3→2R 紅き牙獅子は転送事故に啼く   作:斬風

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・それにしてもメタルマックス系二次って需要薄いなぁ(笑)


06話 どくたーみんちに逢いませう

 

 過去、俺が冒険と復讐の旅をしていた赤茶けた荒野で、それなりに立派な研究室を持っていた自称・電撃蘇生学の権威ことドクター・ミンチ。

 ジャッジメントバレーにあったステイツでも少しは知られた企業のショッピングモールの廃墟、通称「クライングママ」にいた頃は、曲がりなりにも研究室と呼べる設備だったのに、このマドで居を構えているのは、やっつけ仕事で建てられたような天幕(テント)

 

 

「……随分と落ちぶれたなぁ、爺さん」

 

 

 ソレを見て、思わず口から零れ落ちた正直な感想にミンチの爺様は、つるりと禿げあがった額に血管を浮かび上がらせながら声を荒げた。

 

 

「やかましいわっ! それより小僧。おぬし生きとったんか?」

「はあ? 電撃棒に執着するあまりにボケでも誘発させたか? この立派に伸びた二本の足を見てみろよ」

「この減らず口といい、赤線入った鉄面皮といい……ふむぅ、本物のようじゃの。三年(・・)も姿を見せんと思っとったら、海を越えておったのか」

「……は? 三年? 爺さん何言ってんだ?」

「おぬしこそ何をトンチキな……もしや、蘇生の影響で若年健忘でも発症したか? それとも再生術に使った治験薬に副作用でもあったんか? うーむ……」

 

 

 蘇生経験者()狂科学者(ミンチ)は顔を合わせるなり、軽口(ジャブ)の応酬を始める。このようなやり取りも慣れたもんだが、しかし、はて……三年? まさか、こんな事で俺をからかう必要も趣味もミンチの爺様には無い筈だし、仮にこれが本当の事だとすると、少し困った事になりそうだ。

 具体的には俺の戦車コレクションとか……三年も連絡無しでガレージに放置されてたら絶対に所有者死亡の扱いとなって回収されてるんじゃなかろうか。

 というか、あの転送事故……時間すらも越えたとかマジですかァァァ!?

 

 

「俺の主観としては三年も行方不明になってた憶えなどないんだが……まあいい。因みに俺の戦車達……その、やっぱり?」

 

 

 恐る恐るといった感じでミンチの顔を窺う俺に、ハンターの世情には疎そうな爺様ですら耳にしていたのであろう、いかにも沈痛そうな表情をして、答えてくれた。

 

 

「……向こうでは、おぬしはグラトノスや冷血党(クラン)ナンバーズと相討ちになって復讐を果たしたという話になっとるよ。まあ死んだ扱いじゃからな……おぬしのコレクション(戦車達)は“グラトノスレイヤー(英雄)”の使っていたクルマという価値もあったんじゃろうか……回収されてオフィス直属のハンターに貸与されとるという噂じゃ」

「NOォォォォーーーー!」

 

 

 案の定な結末に、俺は頭を抱えて叫んでしまった。

 向こうに帰ったら返してもらえるんだろうか。ちくせう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まあ、この際、過去の事は忘れよう。……で、ミンチの爺さんよ。まさかモンスターだらけの太平洋(・・・)を健康的に遠泳してきたなんて話はなかろうし、どうやってこっちまで? てゆーか何でまたこんな地の果て(旧日本)に?」

 

 

 つーか、それ以前によくもまあ、研究室にあった品々ごと来れたものである。

 生活用品とか商売道具とか、割れ物注意な脳みそ(ローラ)ちゃんとか、もう宇宙人の科学かとしか思えない、地球定常波とやらから電力そのものを共鳴給電するらしい導力受信装置とか。アルトネか? アルトネなのか!?

 特に後者の装置とか、もし普及してたんなら<大破壊>以前の世界とか発電所なんて商売あがったりだったんではなかろうか。

 それともアレか? 実用化されたら色々と困る連中が出るんで歴史の闇に葬られたとかいう逸話があったりするのか?

 ついつい益体もない事を考えながら、爺様(ミンチ)の反応を待っていると、爺様は、ふむ……と何ともマッドらしい鋭角に尖ったカイゼル髭を指で扱きながら瞑目する。

 

 

「<大破壊>前の遺物でな。殆ど知られておらんが、ドッグシステムにインストールする事で、指定座標(・・・・)に直接転送可能になるものがあるんじゃよ。まあ、とある貴重な物質を消費するから気軽には使えんのじゃが……後は衛星端末(BSコントローラー)で、ちょちょいとナビ衛星を勝手に使わせてもらってから人死にが多そうな地域へクルマごと……という訳じゃな!」

 

 

 イッヒッヒ!

 

 なんて、一度聞いたら忘れられそうにない笑声を洩らしつつ、とんでもない事を言い出してくれるマッド爺(Dr.ミンチ)に思わずハッキングかよ……と呟く。

 しかし、良い事を聞いた。その装置なり何なりの情報を聞いて、貴重な物質とやらを集めれば、俺のコレクションを回収する事も可能になるかもしれん……

 

 

「あー、ちなみに、その装置? それかインストールと来るならプログラムか? コピーするなり貸してもらうなりできるか?」

「太平洋などと言い出しよるから、もしやとは思っとったが……おぬし、地味にインテリなんじゃな。普通に大破壊前の用語が出てくるとは、意外じゃったわ」

「……つまり、今までは馬鹿そうだと思ってた訳か」

「イッヒッヒ! まあ、そうジジイを苛めなさんな! して、装置の事じゃが……貸し出すのは無理じゃ。アレはワシの生命線でもあるからの。じゃが、おぬしにとっては幸いじゃったかもしれぬ。アレは元々、この地域にあった軍事施設で運用されておったものじゃからのぅ」

「……というとアシッドキャニオン全域を探すのか?」

「すまなんだが、詳しい場所はもう憶えていなくての……流石に30年近くも過ぎると色々と変わってしまっとるし……む、そういえば確か<ノア>に対する欺瞞工作でドールハウスに偽装されておった筈じゃ。あーなんじゃったかの……そう、【ヘルメス機関】とかいう特務部隊が拠点にしとったわい! いやあ、懐かしいのぉ……」

 

 

 ちょ、この爺さん、ここらに来るの二回目なんか!

 それにしても【ヘルメス機関】に偽装ドールハウスね……ふむ、どうやら俺にも新しい目標の一つが出来たようだな。

 

 

「……おぬしが、そこから<BSテレポーター>を持ってきたら、運用プログラムのほうは、ワシのものからインストールさせてやろう。ああ、ついでに今回も新鮮な死体を見つけたらワシの所に持ってくるんじゃぞ!」

「ちゃっかりしてるよ……」

 

 

 イッヒッヒと高笑いを上げ続けるミンチに軽く挨拶してから、テントの幕をくぐる。

 予想外の所で良い収穫が得られたと、内心スキップするかのような気分で、レナが待っているであろうガレージへと戻る俺だったが──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……その前に、俺専用のクルマ探す必要があるんじゃないか!?」

 

 

 先に気付けよ、と自分に呆れることになるのだった。

 

 




・どーでもいいが、このミンチ……メタルサーガ仕様である。
・ヘルメス機関→(湖が広がる)→なんちゃら機関の島→ヘルメツ島
・コレクション南無!

(2012/07/21 18:45)
 ちと出かける前に、また3話分を加筆修正したりしつつ投稿。
 早々と帰ってこれたら、また寝る前ぐらいに移転作業をしたいなぁ……
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