・発掘アレアレ大事件……え、事件?
・ジンとレナは、レベルメタフィン30回使用分を入手した!
・レナは激しくレベルアップした。レナはパッシブスキル《グロ耐性LV1》を取得(ぉ
「ふいぃ~、空気が美味いぜ……」
「そうねぇ……雨も上がったみたいだし、何より生臭くもないし、最高の気分ね」
雨上がり特有の濃い緑の匂いを胸一杯に吸い込みながら天を仰ぐ。身体に染み付いた血臭と硝煙の残り香も一気に吹き飛びそうな自然の中で、背筋を伸ばしてみれば、疲労した肉体がゴキリゴキリと異音を立てる。
まあ、当然と言えば当然の事だろう。探索の
その結果、肉の迷宮の中で数時間も戦い続けたのだから我ながら呆れ返る。俺に付き合ったレナも、激闘に続く激闘の結果、気が付けば40レベルを超えた中堅ハンターへと様変わりしていたのだから、俺達がどれだけモンスターを狩り倒したのかが窺えるというものだろう。
「……にしても、本当にあれだけの勢いで狩る必要ってあったの?」
釈然としないといった表情で問いかけるレナだったが、俺としては「とんでもない!」と言いたい。
以前の地……北米、某州に位置するジャッジメントバレーでは、レベルメタフィンという
メタモールゼリーというモンスターは、制御核が本体と同系色の上に、制御核特有の発光現象やエネルギー放出が見られないために、制御核を無傷で入手するのが極めて難しい。
おまけに本体の耐久力も余り高いとは言えないし、普通に倒そうとすると、まず確実に制御核ごと
それが、この地ではどうだ? 狙って無力化しやすい雑魚どもの行動パターンと形状。本体が(恐らくは)レベルメタフィンの精製プラント──といっても、メタフィン自体は何らかの目的における副産物だと思うが──で、倒してそれを回収したとしても勝手に補充・増殖していく眷属群。どう見てもレベル稼ぎ用永久機関です。本当にありがとうございました……ってものである。
ぶっちゃけ、この島を上手く利用すれば俺みたいに小細工で実力差を埋めるなどという事をしなくても、少年誌展開よろしく「修行でアイツより強くなれ!」が成立してしまうのだ。そう、悲しむべき事に、
これをして、グロウィンの眷属を狩らないという選択は無い。たとえ俺の今までの涙ぐましいまでの努力と
……とは言え、幾ら限界を伸ばせても使いこなせなければ無用の長物。レベル主義よりも機転にこそ重きを置くという信念を変える心算は無いのだが。
「そーいう訳で
「ふーん。ま、ジンが言うならそうなんだろうけど……」
「レナが自分の限界まで実力を鍛え上げた時に判ると思うぞ。こうして集めたレベルメタフィンの価値ってものが」
そうかなぁ、と首を傾げるレナだったが、本当にそのうち理解できるだろう。
特に大破壊前のサイバネ技術やバイオ技術で過剰なまでに生体強化された、人類基準の
「さて、ちと本来の目的が飛んでしまっていたが……」
「何にしても優先するべきは、此処から脱出するための手段の確保ね」
「……原子力電池か。装備用の
「流石にそんなものは日常的に持ち歩かないしね……」
うむむ、と二人して考え込むが、どう考えても手持ちで代用はできそうに無い。となると、やはり島にある事を願ってアレをするしかないか。
「……アレって?」
「うん。まあ、これだ」
道具袋という何とも言い難いネーミングセンスの格納領域から取り出したるは、シリーズお馴染みともいえる探索者(エクスプローラー)の強い味方。
「金属探知機~♪」(by大山○ぶ代)
「(また妙な真似を……)」
テレレレッテテー! と謎の効果音が脳内を流れゆく。
しかし、うーむ……やはり大破壊前な青狸なぞ知る訳も無いか。
まあ、ネタはさておき……当たり前だが、別に笑いを取るために探知機を出した訳ではない。
大破壊後の世界では、本当に様々な物資や大破壊前の遺物が瓦礫や砂塵の下に埋もれてしまっているのだ。
無論、初めから何も無かったような場所では何も見つからないが、<大破壊>で大幅に地形が変わってしまったような所では実に色々な物が発掘される。
故に──
「この金属探知機で、島の何処かに埋もれてるかも知れない原子力電池を探してみようぜ!」
「……面倒くさ。でも、まあ可能性があるならやるべきよね」
高々と金属探知機を掲げる俺を、文字通りに馬鹿を見るような目付きで眺めながらもレナは一縷の望みに賭ける事に同意した。
歩く。歩く。歩いては俺のiゴーグルにインストールされているオートマッピング・アプリケーションで未探査領域を確認しながら金属探知機を作動させる。
まずは洞窟の入口から、最初に辿り着いた浜辺までを網羅する。
別ルートや木々の密生により封鎖されているような場所は後回し。普通に行ける範囲内で、行き止まりとなる場所から調べ潰していくのは往年のRPGをやり込んだ様な世代の人間にとっては常識のようなものだと思う。そして、そういった意味では俺も同じ。ある程度進んではピコーン。反応のあった地点を掘り起こしては、また進む。ピコーン、発掘。以下プライスレス。
「V1チップ、E1チップ、ゲンキデルZ、大破壊前のブランドワインが3本。840発入り5.56mmアーモボックスが4箱も生きていたのは嬉しいが……」
「……見事に無いわね。原子力電池」
「はっはっは。まだ、近場を調べただけじゃないか! 諦めるのは早いさ」
からからと笑いながら幾つかに分けて発見物を格納する。BSマップで調べた島の面積の1/6も探索していないのだ。今しがた言ったように「まだ諦めるような時間じゃあ無い」というやつだ。
「諦めるなんて一言も言ってないけどね。でも、陽も落ち始めてきたし、そろそろキャンプ地点を決めたほうが良いんじゃない?」
レナが砂埃と汗でパサパサになってしまった自らの金髪を手櫛で整えつつ言ってきたので、ふと浜辺のほうを見てみれば、確かに中天の白光から斜陽の赤へと色付き始めている事に気付く。
これはレナの言う通りにキャンプ地点を選定──と言っても、モンスターの事を考えれば砂浜と森林部の境目しか無いのだが──してシェルターを作成しなきゃならんな。
まあ、本格的なものは後日にするとして、崖と近場の木との間でロープでも張って、不要な衣類型装備で降雨対策の天幕でも作るか……寝床は寝袋を使えばいいし携帯バリアと敵避けスプレーを組み合わせれば安全性も増す。うん、これで行こうか……などと独り頷き──ん? 人の気配! 敵意は無いようだが……
「レナ。
「誰か……人? もしかして遭難者?」
「判らん。ご同輩なのか、違うのか……敵意や害意は感じられないが、警戒だけはしておけ」
「りょーかい」
互いに武器を
こんな化物アイランドで近づいてくるのは一体何者なのか。
俺とレナは静かに接触の時を待つ……
・あと何話で島から脱出できるんだろうか……