心のマグマが目覚めたら   作:スターク(元:はぎほぎ)

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地球の洗濯

「まず、君達は“ゴジラが威嚇行動を繰り返すのはまたエイペックス社がやらかしてるから”だと思ってここに来たんだろうが……結論から言えば、それは違うと断言しておこう」

「そうなのDr.ヒロヤ?そう言ってまたメカゴジラ2代目だのスーパーだの三式だのシティだの作ってたりしない?」

「社は前回の件で社長が死亡し、政府直々に改革されてモナークとの協力体制を強いられているんだ。とてもじゃないがそんな余力は無いさ」

 

代わりに、と言って俺が見せたのはリスト。改革の際、その方針に反対して離反した重役および技術者達のリストだった。

中には高名な識者もおり、見知っていたのだろうジョシュ少年が感嘆の声を上げる。

 

「ノーベル賞学者が何人も……この人達は今何を?」

「………」

「…なるほど。モナークに影響された社の意向に背き、怪獣絶滅路線を引き継いだこの流れ者達こそが真犯人って訳ね」

 

相変わらずマディソンは鋭い。そう、発端こそエイペックスだがその実、動いているのは離反者の方という事。

そして彼らが何を為そうとしているのかというと……その答えも得ている。

 

「このデータを見てくれ。コイツをどう思う」

「凄く……産業廃棄物がハワイに掻き集められてます……」

「ちなみに離反者達の動向ルートがこれ」

「完全に一致してるじゃない!まさか汚染物質を一気にブチ撒けようって訳!?」

「タイタン達が浄化し切れるかし切れないか、出来たとしても命が引き換えになる量を…という事だ。その間、本人達は地球外に脱出して、タイタン達が死に絶えるまで軌道上で待つ作戦だろうな」

「最っ悪…!」

 

そう思うのも無理はなく、寧ろ当然の事。若者らしい義憤に内を焼かれて、彼女は既に怒髪天を突いている。

……けど、それも無意味だ。

 

「彼らも相当本気みたいで、離反学者もそのスポンサー達も全財産を使い切るつもりで動いてる。タイタンへの憎悪、ここに極まれりといった所か」

「“DS”ってそういう事……世界中の資産家の内、タイタンに支配されてる現状に耐えられなくなった人達が支援してるんだ」

「止めないと!」

「どうやってだ?まさかまた一般市民の身の上で無謀な潜入を試みるのか?前にエイペックス社に侵入した時、君達は暴くどころか捕まって交渉材料にされかけたんだろう?」

 

そう言ってしまえば、痛い所を疲れたように口を噤む少年少女。流石に可哀想になったので、何かしらフォローしてやろうと思った。

だがそれより早く、ジョシュの方が問い掛けてきた。

 

「……だったら、なんでこの情報を僕達に教えたんですか」

「──っ」

「公に出した所で握り潰される、だから出さない……それは分かるでも、貴方以上に力の無い僕達と共有する理由が分かりません。メリットが無い」

 

……正直なところ、マディソン・ラッセルのオマケとして見ていた。しかしどうして、鋭い質問に思わず唸らされる。

そういえばそうだ、とマディソンもジョシュの隣で頷く始末。ここまで来ると隠してはいられない……と言うより、俺も俺自身と向き合わねばならない。

 

なぜ俺は、彼等を此処に招いてしまったのか。

意味が無いと分かっていて、どうしてここまで明かしてしまったのか。

 

……考えれば、簡単な事だった。

 

「答える前に、これを見てくれ」

「何これ。試験管?」

 

1人で抱えたままではいられなかった。

既に限界だったんだ。

 

「……綺麗」

「そうか。美しく思えるか、これが」

「違うんですか?」

「いや。俺も、この輝きを尊く想う」

 

ただ、この海の青さを、他者と分かち合うだけで居られたら。どれだけ幸せだったか。

なぁ、レン。

 

 

 

 

翌日。幾らかの“資料”をマディソン達に託して帰らせてから、俺はとあるアドレスへメールを送った。

 

もし予測が正しければ、“光”を手にしたのは“アイツ”だ。それを信じて、集めていた証拠を託した。

さぁどうする。相手となるのは金任せ、力任せの邪悪な願いだ。それでいて、タイタンの猛威に怯える悲痛な叫びだ。

 

それに容赦無く絶望を叩きつける覚悟が、お前にあるか?

 

もう1人の“ウルトラマン”。

 

 


 

 

「……バーニーさん」

「行くのかよブラザー」

「行かなきゃ、恩師に顔向けできませんから」

「そうかい。一応言っとくけどな、俺がお前の師匠なら“無理すんな”って言う所だぜ」

 

気遣いが温かくて、でもそれに甘えてられない。

もしかするとこれが、僕が選ばれた意味なのかも知れないんだから。

 

「きっと、地球がくれた“チャンス”なんです」

 

人類の不始末を、人類の手で拭う為の。

ただタイタンのペットに甘んじるのではなく。人間の未来を、人間の手で築いて良いのだと示す為の。

 

確証は無いけれど──そう信じて、思い込む事で、僕は心を奮い立たせる。

 

朝焼けの水平サインに掲げた光。すると100万ワットの輝きが身を包み、僕を彼方まで攫って行った。

 

「……無事でいろよ。Dr.ガム」

 

 

 


 

 

 

……警告はした。

 

ヒントも与えた。

 

これが最後だ。群としてのヒトには、

もう期待出来ないのならば。

 

後は何の因果か、このタイミングで目覚めた“光”。

その出方次第。

 

(来たか)

 

大地の輝きが頭上を進む。

それを見送り、我は再び地熱エネルギー渦巻く島々

──────人間がハワイと呼ぶそれを見遣った。

 

心せよ、選ばれし者。その身に光宿すヒトよ。

 

お前が臆した刻……裁定を下すは、我だと知れ。

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