先輩がかわい過ぎる
後ファルザン小説もっと増えて
学生生活、楽しみたかった…
もっと学校内を探索したり、購買のおっちゃんと仲良くなって耳寄りな情報を得たり、放課後に教室で遊んだり、そんな如何にもな学生生活、1度きりの時間を目一杯楽しみたかった。
だけど、そんな幻想はいともたやすく打ち砕かれた。
独占欲の強い奴に目をつけられ、窮屈な1週間を過ごし、他の誰とも仲良くなることが出来ないまま関係は拗れ、心が砕かれて学校には行かなくなった。
小学校の頃とは違う楽しい要素がふんだんに詰まってるとばかり思っていた。事実それは正しいのだろう。
だが、対人関係はまた別の話である。
中高一貫校に通うことを決断したのが運の尽きだった。
高3まで
不登校になって家ではゲームに没頭した。
勿論それが逃げであることは自覚していた。
これでも周りより頭は回る方だった。
だから自分は閉じ籠ったし、親は何も言わなかった。
取り分け好きだったゲームがある。
「原神」だ。
グラフィックの美しさ、沢山の魅力溢れるキャラ、モチーフとなった国をとことん調べ尽くして造形された7つの国、素晴らしいクオリティを持つゲーム音楽の数々。
どこを取っても1級の出来であることは間違いなかった。
家族みんなで原神のゲーム音楽の良さに酔いしれることだってあった。
そんな原神のキャラの中で、1番好きだったのがファルザンだった。
綺麗な顔立ちに洗練されたデザインの服飾、性格に滲み出る少女な部分、その他様々な魅力に惹かれてしまったのである。
ファルザンは教令院という教育機関の元学生であり学者だった。
ファルザン自身は勿論、同期の者はさぞかし楽しかったことだろうと思う。
まぁそこまで設定を練ったのかは不明だが。
学生生活を楽しみたかったという話に戻ろう。
いや、これを考えると辛過ぎる。あ、ファルザン先輩。
原神を起動して暫くプレイしてから眠りに落ちた。
─
最初に感じた感覚は、暑い、ということだった。
目を開けると炎が広がっている。早朝故の眠気は吹っ飛んでしまった。
窓から飛び降りたとて、下は堀みたいになっている。確実に溺死する。先ず俺は泳げない。
「熱ッ!」
とても移動出来たもんじゃない。掻い潜って生き残る人もいるが、足が竦む。どちらにせよ熱さに苦しむのは明白である。でも、足が動かなかった。
「──!」
名前を呼ばれた。母親の声だ。
「大好き!」
まさかとは思ったがそのつもりみたいだ。
部屋が違うせいで俺に止める権利はない。
窓から外を見ると、暗くて分かりづらいがこの家に向けて火を放っている人がいた。
危うく目潰しされるところだった。眩い光で。
熱くてどうにかなってしまいそうだ。
死を自覚した途端体がそれを受け入れたのか、すんなり動けるようになった。
「まだ燃えてない…やった。」
テーブルの上に置かれたファルザンのグッズを手に、優しい水を待った。
「ありがとう!!」
それが最後の言葉だった。ホントに最後この言葉を言うとはね。
…
……
「ん…?」
路上で寝ていたみたいだ。少し伸びをして立ち上がる。
「あれ、お前そんなとこにいたのか?」
「え?」
「ぼーっとしてたよ。考え事か何か?」
「いや、何しようとしてたんだっけ?」
「入学式に行くんだろ。まさかずっと同じとこに通うなんてな。」
この言葉を発端に、過去の記憶を思い出す。
あれ、大事なことを忘れてるような。
森の中の道を歩くと、大きい建物が見えてきた。造りは赤を基調としたレンガ造り、中々立派である。
同年代らしき人が続々と校門に入っていく。
「それぞれ学生生活楽しんで行こぜ!」
そう意気込んで3人は校門に入っていった。
─入学式。
外でやるみたいだが、たった1学年にも関わらず相当な人の数がいた。
ざっと700人以上はいるだろう。
クラス毎に列を形成しているとのことだったので、先ずは自分に該当するクラスの列を探す。そのときだった。
──!
一目惚れだった。エメラルドグリーンの艶やかな髪、腕に掛けている三角の物体、ステンドグラスのような美麗なスカート、そして、華奢でかわいらしい容姿。
その全てに心が惹き付けられていた。
「何じゃ、ワシがかわいいじゃと?お世辞は別に言わなくても良いぞ。」
「いや、俺は『似合っているな』と言った筈なんだが。」
はっと我に返って辺りを見回してみると、自分の水筒を他の人に飲ませようとする人がいたり、
「この紅き礼服は、幽夜浄土に赴くにあたって実に相応しい服装だわ!」
変な人とそれを冷めた目で見ている人がいたり、眩い光を放っている人がいたり、かわいらしいキーホルダーを見せ合いっこしている人がいたり、沢山の人が集まっていた。
髪飾りに梅の花を着けている人に、自分のクラスがどの辺に集まっているのか訊いてみる。
「あそこのアホ毛がある灰色の髪をした人を目印に、そこで形成されてる列に行けば良いと思うよ!」
「ありがとう。」
向かおうとしたその瞬間に、梅の花を着けた人に呼び止められた。
「私は違うクラスだけど、君の名前は何て言うの?」
「…珊芽。」
「よろしく!私は胡桃!」
そんなこんなで列を形成しているところに自分も並ぶ。
同じ列には、他にもさっき水筒を飲ませようとしていた人や、だるまになっている人、それを転がして遊んでいる人、てか、また飲ませようとしてる…
その他さっきからずっと海月と本を読んでいる人がいたり、様々な人が並んでいた。
入学式が始まったようだ。辺りが静寂に包まれる。
「──学校新入生の皆さん、本校に入学すると──とで、大変喜ばしく思っております。」
所々、滑舌の問題なのか上手く聞こえないことがあるが、あまり気にならなかった。
あっという間に入学式は終わり、教室へ入っていく。
ざっとどんな人が同じクラスになるのか確認していると、一目惚れした相手も同じクラスのようだった。
そうしてゆったり過ごしていると、近くから呼び掛けられる声がした。
声の主の方を向くと、丁寧に挨拶してきた。
「私は、ヨォーヨと申します。あなたの名前は何ですか?」
「ん?俺は珊芽。よろしく。」
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
こうしてみると、幅広い世代が学ぶ学校らしい。
そうこうしている内に担任が入って来て、話を始めようとする。
「私はセルアートだ。」
そうして話が進んで行き、各々の自己紹介も終わり、各自解散となった。
一目惚れした彼女の名前はファルザンというらしい。
せっかくなら話し掛けに行ってもみたいが、他の人との会話を邪魔するまいとして、帰ることにした。
ヨォーヨの鞄からキーホルダーが見える。さっき見せ合いっこしていた1人は彼女だったのか。
森の中の道を1人、帰って行った。
夢で見た話を膨らませたらこうなりました。
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翌朝既に、珊芽は2人の友達や700人以上の人だかりの内一部の記憶をなくしています。
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