茜がアルカディアに戻ってきた時、腐敗教団の長・冬城吹雪と対峙する。
彼らは日常生活を楽しみ、特に茜はカレーを食べる事で元気を取り戻す。
仲間達と共に、自分達を狙う敵を倒すために四神の力を借りる事を決める。
それぞれが異なる国に向かい、神々の力を得るための旅を始める。
腐敗教団の四神官と長の冬城吹雪に対抗する力を求めるため、
茜達はバラバラに分かれて四柱の神がいる場所に向かった。
まず、ガルバ帝国に行ったのは、デリサルだ。
デリサルは高い山を登った先にある、白虎の雷鳴城に突入していた。
そこに行くまでの道のりでデリサルは怪我をして、身体のあちこちに傷がついていた。
それでも神を求めるべく、彼は怪我をものともせずこのダンジョンに突入したのである。
「いててて……なんつー仕掛けだよ、ここ」
デリサルは白虎の雷鳴城の仕掛けの前に苦戦し、身体が傷だらけになっていた。
動き続ける雷や電気を避けるのに苦戦したという。
さらに、魔物も半人半鳥の魔獣ハーピーや、
天から雷を落とす精霊ラゴプスなど、高い場所から一方的に攻撃してくるものばかりだ。
レイピアでは空を飛んでいる魔物に攻撃が届かず、
ショートボウくらいでしか攻撃手段がなかった。
「でも、レイが決めた事だからなぁ……しっかり、白虎を探さないとな!」
腐敗教団と決着をつけるために四神を求める。
その決意のもと、デリサルは白虎の雷鳴城の中を進んでいた。
魔物は多く、仕掛けも手ごわかったが、デリサルはそれでも攻略を続けた。
「よっ、ほっ、せいっ」
デリサルは飛んでくる雷を避けながら、白虎の雷鳴城の奥に進む。
そんなデリサルに雷を纏った幻獣、エレクトリックラットが飛び掛かってくる。
普段は大人しいエレクトリックラットだが、
白虎の力によって問答無用で侵入者を排除しにかかっているようだ。
「くぅっ……!」
エレクトリックラットがでんこうせっかの後に、電撃を浴びせて痺れさせる。
そこにエレクトリックマウスが群がり、電撃でデリサルを倒そうとした。
「させるものかよっ!」
デリサルは身体が痺れながらも、電撃が地面を吸収するように這いつくばる。
いくら電撃であっても、吸い込まれればダメージにはならないと思ったからだ。
「そう簡単には、逃がしてくれないみたいだな……」
身体を引きずりながらデリサルはエレクトリックマウスから逃げる。
そして、ポーションを取り出して飲み干し、身体の痺れが取れるのを待った。
周りに魔物がいないのを確認し、痺れを取った後、デリサルは雷鳴城の奥に進んでいった。
やがて奥に進むと、鍵穴がないドアを見つけた。
ドアの近くには、規則的に並んだ点が床に描かれていて、何かの言葉を表しているようだ。
【光なき瞳で映る文字を表せ】
石板にはそう書かれていて、その近くには文字を入力するコンソールがある。
デリサルは仕掛けを見て、間違えると電撃が走るとすぐに見抜いた。
「んじゃ、解かなきゃな……ええっと……」
ちなみに床には、このような点が描かれている。
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● ● ●● ●●
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「ん~? なんだ、この字は……えぇっと……」
デリサルは床に描かれた文字をじっと見やる。
周りにエレクトリックマウスやエレクトリックラットがいないのを確認しつつ、
床を確認し、コンソールで入力に入る。
「確か、こういうのだったような……」
デリサルが答えの文字を入力すると、ドアは小気味よい音を立てて開いた。
「おっしゃ! この調子だな!」
そう言ってデリサルは、ドアの奥へ走り出した。
こうしてデリサルは仕掛けを解きながら、白虎の雷鳴城を攻略する。
雷の精霊ラゴプスは物理攻撃が効かないため、デリサルはラゴプスから逃げながら奥へ進む。
エレクトリックマウスやエレクトリックラットは、気づかれないように弓矢で無力化させた。
再び鍵穴がないドアの前に辿り着いたデリサルは、床に描かれた点を確認した。
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● ●● ●
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前後には、このような点が描かれている。
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「えー、今度は何が書かれてるんだ? また五文字みたいだけど……でも、あの文字はなんだ?」
デリサルは今までよりもさらに慎重に調べる。
間違えたらダメージを受けそうな気がするので、とにかく点をじっと見続けた。
すると、デリサルを邪魔するように、彼に向かって電撃が飛んでくる。
「うわっと、邪魔だな!」
その電撃を飛ばした魔物、エレクトリックマウスにナイフを投げつける。
魔物にナイフが刺さると気絶し、デリサルは調査を再開した。
「あ、よく見たらこれ、何かの前後じゃないか。じゃあ、これを解いたら……よし!」
床の点の謎を解いたデリサルは、答えをコンソールで入力する。
すると、ドアは再び小気味よい音と共に開いた。
「これで残るは多分白虎だな。待ってろよ、白虎!」
そう言って、デリサルはドアの奥へ進んでいった。
「な、なんだこいつは!?」
白虎の雷鳴城の奥に待っていたのは、
白い身体に四肢に赤い模様が描かれた、デリサルの二倍ほどはある巨大な虎だった。
通常ではあり得ない虎の姿に、デリサルは驚く。
「よぉ! オレは四神の一柱、秋の白虎だ」
「あ、お、俺、いや、自分は、デリサルです」
「おいおい、そんな堅い口調になるなよ」
白虎のフランクな態度に、デリサルは気を抜いたように態度を和らげる。
そして白虎はコホン、と咳払いする。
「どうやら魔物どもが本格的に騒ぎ出したみたいだ。
その大陸にいないはずの魔物がいたり、大人しかった魔物も凶暴になっちまったり……」
「間違いなく、腐敗教団の仕業だな。
その腐敗教団を止めるために、白虎様の力を貸してほしいが……」
「あ~、『様』付けなんてちょっと堅いなぁ。無理に敬語なんて使わなくてもいいって」
デリサルは腐敗教団を止めるべく、白虎に力を貸してもらうように言う。
相変わらずフランクな口調だったが、態度はいたって真剣だった。
「でも、オレだってお前にタダで力をあげるわけにはいかない。オレに勝ったら認めてやるよ」
「ま、当然だよな」
白虎は戦いを示すかのように身体に強い雷を纏う。
デリサルも、白虎と戦うべくレイピアを構える。
今、二人の一騎打ちが始まろうとしていた。
「さあ、勝負だぜ!」
「望むところだ!!」
白虎との戦いが始まると、いきなり白虎が強烈な電撃を周囲に放った。
デリサルは避け切れず、電撃を食らってしまう。
「いてて……やるじゃないか。だが勝負はこれからだ、ピアシングフルーレ!」
デリサルは勢いよくレイピアを白虎に突き刺し、白虎と距離を取り、ショートボウを構える。
攻撃を食らわないように弓を引き絞って矢を放ち、白虎の身体に矢を刺してダメージを与えた。
そしてデリサルは何かを白虎の足元に投げつけた。
「へへへ、こっちだってただ攻撃を食らってるだけじゃあないんだよな!」
すると、白虎は竜巻を起こしてデリサルの身体を浮かせ、地面に叩きつける。
何とか立ち上がったデリサルは再び弓を構えるが、雷が落ちて集中力が削がれてしまう。
その隙に、白虎は爪を振りかざしてデリサルを切り裂いた。
「なんちゅー攻撃だ……痛ぇ」
「そう簡単に四神を倒せると思うなよ? ライトニングシャワー!」
「ぐあぁぁぁぁっ!」
白虎が咆哮を上げるとたくさんの雷がデリサルを打ち据える。
大ダメージを受けたデリサルは地に伏せ、その表情は白虎には見えなくなった。
「ま、所詮ヒトの力はこんなものか。それじゃあ、君は早くお家に帰り……」
「かかったな!」
「何っ!?」
地に伏せたデリサルが叫ぶと同時に、突然、白虎の足元で爆弾が起爆した。
白虎は反応できずに攻撃を食らってしまう。
実はデリサルはショートボウで白虎を攻撃した後、
白虎の足元に起爆する罠を仕掛けておいたのだ。
盗賊の彼らしい、狡猾な罠である。
「そらよっ!」
起爆で怯んだ白虎に、デリサルは疾風のようにレイピアで連続突きを繰り出した。
白虎はひらりと身をかわし、雷を落として反撃しようとする。
「おっと!」
デリサルは後ろに下がって雷をかわし、そのままレイピアを白虎に突き刺した。
その一瞬の隙を突いてデリサルは白虎に乗り、
その首目掛けてレイピアを突き刺し、そのまま白虎を戦闘不能にした。
「ふー、流石だな、お前!」
「こんなに緊張したのは久しぶりだな」
白虎とデリサルの戦いが終わり、お互いにすっきりした表情であった。
それは決闘というより、スポーツのようだった。
白虎は澄んだ瞳でデリサルを見ながら口を開く。
「というわけで、オレに勝ったからその証として、秋雷の結晶をやるよ」
すると、白虎は黄色い水晶を取り出し、デリサルに渡した。
水晶の中は雷が舞っており、バチバチと音を立てている。
「ほう、これが秋雷の結晶か。売ったらいくらに……いや、それは冗談だ。じゃ、俺はこれで」
「ちょっと待て」
デリサルが帰ろうとすると、白虎が彼を止める。
「もしあいつらが妄執してるなら、絶対に止めろよ」
「ああ、もちろんだぜ!」
デリサルと白虎はお互いに別れを告げ、白虎はそっと姿を消すのだった。