風のエレメントのありかを探していた茜達は、アルキュミアの指示で暗黒の墓に向かう。
墓内はアンデッドで溢れ、茜達は可能な限り戦闘を避けて進む。
悪魔ムルムルとの戦闘が発生し、茜達は連携してこれを撃退する。
暗黒の墓の奥ではアルキュミアが現れ、彼女がデリサルの師匠であり、ヒルダの母だった。
アルキュミアは茜達に風のエレメントがフェーン王国の青龍の風塔にある事を教え、消える。
茜達は次の目的地が異世界だと知り、そこに向かう決意を固めるのだった。
レイは銀の鍵を持ち、以前に茜が赴いた青龍の風塔に行った。
アエルスドロ達がこの塔に行くのは初めてだ。
風が吹き抜ける広大な平原に、青龍の風塔がそびえ立つ。
茜、アエルスドロ、レイ、デリサルは、その塔の前に立っていた。
「ここに、風のエレメントに繋がる道があるんですね」
茜の声は、風に乗って遠くへと運ばれていた。
アルキュミアからもらった鍵が、風のエレメントに繋がる道を開くからだ。
レイは銀の鍵を手に取り、それを「空間」に差し込んだ。
「さて、風のエレメントを探そうかね」
レイが鍵を回すと、空間に大きな裂け目が開き、「扉」がゆっくりと開いた。
その先に広がるのは草原と雲があり、羽が生えた生き物が住む風の精霊界だった。
「……だったら最初から、ここにすればよかったのでは……?」
茜が少々落胆しつつも、四人は「扉」の中――風の精霊界に入った。
そもそも、ラファエルが気まぐれなのが原因なのだが。
「わぁ、綺麗ですね!」
風の精霊界は、風が生み出す美しい景色と、風の精霊達が生活する場所だ。
彼らは人間とは異なる存在で、風を操る力を持っている。
ここはエルフや精霊使い以外でも精霊が見える、特殊な場所でもある。
そのため、茜は緊張しながら、その風の精霊に話を伺った。
「私達は、この世界に来る災いを防ぐためにここに来ました」
百夜茜が優しく、精霊達に語りかける。
ヒルダにより世界中に悪魔が現れ、人々は混乱しているだろう。
そこで茜達は悪魔に対抗する天使の力、すなわちエレメントを集める冒険に出た。
そして最後のエレメントである風のエレメントがどこにあるか聞こうとしていた。
「風のエレメント?」
「知ってる! 知ってる!」
精霊達は彼女の言葉に耳を傾け、風のエレメントのありかを言い始めた。
この精霊達は共通語が話せるようで、茜にもしっかり分かっていた。
「風のエレメント、風の宮殿にある!」
「仕掛けがいっぱい、危険がいっぱい!」
「風の宮殿……ですか?」
風の精霊達の話によれば、風のエレメントは風の宮殿にあるらしい。
「宮殿に行く、長老に会う!」
「……そう簡単に会えるのでしょうか。長老って一番偉い人ですよね」
「だが、行ってみなければ話にはならないぞ。ありがとう、精霊よ」
「どいたしまして!」
アエルスドロは精霊達にお礼を言い、長老を探し始めた。
「ここって、どれくらい広いんでしょうか……」
風の精霊界は広く、風の精霊界の長老がどこにいるのか四人には分からなかった。
しかし、デリサルは鋭い洞察力で何かを見つけると、その方向に走り始めた。
「デリサル、はやいねぇ」
「伊達にこのパーティーで斥候を担当してないか」
「早く行きましょう」
茜達も、デリサルの後を追って走っていった。
デリサルが向かった先には、風の精霊界で一際目立つ大きな建物があった。
ここが、恐らく風の精霊界の長老が住んでいる建物だろう。
「よく分かりましたね……では、入りましょうか」
茜は困惑しながらも、仲間と共に建物の中に入った。
そして建物の中を歩いていくと四人は黒い服を着て両手が風の刃になっている女性に出会った。
「あ、あなたが風の精霊界の長老、ですか……?」
とても長老とは思えない若々しい姿に、茜はごくりと唾をのむ。
しかしその目は鋭く、長老に相応しい立ち振る舞いだった。
「私は精霊王ガルーダ様の代理、フォルセナです。何か用でもありますか?」
「あの、私達はヒルダという悪魔使いから世界を守るために、
四大天使からエレメントを手に入れようとしているんです。
大地・炎・水は手に入れたので、後は風のエレメントだけです。
風のエレメントはどこにあるのでしょうか?」
茜は風の精霊の長老・フォルセナに、風の宮殿への道を尋ねた。
「そなた達は悪魔から世界を守るためにエレメントを探しているそうですね。
風のエレメントは確かに、風の宮殿にあります。
風の宮殿は風の精霊界で最も高い場所にあります。
しかし、そこへ行くには、風の力を理解し、それを使う事ができる者でなければなりません」
「俺達は、その試練を受ける覚悟がある」
デリサルは真剣な表情でフォルセナに言った。
エレメントを探すために数々の冒険をしてきた彼らは、精神力も鍛えられていた。
フォルセナは彼の言葉に微笑み、こう言った。
「そこまでの覚悟があるならば、風の宮殿への道を教えましょう。
ただし、命の保証はできません。自分の身は自分で守れると、私は信じていますよ」
「覚悟はできています。私、一度死んでますからね」
「おや? 何の事でしょうか……」
さらりと茜が転生者なのをフォルセナに話した後、
四人はフォルセナの案内で風の宮殿に向かった。
その先に待つものは何か、彼らにはまだ分からない。
しかし、彼らは確かに一歩を踏み出し、未知の世界へと進んでいった。
その姿は、風に乗って遠くへと運ばれ、風の精霊界に新たな物語を刻んでいく。