3→2R 紅き牙獅子は転送事故に啼く   作:斬風

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・この少女……実に腹黒い(笑)


03話 はんたーはんたー

side レナ

 

 修理工(メカニック)のナイル爺さんが、ガルシアのバギーを修理するって言ってエルニニョまで行ったと聞いてから歩きで半日。

 あの日(・・・)の記憶に苛まされながら悶々としていた私は、リハビリと修練がてらに雑魚を狩りながらエルニニョまで足を伸ばしていた。

 流石に生身でスナザメと戦う気なんて無かったので砂地には近づかず、ハトバ方面とこの辺りを分断する渓流沿いに北上。何とか日暮れ前に到着してホッとしたのも束の間……

 エルニニョはグラップラーの連中が我が物顔で闊歩していました。どやっ!

 

 って、ふざけんじゃないわよッ!

 

 マリアとマドに向かった時は、急ぎの依頼だった事もあって、エルニニョに寄らず直行だったから気付かなかったのね……ガッデム!

 

 町中は荒らされてまではいなかったものの、腐れ野郎どもがやりたい放題……宿屋で一泊しようかと思ったら、受付では「えへらえへら」と気持ちの悪い笑みを浮かべているグラップラーの連中が何故か立っているし、私のようなうら若き美少女が一人で泊まれるなんて環境じゃ無い事は明白だった。

 

 諦めて酒場で夜明かしでもしようかと入ってみれば、やっぱり連中が酒盛りしてやがる。それだけでも飽き足らず、外ではチンピラとしか言いようの無い下っ端(チンピラップラー)が、どこかのオッサンを恐喝してるわ、汚いモノを曝け出して堂々と立小便しやがる汚物野郎までいやがる始末!

 

 思わずマリア直伝の必勝の法則(堂々と不意打ち)で殴り飛ばしたくなった……というか、むしろ私の得物(ショットガン)で消毒してやろうかとすら思ったぐらいだ。

 何にしても、あんな連中の同類に私の両親やマリアが殺されたのかと思うと憤死したくなるぐらいの怒りに駆られてしまいそうになるが、必死に抑えた。抑えきってやったわ。

 

 ……まだ早い。コイツらを掃除して、台所の黒光りするGのようにいる有象無象どもを蹴散らして、あの怪物(テッド・ブロイラー)をマリアがされたのと同じようにグチャグチャのケチョンケチョンのケシズミにしてしまえるだけの力を蓄えるまでは我慢だ。

 喧嘩で殴り飛ばす程度なら兎も角、町を支配しているグラップラーを見る端から駆除してしまっては、それこそ草の根を掻き分けるかのように狙われ続けて、いずれはネズミのように身を隠さなければならなくなってしまう。そうなればマリアや両親の仇を討つなど夢物語になってしまうだろう。

 

 そう、自分を誤魔化しながら、私は安全そうな仮宿を探す事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……驚いたってもんじゃなかったわよ!

 ええ、私が何を言ってるのか判らないかもしれない。だから、<大破壊>前から受け継がれてきたお約束を言うわね?

 

 仮宿を諦めて、転送装置を使ってイリットちゃんの所に戻ろうと思い、転送装置の電源を入れたら、何も操作してないのに、どう見てもヤバい系統の人が転送されてきた……な、何を言ってるのかわからねーと思うが、私も何がどうなったのかわからなかった……

 

 

「あ、あんた誰!?」

 

 

 だから、私が思わず上擦った声で誰何してしまったのは仕方ない事だと思うの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そいつは、炎のように鮮やかな真紅の髪と、透徹していながらも何故か鮮血のイメージを抱かせる赤い眼をした男だった。

 顔立ちはそれなりに整っているけど、こう……何と言うか、仏頂面が張り付いてしまっている感じで、言ってる台詞の軽さの割に表情の変化が乏しい。慣れないと怖さを感じるタイプね。

 何の飾りか(まじな)いかは判らないけど、右目を経由するように一本。左目側には三本の赤いラインが走っている。そのラインが気付けないほどに微かにだけ、薄らと発光しているように見えるのは私の気のせいだろうか。

 目にかかる髪の毛が邪魔なのか、額にはくすんだ緑色(アーミーカラー)のバンダナ。痩身に見えるくせに、服の下からでも判別可能なほど鍛え上げられた身体には迷彩スーツに怪力手袋、とどめにクラッドブーツ……

 

 何てことなの……バンダナは別として、他は全部高級品じゃない! あ、よく見るとボロボロに見える外套(コート)も戦車長仕様のビンテージぃ? 考えてみれば持ってる武器も強そうな軍用銃(SMGグレネード)だし……何? これってモヒカン怪人(テッド・ブロイラー)に装備を焼き尽くされて、泣く泣く散弾銃(ショットガン)アサルトナイフ(BuckMaster)で頑張ってる私に対する挑戦か! 挑戦なのね!?

 

 

「……何だろう。凄く目付きが気に入らないんだけど?」

 

 

 ふと気がつけば、互いに無言でお見合いしているような状況となっている事に思い当たり、私は機嫌を悪くしたかのように振舞ってみた。

 が、彼は別に気にした様子も無く軽口交じりに肩を竦めて見せる。むう……何か腹が立つけど、私も都合の悪い事は忘れたいので流す事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼の主張を信じるとするなら、彼……ジンは転送事故によって別の大陸からエルニニョまで飛ばされてきたそうだ。

 普通ならすぐに帰れるんだけど、大陸(って何?)を越えるような転送事故はイレギュラーだそうで、私達が使うような転送装置では帰れないらしい。

 ジンの説明には多分に専門用語らしきものが混じっていたので、私に理解できる部分だけを纏めたら上のようになった。

 

 うはは。まあいいのよ! 私は専門家じゃないんだから。

 それに、真実か虚言かはこの際どうでもいいかもしれない。

 

 むしろ偶然とはいえ、凄腕っぽいハンターと知り合えたんだから、ここは色々と世話を焼いて(恩を売って)おいて、彼には私の復讐を手伝ってもらおう。

 まだ少ししか話していないけど、それでも彼の本質には私に通じるナニカを感じるし、外道や悪党の類でも無さそうだから。

 

 マリアのように無条件で信じられる訳でもない。

 フェイさんのように義理堅い訳でもない。

 アパッチさんのようにプロの矜持を持ち合わせている訳でもない。

 

 それどころか、近くにいると逆に身の危険を感じそうな賞金稼ぎモドキとチームを組むより万倍マシだろうし、私のような歳若い(ヒヨッコ)女ハンターに対する態度にしても外見に反して柔らかい。

 時に視線にヤらしいモノが混じっている気もするけど、今までに見てきた連中と比べれば紳士的な範囲内だし、過剰に嫌悪感を抱かせるような生々しい感情も飛ばしてこないし……あれ? もしかして、これ……超優良物件?

 

 どこかで実力が近くて、気の置けなさそうな同性のメカニックやソルジャーと組もうと思ってたけど、もうこれは天佑だよねっ!

 

 

 フフフ……絶対にオとす……フフフフフ。

 

 

 




・けだものハンターをハンター少女がハントするやうですw

【NEW】
 以前のバージョンではケダモノさん(オリ主)視点が殆どで、レナ視点はこれだけだったけど、やっぱり所々に他視点とか入れるべきなんだろうか……うーむ、まあ挿入更新も出来ることだし、今の所は元の場所まで更新できるようにしておこう。

(2012/07/20 25:15)
 金曜日の更新は、これでオシマイ。
 明日も夜からは手直ししながら投稿できるよう頑張ります。
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