・ジン大暴走
・なんでこーなった!
「ハッハァー! そう、これだこれェ!」
風を切る感覚と、腰の辺りから伝わってくるエンジンの駆動。メタルマフラーが奏でる重厚な排気音。この地での新たなる相棒となったストレイドッグのハーレーダヴィッドソンにも似た
文明社会で不自由無く生活し、だが、数え切れないほどの
ありとあらゆる意味での強さが無ければ屍と成り果てる、弱肉強食の理に囚われたとしても、この
時折、残された前世の残滓が、この無法で暴力的な観念に弱々しい抵抗感を示す……が、殺し殺され喰らい合う修羅か羅刹の世界を
ぶっちゃけ、ドライバーズハイってヤツである。
「オラァ! 邪魔だ邪魔だァァァ!」
相棒の咆哮に刺激されたか、それとも人類の臭いに排除欲求でも刺激されたかは不明だが、行く手を遮るように数体のバイオモンスターが姿を見せる。
だが、知るがいい……今の俺と相棒の目の前に立ち塞がることの愚かさを!
自分以外には誰もいない荒野のド真ん中。獲物と俺だけの空間で、たぶん俺の口元は猛獣が威嚇するかのような笑みが浮かんでいただろう。
非武装だが、それゆえにこの世界のクルマとしては極め付けに
ただそれだけで、全ての雑魚どもの攻撃は悉く外れさる。まるで、中らない事こそが絶対の運命であったかのように。
そして、より一層の加速を見せる相棒の上で、何時の間にか構えられていた
グレネード装着時、5kg近い重量を持つソレはごく一般的な兵士には負担であろうが、この世界で鍛えられた存在にとっては片手で振り回そうが、フルオートの反動だろうが電動エアガンの反動と大差は無い。
そんな馬鹿げた腕力と強靭さに支えられた豪腕に構えられる銃から放たれる死の弾丸が、的確にモンスターの急所に叩き込まれ、一切の例外なく肉片へと変えていく。
たかだか4g程度の鉛弾が、まるで「俺は滑空砲にも負けねーぜ!」と自慢げな表情をしているのが感じられそうな
そのような巫山戯た攻撃に、この周辺に出現するような雑魚が一瞬たりとも耐え切れる筈も無く、俺がそいつらの横を通り抜ける頃にはキレイさっぱりと荒野の肥料(こやし)に成り果てていた。
「ふはははァ……今日も地獄は満員だァァ」
後で考えると、何でここまで暴走していたのだろうかと首を傾げんばかりのハイテンションに気付く事も無く……今はただ
「……で? 言い訳ぐらいは聞いてあげるわよ?」
「サ、サーセン」
「あ゛ぁん?」
「誠に申し訳ございませんデシタァァァ!」
御機嫌極まる
トリップしてしまっていたとは言え、知らぬ間に問答無用の
そんな時に、俺が如何にも御満悦といった様相で戻ってきたものだから、その瞬間にナニカのゲージが振り切れてしまったのだろう。人外の域に達して久しい俺の剛体が、無拍子かと感嘆せんばかりの見事さで繰り出された、
「いや……な? クルマ入手の機会を見逃すのはハンターとして問題がある訳でしてね?」
「ウルサイ……少し黙りなさイ、ネ?」
ちょっと理由付けをして頑張ってみたが、やはり怒った女(レナ)が言葉だけで機嫌を直すはずも無く、大人しく貢物を献上する事にする。
ダメンズウォーカーなM女じゃあるまいし、一度ヘソを曲げた女性が男の小賢しい言い訳だけで
こういう時、男のやれる事は悲しいまでに少なかったりするが、それでも
……って、おかしいな? 俺はレナと男女的な意味で交際(おつきあい)している訳じゃないのに、何でこうなった! 何でこうなった!?
いよいよ混乱の極致に至ろうかという内面に対して、あくまでも
そんな顔でスッと差し出された献上物を怪訝な目で見ているレナに、そっと手渡す。
「……何よこれ?」
「ファイバーイヤホンだ。音波耐性が得られると同時に、コードをiゴーグルに接続すれば登録した周波帯(バンド)同士でクリアな遠隔通話が可能になる……まあ、謝罪の気持ちって事で、ここはひとつ」
「こんなので誤魔化されないわよ! と言いたい所だけど……ま、今回はこれで許しといてあげるわっ」
意外な程にあっさりと態度を変え、嬉しそうにファイバーイヤホンを装着するレナ。貢物をスンナリ受け取ってくれたのはありがたいが……なんで嬉しそうにしてるんだ?
ひょっとして……担がれたか?
いや、だが、あの怒りっぷりは本物だった。
前の世界に横行していた【見せられないよ!】どもなら、確実に過剰なレベルの謝罪御遍路と高級埋め合わせコースがセットで要求されかねない。
まあ、そんなヤツは此方としても願い下げだが……うぅむ。これは大破壊後の女性がカラリとした性格なのか、レナ個人が後に引き摺らない性格なのか。やはり女性の事は良く分からんな……
それにしても、レナに対して資金や装備的な協力はなるべくしない予定だったが、いきなり例外が出てしまったか。
ま、
「……あ、でもアンタ一週間は
「ぎゃぼーーーーーっ!?」
・ジンは既に調教され始めているようです(ぇ
・オアズケ! ケダモノには相応しい言葉だよね!