茜達は風のエレメントを求めて、風の精霊界にある風の宮殿に到着する。
しかし、たくさんの罠が待ち構えており、一行は困難に直面する。
特にデリサルはお宝に目がなく、罠に何度も引っかかりる。
しかし、彼らは困難を乗り越え、ついに風のエレメントを手に入れる。
エレメントを全て揃えた四人は、一日の休息を取るために風の精霊界で眠りにつき、
ヒルダを倒すという決意をするのだった。
「それでは、ありがとうございました」
「あなた達の旅に幸あらん事を。それと……帰るためにはこれに乗ってください」
「はい!」
フォルセナに見送られて風の精霊界を後にした茜達は、
フェーン王国に戻るため、フォルセナがよこしたスカイドラゴンに乗った。
スカイドラゴンは風の精霊界にのみ存在する精霊とドラゴンの中間生物で、
ドラゴンでありながら人間に対して友好的で、しかもスピードが速い。
そのため、フェーン王国に向かう道が短く感じられた。
「全てのエレメントが揃ったから、いよいよヒルダとの決戦のみ!」
「悪魔を使って人々を絶望に陥れようとも、私達が必ず阻止する!」
「私はこの世界で色々な人と触れ合ってきました。ヒルダのお母さんともちゃんと約束しました。
みんなの温かさを絶望に変えようとするヒルダは、絶対に許しません!!」
全員、最終決戦に備えてやる気満々だった。
特に茜はこの世界に来て、多くの人々と交流してきた。
ヒルダの母・アルキュミアとも約束してきた。
その約束は必ず果たすと茜は誓い、そして、フェーン王国に向かおうとしていた。
スカイドラゴンから降りた後、茜達はフェーン王国の首都・フェーンに向かう。
だが、茜達を待っていたのは――衝撃の光景だった。
「いやぁぁぁぁぁぁっ!」
「うわぁぁぁぁぁぁっ!」
「悪魔だ! 悪魔だぁぁぁぁぁっ!」
フェーンでは、上空から現れたおびただしい数の悪魔が市民を襲っていた。
角の生えた悪魔や、黒い翼が生えた悪魔、エビのような顔をした悪魔など、
多種多様な悪魔がフェーンを蹂躙していた。
悪魔の爪が市民の身体を引き裂こうとした時、兵士の槍が悪魔を貫き、
それがとどめの一撃となって悪魔は黒い塵になって消えた。
「はぁ、はぁっ……みんな、安全な場所に避難してくれ。悪魔は、私達が倒す」
「は、はい、はいはいっ!!」
兵士に守られながら市民は家に避難する。
家もいずれ悪魔に襲撃されるかもしれないが、悪魔がいる外に比べればマシだ。
「こ、こんなに悪魔がいるなんて……」
茜達は悪魔に襲撃されたフェーンを見て、固まっていた。
「な、なんという事だい……あたいらが休んでる間に、ここが襲われるなんて……」
「腰を抜かすな、レイ。お前は冒険者だろ?」
レイは衝撃を受けて腰を抜かしかけるが、デリサルがレイを支える。
「そ、そうだね! 今はヒルダを探して、倒さなくちゃね!」
レイは勇気を振り絞って杖を持つが、彼女の足はまだ震えている。
悪魔からフェーンを守れなかった事を、悔やんでいるからだろうか。
そんな彼女に、茜はこう言った。
「確かに今は大変な事になってるかもしれません。でも、私達は戦えるんです。
四つのエレメントを集めて、悪魔を倒す力を得たんです!」
「そ、そう、だね……! やらなきゃ、ダメ、だね……!」
「俺もとりあえず、みんなと一緒に戦うぜ」
「絶対に、悪魔の好きにはさせない!」
茜、アエルスドロ、デリサルはそれぞれの武器を構え、レイも三人に遅れながら杖を構える。
そんな彼らに爪が生えたヒキガエルのような悪魔、ヌズマルの群れが襲い掛かる。
緊張が空気を支配する中、戦いの火蓋が切られた。
「同じ悪魔であっても、これ以上、この町を壊させるわけにはいかない!」
デリサルはヌズマルの群れに向かい、ヌズマルの群れを迎え撃つ体勢を取る。
ヌズマルの群れ達が前線に迫ると、デリサルはレイピアでヌズマルの群れに先制攻撃を放った。
しかし、ヌズマルの群れは爪と槍で反撃し、デリサルにダメージを与えた。
「ちっ、こいつらはなかなか強いな」
「キーッキキキキキッ」
ヌズマルの群れは毒ガスを茜達に向かって放った。
吸い込むと猛毒を受けて命の危機に立たされる魔法、クラウドキルだ。
「鼻を塞いでくだざいっ」
茜とレイは鼻を塞いで毒ガスを吸い込まないようにし、ダメージを受けつつも持ちこたえた。
「vie double largement!」
「ラ・ロタ・ド・イグニ!」
茜は呪文で看護師を召喚し、ダメージを受けた味方全員の傷を癒した。
レイはヌズマルの群れに火炎弾を放って爆発を起こすが、
ヌズマルの群れは大したダメージを受けていない。
「この悪魔は炎に強いみたいだね」
「だが、ダメージを与えなければ気が済まない。食らえ!」
アエルスドロは炎の剣で攻撃したが、一撃目は外れ、二撃目でダメージを与えた。
「早めに倒さなくちゃな!」
デリサルは再びヌズマルの群れをレイピアで攻撃しようとしたが、攻撃は外れた。
ヌズマルの群れはデリサルに爪と槍で攻撃し、ダメージを与えた。
もう片方のヌズマルの群れは茜とレイがいる後方にテレポートする。
「しまった、レイさん、迎え撃ちますよ!」
「ああ、ド・ゲイト・ド・イス!」
茜とレイは近づいたヌズマルの群れを何とか光の魔法と氷の魔法で攻撃する。
アエルスドロは再び炎の剣で二回攻撃したが、両方の攻撃が外れた。
「大丈夫か、冒険者よ!」
「今、助けに来たぞ!」
その時、銀髪の騎士達が部下達を引き連れて現れた。
フェーン王国軍第一部隊の隊長・ダミアンと副隊長・ルヴァである。
こんなに悪魔が来るなら、王国軍も黙っていられなかったのだろう。
「だったら俺達を助けてくれよっ!」
「無論、鐵《くろがね》のダミアンに二言はない!」
デリサルはレイピアを持ってでヌズマルの群れに攻撃し、急所を突いて大ダメージを与えた。
ヌズマルの群れは槍を構えてデリサルに攻撃したが、
デリサルは素早く身をかわしてダメージを軽減した。
「ぐあぁぁぁっ!」
もう片方のヌズマルの群れはレイに攻撃し、ダメージを与えた。
茜は光の魔法、レイは氷の魔法で攻撃したが、レイの攻撃は外れた。
「はぁぁぁっ!」
「燃えろ!」
ダミアンは大剣、ルヴァは炎の魔法でヌズマルの群れを攻撃する。
アエルスドロは炎の刃で攻撃したが、再び攻撃は外れた。
その隙を突いてヌズマルの群れはデリサルにクリティカルヒットを決め、大ダメージを与えた。
さらに、ヌズマルの群れはテレポートしてレイに攻撃し、ダメージを与えた。
「よ、よくもやりましたね……! cadre sacre!」
「ド・ゲイト・デ・テラ・マ・ギ!」
茜は聖なる炎で、レイはマジックミサイルで攻撃し、ヌズマルの群れにダメージを与えた。
ダミアンはグレートソードでヌズマルの群れを攻撃し、
ルヴァは再びヘヴィ・クロスボウを放ったが、攻撃は外れた。
アエルスドロはフレイム・タンでヌズマルの群れを攻撃したが、攻撃は外れた。
ヌズマルの群れはデリサルに攻撃し、ダメージを与えた。
「うっ……痛いですね……!」
ヌズマルの群れは茜に攻撃したが、茜は何とか精神集中を保つ。
茜は呪文を唱えて味方全員の体力を回復し、聖なる炎でヌズマルの群れにダメージを与えた。
「これで終わりだよ! ド・ゲイト・デ・テラ・マ・ギ!」
レイはマジックミサイルの呪文を唱え、ついにヌズマルの群れを倒した。
「や、やりました……! ついに悪魔達を倒しました……!」
茜はぜえぜえと息を切らしながら、悪魔の群れを全滅させた事を確認する。
しかし、肝心のヒルダの姿がどこにも見当たらなかった。
「……おかしいな。こんなにたくさんの悪魔を呼んだヒルダは、どこにいる。
少なくとも、ここにいないのは確かだが……」
「うわぁぁぁぁぁっ!」
アエルスドロがヒルダを探そうとすると、突然、どこかから悲鳴が聞こえてきた。
大急ぎで茜達が悲鳴がした方に向かうと、悪魔に襲われた少年の姿を発見した。
デリサルはその悪魔を急いで倒そうと短弓に矢を番え、矢を放って悪魔を倒した。
「大丈夫ですか!? こっちは危険なので、避難してください!」
茜は急いで包帯を取り出すと少年に応急処置をし、安全な場所に隠れる。
「……どうやら、まだ残り物がいたみたいだな」
「あ、ありがとう、おねえちゃん……」
茜は少年が落ち着くのを確認した後、少年からヒルダの行方を聞き出した。
どうやら少年はフェーン城の方に悪魔が侵入するのを偶然見てしまい、
口封じのため悪魔に殺されかけたらしい。
「じゃ、じゃあ、ヒルダは……!」
レイは何か悪い予感を感じて、冷や汗をかく。
ヒルダは間違いなく、フェーンを襲撃するだけで終わらないはずだ。
「は、早くフェーン城に行くよ!」
「お、おうっ!」
茜達はパニックになりながらも、大急ぎでフェーン城に向かった。
「……! こんなのって……」
しかし、茜達を待ち受けていたのは、変わり果てたフェーン城だった。
美しかったフェーン城は禍々しい姿になっており、
中にいた大臣や兵士も、恐怖の表情を浮かべて石化している。
ヒルダの闇の魔力がこれほどまでとは知らず、茜は唖然とし、膝をついた。
「みんなが、石になっちゃうなんて……。私、これからどうすれば……」
「……君は信じられないみたいだな。でも、これは全部、ヒルダの仕業だ。
ヒルダを倒せば、全部が元に戻る……と思ってる」
「アエルスドロさん……」
「そうさ!
あいつは絶望させるためにこんな事をしただろうけど、完全に絶望するにはまだ早いよ!」
「そうだ、希望はまだある。俺達がフェーン王国を救う希望なんだ」
アエルスドロ、レイ、デリサルが絶望する茜を激励する。
茜は意を決して立ち上がると、口を開いた。
「フェーン王国は、私達が助けます!!」