心のマグマが目覚めたら   作:スターク(元:はぎほぎ)

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魂の激突

元よりラドンは鳥型の怪獣。飛行にリソースを割いた以上、熱耐性はともかく防御力は比較的低い──タイタン上位層と比べれば、の話でこそあるものの。それでもガイアの出会い頭の拳1発で昏倒したのを見ればそれは明らかだ。顎下という弱点中の弱点に、不意打ちのクリーンヒットを貰ったのだから当然ではあるのだが。

 

『〜〜〜……っ??』

 

グッタリと仰向けに転がる巨鳥を見下ろし、ガイアがとったのは、モンスターXを倒した技と同じ構え。トドメを刺すのか……と思いきや、光が放たれたのは頭部ではなく両手であった。どこか優しげな光に包まれたラドンは、暫し悶えた後に沈黙。上下する胸が生存を物語っている。

 

「鎮静化した……?」

「外来生物ならともかく、在来のタイタンを無闇に殺す事は良しとしないのか」

 

事態の分析に勤しむ人々を一瞥してから、ウルトラマンは二度三度手を開閉。まるで自分の体の調子を確かめるように一通り動かしてから、西の地平線を睨みつける………瞬間、生き残っていた機材が反応。それはかつて猛威を奮ったオルカと同様、タイタン達の鳴き声を解析する装置だった。

 

「ゴジラ、大咆哮!巨人へ向けた物のようですっ」

「なにっ!?」

『ジュッ!!』

 

巨人が跳ぶ、飛ぶ、翔んでいく。戦火渦巻くユーラシア大陸めがけて、光が往く。それを地上の人々はただ見送る事しか叶わなかった。

 

今は、まだ。

 


 

選ばれし者よ。仔細は問わぬ。

だが何故抗う?過ちは正されなければならん、その妨げを何故貴様が行う。

▼▲▼▲▼▲

分かってる、お前の選択が間違いじゃない事は。

人類は何度も罪を犯し、地球を危機に追いやった。

その責任は必ず取らなきゃいけない。

▲▼▲▼▲▼

なれば尚更、何故だ。

ヒトがヒトを裁けないのは他ならないお前が示した事だ、我が為さねば誰がやる?

▼▲▼▲▼▲

その通りだ、ゴジラ。まだヒトは未熟で、僕も未熟で、その域に達せていない。

けど……ヒトはやり直せる。反省して、進化せずとも進歩して、前に進める。

きっと罪を自分で償って、地球を照らす光にだって変えられる日が来る!

その時が来るまでどうか、待ってくれないか。

▲▼▲▼▲▼

否。論外だ。まだ見ぬ可能性に縛られては死に瀕するのみ。

スキュラもティアマットも、与えられた改心の機会を活かしはしなかった。

人類は違うと何故言える、どの口が言える?

▼▲▼▲▼▲

それでも僕は信じる。僕は人間だから……人間が人間を信じて、何が悪い!

▲▼▲▼▲▼

──ならば、ここまでだ。

 


 

ゴジラの思念が流れ込んでくる。僕を咎め、責めてくる……でも立ち向かうのを止める気にはなれなかった。

僕は僕の知り得る事しか知らない。だから僕の知る罪を、精一杯償おうとする人々がいる事を知っている。だから信じ守りたい、それ単純にだけだから!

 

(それに、今僕の中には二つのウルトラマンの力が反発し合いながら奇跡的なバランスで相剋し合ってる。いつ均衡が崩れて制御不可能になるか分からない……だったら動ける内にゴジラを削ってファイター達に託s、ぅあっ?!?)

 

いつぞや垣間見てきた蝶が視界に現れたと思ったら、その方向から飛来して来た熱線。直撃コースを済んでのところで回避し、それでも次から次へと料理が出てくるカフェテリアレストランみたいに追撃が止まらない……それでも連射される即死判定を必死の思いで避け続け、僕はとうとう目的地にして下手人の頭上を飛び越えた。

 

(来たぞ、ゴジラ!!)

 

着地。振り向き様に構え、その背中を睨みつける。もう既に彼の思念は聞こえない、けれど互いに相容れない一線を超え合ってるのは把握済みだ。ここからはもう……戦うだけ!

 

『……■■■■!!』

『ジャッ──!』

 

前のようにはいかない。今度こそお前を止めてみせる。その一念で再び、僕は、ウルトラマンはゴジラの前に立ちはだかったのだった。

 

 

ゴジラ対ウルトラマン。

憤怒と希望、その激突。

───“地球の葛藤”。この戦いは後世で、そう呼ばれる事となる。

 

 

…そして戦端は開かれた。奇しくも前と同じく、両者の激突という形で。

地響きを鳴らして駆ける両者、重量にして万tを裕に超える巨大同士の衝突。以前はガイアが押し負けた組み合いで、しかし今日この場ではその再演とはならない。

 

(アグルの力を貰ったんだ!このまま、終わるか!!)

『…!!』

 

なんと、完全に拮抗。踏み締められた足元から天高く土煙が上がり、拮抗する力同士のその規模を窺わせた。

ここで先手を打ったのはガイアだ。腕の長さ及び器用さで勝る彼は、不意にわざと力を抜き──巴投げの要領で、つんのめったゴジラの巨躯を蹴り投げたのである。

 

『■■■■■!!』

 

廃墟と化した街並みを二度、三度と跳ね飛ぶ王者。しかし即座に地面へ爪を突き立て制動、怒りの咆哮を上げる。一連の拮抗でガイアを、それを手繰る我夢(ヒト)の意思を確固たる脅威と見定めて。

背鰭が発光。悠長にチャージなどしない、敵と似た赤い光が口から放たれる。対しガイアが選んだのは防御───ではなく、あろう事か“突貫”だ。

 

『ジュァァ!!』

『?!』

 

回転すればなんとかなる。そんな直感から選んだ高速スピン、それは紙一重で熱戦を躱した肉体を余波の熱からすら守り切ってみせる。一瞬後、土手っ腹に突き刺さった衝撃にゴジラの体は地に伏す事となった。

追撃の機──と駆け寄るのは、しかし過ちである。

 

(あぶなっ!?)

 

倒れ様に振るわれた尻尾が襲いかかり、ギリギリで受け止める。そのまま掴み投げ飛ばそうとするも不動。両の手・両の足で大地を掴んだゴジラの膂力は、いくら姿勢を整えたとしてもV2の筋力ですら引き剥がせないのだ。

それどころか、寧ろガイアの両足の方が地から離され……振り回される始末。今度は紅の巨躯が地を跳ねていく。

 

『ジ……ッ!』

『■■■ッ!!!』

 

ビルに激突する事でようやく止まったウルトラマン。そこへ王は容赦なく追撃をしかけた。

体勢を立て直そうとする彼に突進し、背後の摩天楼を倒壊させながら押し倒す。鋭い爪が陽光に煌めき、そして火花を散らした。

 

(この、ままじゃ…!)

 

いかに頑強といえど、ウルトラマンの肉体にも限界がある。それがゴジラの裂爪となれば尚更だ。更に迫り来るは全体重を乗せたストンプ、これを受ければいつぞやのコングのように死の狭間へと追いやられてしまうだろう。

そうはなるかと、我夢が選んだのはクァンタムストリーム。L字に組んだ手から放たれた光は、以前の倍の威力を誇りゴジラの胸に突き刺さる。

爆発。バランスを崩し倒れる王。それを脇目に、窮地を脱したガイアは切り札を切った。

 

(今度こそ、効いてくれっ!!)

 

受け継いだアグルの光が持っていた新たな技、フォトンクラッシャー。ここから放つ技達に全てを賭して、放て!

 

(いっ……けぇぇええええ!!!)

 

頭部から放った群青の光流。迸るそれはゴジラの体表に殺到し、斬り刻む──より先にやはり、恐れていた事態が起こった。

光が受け流される。浸透するどころか撥ねつけられ、背鰭へと流れ込んでいく。やはり彼の地核操作の前では、ウルトラマンの力は無いに等しいという事なのか?

 

 

()()()だ。

 

(まだだぁッ!!)

『■!!!』

 

フォトンクラッシャーは頭部から。つまり同じく頭部から放つ技なら“上乗せ”が利くという事。

以前、紅蓮の光だけではダメだった。今回、群青の光だけでもダメだった───なら、重ね合わせて束ねれば!?

 

『ジュッ…ァァァ ア ア ア ア !!! 』

 

 

フォトンクラッシャー+フォトンエッジ。赫と蒼、混ざり合う筈のない二色より生まれた茈が爆ぜる。

それは受け続ける標的の真芯を捉え、その足取りさえ揺るがし……穿った。

 

大爆発。背鰭の吸収限界を超えたのだろう、その炎の中にとうとう黒き王の姿は消えたのだった。

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