り入れたという学校に潜入した。
しかし・・・。
「何でお前まで来てんだ?」
「私が聞きたいですよ。」
何故かヨーメイまで付いてきていた。
「報告は多い方がいいと思ってな。」
「シディの頼み事に断れなかったという訳か。」
「う、うるさいですね!!」
「オーナーには許可取ってあるから心配するな。」
「帰りたいです・・・。」
そんな事言うヨーメイにシディは構わずヨーメイの制服姿を褒め、それに喜ぶ。
シディにちょろい奴だ。
んで、しばらく学校内を歩いてたら俺たちの頭上に数字が出て来た。
「これが点数か。」
ヒサが60。シディが65。
かなり高いな。
俺が25。ヨーメイが15。
二人に比べて低いな。
「カゲチヨより低いんですけど!納得できません!」
「知るか!文句なら技術取り入れた奴に言え!」
何でこんなところまでこいつに罵られなきゃいけないんだ。
「シディが一番高いね。」
「ヒサメも同じくらいだな。」
「何か嫌な予感するんですが・・・。」
「奇遇だな。俺もだ。」
ヨーメイじゃないが、俺も帰りたくなってきた。
「それはモテ度です。」
依頼受けた事に若干後悔した俺達に教師であろう女性が目の前に立っていた。
「本校では人の魅力を評価するため、このように可視化しています。人は勉強や運動だけではありません。自分の行動がどう魅力に繋がるか、常に考えて学校生活を送りましょう。」
また面倒なシステムを組み込んだものだ。
「一応、まともな事は言ってるみたいだね。」
「まともだといいんだがな。」
◇◇◇◇◇
「君可愛いね。モデルでもしてた?」
「この後暇?」
「あのー・・・いきなりちょっと。」
んで、案の定こうなる訳か。
俺とヒサ。シディとヨーメイの二人一組で別の教室に入ることになった。
席に着いたと思ったら、40点台の男子生徒二人にヒサが口説かれたって訳。
これのどこに魅力的な行動があるってんだ。
ただの品定めの道具に成り下がってるだろ。
そう思うと自分の点数も案外悪くないかもしれんな。
「モテるのも大変だな。」
「もうカゲ!(見てないで助けてよ!)」
「チッ。点数低いのは喋んなよな。」
「てかお前仲良さそうだけどさ。もう出しゃばんなよ。」
「ヒサメちゃんの点数まで下がるだろ。」
ヒサの点数が下がるか・・・。
「そいつはいいな。」
「「は?」」
「点数下がれば、お前らみたいなのに絡まれなくて済むもんな。」
「んだとこの野郎!!」
「点数低いくせに!!」
このクラスの中で二人は点数高いとはいえ、所詮その程度か。
シディの点数見たらこいつらが低く見えんな。
「可哀そうな奴ら。」
「な、何だよその目は!」
「陰キャはすっこんでろ!!」
そう言って男子生徒は俺の顔面を殴ったが・・・・。
「い、いってぇえええええ!!」
「ったく。気に入らないからって殴るのは流石に短気すぎやしねぇか?」
「お、覚えてろよ!!」
「あ、おい!授業・・・・。」
行っちまった。
二人は情けなく教室から出て行った。
「カゲ、大丈夫?」
「あんな赤ちゃんパンチで痛がるかよ。」
「はは。でも助けてくれてありがとうね。」
こんなの助けた内に入んねぇよ。
しかし、少し目立っちまったな・・・。
俺も悟飯の事言えねぇか・・・。
オレンジスターハイスクールの時は目立たずに出来たんだけどなぁ~。
すると、周囲から拍手が鳴り響いた。
「カゲチヨ君すごーい。」
「僕は怖くて何も言えなかったのに。」
「私も!」
どうやらこのクラスにカーストの上下関係で40点以下の生徒たちはあの二人逆らえなかったようだ。
その証拠にこの大喝采だ。
「だいぶあの二人に不満が溜まってたみたいだね。」
「みたいだな。」
そして、周りの生徒たちが俺の周りに集まって質問攻めされた。
恐らく今の俺の目は遠く見てるだろう。
俺は変に目立つのは嫌いなんだ。
「モテ度が可視化されてからああいうのが群れててね。みんな困ってたんだ。」
一人の女子生徒が今の学校生活の現状を話してくれた。
やっぱりな。
そんな事になるだろうと思ったぜ。
「君みたいな人みんな待ってたよ。」
「は?」
「よく見るとカゲチヨ君、顔悪くないね。」
それ、褒めてるか?
遠目で見たら顔は悪いって言ってるようなもんだぞ。
「そりゃどーも。」
「それにクールな所もいい。みんなも君の魅力に気付いたから。」
そう言われ俺の頭上を呼び指したと思たら、俺の点数が一気に40台に上がった。
「体が大きいけど鍛えてるの?」
「強いみたいだけど何か習ってたのか?」
「え、後で学校案内しようか?」
「一気に質問してくるな。そーいうの苦手なんだ。頼むから放っておいてくれ。」
モテ度上がったとたんにこんなにすり寄られるとは思わなかった。
「モテモテだね。」
「な、何だよ。何睨んでんだよ。」
「べっつに~。」
今日は散々だな。
全部このシステムが悪いな。
◇◇◇◇◇
クラスの連中が金魚の糞の様に付きまとわれてうんざりしながらもなんだかんだ昼休み。
何とか避けながら学校内も模索していた。
やっぱり、点数のせいで変な派閥やら差別やらでいっぱいだった。
「なんだか、学校じゃないみたい。」
「依頼人が心配する事も分かる気がする。」
「そーいえば、カゲの数字気付けば90超えてるね。」
「あんま嬉しくないがな。」
自分の数字に苦虫を噛み潰してたら、ヨーメイが40点台の女子生徒を連れて歩いていた。
「あれって・・・。」
「カゲ、ヨーメイちゃんの点数が!?」
ヨーメイの頭上を見たら数字が99も上がっていた。
いったいこの数時間で何があったんだ?
「なんだか、すごくほくほくした顔してる・・・。しかもあの扇子なに?」
「明らかに調子に乗ってるなこりゃ。」
「カゲチヨ。ヒサメ。」
俺らが呆れてるとシディがこちらにやって来た。
「シディ。この数時間で何があった。」
「うむ。それなんだが俺にもよくわからなくてな・・・。点数上がるにつれてヨーメイが変わってしまった・・・。」
こりゃあもう校長室に直談判するしかないな。
このままだと集団の対立暴動が起きかねない。
そんなこと続いたら、学校の品が下がって入学する生徒が居なくなるぞ。
俺達は校長室に向かい、校長と話を付ける事にした。
俺達がカレコレ屋だと知り、すんなりと受け入れてくれた。
この学校の調査しに来てる事もすでに知っているようだ。
なら話は早い。
「何の目的で導入したいか知らんが、このシステムを廃止してもらおうか?」
「廃止、ですか?」
「自分の行動がどう魅力に繋がるか、常に考えて学校生活を送ると聞いたが、そうできるとは到底思えない。頭上の点数のせいで、生徒の差別や派閥争いが起きてしまってる。教育機関としてどうかと思うぞ。」
「我が校の目的は優秀なリーダーを育てる事。そのためにモテ度を可視化した。モテを極めた者はカリスマとなる。カリスマとはすなわち、他社の心を掴み動かす力だ。」
「つまり、廃止はしない・・・と?」
校長は眼鏡を指で押し上げながら不気味に笑い出した。
「出来るならすぐにでも廃止してますよ!でも難しいシステムで中々簡単に消えなくて困ってたんです!」
俺達三人、怪しい表情から慌てっぷりを見せる校長の情緒の変化にソファごと後ろに倒れてしまった。
「こ、校長先生も困ってたんですね。」
「システムの開発した人に頼めばいいのんじゃないのか?」
「実はその人、悪質な業者らしくて、逮捕されてしまったらしいんです。」
「何でそんな奴に依頼した!」
「だ、だって安くしてくれるって言うから・・・。」
だってもくそもあるか!
「じゃあヨーメイのアレは洗脳とかではないのか?」
「そんなわけないじゃないですか!!」
校長が言うに、ああいう奴は試験で落としているそうだ。
俗に言う劣等感に抱えた人間がいきなりモテた時に出てしまう現象のようだ。
つまりあれがヨーメイの「素」って事だ。
「ヒサ、シディ。ヨーメイ連れて先に帰ってくれ。俺はムツミの手を借りてシステムを消す作業するために残るわ。」
「うむ。わかった。」
「じゃあ先に帰るね。」
三人が帰った後、俺はムツミと共にシステムの削除作業をしていた。
思いのほか時間はかかったが、生徒たちの点数が消えた所を見るにちゃんとシステムの削除出来たようだ。
どうやらこのシステムを作った奴は、善良を装ってこの学校の個人情報を抜き取ろうと組み込んだみたいだ。
しかも仕掛けられたのはここだけではないらしく、他の機関にも組み込んでいたそうだ。
それがバレて捕まったって理由だ。
優秀リーダーを欲した校長を言葉巧みに騙してこのモテ度という意味わかんない数値化システムを入れたって事だ。
逮捕された事で情報が抜き取られる事はなかったのが不幸中の幸いだったな。
サービス残業後、カレコレ屋に帰ったと思ったら・・・・。
「わぁああああああ!!なんで私はあんな黒歴史に残るような事してしまったんだぁあああ!!」
ソファに蹲りながら、自分のやって来た事を後悔していた。
「あははは・・・。」
「モテ度とは恐ろしいものだな。」
「ギャハハハハ!!」
やっぱり、可視化なんて碌な事がないな。
俺は冷蔵庫の中にあった水を飲みながらそう思った。