可愛い連邦生徒会長の姉として!   作:siyu

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サブタイはホシノの誕生星だったり。意味は『寂しがりや』



ゼータ・パーヴォーニス

 

「見える限りでは追っ手もなし、先生のセンサーに反応も無い……皆さんお疲れさまでした!」

「いやー…疲れたよ~」

「あいつら、しつこかった」

「はあ、はあ…百人ぐらい出てきたじゃないの…?」

「頑張りましたね~☆弾が足りて良かったです!」

 

後ろを確認しながら全員が思い思いのことを喋る。大けがはないものの、細かな負傷や疲れ、砂埃の汚れが多く残る。

砂漠を踏破しての帰還。追っ手は強くないものの数がとにかく多かった。拠点が近くにあったのが災いし、倒しても倒しても湧き出てきた。結果、カタカタヘルメット団を百人弱、戦車を十数台を沈めることとなった。

 

「チッ」

 

舌打ちが漏れる。やっぱりカイザー系列のパイプは潰せてなかったか

 

「車も銃弾のせいでべコベコ…買いなおすお金ありましたっけ、シロコちゃん…」

「無理、今月も利息でカツカツ。何とか直すしかない」

「ホントあいつら碌なことしないわね…」

 

セリカの顔に般若と見紛うほど怒気があふれていた。パンクや故障はしなかったものの、あと数回走らせるか、一度でも無理をさせれば壊れることが容易に想像できる。

 

「まあ、これだけで済んでよかったんじゃない?必要経費だよ~」

「そうですね、セリカちゃん奪還も成功しましたし!」

 

数時間、常に銃弾が飛び交っていたためか全員の顔には疲労の色が色濃くにじんでいる。先生の前で自重しているが、今にも地面に寝転がりそうだ

 

ふむ、そうだな…たしか掃除中にまだ大丈夫そうなコンロがあったから火は使えるし水も出る

 

シャーレでインスタント商品の品揃えを見た時は驚いた。ボンカレーがインスタント化しているとは食の発展のスピードは目覚ましいものである

ちなみに、密封した容器に入れ加圧加熱殺菌処理をしたものレトルトといい、乾燥させ水やお湯を使い即席で調理できるものをインスタントというそう。

どちらも長期保存できるが今回は軽いインスタントの方を持ってきている。

今思うとレトルトなんて持ってきてたら最初の遭難で比喩抜きに死んでいたのでは…?

 

「先生が持ってきた食料を調理して昼食…もう遅いし晩御飯か?にしようか」

「セリカちゃんなんて、昨日夜遅くまで働いてくれてたし、朝も昼も食べてないしね~」

「賛成です。お菓子もいくつかありましたし今日はちょっと贅沢しましょう!」

 

__________________

 

ケガの処置をしてシャワーを浴びて、食事をして、皆泥のように眠った。家に帰るのも億劫だったから校舎内の好きな場所で睡眠をとることになった。

セリカなんかは食事を終えた時点でだいぶフラフラとしていた。ノノミの膝枕はとても気持ちよさそうでした

 

 

 

 

 

耳に入った微かな音で目が覚める。スマホの時刻を表示すれば日付も変わり、夜が更けた頃。

シパシパする目を開け、欠伸を噛み殺しながら起き上がる。そばに置いていた自動拳銃を手に取り、音のした方向へと足を向ける。

 

真っ暗真っ暗。人気もなく虫すら居ない、夜空に響くのは自分のサクサクという砂を踏む足音のみ。コレも風情というやつかな

 

数分も歩けば…見えてきた

 

「リッカさん…起こしましたか?」

「ホシノ…いやホシノのせいじゃない。気にするな」

 

ホシノは片手に銃、Eye of Horusを持ちこちらに視線を向ける。その目は鋭く、昼のような柔らかさは消えている。というかこちらが素か。口調も2年前に戻っている。

 

あの頃から根本的な所は変わっていないのを喜べば良いのか悲しめば良いのか、わからないものだ

 

「立派に育たんから寝ろ…と言いたいとこだが、今夜もパトロールか。精が出るな」

「…知ってたんです?」

「一応な。コレでも元先輩だ。ホシノのことなら多少分かる」

 

ホントは前世のゲームでの記憶だが、それが無くとも同じ結論になっただろうなぁ。なまじ最強な分、自分で全部抱える方がいいと考える。ホシノの悪癖だ。実際に背負えるし、周りから隠し通せるのが余計にタチが悪い

 

「…それより立派に育たないってなんですか。もう十分成長しましたし余計なお世話です」

「う…ごめんな。お節介だったか…」

 

同じ女子同士でもセクハラは成立するのだ。気をつけねば

 

…どうやってホシノと黒服の取引止めっかなー。説得とかは苦手なんだよねぇ。下手に刺激するのも危険だし…先生に放り投げたいけど私のせいでどんな影響及ぼすかわからん…どーしよ。

 

あーだこーだ考えていたらホシノがこちらへ質問してくる

 

「えっと、その…右目は、大丈夫なんですか…?」

「ん?…あぁ、大丈夫だ。()()だが生来のものと同じように見える。だから…ホシノが気に病む必要はない」

 

右目を人差し指の第二関節で叩けば、コツコツと硬い音が鳴る。

この義眼は遺物の一種でだいぶ高性能、視界は問題ない。どうせ言っても気休めにしかならんが

 

「そうですか…」

 

それっきりホシノは黙ってしまう。ほんとに気負う必要はないんだけどね

 

…あー眠い、めんどい、よっしゃぶっ込んでやる

 

「時に一つ質問だが──」

「…なんです?」

「悩んでいるのはカイザーとの、その協力者らしき不気味な大人との取引か?」

「っあいつらを知ってるの!?」

「直接の面識はない。それでもキヴォトス中の全データの閲覧権限があるんでな、怪しい奴がいれば、いくら隠れられても誰かと契約を交わす限り影は追える」

 

権利があると言えど違法すれすれなのであくまで見る、それ以上は出来ない。

キヴォトスで律儀に法を守る必要があるかと言われればちょっと…何も言えんが

 

「アイツは何なんですか…?」

 

「ある意味では先生と同じ目標…キヴォトスの存続を願う奴だ。先生と違うのは、その過程でいくら犠牲が出ようとも数字の増減で済ませること。生徒に対し神秘のリソースとしか思っていないことだろうか。要は私にとっちゃあ…敵だよ」

 

あぁ、まったく忌々しい。黒服ならまだしもベアトリーチェは確実に消す、この世に肉片一片たりとも残してやるものか

 

「……リッカさんでも怒ることはあるんですね」

 

目を大きく開け、驚いた表情で見られる

 

「…?私はそれなりに怒るけど」

「リッカさんがキレるのは知り合いが傷つけられた時ばかりでしょう。それに…そんな敵意を持って怒るのはほとんど見たことがないので」

 

つい苦笑する。それに関しちゃ実に簡単

 

「年下の子達にブチギレるのは流石にしないよ」

「そういえば貴方もう18でしたね、私のいっこ上」

「う…私も今年でホシノと一緒に卒業か…面倒くさい…」

 

その前にキヴォトス存続できるかが問題だがそれは置いとく

 

柏手をひとつ

 

「話を戻そうか…その不気味な大人は正直ろくでもない奴だ。アイツもあいつの周りにいるのもな。そこに身売りはお勧めしない、対価はキチンと払うだろうが」

「……」

「で、ホシノ。君は私の言葉じゃ止まらない。止まれないほど背負うものが多くなったというべきかな。だから別に何も言わないさ」

「叱ったりしないんですか」

「叱ってどうにかなるならいくらでも叱ってやるが。…ホシノはさ、甘えるのが下手なんだよ。全部自分で背負う、守る、自分に厳しく身内に甘く。何よりも先にまず自分を犠牲にする」

 

欠点では無い、しかしそれで潰れては本末転倒だろう

 

頭を撫でる。髪の質感も2年前から変わらない

 

「なんで頭撫でるんですか」

「私は口下手でな、目の前で潰れそうなほどに頑張る子の慰め方をよく知らん。せいぜい撫でるかハグかだ」

「酷いレパートリーですね…」

 

失敬な、コレでも自覚はあるんだぞ。あった上で増やそうともしてないが

 

とりあえず今言っておきたいことを話すとしよう

 

頭を撫でる手を離し、ホシノの頬に沿わせる。視線を合わせればやっぱり綺麗なオッドアイが映る。

 

私の目の色に近い綺麗な空色と、星の瞬きのような黄金のような二つの目

 

その目に揺らめくのはどんな感情か、暗闇のせいで上手く読み取れない

 

「今は存分に悩め、悩んで悩んで決めた道を進め。それで、もしホシノが自分を犠牲にする道を選ぶのなら───」

 

誰も消えてしまわないような世界を作る。そうやって生きると決めたのだ

 

「私と先生が、責任もって救ってやる」

 

 

 

 

 




主人公ちゃんは一年留年してます
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