「な、ななななんですってぇぇぇぇ!?」
うーん、いつものアルちゃんですね。
誘拐依頼の件は驚きましたね。先生√では生徒の過去に突っ込むことはほとんどないので、生徒√の特権かもしれません。……RTA的にはロス極まりないんですが、便利屋に絡むの面白そうなのと、ここ最近ブラックマーケットで目をつけられた上にスケバンにも絡まれなくなったのでレベル上げ目的で突っ込もうかと思います。イベント戦は神名石ももらえたり貰えなかったりするのでお得です。
というわけで目に見えた地雷イベントに突っ込みます。え、なんで地雷かって?そりゃ……便利屋68だしなぁ()
「人身誘拐なんて、とっても悪いねぇ!でも、本人が誘拐してくれ〜ってお願いしてくるとかなにそれ〜」
隣で小悪魔のように笑っているムツキも、明らかに警戒モードだ。うーん……カヨコについては特にまだ明らかになってないから……よくわからんのよな……
「そうですね。私と同じ良家のお嬢様で交流があった子なのですが……姉が文武両道かつ博識で、親ですら姉に頭が上がらないような印象を受けます。カヨコさんはその妹になってしまったことで比較されがちなのかもしれません」
と思ったら、ナギサ様が説明くださいました。はえー、ナギサとカヨコ知り合いというのがそもそも驚きです。トリニティだよな君……まぁ、公式にない交流もある意味生徒√の醍醐味かもしれません。現時点でもフウナギが存在してるわけだしカヨナギもあっていいのかも。と言っても顔見知り程度の好感度しかありませんが……君もブルーアーカイブでお好みのカップリングを作ろう!(突然のステマ)
「ふーん。まぁアルちゃんに任せるよ」
「……ふふふ、私が目指すのは金を払えば何でもやるアウトローよ!誘拐の1つや2つやってやるわ!」
ともかく、なんとか引き受ける流れになりましたね。
とは言ってもあくまでトリニティ。関わるには限度があり厳しそうです。ん、ナギサ様の様子が……なんかおかしいか?とりあえず、ゲヘナの件についてはフウカ誘拐のプロ、美食研に協力お願いしてみましょうか。
ところで、エデン条約編でもないのにセクシーキツネがちょくちょく見参ログインしてくるのなんなんで???
「とはいえ、心配ですね」
ゲヘナの友人が、本人に望まれた形とはいえ誘拐に動く。心配しないはずもない。しかし、自分はトリニティ。ゲヘナとは犬猿の仲であり関わることは難しい。どうしたものかと悩んでいると、気づけばもう夕方となっていた。自宅へと戻れば……
「おかえりー。今日は遅かったですね。今日はお野菜がいっぱいあったから、春野菜のサラダにしてみました!」
「フウカさん、いつもありがとうございます」
ナニカさんを追いかけてやってきた、愛清フウカさんがてくてくとやってきます。腕が確かな料理人で……その頭にある立派な二本の角はゲヘナ生徒であることを示しています。
「あ、そうか。その手がありましたか」
「ナギサさん?なにか」
「食べた後に相談があるので、聞いてくださいますか?」
「はい、もちろん構いませんが……」
そうだ、ゲヘナ生徒にお願いすればいいじゃないか。というわけで美味しいご飯を食べた後に少々お話しを。
「友達が雷帝の妹さんを誘拐しようとしているのでお手伝いしたいのです。」
「……は?正気?」(눈_눈)
うーん、いつものヤバい目だ。
「誘拐をやるってさらっと何言ってるんです?しかも雷帝の妹……?」
「まぁまぁ、誘拐される本人から頼まれたことですから」
「え、どういうこと?」
少女説明中···
「ふーん……わかった。そういうことなら受けてあげる。それで、私はどうすればいいの?」
それもそうだ。彼女は戦闘要員でもない。あの2人の様子を知るにしても危険極まりない。一体どうすれば……
と、思考していると突然私の口からとんでもない発言が飛び出してきた。ナニカさんだ。
「美食研究会に連絡を。誘拐に関してとても頼りになります」
……は?
ナニカさんの言の葉とはいえ、現状私は受け入れがたい相手に代わりはない。なにせ、大切なお祭りを爆破した奴らである。
ただ、たしかに誘拐に関して詳しく知識があるのは事実だろう。誘拐される側のフウカさんも納得しているようで。
「あー……なるほど、たしかにこの上ない人選ね。わかった、私の方から連絡してみる。けど、報酬はどうするの?」
「そうだね、みんなでご飯を食べよう。そのときはフウカ、ご飯を作ってくれるかな?」
「!!是非是非作らせてください!」
……こういった案件はナニカさんの専売特許です、となんとか自分を納得させようとしてナニカさんに、後を任せてその流れを注視することに決めました。
結論から言うと、美食研究会はアルさんムツキさんの二人に会って話して協力するかどうか決めるという。妥当な落としどころでしょう。……先生がここに集まることを提案してきて慌てましたが、フウカさんが説明して事なきを得ました。本当にありがとうございます、フウカさん。
「それじゃあ私は帰るわね。朝食は冷蔵庫に冷やしておいてあるのと、お味噌汁あたためなおせば大丈夫だから!」
「いつもありがとうございます、フウカさん」
「いいの、私が好きでやってるんだから!じゃあね!」
そう言って、フウカさんは車に乗って去っていきました。やはりフウカさんはいい人です。ですが、テロリスト集団……美食研究会の手を借りるのはいかがなものでしょうか。ナニカさんは、一体何を求めているのでしょうか。と、そこを皮切りに思考の渦に飲まれていきます。
私が見失ってはいけないことは、トリニティの不利益になることがないか。ゲヘナ内の揉め事、大いに結構。何より、私自身がナニカさんのおかげで多くの幸せに恵まれている立ち位置です。ですから、多少は認めないといけません。ナニカさんについて、私は独自に聞こえるものや連邦生徒会長から事情は聴かされていました。
ナニカさんは「全生徒の先生」として「キヴォトス救済RTA」と呼ばれるものの達成を目指しているようです。RTA……その意味は、連邦生徒会長ですら知識のない、不明なものです。何かの暗号なのか、イニシャルのような頭文字なのか……一度、不明なところは置いておいてわかるところを抽出します。「キヴォトス救済」。文字通りキヴォトスを救済する。その目的が真実かどうかはナニカさんにしか分からないでしょう。ですから、私が見極める。もし間違いであれば私が全力で止めるし、真実ならささやかながらお手伝いをする。これがナニカさんにお世話になった私が出した結論でした。これを聞いた連邦生徒会長にお願いしますと託されたのだから、成し遂げなくては。
__そういった名目だからと、お祭りを台無しにした元凶を手放しに許せるほど聖人でもない私は保留にせざるを得ませんでした。
とりあえず、今回の件の成り行きを評価。ここしばらくの予定はナニカさんに任せましょう。
そう考えて、注視していたときでした。後ろから耳馴染みのある声がかけられたのは。
「やぁ、寝るには早いよナギサ……というか、君はなぜここにいるんだい?」
聞き慣れた声がして、振り返れば。そこにはいつも通りのニヤニヤ顔でこちらを見つめるキツネがいるのだった。