暗殺教室に希望を見た少年   作:緑風少年

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前原くんエピはスルーします。前原くんすまそ。



湿気と師匠の時間

 時間は過ぎていつのまにか6月になった。つまりは冬以上に憂鬱と言える季節、梅雨の時期になった。雨が多発するので毎日のように手荷物が増える増える。自分としては男子の中では比較的髪は長めであり、目にかかる程ではないが、千葉に次いで長く見える程度には長い。あまりにもしけってムカつくということなので姉から教わったアレンジも混ぜて髪を軽く上げることにした。

 

「お前が髪あげてんの珍しいな」

「うるっせ。梅雨なんだからしょうがねえだろ」

「まあな」

「おや、新くんも髪の毛を少しいじったみたいですね」

「ああ、殺せんせ……」

 昼休み。いつものようにだべっている時に殺せんせーがまるで友達感覚かのように話しかけてきた。そんでもってなんかでかい。主に顔が。いつもは背伸びすれば3メートルくらいあるって言ってる先生だけどなんかその1.5倍くらいはないか?ってくらいにはでかい。

 

「殺せんせー、その33%ほど膨張した頭部について説明を願います」

 律が横入りする形で全員が思っているであろう疑問を投げかける。普通に考えたら顔がデカくなるだなんてことはあり得ない。ただ、このタコなので何があってもおかしくないというのが事実である。

 

「水分を吸ってふやけましてね……湿度が高いので仕方ないのですが」

『ふやけてる!?』

「生米みたいだな……」

「ただ……仕方ないよね」

「こんなボロ校舎だとね……」

 この校舎にはエアコンがない。つまり、湿度の調整が効かないということであり、環境としてはお笑いもいいとこである。

 

「あ、そうそう。私もついに髪が生えてきたんですよ。ほら」

『それキノコだよ!!!!』

 タコの多少浮いてる博士帽から出てきたものはキノコである。キノコが生えるということはカビているのでは?ということになるはずなのだが。そんな意味不明じみた生態系をしてるのも殺せんせーの秘密……かもしれない。

 

 ____

 ところ変わって数日後、この日は一転晴れ模様。どうやら昨日は殺せんせー主導で何やら仕返しを実行したということを桃花から聞いたが自分は見て見ぬ振りをした。

 

 そんな日のビッチ先生の英会話の授業。

「日常会話において、『マジやべぇ』とかで会話を成立させる奴がいるでしょ?そのマジに当たるのが『really』」

 

 really。英語を話す機会においてもぶっちゃけ使う頻度は少ないであろう単語だが、マジという意味なら話が若干変わってくる。

 

「外国人の私的には伝わるけどなんだかね……みたいな感じよ。言語同士でも相性の悪い発音ってあるけど、相性の悪いものでも逃げずに克服する。発音は常にチェックしてるから」

 

 LとRの発音についての軽いまとめ。桃花によるとビッチ先生は20歳らしいけど、存外先生としてはしっかりしている。……ディープキスの刑と卑猥なドラマである必要はそこまでないけど。それでも、自身の経験からくるものであろう英会話技術やらはしっかりしていて面白い。桃花は定期的に話聞きに行ってるみたいでまるで姉妹みたいになっている。

 

「新ー、私ビッチ先生のとこ行くけど先帰る?」

「いや、今日はついてくわ……」

 あの時赤面極めたとき以来な気がする。ビッチ先生と面と向かって話すことは。

 

「新、あんたいい加減ちょっとした文だけでも赤面する癖やめなさいよ。どうやらカルマに次いで現状のここだと頭が回るから余計に理解が早くて赤面も早いけど」

「ひでえいいようだな……」

「ちょっとビッチ先生!新は良くも悪くも純粋なのがいいところですから!」

「傷口に塩塗るような言動やめてくれ桃花……」

 

 赤面癖はしばらくは治らないんじゃないかなとなる今日この頃。ここにいるといわゆるエロに触れる機会も若干とはいえ増える気がしてるし。主にタコと岡島と目の前にいる外人先生のせいなんだけど。

 

「じゃあね、ビッチ先生」

「俺も帰るよ、先生も色んな意味でハメ外さないようにね」

「やかましいわガキども!」

 どうやら騒ぐ元気はあるみたいだ。外国に回り続けていた年の近い殺し屋という意味でも親しみやすさは烏間先生とか本校舎のおばさん先生とかと比べても段違い……なのかもしれない。

 

 

 ____

 再び日付変わって翌日。何やら騒がしいことになっている。

 

「烏間先生、何が起きてんの……?」

「ああ……」

 烏間先生が言うには、ビッチ先生を斡旋した師匠である殺し屋が来て撤収しろと言う命令をしたらしい。それに対して殺せんせー、「なら殺し比べてみては?」と言うことで烏間先生の模擬暗殺を今日一日敢行することになったらしい。にしても半分マル半分バツってなんだ……?

 

 

 

「と言うことになるが、君たちの授業の迷惑になるようなことはしないとしてる、安心して授業を受けてくれ」

『はーい』

 少なくともこの点に関しては安心できるところだ。苦労は絶えないだろうけど……

 

「今日の体育はここまでだ。解散!」

 その日の体育は終わりということになるが……なんかビッチ先生がわざとらしく水筒を抱えて走ってきた。絶対何か入れてる。

 

「おおかた筋弛緩剤だな。動けなくしてナイフを当てるつもりだろう」

 そして受け取る間合いまで近づけないとまで言っている模様だ。あっ、すっ転んだ。

 

「いったーい!おんぶしてよカラスマー!」

「恥晒しかよ……」

 側から見たらあまりにも醜いムーブに見える。これどうなんだとも。

「仕方ないでしょ!?顔見知りに色仕掛けとかどうやっても不自然になるわ!」

「それはそうだけどさ……それだと流石に俺たちも騙せねえよ」

「わかってるわよ!キャバ嬢だって客が偶然父親だったら微妙な雰囲気出るでしょ!」

『知らねえよ!』

 でも姉さんの旦那がたまにそういうことを言ってるのを聞いたことあるからそういうものなのかもしれない。

 

 

 ところ変わって休み時間。

 

「おや、君は……」

「ん……?あんたは……」

 どことなく静かな風貌だが、紛れもなく強者と呼ぶに相応しい大人だと感じる。熟練の技があるこの老人は一体何者なんだ。

 

 

「失礼。そこまで警戒しなくても大丈夫だ」

「えっ、ああ……一応そういうのには敏感なんで」

 どうやらこの熟練の老人はロヴロというビッチ先生の師匠で撤収命令を出した人だとか。

 それはそれとして……嘘だとか人の機敏にはそれなりに敏感だったりする。もちろん、もともとそういうスポーツをやっていたということもあるので人並以上には嘘つき……なのかもしれない。

 

「そうか……君に一つ問うが、イリーナはあの男に刃が届くと思うか?」

「難しい質問急にふっかけてきますね……」

 結論から言うとビッチ先生の素のスペックだとまず無理だろうというのを即答できる。ただ、あの人もあの人だ。多分何かしてるだろう、というのが簡素な結論になってしまうがこれが答えになってしまうと思う。

 

「まあ……現実的に考えたら無理だと思います。ただ、あの人もあの人でそれ相応の努力はしてる……そんなふうに感じます。友人の女子通してでしかあまり関わることのない自分通しての意見ですが。しかし……あなたの手首、おそらく捌かれた感じでしょうか」

 烏間先生も烏間先生でおかしい。人間辞めてると思うから熟練の元暗殺者ですらこうなるのも納得性がある。

 

「察しがいいな。観察眼がいいと取れる。そしてやはり君から見てもイリーナは難しいと取れるか」

「どうやら……また仕掛けるみたいですよ。師匠として最後まで見てやるべきなんじゃないんですかね」

「そうだな……」

 また仕掛けるらしいが、真っ正面から仕掛けるだなんてビッチ先生対烏間先生では無理難題極めてるのでは?

 

「ロヴロさん、真っ正面から仕掛けるだなんてあの人の殺り方だと無理……あれっ?」

 ワイヤー。ビッチ先生従来の色仕掛けに目線を集中させて木と服にワイヤーを張っていたっぽい。

 

「これは……もしかするともしかするんじゃないんですか?」

「ああ……」

「いや……これは……」

 引っ掛けた、そこまではいいものの、烏間先生がしっかりと体勢を整えてナイフの突きを受け止めた。

 

 だが……

 

「結局烏間先生が折れる形でビ……イリーナ先生の勝ちってことになりましたけどいいんですか?」

「ああ……これはこれで問題ないだろう……」

 そう言ってロヴロさんはバッチ先生の方に向かって行った。あの人もあの人で親バカのように見える。親、というものに若干の憧れがあるから少し羨ましい。

 

「出来の悪い弟子だ……まだ先生でもやってた方がマシだ。必ず殺れよ、イリーナ」

「もちろんです!師匠!」

 

 かなり高慢で卑猥ではある人だが、やることに対してはやはり真っ直ぐなのだろう、と感じられる。俺も少しだけ好きになってきた感じがする。

 

 

「ところで新、師匠と何話してたのよ」

「んー、ビッチ先生じゃ無理じゃ……って素直な感想を……」

「なんですってぇ!?」

「いやちょ、実銃は……」

 こういう意味でも変わらない人でもあるな、とも感じられた。その日は桃花に嗜めてもらってなんとかしてもらいました。ありがとうございます。




新くんの特技的に嘘があるかな的な感じになるかも。
お気に入りしてくださるととても嬉しいです!
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