暗殺教室に希望を見た少年   作:緑風少年

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新くんはそれ相応にバカやれるムーブをある程度作っていこうかなと思ってます。


自律の時間

「なあ、アレって一応固定砲台なんだよな……?」

「そのはずだが……」

 昨日一昨日のいかにも機械らしい無機質な感じから一変。なんか俗にいう二次元にいそうなキャラクターみたいになった。全身を映すようになったからか、どうやらあのタコは画面をタッチパネル方式にしたらしく、女子たちは頬を突いたりしてるみたいだ。見た感じ機械が仲間になるという意味でもなんでもできるようにプログラムを組んでるように見える。

 

「なに夢中になってんだお前ら。全部あのタコの作ったプログラムだろうが。どうせ空気も読まずに射撃してくるだろうよ」

「ま、そう思うのも仕方ないわな」

 

 寺坂の言葉に一定の理解ができるというのは事実である。愛想は良くなっているものの、現状なにをしでかすかわからないという恐怖の対象としてみられても仕方ない。

 

「なあ、でもさ寺坂……」

「ああ!?」

「あの子ポンコツ扱いされても仕方ないとか言って泣いてるぞ」

 画面上では雨が降って涙を流す固定砲台。感情もしっかり作れるようにプログラムしたんか?とも驚くところである。

 それを皮切りに「あーあ、泣かせた」やら「寺坂くんが二次元の女の子泣かせた」「転校生にそこまでいう?」などと非難殺到。

 

「なんか誤解されるような言い方やめろ!」

「二次元、いいじゃないか……Dを1つ失って女は始まる」

「竹林、お前そのセリフ大丈夫か?」

「しかもお前そのセリフ初セリフだぞ!?いいのか!?」

 

 どこもかしこもわちゃわちゃし始めて、固定砲台が実質的に仲間になったように感じられる。

 

「でも安心してください、皆さん。私は協調の大切さを学びました。好きになってもらえるよう、同意を得られるまで単独での暗殺は控えることにしました!」

 固定砲台は泣くことをやめ、顔を上げてこう言った。どうやら独断専行を控えるとのことだが、開発者はそれを許すのだろうか、という疑問も同時に生じる。大丈夫なのだろうか。

 

「ということなので仲良くしてあげてください。ちなみに殺意にはちっとも触れていないのでご安心を」

「当然ちゃ当然か。そこいじったらここにいる意味無くなっちゃうもんな」

「ヌルフフフ、先生を殺したいのならきっと心強い味方になってくれると思いますよ」

 

「ところでお前も同意したけどよぉ……俺しか言われないのはなんでだよ」

「好感度だろ」

 

 俺と寺坂、どちらがまともかと言えばいうまでもなく俺だと思われる。これは紛れもない事実だと……思う。

 ____

 時間は飛んで昼休み。授業の間固定砲台はほぼカンニングさせるようなムーブをしたりして色々サービス精神が旺盛になった模様。にしても目新しさもあってかやはり固定砲台に人が集まる。こういうもの自体が見慣れないものであるので集まるのは当然である。さらには……

「そんなものも作れるのか……」

「ヴィーナス象です!銃以外もデータさえあれば中のプラスチックを加工して作ることが可能です!」

「じゃあ花作ってよ!新もなんか頼んでみたら?」

「うーん……また今度でいいや」

「なら、花のデータを集めておきますね!」

 

 固定砲台はどうやら花のデータは持ってないようだ。一応ながら当然っちゃ当然なのか?という疑問も湧いたが、協調性を補正するプログラムを組んでるはずなのに花ってないんかと思うが。

 

 

 

 ところで、よそで焦ってる黄色いタコが一匹。あいつはなんであそこまで焦っているのかは気になる。

 

「作ったはいいものの、これでは先生とキャラが被りますね……」

 なにを言ってるこのバカは?百歩譲ったとしてもなんでも出来るところくらいしか被ってないぞ。それでもキャラなんてほとんど被ってないが。

 

『いや、1ミリも被ってないけど……』

 クラス全員総ツッコミ。実際のところ被ってないから仕方ない。

「でもでも、先生だって人の顔くらい表示できますよ!ほら皮膚の色を変えたらこの通り」

 

 そう言ってタコは皮膚の色を変えてきた。……控えめに言って気持ち悪いの一言である。一体なにをしたいのかわからない。

 

『いやキモいわ!』

「殺せんせーの顔残ってるから気持ち悪さ増してるよ!」

「どうしてそのクオリティで挑んできたのかわかんねーよ!」

 

 またまたクラス全員による総ツッコミ。この酷い評価をされるのも残念でもないし当然と言わんばかりの出来だったから仕方ないと思う。そうして言われた殺せんせーはシクシクと泣き始めていたが、どうやらスルーされている模様。

 

 

「そう言えばさ、名前、きめない?」

「確かに『自律思考固定砲台』って毎回言うのだるいもんね」

「うーん……じゃあ一文字取って『律』でどう!?」

 不破さんは律と名づけるっぽい。安直じゃね?って男子メンツからは流れているところはあるけど、当の本人はとても気に入っているっぽい。

 

「気に入ったみたいだね、あの名前。一文字取る系ならまあそこだよねって思うし名前としては俺も好きよ」

「あれっ、新ってこう言うの好きだったっけ」

「お前なあ……」

「でも、一応馴染んでるみたいだからうまくやっていけそうじゃない?」

「どうだろーね。あいつはプログラム通り動いてるだけだから意思があるわけじゃない。どうするかは開発者が決めることだよ」

 

 いつの間にか近くにいたカルマと渚くんな会話に混ざっていた。おそらく戦争の兵器の実験台として使われている律とこの教室。その開発者たちにとってはタッチパネル機能だとか感情を示す機能だとかは不必要であると判断するはずだ。デリートというかリセットを今日の夜にでもかけてもおかしくない……はずだ。

 

 ____

「なんだこれは……」

 

 その日の夜、ノルウェーの科学者連中は絶句していた。何せ兵器として送った物体が何故かやたらと間改造されており、兵器としては見るに堪えないものになっているのだから。

 

「バラすぞ。お前は暗殺のことだけを考えていればいい。それ以外は必要ない」

 この教室は最高の実験場であり、100億などついで。結果を出すことができれば利益が数兆円にも及ぶことになる。

 

「はい、マスター……」

 

 その言葉を聞いた律はバラされ、シャットダウン(眠りに落ち)した。

 

 

 

 _____

 

 翌朝。教室に来た生徒たちが見たものはつい3日ほど前の体積にダウングレードしたとおもわれる律の筐体。ダウングレードしたということはつまり先日のような地獄の日々が再来する、ということを示唆するものであり、それに辟易するような表情をする人、ふざけんなとでも言いたげな人、それはさまざまであるように感じられる。

 

 

「生徒に危害を加えない、という契約だが、今後は改良行為も危害を加えたとみなすと言ってきた。さらには縛ったりでもして壊れたら損害賠償の請求をするそうだ」

 烏間先生は仕方ないとは言いつつも、若干の後ろめたさがあるような含みも入れて話したように見える。殺せんせーが言った持ち主より子供である律を優先したいという気持ちも分からんでもない、とでも言いたげなように。

 

 

 

「では、攻撃準備に移ります。どうぞ授業を続けてください」

 

 言われた殺せんせーはその通りに授業を始めた様子。だが、自分を含めて『今後大丈夫か?』みたいな複雑な心境だったに違いない。

 そしてブゥーンと装甲が開く音がする。まるで今からあなたを打ちますよ、とでも言うように。

 

 ただ……この瞬間に出てきたものは銃ではなく幾つもの花束だった。

 

「花を作る約束をしてました……」

「マジか……」

 

「先生は私に計985件もの改良を加えました。しかし、それらのほとんどはマスターによって撤去、削除、初期化しました。しかし、私は必要であると判断し、消される前に関連ソフトを隅に隠しました」

「律さん、つまりあなたは……」

「はいっ、私の意思でマスターに逆らいました!このような行動は『反抗期』と言うらしいですが……律は悪い子でしょうか?」

「とんでもない!中学3年生らしくて大いに結構です!」

 まるで褒められて照れる女子かのように髪をいじっている律とそれに対して言葉で示す殺せんせー。少し前はこれは触れても大丈夫なやつなのか?と言う疑問が湧いていたが、律が明確な自我を持って行動した以上、仲良くなっていく必要があるかもしれない。

 

「おーい、新、お前もジェンガやるかー?」

「おーう。やるわー」

 兎にも角にも、これからはこのみんなで先生を殺しにいくことになる。より気を引き締めていこう。

 

 

 

 

 

 

「あっ」

「お前そんな不器用だったか……?」

「ジェンガは……苦手っす」

 こう言うのも仲良くなるためのきっかけ……だからね。

 




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