心のマグマが目覚めたら   作:スターク(元:はぎほぎ)

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タイタン1「なぁコレどっちが勝った扱いになるん?」
タイタン2「知らん……そもそも地球の光の方をタイタン扱いして良いのかすら……」
タイタン3「つっても、じゃあ地球の光がゴジラを殺してたらどーすんだよ。王不在の戦国時代突入か?」
タイタン4「んな事言ったらゴジラが地球の光殺しちゃったら星自体が無茶苦茶になる定期」
タイタン5「混乱は大歓迎ですわ、王になるチャンスだしなァ」
タイタン6「えぇー。ゆっくりしてたい…」

123456「「「「「「………なるようになーれっ!」」」」」」


地球は●●●の星

─────かつて、民がいた。

 

我を讃え、崇め、支えた臣が。

 

今は全てが海の底。誰1人残らず、時間の波の中へ消えていった。

 

我に残されたのは女王と、地球。それだけだった。

 

 

「さらば、友よ」

 

 

……その筈だったのに。

 

何故今になって思い出させる。

 

どうして今になって舞い戻る。

 

核の力を、その身諸共に我へ捧げた男。選ばれし者よ、貴様を見ていると奴を思い出すのだ。

 

我が行いを、王としての意思を、問い掛けてくる瞳。奴と同じそれが、我にそうさせるのか?

 

 


 

 

「我夢!」

「Dr.ガム!!」

 

瓦礫の山に倒れていた僕の視界に、新型HEAV──ピースキャリーって名前だっけ──が入る。やがて後部搬入口が開き、そこから藤宮とアイリーン博士が飛び降りてきた。次いで石室さん、バーニーも。

 

「皆さん……どうして……」

「安心してくれ。私を含めこの場の全員、巨人の正体について共有している。“ウルトラマンガイア”という名についても藤宮博士から聞いた」

「それよりブラザー、やったなお前!ゴジラを倒すだなんて偉業を超えた偉業だぜっ」

「……ゴジラを、倒した……?」

「覚えてないのか」

 

藤宮の問い掛けに頷く。最高出力(スプリーム)になった後はガムシャラで、何をどうしたのかサッパリ。

 

「空中で熱戦同士をぶつけ合って、両者共に落下したのよ。ゴジラはそこで倒れたまま動かない…あなたも力尽きたのを見るに、倒したというより引き分けね」

「ファイターチームに上空から監視させているが、1時間動き無しだ。バイタルは観測されていない……が、死んだと見るのは早計だろう」

「……!」

 

その報告に顔が引き締まる。もう変身できる力は無い。いつの間にか元の形に戻っていた光電子管を何度か起動してみたけれど、ほぼ使い果たしてしまったのか微かに明滅するのみだ。またゴジラに起き上がられたら、もう………

 

 

………いや。実の事を言えば、もう僕には………

 

 

「とにかく此処からさっさとおさらばしようぜ?ゴジラの事は置いといても、ガムを匿わなきゃいけないんだしさ」

「賛成ね。コマンダー、信頼できる部門に彼の保護をお願い出来ますか?」

「引き受けました。しかし公的な救護隊には頼れない、我々で高山博士を運びましょう」

 

思案する僕をよそに、トントン拍子で進む話。無力な僕を4人がかりで持ち上げ、ピースキャリーへと運び込んでいく。

そうして辿り着いた時……藤宮に、問い掛けられた。

 

「分かったのか。光の意味」

「………もう少し」

「そう、か」

 

その時だった。地響きが脅威の再来を告げたのは。

 

『───……■■■………』

「オイ……オイオイオイオイ、そりゃ無ぇだろォッ!?」

「こちらライトニング1、ゴジラ覚醒!コマンダー、即刻退避を!!」

「エネルギー残量的に電磁ネットの射出は10秒が限界です、どうしますか?!」

 

ゴジラの再起。ガイアはもういない、もうなれない。覆す事の叶わない絶対的窮状だ。

絶体絶命──に、思われた。

 

「……待て。様子がおかしい」

 

石室さんの言う通りだった。傷だらけのゴジラは攻撃せず、威嚇すらせず、こちらを訝しげに見つめるのみだった。見定めているというより、量り損ねているというか、戸惑いを感じさせるような。

まるで、“迷っている”みたいに。

 

「……藤宮。後を頼む」

「何を……!?おい、我夢!!」

 

だからといって、呑気にノコノコと歩み寄っていく僕の行いは、傍から見れば愚か極まる悪手と言えただろう。でも僕は彼と実際に拳と光を交えてぶつかり合った僕には、ただ恐怖して逃げ惑う道は選べない。そして同時に、自衛の為だけに牙を剥く事も。

 

「だって、彼は……同じ星の仲間じゃないか」

「「「「!!!!」」」」

 

僕たちは同じ物を探していた。地球の未来、それを信じ守りたい気持ちは等しい筈なのに、このままじゃまるで別の軌道な惑星同士のままだ。すれ違い続けてちゃ埒が開かない。

だからもう回り道はやめるんだ。正面から向き合って、歩み寄るんだ。

 

(そうですよね、先生)

 

貴方がそうしたように。僕もまた、王へ。

 


 

来るな。

来ないでくれ。

 

そう念じてみても、聞こえているのかいないのか、選ばれしものは一歩一歩を踏み締める。我へと近づいてくる。

 

どうして貴様らは……我を惑わせる?

 

その目で我を見るな。その手を我に伸ばすな。

我をこれ以上……躊躇わせるな!

 

『 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ッ ッ !!! 』

「我夢ぅぅぅ!!」

 

周囲を飛び回る小蠅に、介入させる暇など与えはしない。

残り少ない全てのエネルギーによる体内放射で全てを吹き飛ばす、それで目下の人間は死ぬ。

それだけで良かった。

 

我がそう考えていられたのは。

そうはさせまいと、間に割って入った“斧”を目にするまでの事。

 

『───!』

 

忌々しい武具。同族の屍から造られたそれは、我の放った熱を全て吸収する性質を持つ。

これを投じられた時点で、その陰に隠れたヒトを、熱線及び体内放射で殺す事は叶わなくなった訳だ。

小賢しい。考えたな、()()──!

 

『●●●●●ッッッ!!』

 

地平に聳える山脈。その頂上に立つは仇敵の一族、その末裔。

 

奴は我の視線を受け、生意気にも拍動(ドラミング)を響かせたのだった。

 


 

「コングだ!コングが来てくれた!」

「嗚呼っ……!」

 

喜色を露わにするバーニーに対し、アイリーンの表情は優れない。因縁の元凶たるスカーキングはとっくの昔に荼毘に伏したものの、彼らは公には未だ対立し合う身。だからこそ地上と地下で領土を分かち合っていたというのに、顔を合わせてしまった以上どうなるか……その懸念通りの事が起きた。

 

『■■■──!』

「何の叫びだ!威嚇?」

「いや……アルファコールだッ」

 

ゴジラからの王命。下す相手は誰なのか───候補は一頭。先に一度召集され、たった今フリーに動ける鳥が一羽いる。

 

「なにっ!シャイアン基地でラドンが!?」

 

 


 

 

ラドンは暇を持て余していた。

 

ギドラの一件以降、飛ぶ事を許されず謹慎に身を窶す日々。自分が寝ている間に地上に蔓延った有象無象ども、それらに身の程を“分からせる”という極上の趣味を前に何も出来ない鬱屈。

先のエテ公の一件でも、ラドンが出張っていれば本拠地の火山を噴火させて初手完封できたというのに、シーモの身の上を案じた王によってその機会すら与えられなかったのだ。

 

そして今回。やっと出番か、適当な言い訳つけて弱者を嬲り殺すチャンスかと勇んでみれば、下された命は「偽物の翼を破壊しろ。ちなみに不要な破壊はすんなよ鶏」で。

 

……ガイアに鎮静化されたのをいい事に。なんとこの鳥、今になるまで不貞寝してたのである。

 

(『■■■──!』)

(うっわマジかよ)

 

しかし、名指しで呼ばれてしまえばそれもここまで。さながら休日明けに出勤するサラリーマンの如く気怠げに、ラドンは上体を起こして埃を払い始めた。周囲の人間たちはもちろん大騒ぎだ。

 

「うぁぁぁ、ラ……ラドンがシャイアン山を練り歩いてるっ」

「どうすんだよえーっ」

(……せや!コイツら(ころ)したろ!!)

 

これは千載一遇の機だと高揚する。様子を見るに召集例は緊急性に満ちたもの、ならその道中でどれだけ暴れようと「急いでたんで加減出来ませんでしたテヘペロ」という言い訳が利く。思いついたなら善は急げと、ラドンは思いっきり羽ばたこうとして

 

凍った。

 

比喩ではない。

 

(───あっるぇ?)

 

背中に何かが当たった、その感触を得た刹那の事だった。いや確かに身体は温まり切ってなかったから高熱なんか発せてなかったけど、それを鑑みたってとんでもない凍結力だ。一体誰が。

そう思い、辛うじて首から上だけ溶かして背後を見る。山の頂上、そこに見えたのは純真純白の鱗に無垢な青い瞳。シーモだ。凍結力に納得がいくと同時に、代わりに地底世界にいる筈の彼女が何故、と言う疑問が浮かんだ。

それを吹き飛ばす情報の衝撃が、シーモの背後にひょっこり出てきた“複眼”によって齎されるとも知らず。

 

(げぇーっ女王!!)

『△△▽▽!』

(アッハイ)

 

アルファコール、禁断の二度打ち。ゴジラからの救援要請は、モスラの命令上書きによって無効化されてしまう事となる。

本来なら現王たるゴジラの方が優先されるのだがしかし、ラドンは過去に働いた不義理のせいで女王に頭が上がらないのであった。

 

『……▽▽▽』

『※!』

 

その様を見定めてから、モスラは羽ばたく。眼下の聞かん坊をシーモに任せていざ、再び王の下へ。

 


 

役立たずが。向こう1万年は謹慎延長だ糞餓鬼が。

ゴジラに人間と同じ発声器官があればこう言っていただろう。何もかも予想外で予定外、上手く運ばない現実に青筋が立つ。それを我夢は気遣わしげに見上げ、そしてコングは悠々と山から飛び降り歩いてきた。戦意は無いと言いたげに。

代わりに……「ここは俺の顔を立てろ」と、その表情に書いてある。肩にはイーウィス族の少女も乗せており、自分が取り仕切る準備を入念に整えてきたようだった。

 

女王の妨害。コングの仲介。イーウィス族の緩衝。ここまでお膳立てされては最早人類殲滅は成り立たない。諦める他無いのか。

そう考えたゴジラに、真下から掛けられる声。

 

「ゴジラ」

 

選ばれし者、高山我夢。斧の影から出てきた彼は、とうとうその身で王に謁見した──かつて師が辿り着いた視点に、彼もまた。

言葉は通じずとも、地球の光に触れた影響が思念が届く。それに乗せて、投げたのは彼自身の疑問だ。

 

「なんでお前は、アルファコールをもっと使わなかったんだ?」

 

使わなかった?否、使った。確かにラドンに命じ、人類の希望を破壊せよと……

 

 

「他のタイタンにも命じていれば、もっと早くて楽だったじゃないか」

 

 

『………!』

 

それは……その通りだった。

言う事を聞かないデストロイヤー系タイタンを刺激するならまだしも、従順なプロテクター系タイタンなら幾らでも動かせた筈だ。彼らに命じて全大陸を襲わせていれば、ガイアの光が取り戻される前に人類文明を撃滅出来ていただろうに。

 

これにて、ゴジラの思惑は完全に頓挫させられたのだ。人類撲滅を推し進めながらその最短ルートを選ばない矛盾、それを突きつけられたから。

 

そう。ゴジラもまた……

 

『王よ。貴方も、民を滅ぼしたくなどなかったのです』

 

自らに仕えた民の存在を忘れられなかった。共にギドラと戦った彼らを、心の奥底で見捨てられていなかった。

その時点で、彼の行いは成功する筈が無かったのである。

 

『還りましょう、我が王。民が選ぶ未来を、ゆっくりと見守りながら』

 

彼方より羽ばたいてきたモスラの声が響く。

ゴジラは最早立っていられなかった。己が弱さと断じていた心を露わにされ、踏みしめていた足場が崩れ落ちた気分だった。

 

そんな彼の目の前に差し伸べられる手。毛むくじゃらのそれを前に、カッとなって払い除ける。

 

『■■ッ』

『●〜?』

 

お前の助けなど要るか。そう言いたげに振り払われたコングは、バツが悪そうに頭を掻くばかり。肩に乗ったジアと「しょうがない」と微笑み合うまでがセット。

そうしてゴジラは去っていく。頭上のモスラと共に自らの領域へ。

 

 

『………■』

「──あぁ。頑張るよ」

 

去り際の唸り声を、我夢は叱咤と受け取った。この空と命が溢れる星を分け合う者達、その志を共にする者として。

ここに、世界の存続を誓う。

 

 


 

 

最初に隣へ並んで来たのは藤宮だった。

次にバーニー、アイリーン博士、最後に石室コマンダー。ファイター達は中空で制止し、コングもまた深く息を吐く。

全員で見送るは王者の背中。夕焼けに照らされながら、彼らは皆、感慨にも似た感情に染まっていた。

 

「……分かった気がする」

 

その黄昏の中で、たどり着く『答え』。

 

「この力は、救世主だとか世界を変えるだとか、そんな大それた物じゃないんだ」

「は?それはおかしいだろガムップ、現にゴジラを足止めして追い返したじゃねぇか」

を」

「バーニー、そんなんじゃないよ。重要なのは“手”と“足”さ」

「???」

「歩み寄りと、握り合う掌って事」

 

ガイアとしての僕はともかく、人間としての僕はタイタンじゃない。だからタイタン同士のしがらみや因縁には振り回されない。

よって、気兼ねなく行動出来る。なんの妨げも躊躇いも無しに……“()()()()()”と出来るんだ。この星に息付く命特有の心と、人間特有の知性で以て。

 

()()()()()()()、という事か」

「広義にはそうかなと。ガイアとしてタイタンと同じ視点を得た今だからこそ、尚更そう思います」

「……地球も無茶振りをかましてくれたものだ。人類に“タイタン同士の緩衝役”を求めるとは」

「有事の際の顔繋ぎ、という側面もあるかもですね」

「無茶苦茶損な役回りじゃねぇか!」

 

激論を交わす三者を背に、次に僕が見たのは藤宮。君も何か思う所があるんだろう?

だって君もまた、僕と同じく“選ばれた者”なんだから。

 

「……俺にも掴めると思うか。地球の光を」

「もう掴んでるでしょ。というか、()()()()()()()()()だと思う」

「!!」

 

その名は勇気。相互理解を諦めず、恐れずに相手へ近付く限りなきチャレンジ精神。

この危機に動いた君に、そして全ての人の胸の内に、それは等しく秘められているのだから。

 

 

『───■■■■■──ッッ!!!』

「っ……ゴジラー!!」

 

その背中が見えなくなる刹那、轟いた咆哮に全力で応えた。光電子管を掲げ、その光が彼にも見えるように、叫んだ。

ご機嫌よう王様。いつかその背に、並び立てるその日まで。

 

 

 

 

 

地球には怪獣(タイタン)がいて、ゴジラがいて。そしてウルトラマンがいる。

 

この美しい星を、僕達はもっと愛していきたい。

 

 

 




掲示板の分はここまで。映画で言えばここからエンディング入りとなります
んでもって次回がCパート(エピローグ)です
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