大空へ。   作:偽帝

1 / 3
第一羽

北小町高校、放課後の体育館。

 

 

体育館を独占状態のバドミントン部はそれぞれ準備すると、一人の下に集まる。

 

 

他の部活が使っているわけではないが、こうも密集するとなんだか息苦しい。

 

 

(わざとなのか・・・?)

 

 

北小町高校三年生・七川燐(ななかわりん)はじゃ○りこを食べながら、集まった面子を見渡すと言った。

 

 

「えー、じゃあ、いつもどおり出席確認しまーす」

 

 

ボリボリボリと音を立てて飲み込むと、一人ずつ名前を呼んだ。

 

 

「なぎさ」

 

 

「ん・・・」

 

 

同じく三年でバド部主将の荒垣なぎさは、なにかムスッとしながら返事をした。

 

 

「悠」

 

 

「ふぁいッ!!っと、!!」

 

 

二年の海老名悠(えびなゆう)は元気良く手を上げて返事をした後、燐に向けて言った。

 

 

「燐先輩、私にもそれ、下さい!」

 

 

悠は人差し指で燐が片手に持っているじゃ○りこを指差した。

 

 

「・・・ほい」

 

 

燐は持っているじゃ○りこを悠に向けた。

 

 

するとパアアッと満面の笑みで悠はそこから何本か取った。

 

 

「ありがとうございますっ!」

 

 

片手にじゃ○りこを持ちながら悠は90度ピシっと礼をすると、座った。

 

 

「妹」

 

 

「はぁい・・・」

 

 

悠の隣に座っている伊勢原空(いせはらそら)ゴホゴホと席をしながら返事をした。

 

 

燐にはどうしてもその咳がわざとらしく見えた。

 

 

「兄」

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

「・・・・・・・・・なあ、同学年なんだからさあ何か言ってくれよ、頼むよ」

 

 

燐はしゃがんで伊勢原空の兄、伊勢原学(いせはらがく)に問いかける。

 

 

しかし声を発さずに頷くと、下を向いて顔を隠した。

 

 

(何に対する頷きだ・・・?)

 

 

燐はそう思いながら、また立った。

 

 

「はぁ・・・テル」

 

 

「ちょ、ちょっと!」

 

 

ため息混じりに燐が読み上げると、葉山行輝(はやまゆきてる)は勢い良く立ち上がった。

 

 

「燐先輩!ため息ヒドイっすよ、俺何もしてませんよね!?」

 

 

必死に迫ってくる行輝だが、燐はそれを全く気にせずに言った。

 

 

「ああ、してないしてない。たまたまため息入っただけだから、気にすんな」

 

 

燐はそう言うと、別のお菓子を取り出して行輝にあげた。

 

 

「ありがとう、ございます・・・」

 

 

燐からお菓子を受け取った行輝は、見たことのないパッケージをいろいろな角度から眺めていた。

 

 

「で・・・」

 

 

燐は体ごと、次の人の方へ向けた。

 

 

「理子、と」

 

 

「はい!」

 

 

ラケットを持ちながら泉理子(いずみりこ)は笑顔で返事をした。

 

 

「じゃ、れんしゅー開始ー」

 

 

燐が言うと同時に皆、立ち上がって練習を始めた。

 

 

燐は練習風景をお菓子を食べながら見ていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。