まずはかなり短いですが、プロローグです。
第0話 冒険ミタビ
かつて、地球に百夜茜という少女がいた。
生前、百夜孤児院で育った孤児である彼女は、優一郎とミカエラに次ぐ年長者だった。
茜はミカエラに淡い恋心を抱き、最初は優一郎を怖がっていたが、
やがて優一郎を家族として、彼に寄り添った。
そう、生前と言った通り、彼女の命は既に地球にはない。
彼女は第七位始祖のフェリド・バートリーによって、他の孤児達と共に命を落としたのである。
だが茜はアルカディアという別世界で、人造の肉体に魂が宿り転生し、新たな人生を歩んだ。
彼女はアルカディアで出会った仲間と共に、数々の冒険をこなしていった。
ゴブリン退治、スケルトン退治、ピラミッド探索……。
冒険という冒険をしながら、茜の精神は成長していった。
その道中で茜達は世界に仇なす腐敗教団と出会い、彼らと戦った。
やがて腐敗教団の長こそが茜をアルカディアに蘇らせた張本人であると知り、
茜は複雑な気持ちになりつつも腐敗教団の長を倒し、ついに腐敗教団から世界を守った。
二回目の冒険で、茜達はフェーン王国の武闘大会を観戦する。
優勝したのはヒルダという女性だが、
彼女は悪魔使いであり、悪魔を呼び出して人々を苦しめようとした。
彼女を阻止するために茜達は天使の力……エレメントを各地で集めていった。
道中、茜はヒルダの境遇を知るが、同情はしつつも彼女を倒す事を決意。
ヒルダを倒して悪魔達からフェーン王国を救った茜達はパーティーを解散し、
それぞれの道を歩んだ……。
「ゴブリン退治はどうだった?」
「バッチリだったよ! ……ちょっと痛かったけど」
こちらはフェーン王国の冒険者の宿「疲れたミツバチ亭」。
茜は同じく、フェリドに殺されてアルカディアに転生し、
冒険者になった百夜孤児院の家族の面倒を見ている。
駆け出し冒険者の子供達は、初めての依頼であるゴブリン退治を無事に成功させたようだ。
ゴブリンを侮って全滅する冒険者パーティーもいるにはいるがそれは少数でしかなく、
このように成功する方が高いのだ。
ましてや、茜は中堅冒険者であり、この程度では怯まない。
それどころか、駆け出し冒険者の面倒すら見る事ができるのだ。
「それじゃあ、みんなはゆっくり休んでね。疲れを取るのも冒険者だから」
「はーい!」
茜は百夜孤児院の家族を宿で休ませた後、自室に戻るのだった。
「みんなは仕事で忙しいだろうけど、私は、ゆっくり休もうかなぁ」
茜が言う「みんな」は、彼女と共に冒険した三人の冒険者である。
彼らは初めて出会った人物だが、共に冒険していくにつれて友情や仲間意識が芽生えた。
今はそれぞれの道を歩んでいるため、出会ったとしてもすれ違うに留まるだろう。
なので外に出る必要はなく、宿屋で一日を過ごそうとした時だった。
「ねえねえ、最近、商人の身体の一部があちこちで見つかったらしいのよ」
「まあ、怖い! 冒険者が犯人を捜してるみたいだけど、足取りが掴めないのよね」
宿屋で誰かが、恐ろしい噂話をしていた。
どうやら商人の身体の一部が町のどこかで見つかっているらしい。
犯人も不明、目的も不明と、謎だらけの事件だが……茜にとっては、新たな冒険の種になった。
茜は一旦、自室に戻って冒険の準備を整え、
商人の身体の一部をばら撒いている犯人を捜そうとした。
「……でも、そう簡単に見つかるわけがありませんよね。
……あ、そうだ! とりあえず、探偵事務所に相談しなきゃ」
そう言って茜は、この町に最近できたという探偵事務所に向かうのだった。
しかしこれが、冒険の始まりとなるとは、まだ誰も知る由もなかった……。
この小説は毎週土曜日に連載します。
楽しみにしてください!