百夜茜が理想郷に転生した件   作:アヤ・ノア

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~前回までのあらすじ~

腐敗教団に対抗する力を求めて、茜は青龍が住む塔に向かった。
青龍の風塔に挑んだ茜は、試練を乗り越えて青龍と対峙する。
激しい戦いの末、茜は青龍を倒し、春風の結晶を手に入れる。
四神の力を宿した杖を手に、茜達は腐敗教団との決戦に挑むのだった。


第27話 ぶつかるゴウワン

 四神から力を借りて新たな杖を手に入れた時、上空から禍々しい城が現れた。

 恐らくそこが、腐敗教団の本拠地なのだろう。

 

「いよいよ突入ですね……」

 茜はスタッフ・オヴ・フォー・ゴッドを構える。

 ここに乗り込み、腐敗教団を止めなければ、この世界に未来はないだろう。

「皆さん、準備はできていますか?」

 茜は杖を持ちながらアエルスドロ達に声をかける。

「無論、できている。君がいてくれたから、私はここまで来る事ができたからな」

「ここで逃げたら冒険者の名が廃れるよ! なんて言ったって、あたいは冒険者だからね!」

「最後は一体どんなお宝があるのか……ああ、本当に楽しみだ!」

 アエルスドロ、レイ、デリサルは頷いた。

 三人の号令を確認した茜は、杖を持って、城に行くための呪文を唱える。

 すると、茜達を光の柱が包み込むと、茜達の足元に魔法陣が現れた。

 

「皆様、行きますよ!」

「「「ああ!!」」」

 茜の号令と共に、魔法陣は四人を腐敗教団の本拠地に連れて行った。

 

「……うう、暗いです……」

 腐敗教団の本拠地の城は、非常に暗かった。

 壁は禍々しく、漂う気配も不気味で、ここにいると身体も心も腐ってしまいそうだ。

 茜は光が届かなくなった故郷の世界を思い出して、身震いする。

「……暗いですね。私だと見えないから……」

「ならば、私が代わりに明かりをつけよう」

 そう言ってアエルスドロは呪文を唱え、松明ほどの大きさの明かりを作り出した。

 薄暗くはあったが、それでも明かりをつける事ができたため安心して茜達は歩き出す。

 すると、茜の横目掛けて、矢が飛んできた。

 幸い、茜には刺さらなかったものの、暗い場所から襲撃を受けて茜はびくっとなる。

「これは……矢を放つ罠だったか」

 デリサルが暗視能力で矢が飛んできた場所を見る。

 彼の予想通り、そこはアロートラップだった。

「ほら、ここにはトラップがたくさんあるんだ。お前は暗視がないから特に気を付けろよ」

「は~い……」

 デリサルに言われて茜は気を付けながら城を歩く。

 明かりは薄暗かったため、暗視できない茜は、罠に引っかからないように慎重に進んだ。

 

 罠を避けつつ、襲ってくる魔物も退けながら四人は城の奥に進んでいく。

 アエルスドロが作った明かりが徐々に小さくなり、辺りもだんだん見えなくなっていく。

 そのたびにアエルスドロに明かりをつけてもらい、探索は捗ってはいたが、

 アエルスドロに負担をかけているような気がして茜は申し訳なく思った。

「ごめんなさいね、何度も魔法を使わせてしまって」

「心配はいらない、初級魔法だからそんなに魔力は消費しない」

「そうですね……ありがとうございます」

 安心しつつも警戒しながら茜は斥候のデリサルの後ろを歩く。

 その後も、デリサルが罠を確認しつつ、四人は城を探索していった。

 仕掛けを解きながら先に進むと、斧を携えた髭面の大男が待ち受けていた。

 腐敗教団の四神官の一人、ゴードンである。

 

「来ましたね、ゴードン!」

「ガハハハハハ、よくここまで来たな」

 茜はゴードンの姿を見てすぐに鞭を構える。

 彼はハリネース王国で骸骨を蘇らせて、茜達にけしかけた人物である。

「テメェらがここまで来るとは思わなかったが……何にしろ、テメェらをぶっ潰せばいいだけだ」

 そう言って、ゴードンは斧を両手で構え、茜達に対して臨戦態勢を取る。

 彼を打ち倒すべく、アエルスドロ、レイ、デリサルもそれぞれの武器を構えた。

「一つ聞きたいですが……あなたは何のために、武器を持って戦ってるんですか?」

「決まってんだろ、テメェらをぶっ潰すためだよ。この斧を叩きつけたらどんな顔で死ぬかなぁ?

 あぁ、今から楽しみになって来たぜ!」

「やはり交渉の余地はありませんね」

 一瞬同情する茜だったが、すぐにそれを振り払いゴードンと戦う事を選んだ。

「ああ、こんな奴と仲良くするのはたかが知れてる。わざわざ和解する意味なんてなさそうだ」

「どんな事情があろうが、俺達はお前らと戦う。もちろん、お宝のためにもな!」

「あたいは誰かに操られる人形じゃないんでね。だから、あたいの意志であんたと戦うよ!」

「とっとと斧の錆になりなぁ!」

 

 こうして、ゴードンとの戦いは始まった。

 アエルスドロは素早く走ってゴードンを二回連続で斬りつける。

うおりゃぁあぁぁぁっ!

 ゴードンは思い切り斧を振り下ろしたが、大振りだったためアエルスドロは全てかわす。

 デリサルは距離を取ってゴードンに矢を放つが、ゴードンは斧で矢を受け止め、矢を折る。

「ド・ゲイト・ド・イス!」

「うおっ!?」

 レイが杖から氷の矢を放つとゴードンの足が凍り、ゴードンが走れないようにする。

「cadre sacre!」

ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!

 茜が放った光の柱は、ゴードンを包み込んだ。

 闇に生きるものであるため、光の攻撃は効果的だったようだ。

 

「ふん……やるじゃねぇか」

「私はみんなを守りたいんです。だからここで、あなたを倒すんです!」

「はっ、ならやってみなよ!」

「いくぞ!」

 アエルスドロはゴードンに斬りかかるが、ゴードンは鋼の肉体で攻撃を受け止めた。

 その隙に、ゴードンは斧を振り下ろすと、そこから闇の波動が飛び出してきた。

 あれに当たればひとたまりもないため、レイとデリサルは何とか、攻撃をかわした。

「ちっ……」

「ガハハハハハ! 貴様ら冒険者はそんなものか?」

「この……! 朱雀よ、あいつを燃やして!」

 茜が杖に働きかけると、朱雀の幻影が現れ、ゴードン目掛けて炎の矢を放った。

 炎の矢はゴードンを掠った程度で、大したダメージにはならなかった。

「そんなへなちょこが俺様に効くかよ!」

「せいっ!」

「ぐおっ!」

 仁王立ちするゴードンの横から、アエルスドロが剣で切り裂いた。

「油断大敵だ」

「畜生! このぉぉっ!」

「ぐぼはぁ!」

 ゴードンは斧を振り回してアエルスドロを殴る。

「せいや!」

「いきますよ、炎の玉!」

 ゴードンの足が凍り付いていたのか、デリサルの矢がクリーンヒットする。

 茜も続けて炎の玉で攻撃しようとするが、ゴードンには攻撃が当たらなかった。

 アエルスドロはゴードンの攻撃をかわして、ゴードンに剣を振り下ろす。

「ぐえっ!」

「そこだ!」

 デリサルは怯んだゴードンの足に矢を突き刺し、ダメージと共に歩けなくさせる。

「凍って!」

 茜の杖から氷の矢が放たれ、ゴードンの身体が凍り付いた。

 アエルスドロは素早くゴードンを斬り、怯ませる。

「これでとどめです! cadre sacre!」

ぎゃああああああああああ!!

 そして、茜が放った光の柱が致命傷となり、ゴードンはついに戦闘不能になるのだった。

 

「畜生……この俺様が、負けるだと……!?」

 敗れたゴードンがショックを受け、その場に仁王立ちになる。

「さあ、大人しくそこを通すんだ」

「嫌だ……このまま消えるくらいなら、テメェらを道連れにしてやる……!」

 そう言ってゴードンは茜の足を掴み、身体を白く光らせ、自爆しようとした。

「どこまでも往生際が悪いですね……放しなさい!」

「断る……これでテメェはお陀仏だ……!」

「お前がな!」

 デリサルが足を突き出すと、ゴードンを思いっきり蹴飛ばした。

 その勢いでゴードンは壁に叩きつけられ、そのまま自爆して散っていくのだった。

 

「腕力馬鹿で全然弱かったね」

 ゴードンが消えた場所を見てレイは呟く。

 力ずくで攻撃し、しかも相手は一人だったため、レイには大した相手ではなかったようだ。

「宝は……落とさなかったようだな」

 デリサルはゴードンがいた場所を探したが、お宝は見つからなかった。

 拠点の城であるにも関わらず、宝が存在しないという事実に落胆する。

「でも、お宝を探すより、腐敗教団を止めるのが私達の目的ですよ」

「ま、それもそう……だな」

 デリサルは納得がいかないようだったが、

 お宝にかまけて腐敗教団を無視するのは流石に良くなかった。

 

「さ、次行きますよ」

「はいはい」

 こうして、ゴードンを倒した茜達は、城の奥へと進んでいくのだった。

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