魔導師のレイは腐敗教団を止めるべく、水を司る四神・玄武が住む迷宮を探索する。
迷宮内は水流や氷の仕掛けが多く、レイは魔物と戦いながら進む。
途中、知識を試す問題に挑み、最後に玄武との一騎打ちに勝利する。
勝利後、玄武から厳冬の結晶を授かり、レイは迷宮の攻略を終えるのだった。
こちらは、デザードラド王国。
そこに来ているのはアエルスドロであり、
アエルスドロは朱雀の力を得るべく、朱雀の火山洞窟に突入しようとしていた。
道中には魔物がたくさんいて、アエルスドロは苦戦しながらも何とか突破した。
「よし、火山洞窟に行くぞ……おおっと!」
滑りそうになったアエルスドロは、何とか体勢を整えて火山洞窟に突入する。
洞窟の中は暑く、溶けてしまいそうだった。
「うぅ……流石火山洞窟だ。溶けてしまいそうだ」
ここは日光が通らないため、ダークエルフは問題なく活動できる。
だが、あまりの熱さに、アエルスドロの体力が減りつつあった。
「なんという熱さだ。少しは涼しくなればいいが……ん?」
アエルスドロが涼もうとすると、目の前にレバーと熱気を放つ壁があった。
それを倒すと、何だか空気が涼しくなったような気がして、熱気を放つ壁が消えた。
「お、涼しい。少しは熱気がマシになったようだな。さて、先に進む……うおっ!?」
アエルスドロが先に進もうとすると、今度は冷気を放つ壁に阻まれてしまった。
「このレバーが熱気と冷気を制御するのか? なら、道に応じて倒す方向を変える必要があるな」
アエルスドロはレバーを左右に倒しながら、火山洞窟の熱気と冷気を制御する。
道中では炎を吐く蜥蜴のヒマワリザードや、
炎の精霊サラマンダーがいたが、アエルスドロは何とか剣術で退けた。
ヒマワリザードはアエルスドロに向かって炎の玉を放った。
アエルスドロは盾で防御し、反撃のチャンスを狙った。
ヒマワリザードは爪や炎のブレスで抵抗したが、アエルスドロの剣技に敵わず倒れた。
ツィートバードは歌を歌って眠らせようとしたが、アエルスドロは耳を塞いで耐えた。
その後、ツィートバードは風を起こしたが、アエルスドロはレバーを倒して空気を冷たくした。
ツィートバードは寒さに弱く、動きが鈍くなり、その隙にアエルスドロは斬りつけて倒した。
マグマスライムはアエルスドロに向かって足払いと炎の玉を使った。
アエルスドロは盾で防御しながら近づき、レバーを倒して空気を熱くした。
熱に弱いマグマスライムが溶け始めると、アエルスドロは溶けかけのスライムを一刀両断した。
「ふう、流石は火山洞窟だな。熱くて参ってしまいそうだ。さて、朱雀はどこにいるのか……?」
やがて火山洞窟の最奥に、尾も赤くなっている、全身が真っ赤で炎に包まれた鳥が浮いていた。
鳥は慈しむような瞳をアエルスドロに向けている。
「あなたが朱雀……か」
「ええ……。私は夏と炎を司る神・朱雀。あなたは私の力を求めに来たのですね?」
朱雀はその瞳に違わない、たおやかな声で話す。
「はい。腐敗教団から国を、いえ、世界を救うためにあなたの力を借りに来たのです」
「そうですか……しかし、神の力はヒトの手には及ばぬもの、簡単に貸すわけにはいきません」
「ですよね……」
朱雀を含めた神の力は、それ一つで世界を変えると言われるほど強力だ。
間違ったものにそれが渡れば、世界は大変な事になるだろう。
それを理解している朱雀は、条件付きでアエルスドロに力を貸す事にした。
「私の力を得るためには、私と戦って勝たなければなりません」
「ふっ……準備はできている。君に力を示せ、というわけだな!」
「当然です……では、行きますよ!」
朱雀は大きな翼を羽ばたかせると、アエルスドロに戦いを挑んだ。
「たぁぁぁぁっ!」
アエルスドロは盾を構えながら、朱雀に突っ込む。
朱雀は翼をはばたかせ、高熱の炎を放って迎え撃ったが、
アエルスドロは盾で朱雀の攻撃を防いだ。
しかし、盾は炎によって熱を帯びていき、それを通してアエルスドロの腕にも熱が伝わった。
「あなたの攻撃はその程度ですか……?」
「流石は四神の一柱といったところか。だが、この程度で折れる私ではない!」
アエルスドロは朱雀に向けて剣を振りかざす。
朱雀は素早く身をかわすと、炎の玉を放った。
アエルスドロは盾で炎の玉を弾き返したが、その隙に朱雀は空に飛び上がった。
「逃がすか!」
アエルスドロは飛び上がって朱雀を斬ろうとしたが、
朱雀は翼をはばたかせると、紫の霧を周囲に放つ。
霧で周囲が見えなくなり、アエルスドロは混乱してしまう。
「どこだ……どこにいる!」
アエルスドロは周囲を見回したが、朱雀の姿はどこにもなかった。
暗視能力を持つダークエルフだったが、霧まで見通す事はできなかった。
その時、アエルスドロは背後で高熱を感じた。
「な、何が起こったんだ!?」
次の瞬間、アエルスドロに炎の嵐が襲ってきた。
「ぬあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
アエルスドロは炎の嵐に巻き込まれ、大ダメージを受けた。
体中が火傷で焼けただれ、火山洞窟の中なので息も苦しくなっていた。
「これが……神の力か……」
アエルスドロは倒れそうになったが、意地で立ち上がった。
彼はダークエルフでありながら善良な心を持ち、
腐敗教団を止めるために朱雀の力を手に入れようとここまで来ていた。
茜を含めた大切な人を守りたい……その誓いが、アエルスドロを動かしていた。
「どうしました? ここで降参しますか?」
「そんなわけないだろう……。私は、負けられない……!」
朱雀は降参を促したが、当然ながらアエルスドロはそれを断った。
アエルスドロは剣と盾を握り締め、再び朱雀に挑んだ。
朱雀は頷くと、翼をはばたかせて高熱の炎を放つ。
アエルスドロはそれをかわして剣で朱雀を突いた。
「これで終わりだ。スウィフトブレード!!」
アエルスドロの剣が三角形を刻み、朱雀の身体を切り刻んでいく。
猛攻を受けた朱雀の身体から炎が飛び散り、熱気が見る見るうちに小さくなっていく。
そして熱気が完全に小さくなると、朱雀は戦闘不能になった。
「や、やった……勝ったぞ……」
アエルスドロは朱雀に勝利し、疲労からかぺたりと座り込んだ。
そんなアエルスドロを労うように、朱雀はゆっくりと彼に近付いた。
「お疲れ様です、戦士よ……。よくぞ、私に勝利しましたね」
朱雀はアエルスドロの勝利を認めた。
ボロボロになりながらも神を退けたアエルスドロを朱雀は大いに評価した。
すると、朱雀の身体から赤い結晶が現れ、アエルスドロの手の上に乗る。
結晶の中では、熱そうな炎が渦巻いていた。
「これこそが私に勝利した証、盛夏の結晶です」
「……これが盛夏の結晶、か。朱雀、ありがとうございます」
アエルスドロは朱雀から盛夏の結晶を受け取ると、朱雀の火山洞窟を立ち去ろうとした。
その時、朱雀が「待ちなさい」とアエルスドロに声をかける。
「ヒトには死すべき運命《さだめ》という贈り物があります。時が来れば、死によって現世を去ります。
残された者は悲しむでしょうが、必要以上に、死を恐れてはならないのです」
「……それが、どうかしたのか?」
「死を恐怖の対象と捉え、不死を求めようとすれば、待つのは破滅のみ……。
不死は、我々神や精霊以外には得てはならぬものなのです」
朱雀によれば、ヒトの魂は時が来れば死によって世界を去っていく運命にあるという。
それに逆らえば、大変な事になると言っていた。
「どうか、不死を求める哀れな者を止めてください。私が言える事は……これだけです」
朱雀は不死鳥と同一視されているのか、生死に関して敏感なところもあった。
アエルスドロは訳が分からなかったが、朱雀の言う事には従おうと頷いた。
「分かりました。必ず、腐敗教団は止めます。朱雀、信じてくださいね」
「ふふ……あなたは闇の種族でありながら、あなたの瞳には穢れがない。
当然、私はあなたを信じますよ……では、ここで待ちなさい」
「……?」
「私が入り口まで送ってあげますからね」
朱雀が翼をはためかすと、アエルスドロの姿は朱雀の火山洞窟から消えた。
「ヒトは世界に縛られる存在ではありません。世界からの解放、それこそが真なる自由なのです」
朱雀だけが残った火山洞窟で、朱雀はそう呟いた。