銃器が弱すぎる世界に転生したけど銃知識と現代戦術知識で成り上がる   作:佐々牙嵯峨兎

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26.懐かしい愛

 孤児院に戻るとそこには、大人が大量にいて修復作業に入っていた。

 どうやら隣町にいた魅惑の吸血薔薇が偽物だと知って戻ってきただろう。

 そう思っていると、リーベット先生が俺達に気付いた。

 

「アレス君……それにアリスちゃんやヴィンセント君も無事だったのですね!」

「ハイ、魅惑の吸血薔薇はこっちの方に来ましたが、何とか倒しました」

「エエ!」

 

 俺達が本体の方を倒した事を伝えると、リーベット先生が驚き出す。

 まあ、+Aの不浄人形(ドールズ)を三人で倒したからな。

 するとリーベット先生が急に俺達を抱く寄せる。

 なんで抱きよせるか聞こうとした時に、リーベット先生が一粒の涙を流していた。

 

「ウゥ、君達が……無事でよかった」

 

 俺達が……孤児院の子ども達が誰一人も死なずに済んでいる事に心から喜びながら泣いているだろう。

 その時に、俺の脳内に流れるのは幼少期の記憶だ。

 

『お父さん、お母さんお腹空いたよ……』

『うるさいぞ! お父さんとお母さんは忙しいんだ、飯は適当に作ってろ!』

『そうよ、ガキは大人しく外の草や段ボールでも食べてなさい!』

 

 俺が腹減った時は段ボールを食べさせるのに、妹はオムライスやラーメンなど豪華なものを食べさせた。

 他にも誕生日やお出かけの時も妹だけ甘やかし、俺の事を邪魔者扱いしていて、心の限界が来て自殺しようとした時に祖父母たちが止めに入ってくれた。

 その時に祖父母たちが俺を強く抱きしめながら、ずっと謝罪しつつげた。

 ずっと「ごめん……ごめんな、今まで気づかずに……」と言って泣いていた。

 その後は言うまでもなく厳しい祖父母たちが近所の人達と協力してしっかり妹達を監視して幸せに育ててくれた。逆に妹達は質素を強いられて貧乏生活をする事になった。

 祖父母のおかげで、俺は希望をもって生きる事ができた。

 祖父母が亡くなった時も俺と近所の人達は泣いていた。ちなみに妹達は「ザマァ見ろ!」と叫んで侮辱したが、職員さん達が会場を追いだした。

 その時の愛情を思い出して、俺は大粒の涙を流して同じことを繰り返す。

 

「ごめんなさい……ごめんなさい……心配かけさせてごめんなさい……」

 

 こうして、魅惑の吸血薔薇の戦い……もとい第二の試練が終えた俺達は孤児院修復作業を終えた後は夕食を食べて就寝する。

 就寝するときに一つだけ考えがよぎる。

 もう数週間後に卒業するからアリス達と別れなきゃいけないな。

 俺は元々この世界を破壊しようとする黒幕を倒すために転生してきた。しかし俺の正体を知っているアリス達と一緒に進むのは危険だ。

 だから早急に決めないとな。そう思っているとフィムさんがテレパシーで話しかけてくる。

 

『お久しぶりですね、琢磨(たくま)さん』

『フィムさん、お久しぶりですね』

『ハイ、先ほどの戦いで第二の試練が終えましたね』

『ハイ、でもこの先まだあるんですよね?』

『そうですが、これ以降探知しても見つかりません』

 

 成る程、しかしこれ以降の試練を知れないか……。

 しかし予想外な事を言う。

 

『それにこの会話が最後になります』

『最後ってどういうことですか?』

『黒幕が世界に干渉して、あなたとテレパシーを送れません』

 

 黒幕が第二の試練を達成したのを知って、情報を知られない様にしたのか。

 

『しかし、あなたと出会って心が軽くなりました』

『フィムさん……』

『ですので、あなたももし分かれる人がいるなら本当の気持ちをさらけ出してください』

 

 フィムさんはそう言うと、テレパシーを切って静かになる。

 本当の気持ちか……。

 そう思いながらおれは就寝する。

 魅惑の吸血薔薇を倒して数週間が経った。

 俺は今、村の復興作業を手伝っている、大人達が運びきれないようなものが特にだ。

 少し製作が出来ないが、住んできた村の見ぬ振りはできない。

 復興の手伝いを終えて少し休憩していると、アリスが近づいてくる。

 

「ネェ、アレス。ちょっといいかしら?」

「えっと、分かった」

 

 俺はアリスについて行く。

 しばらくすると、着いた場所はとても素晴らしい長めな平地だった。

 見える景色はレレイア村を有余に全体を見据えている。

 どうしてこんな場所を呼んだか分からずにいると、アリスは首を傾げながら質問してくる。うん、メッチャ可愛い事は内緒にしよう。

 

「アレスは卒業したらどうするの?」

「俺は──」

 

 俺は卒業した後の事を言おうとするが止まってしまう。

 もしこのまま冒険者になるって言ったら、アリスもそっちの道に行くだろう。

 しかし俺はアリスの道を進んで欲しいからだ、魔術師の才能があるのに冒険者になるのはもったいない。

 俺は少し迷っていると、アリスはもじもじと何かを言おうとしている。

 

「えっと、その……」

「アリス……大丈夫だからゆっくりでいいから行ってくれ」

 

 俺はアリスを落ち着かせると、本人は頬を赤く染まる。

 も、もしかしてこれは告白か!? その可能性は無いと言えるが、心臓がエンジンのように早くなって鼓動が徐々に大きくなる。

 

「アレスその……実はあなたの……」

「お、おう」

 

 ごくりと息を呑んで落ち着かせる。これは初告白になるぞ! 

 俺は興奮する気持ちを抑えて内容を聞こうと、聞き逃せまいと耳に全集中する。

 

「私を貴方の()()()にして!」

「へッ?」

 

 一瞬告白とは遠すぎる単語が聞こえてがもう一度聞く。

 

「あの……アリスさん? すみませんがもう一度……」

「だから、私を性奴隷にして……」

 

 アリスはそう言うと、一気に顔をルビーのように赤く染まっていく。

 俺は数秒くらい宇宙猫になるが、コンマ一秒で正気に戻って、数回深呼吸をすると──。

 

「ハァァァァァァァァァァァァ!?」

 

 人生で一番かも知れない叫び声を上げる。

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