3→2R 紅き牙獅子は転送事故に啼く   作:斬風

5 / 27
・ジンさんが仲間になった!
・ジンさんの無理ゲー回想録(ぉ


05話 むりげーこうりゃくずみ

 

「「ごちそうさまでした!」」

「はい♪ お粗末様でした」

 

 

 宿を貸してもらった上に、心の篭った手料理(朝ごはん)まで頂戴(ちょうだい)させてもらった俺とレナの感謝の挨拶が重なる。

 そんな俺達を、どこか微笑ましさすら感じさせる眼差しで見てから感謝の言葉を受け取ると、彼女……イリットは年季の入ったシンクで洗い物を始める。

 

 正直、この生き馬の目を抜くというレベルを超えた弱肉強食の荒野において、ありえねーと叫びたくなるほどに純粋で人の好い娘さんだった。

 最初は、どうしても原作(MM2)イメージ(赤髪ツインテ)を抱いていたせいか、黒い二又のおさげ髪に浅黒い肌の彼女を見て、イリットだという認識を持つのに苦労したが、もうそんなの関係ないねッ! 原作だの関係無く彼女は良い娘だと、このブレード・トゥース様が認定するがおーんッ!

 

 ……うん。昨日みたいにイメージからかけ離れたイリットをガン見し過ぎて、イリットを脅えさせるのは困るからな。

 まるでイチャモンを付けるヤクザと脅える美少女といった光景に、空気を読んでくれたレナが、切れの良いツッコミを炸裂させてくれなければ今頃どうなっていた事か。

 くっ、初対面の割りにレナの対応が普通すぎたせいで、一般人からしてみれば俺は悪党面(スジモノ)だという事実を忘れていた……無念ッ。そして、レナの奴には俺から"ツッコミマスター"の通称を与えてやろうと思う。

 

 

「レナさん。ジンさん。お弁当……どうしますか?」

「「ありがたく受けて取らせていただきますっ!」」

 

 

 いやー、ホンマにええ娘さんやー。

 もう直角に曲がらんばかりの勢いで俺とレナはイリットからスタミナ弁当を受け取ったのだった。

 ……しかし、この行動といい先日の対応といい、何かレナは他人という気がせんなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んじゃ、私はナイル爺さんの所でバギー受け取ってくるから」

「OK。俺はちょっと寄りたい所があるから、後でハンターオフィス前で合流しよう」

「わかったわ」

 

 

 お互いに軽く手を振り合って別行動を取る。

 流れの通り、レナはバギーを修理していたというナイル爺さんの所へ向かい、俺は少しばかり気になる事があったのでガレージを後にした。

 

 昨夜、寝物語──とは言っても事後(・・)や艶めいた話では無く、本当に寝ながら話しただけだが──に、レナからこれまでの経緯を聞かされた俺は、ハンターとしてはヒヨッコな彼女に協力して行動する事を決めていた。

 

 どの程度の期間になるかはわからないが、暫らくはこの界隈で生活しなければならないのだ。近場で狩りをして稼ぐにも、依頼をこなすにも、人間狩りなどという蛮行をしている勢力(グラップラー)を放置したままでは落ち着かない。

 

 それに、俺と同じように"復讐"と言う名の魔獣(マグマ)を心に飼っているであろう彼女を独りにするのは(はばか)られた。

 

 

(……俺みたいに単独でラスボスに挑むような真似はさせたくないしなぁ)

 

 

 心の中だけで呟く。

 俺は、冷血党(クラン)との戦いの中で、様々な連中と共闘した。

 時にはヌッカの酒場で同行してくれた気の良い連中と旅をした事もあるし、クランに敵対するレジスタンス(煮え案山子)に協力した事もある。

 が、如何にゲームのような非常識(・・・)に満ち溢れた世界とはいえ、クレイジーとしか言いようの無い行動に付き合ってくれるような、ネジの吹っ飛んだ馬鹿には出会えなかった。

 

 そりゃあ考えてもみてくれ。

 

 より安全に。より効率的にモンスターや賞金首を狩るため、チームは組まれるのだ。

 冷血党(クラン)の賞金首を狩るために共闘するなら、割と多くの賞金稼ぎ達が協力してくれる。

 だが、断崖絶壁の上(ハイ・ウォーター)に侵入するためにマスドライバーの射出ポッドに生身で乗り込んで飛ばしてもらおう……なんて自殺としか言いようのない手段にホイホイと着いて来てくれる訳がない。

 

 結果的に俺は単独で……しかも生身で高地のモンスターどもと殺り合う事になったし、ネツィブ・メラハの攻略も、冷血党(クラン)(というよりグラトノス)の本拠地。しかも複数の高額賞金首までいるという情報をハンターオフィスから仕入れでもしたか、自殺(確かに無謀だ。常識的に考えれば)には付き合えないと断られる始末。

 冷血党(クラン)へのリベンジに燃える<煮え案山子>の連中なら、死を覚悟で付き合ってくれただろうが、あっちの連中は力量(レベル)に不安がありすぎたからなぁ……

 正直、ドミンゲスやアルメイダと正面きって戦えない時点で、ハイ・ウォーターに連れて行くなど論外です。

 

 ま、そういう訳で、究極の相棒(魔改造チョッパー)を供に独りで何度もネツィブ・メラハに挑む俺には、"自殺志願のハンター"なる通称すら付けられたぐらいだったさ。

 この時ばかりは、今は亡きオズマの爺様が「イヌは良い……」と(しき)りに主張していたのに同意したくなったよ。

 ……俺、イヌ苦手だけどな。顔を舐められるのとか勘弁してください。

 

 それはさておき。

 

 単独でラスダン及びラスボスに挑む破目になった俺だったが、実はコーラがグラトノスに拉致されるというイベントが無かったので、周囲(ネツィブ・メラハ)の損害を気にせず、常時全力で戦えるようになった事だけは幸いだった。

 

 そも、俺はグラトノスに殺された後も記憶と復讐心を失わなかった。

 その影響か、コーラ(わがまま娘)との付き合いが薄かった俺は、復讐の遂行を最優先に行動してしまったため、カスミさんの農場と繋がりを持つことも無くなってしまった。

 結果、ろくでなし(ルーシーズ)どもに、生き返った死体(ブレード・トゥース)が農場に出入りしている事を掴まれるイベントが消失。

 ついでに、魔犬の爺様(オズマ)のとこで、コーラがグラトノスに攫われるイベントも連鎖消滅。

 彼女(コーラ)にとっては幸いなる事に、今でもカスミさんと一緒に平穏な暮らしを営んでいるだろう。

 

 

──閑話休題(話が逸れすぎた)

 

 

 つまり何が言いたいのかというと、中途半端にリアルなここ(・・)では、あらゆるリスクを許容した上で、どんな場所にも主人公に同行してくれるような仲間など、まず見つかる筈が無いという事だ。

 無論、同じ意思……この辺りなら、グラップラーに深い怨恨を抱いており、更にグラップラーを壊滅させるなら命すら惜しまない、ぐらいなレベルの存在がいたら、そいつは最期までレナに付き合ってくれる最高の仲間になってくれるだろうけどな。

 むう……原作のモヒカン機械工(メカニック)は無理そうだよなぁ。確か家族持ちだし。無鉄砲女戦士(ソルジャー)なら可能か? 確かグラップラーに家族を殺されたんだっけ?

 

 

「最低一人は“仲間”を得られるか」

 

 

 どうやら彼女(レナ)はスーサイドな経験をせずに済みそうだ。

 心配しすぎかと苦笑を抑えながら、俺は目的地へと足を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう、今、マドに居るという変態科学者(ミンチの爺様)の所へ……

 

 




Q:あれ? 何でミンチが来てんの? つか何でここにいんの?
A:さあ……なんでなんだろーねぇ

答えろよ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。