3→2R 紅き牙獅子は転送事故に啼く   作:斬風

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・レナ、はじめての……
・ジン「なん……だと?」


08話 いいことをきいたぜ!

 

 スナザメをほぼ無傷で平らげた俺達は、スナザメ討伐の証拠映像をiゴーグルで記録し、討伐証明となる特定部位を回収すると、ついでとばかりに使えそうな素材が無いかとスナザメを調べる。

 いかに非常識ワールドとは言え、倒すと死体が消えてアイテムを残すような現象は残念ながらない。実際には倒した後の死体や残骸から使えそうなものを回収(リサイクル)する訳である。

 そうなると、当然ながら問題が発生する事もある訳で……

 

 

「うーむ、使えそうなものは無いな……このサメキバあたりを使って白兵用の武器ぐらいなら仕立て上げられるかもしれんがマトモな素材は期待できんな」

「ええー、ちょっとやり過ぎたかな?」

「あー、まあ、そうだったかもな」

「……肉とか食べられないかしら?」

「生体装甲になってる表皮近辺と機械部分を除けば食えるんじゃないか? サメ肉は大破壊前には栄養豊富で低カロリーと言われてたらしいし……ぶっちゃけ、この小便臭さ(・・・・)を処理できるだけの調理の腕があるかが問題だと思うね」

「そーかもね。それにしてもこれ……本当にくっさいわねぇ」

 

 

 アメーバから取れる「ぬめぬめ細胞」を始め、バイオモンスターの「生体部分(ぶっちゃけ肉だ)」を食って生きているような、逞しき荒野の人々からしても鼻をつまみたくなる臭さ。遺伝子操作でバイオモンスターに変えられた結果、臭いまで強化されてしまったのかと疑いたくなる臭気には流石に辟易とさせられる。

 

 

「……ヒレの部分だけ小さく切り分けて格納領域に保存しておこう。フカヒレの作り方ぐらいなら知ってるから、処理して売ればちょっとした金になるだろう」

「うえぇ、正直アレを入れたら中まで臭くなりそうなんだけど……」

「ブチブチ言うなって。一度似たようなことをした事があるが、別に臭いだの混ざるだのいった事はなかったから問題ないさ。つーか、量子化された上にデータごとに区分けされてるってのに混ざる訳が無い」

「……あんたの解説は意味不明で困るわ」

 

 

 ゲンナリとした表情を浮かべるレナを促して、とっとと切断作業を始める。

 とはいえ、今のレナの力では相応の武器を使わないとスナザメの表皮には歯が立たないだろうから、その仕事は俺が担当する。

 レナのやる事は、俺がスナザメを解体している間、邪魔者(モンスター)が近づかないように警戒することだ。

 ……まあ、結局その後は特に何事も無く、戦利品を回収した俺達はマドのハンターオフィスまで一旦戻る事になったのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うふふ……2000G。山分けしても1000Gかぁ……」

「喜ぶのは構わんが、無駄遣いするんじゃないぞ? 1000Gなんて少し何かに使えば消えるような額でしかないんだからな」

 

 

 初めての賞金首撃破と、ズッシリとした重み(賞金)に舞い上がっているレナに軽くクギだけは差しておいて、俺はハンターオフィスの担当者と話を続ける。

 トリップしているような有様のレナが俺の言葉を、どの辺りまで聞いているかは兎も角、今はこっちのほうが大切だ。

 

 

「……で、旧北米区<ジャッジメントバレー>近郊のオフィスに連絡は取れないと?」

「はあ……というより、私どもの利用できる衛星回線網(BS-NET)は、日本国内のものだけでして……専門家の話ではノアによるネットワーク破壊の影響ではないかとの事です。まあ、正直な所、似たような質問が<大破壊>後に何度もあったそうですが、私どもとしましては残念ですがどうにも……」

 

 

 言葉遣いだけは慇懃(いんぎん)だが、もはや対応がマニュアルと化しているような質問だったのだろう。オフィス員の表情は、いかにも面倒そうな様子だ。

 考えてみれば、それも当然かもしれないな。<大破壊>で日本国内に取り残された外国人だって、当時はかなりの数だったろうし、比例して問い合わせも多かった事だろう。

 昔はハンターオフィスという形で無かったにしても、元・通信会社や様々な情報機関が合体してできたであろうオフィスの者からしてみれば、俺の質問は「どうして今更」としか思えなくても仕方が無いかもしれない。

 

 

「BS-NETで外国との通信ができないのは分かった。だが、国内の通信環境が生きてるなら、国際転送ターミナルの情報ぐらいは手に入るんだろうな?」

「残念ですが、そこまで詳しい情報は……確かに過去、そのような施設があったと聞いたことはありますが、<ノア>の勢力圏内という場所が場所なだけに大破壊後の無事を確かめたという話は耳にしませんね。転送ネットワークからも隔離されているようですし、それを求めて大破壊後の荒野を彷徨うぐらいでしたら、いっそ転送装置を長距離仕様に改造でもするほうが楽かもしれませんよ?」

 

 

 まあ、転送装置を改造できるような旧時代の科学に詳しい方が居ればですが。と続けるオフィス員に「役に立たんヤツめェ」と脳裏のベアード様がモワモワさせられたが、無理を言っているほうは俺なので押さえ込む。

 やはりミンチ爺様の情報に従うほうが一番の近道な気がしてきた。

 

 

「……もうその辺りはいい。せめて近場でクルマを入手できそうな情報はないか?」

 

 

 半分諦め気味に問いかける。

 もーどーにでもなあれ! と言わんばかりの俺だったが、オフィス員は軽く考えるかのような様子を見せてから掌をポンと叩いた。

 

 

「ああ、そういえば、マドから東の辺りにあるトレーダーキャンプの人が金に困ってバイクを手放したいとか言っていたらしいですね」

「なん……だと?」

 

 

 思わず劇画調の顔になってしまいながら呟く。

 オフィス員が知っているようなら、どこかの賞金稼ぎ(ハンター)に知られていてもおかしくはない。

 金で買えるのなら俺としては何の問題も無い。むしろ、素直に金で買えることの方が少ないこの時代では、とんでもない良い話だ。

 何気にとんでもない情報を齎したオフィス員に大破壊前の高級酒を無理やり手渡すと、俺は未だにトリップ中のレナを放置したままにマドの町を飛び出した。

 

 




・黒バイは俺のもんだァァァ!

そして短距離ならチーター以上の速度で走るケダモノ野郎が降臨(笑)
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