3→2R 紅き牙獅子は転送事故に啼く   作:斬風

27 / 27
・何時もの事ながら展開が遅い我が駄文。

【NEW】
・色々とやってると、どうしても投稿速度が低下する……

 あい。これにて「にじファン」時点までの再UPは完了です。
 次話からはエロ(Elona)ネタを排除したハメルン版で進行します。
 まあ、猿の場所まで行く展開自体は似たり寄ったりになってしまいますが。


27話 よみがえる金狼…じゃなくて山猫

 

 斜陽に照らされる赤茶けた土に足跡を刻みつけながら、昼夜を問わず喧騒の絶えない新酒場のウェスタンドアを抜けると、軽く視線を巡らせる。この手の粗野な酒場の常として新参者に一瞬だけ視線が集中するが、それも瞬く間に拡散し元の喧騒が再び酒場を包む。御同輩だと気付いて空気に溶け込んだのなら普通だが、視線の逸らし方に「アイツに触れちゃなんねェ」的な意図を感じたのは気のせいだろうか?

 確かに色んな意味でヤバそうな顔と出で立ちをしている事は自分でも認めざるを得ないが……などと内心で首を傾げつつ「アレが黒いバイクを駆るという赤い死神……」「グラップラーをカツアゲする食物連鎖の頂点らしいぞ!」「ヤツにとっちゃグロウィンも食材扱いらしいぜ!」「次は猿の脳味噌を使った珍味に挑戦するらしいな」「……ウホッ、いい男気。い、いかん! 俺の(検閲されました)が疼きやがる。みんな、俺から離れるんだ!」などといったカオス空間を全力でスルーし、数時間前に死体マニアの所から逃亡したレナを探す。

 

 果たして彼女は、消耗したSAN値(正気)を取り戻そうかとするように、酒場の奥で酩酊の神(デュオニュソス)の齎した神秘なる雫──ぶっちゃけ酒だ──を無心に呷っていた。

 正気を取り戻すために狂気をも司る神の一滴に頼るのは酷く人間的とも言えるが、レナは酒神の信女(マイナデス)にでもなる心算なのだろうか。彼女の隣で妙に近い距離を維持する百合百合しい雰囲気を持った忍びの者っぽい女ソルジャーを見ていると特にそう思えてくる。

 このまま半刻も放置していれば同性愛者(ユリーズ01)の手によって「お、お持ち帰りぃ」された挙句に新世界へと導かれ、二人合わせてユリシーズなんて謎の新ユニットが爆誕するか、どちらもイケる新人類に覚醒してしまうかも知れない。

 まあ、それはそれで面白そうだと考えてしまう自分の思考もいい加減に腐っているなと口元を歪めると、もはやグデングデンになりかけているレナをユリーズ01(仮称)の女ソルジャーから回収する。

 いや連れが長々と迷惑をかけたようだな。済まない、そしてありがとう! などと言いながら、実に黒くてイイ笑顔をしていたであろう俺が、彼女の前に明らかに飲み代以上になるであろうGOLDを置く。

 すると、百合の蕾を開花させたいと願った(?)一人の女は、目の前でエサを取り上げられた犬のように憎々しげな唸り声を漏らし、足音も荒々しくカウンター席へと向かい、独りでヤケ酒を始めるのであった。

 

 あの様子……ヤツは真性の者だったのだ。

 

 こうして、レナは知らず貞操の危機を脱したのだが、明日には再び二日酔いという名のディオニュソスの試練が待ち構えているのを未だ知らなかった。

 うん、流石に面倒を見るのも疲れそうだから、酔死体の看病と胃壁様の奮闘を支援する食事の準備はイリットに任せよう。そうしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ううう、脳が……あたしの脳が痛い……らめぇ、わ、割れちゃう、これ以上きたら壊れちゃうぅぅ」

「ゴ○テロ様か、お前は。キングズリー・エイミスの言葉を忠実に実行しやがるのは悪い意味で感心するし、まー昨日のアレは仕方ない部分も多分にあったが、その痛みは自業自得だ……イリットちゃん、済まないが──」

「はい、任せてください!」

 

 

 朝、人生二度目の試練(・・)に頭を抱える事すら億劫そうに身体を丸めるレナを、何故か瞳を輝かせながら甲斐甲斐しく看病するイリットに任せると、俺はカル少年と軽く会話し、少しの小遣いを渡してからナイル爺さんのガレージを出る。

 あの爺さん、最近は賑やかになってきた駐車場のクルマや流れ者の整備士(メカニック)達の面倒を見るのが楽しくなっているらしく、いったい何時寝ているのか分からないぐらい精力的に活動している。

 ミンチの爺様といい、ナイル爺さんといい、メカの団の団長といい、俺の知る爺様連中は何でこんな無駄に矍鑠(かくしゃく)とした奴等ばかりなんだ……

 

 そういえば話は変わるが、このガレージ……というより、何時の間にかナイル爺さんの所にエルニニョのアクセルが弟子入りしてしていたのには驚いた。元々から若い割りに結構な技術を持っていたようだし、爺さんにも気に入られているようで良いことだが、夜を徹して爺さんや古参メカニック達とディープなメカオタ談義をしているのを見ると偶に心配になってくる。

 とはいえ、もちろんいい大人の身体の心配をしている訳ではない。むしろ心配なのは駐車場に停められているバギー(元ガルシア号)、スーパーカー(元レンタル4号)、白バイ(依頼報酬)の3車両のほうだ。置いている間は、保守管理を任せているが、いずれメカニックの本能……というか性癖に負けて勝手に魔改造されてたりしそうで怖い。

 あー、そういや更に思い出したが、確かサースティの南砂丘あたりに装甲車が埋まってたような記憶がある。微妙に記憶(MM2)と異なる世界のようだし、未だに発掘されていないという前提でのことになるが、こいつもしっかりと回収しておかないとな。

 ククク……この地にも俺様の戦車博物館を誕生させてくれるわ!

 

 

「よお、ジンさん! 相変わらず悪そうな顔してっけど、また悪巧みかい?」

「そ、そんな事よりも、く、く、クルマをイジらせて欲しいんだな!」

「いや待て、それよりも新しい子(クルマ)を増やすべきだ! そうすれば必然、割り当てが増える。そう、それこそが我ら改造工のアルカディア……ハーレム計画であるッ!」

 

 

 新たなる戦車コレクションの充実に心を馳せていると、何かニオイでも感知したかわらわらと寄ってくるメカニック達。俺とレナが、集めたクルマをマドのガレージに置いていると知って、何処からともなく集まってきた兵(つわもの)どもだが、これこの通りに見事なまでに濃い面子ばかりだ。

 こいつらを見れば、先程の俺の心配が理解できるだろう。思わず立った青筋を揉み解しながら「……修正が必要だな」と呟くと、今度は危険でも察知したか潮を引くかのように散っていったが。何で、妙な所ばかり鋭いのか……後々の面倒が乗数的に増えそうな事実に頭を痛めながら、本日のメインイベントを解決すべく、快晴に恵まれた朝の中へと足を踏み出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おお、待っておったぞい!」

「おはようさん。死体の姫君は御機嫌かい?」

「無論じゃ。まあ、膜のほうはプラモデルのバリのようなもんじゃし、その辺は諦めてもらうしかないがの。それよりも、嬢ちゃんの服は用意してきたんじゃろうな?」

「そりゃもちろん。ちゃんとセニョリータに相応しいモノを用意したさ」

 

 

 天幕という名の実験室で、顔を合わせるや否や軽口で挨拶を交わす。

 しかし、四文字の神様(アドナイ)や、それに連なる社会の元で大切であると認識されているであろうアレを、プラモデルのバリ扱いとは流石マッド。いやさ、こんな時代だしソレの価値が相対的に低下してしまっているだけかも知れないが、まあいい。

 俺は爺様の問い掛けに答えるかのように、iゴーグルのホロウィンドウを操作し、装備用格納領域からひと揃えの女性用衣装を実体化させる。

 

 

「……のう、何故にメイド服なんじゃ?」

「……いや、俺にも判らん。判らんが、何故かこれを用意しろと俺のゴーストが囁いたんだ」

 

 

 実体化させたのは、爺様の言葉通りのメイド服。それも、そこいらのアレな紳士が喜ぶようなコスプレ染みたフレンチ風のものではなく、シックな白黒の対比と機能性が実にエレガントなヴィクトリアンスタイルのものだった。

 しかもこれ、普通の使用人が使うようなモノでは無く、何気に戦闘用に作られたやつだったりする。防御効果的にはサラトガアーマーに匹敵すると言えば、その異常さが判って貰えるだろうか。

 もしも黒い環礁(ブ○ック・ラグーン)に登場した元猟犬のメイドさんがこれを見たならば、リアルに「殺してでも奪い取る」を実践しかねないほどの逸品である。

 ……仮面を被った冥土害の人も愛用しそうだが。

 

 

「見るからにアマゾネスといった嬢ちゃんじゃし……怒りそうじゃの」

「ああ、怒りそうだな……だが、自重するのを断る」

「痺れもせんし、憧れもせんがの……まあいいわい。そろそろ蘇生させるでな、ポッドから嬢ちゃんの身体を出して寝台に寝かせてくれんか?」

「了解だ」

 

 

 指示通りにハイテク過ぎる棺桶にも見える医療ポッドを停止させ、内部に満ちている薬液を廃液タンクに排出させる。内蔵ポンプが鈍い駆動音を立てながら、己の役割を果たし終えると、何故かレンジの音っぽい電子音が鳴り、開放スイッチにグリーンの光が点灯する。

 明滅を続けるそのスイッチに触れ、圧縮された空気が漏れる音と共に、ポッドの蓋が完全に開放されたのを確認すると、ポッド内に眠る全裸の金髪美女(修復済み)を抱き上げて、爺様の待つ寝台──と、言うより手術台──の上に寝かせる。

 

 

「流石に全裸で意識が戻ったら気拙いだろうし……今のうちに着せるか」

「ま、普通のAEDなら結局脱がすんじゃが、ワシの電撃蘇生は別物じゃしな……む、おぬし、妙に手馴れとりゃせんか?」

「……ノーコメント」

 

 

 怪訝そうな爺様の質問には沈黙で答える。

 うむ、エルルースで何があったかなんて言えるはずも無いし吹聴する趣味も無い。俺は野晒しにされるドラム缶のように沈黙を守り続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 薄暗くなった天幕の中、偉大なる地球が纏う定常波と同調した謎の発電装置が唸りを上げる。

 導かれ力渦巻く電気は、ミンチ爺様ご自慢のメカで収束・圧縮され、ついには紫電とプラズマの光を放ち始める。

 爺様が、厳粛な儀式を執り行う司教のようにゆるりと両手を掲げると、その手に握られた儀礼杖のような電極同士の間に、激しい閃光が生まれた。

 そう、これから最も神から縁遠いであろう、科学という名の司教により死という絶対者への反逆が行われるのだ。

 

 

「また一つワシの偉業が世界へと刻まれる訳じゃな……」

 

 

 

 

 ──── 蘇 れ ! こ の 電 撃 で ッ !! ────

 

 

 

 

 まるで落雷のような光の炸裂と爆音で、視界全てが青白く染め上がる。

 地球という巨大な生命の雷(いかづち)で細胞を撃ち抜かれ、跳ねるように死者の肉体が飛び起きる。否、もはや彼女は死者では無い。

 心臓が力強い鼓動を刻み、肉の身体は熱量を抱き、シナプスはバチバチと激しく活動を始め、魂と言う名の意識と思念を紡ぎ直す。

 そう、彼女は蘇った。すでに生者へと還ったのだ。

 

 

「……ッ! はっ!? こ、ここは? あたしは!?」

 

 

 復活したてで混乱状態の彼女を尻目に、流石はワシじゃのぉ……などとトボけた事を言いながら電撃棒を片付け始める爺様。

 俺は木箱に腰掛けながら、寝台の上でぶつぶつと自問するかのように何かを思い出そうとしている金髪の女戦士(現・メイド戦士)を眺める。

 

 

「……あたしは、確か──ッ! そうだ……あのサル野郎ッ! くそっ、畜生! あたしは……あたしは負けちまったのか! あいつにッ!」

 

 

 どうやら記憶でも戻ったか、わなわなと怒りに震えだすのだが、少し思い出してみるといい。今の彼女はメイド服を着せられているのだ。見た目だけは色白美人の金髪メイドが、怒りと屈辱に震える……何というか凄く緊張感に欠ける姿だ。怖さよりも萌え要素が浮き彫りになった感じで、我ながら酷くやらかしてしまった感が拭えない。

 

 

「ちくしょおおおぉぉぉ! あたしはまだ生きてる! まだ負けてねェ! くそッ……殺す! 絶対に殺してやるッ! うおおおおお────おふッ!?」

 

 

 叫ぶ、喚く、吠える! そして唐突に“俺の怒りが有頂天”状態になっていたメイドさんが意識を喪失して倒れる。が、別にテンションの余りに血管が切れた訳ではない。

 うん、正直もう煩わしくなってきたので、つい後ろからスイミンDXを注射してしまったんだ。

 何かこう今から猪突猛進しますって気配を駄々漏れにしてたし、頭が沸騰しすぎて完全に暴走一歩手前って感じだったからね。

 ……暫くはイリットちゃんに面倒見させておくかな。レナとセットで。念のためオイホロトキシンを微量だけ処方して鎮静剤を渡しておこう。んで、落ち着いてから話を聞けばいいさ。

 まあ、何だ……ついカッとなってやった。反省も後悔もしていない!

 

 おお、そうだ! 落ち着くための時間を与えるついでに、装甲車でも回収してこよう。そうしよう!

 

 呆れ返ったかのような視線を投げかけてくるミンチの爺様から目を逸らしながら、俺は金髪ソルジャー改め金髪メイドを背負って、天幕を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 因みに、この騒ぎの結果を言っておくと、ひと悶着ほどあった後に彼女も俺達と一緒に戦ってくれることになるのだが、そのせいで俺の気苦労は倍になってしまう事になる。

 

 天然腹黒な突撃ハンター娘にメイド戦士道に目覚めた山猫娘。

 首輪をつけてリードを握る(抑え役)は、赤毛のケダモノハンター。

 

 新たに増えまくる謂れ無き異名に、もうお腹いっぱいの俺。

 

 いっそレナと二人旅のほうが気楽だったかも知れない。

 

 こうして俺は真剣にハツモーダなる旧世界の遺物を探すべきか悩む羽目になるのだった。

 

 




・ジン は 特技「まるなげ」を 習得 した!
・イリット は 母性? に 目覚めた!
・ミシカ は 気付かぬ 間 に 全部 見られた!
・レナ は 二日酔い に 苦しんでいる…
・ミンチ は 御満悦 だ!

【NEW】
・ミシカ verメイド服は継続となりました。


 以降、3→2Rに組み込まれるネタに、世界観を激しく侵食しかねないモノは用いない予定です。何らかのネタが組み込まれる場合であっても、そのネタはメタルマックス風味に魔改造される……かもしれない。
 ま、まあ、斬風としましてもなるべく気をつけるようにしますが、明らかに「そぐなわない」と判断された場合は、斬風にそっと注意してくださると助かります。

 なお、今後の展開でスキルや行動に関わったり、アイテム……或いはガジェットとして用いられる可能性の高いメタ的なネタ(クロス元)は以下の物になります。

<高確率>
 ・トーキョーN◎VA
 ・シャドウラン
 ・Fallout3
<中確率>
 ・攻殻機動隊
 ・銃夢
<低確率>
 ・クトゥルーな代物
<ごく稀>
 ・菊地御大的な産物や概念
 ・米村孝一郎先生的な産物や概念

 オカルト的な要素がクエストのエッセンスとして紛れ込む可能性はあります(例:メタルサーガの亡霊戦車大隊)が、主要登場人物が突然に念法的なナニカに覚醒してtueeeeしたり、ミシカさんやレナたんが何故か<大破壊>前に存在した叙情的で魔法的な魔砲の杖を拾って、次元世界の宇宙人とマジカルバトルを繰り広げるトンデモ物語へとジョグレス進化したりする予定はありません。
 ついでに<ノア>の暴走が、実は遠大で宇宙的な悍ましさと狂気滴る陰謀であり、その裏にはエジプト出身の黒い人による干渉が……というネタも個人的には楽しそうですが、3→2Rではありえません(笑)

 まあメタルマックス(サーガ込み)なので、謎の仙人からスキル伝授(N◎VA的な)とかぐらいなら有るかもしれませんし、グロウィンのレアドロップで魔砲ごっこや、旧時代の建造物からタチコマが発見される……程度なら発生しないとは断言できませんが。

 ……うん、我ながらカオスな思考がダダ漏れですが、きっと疲れてるんだと思う。


 さて、とまれかくあれ、遅筆極まる斬風ではございますが今後とも宜しくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。