話が一応纏まり、私が席に着いたところでハスミが手を挙げ、リンへ質問をする
「治安維持部隊としてお聞きしますが、連邦生徒会長の失踪による犯罪件数の急増についての責任はどうなりますか?」
リンは手元の資料を一度、目に収め返答する。
実のところ質問の内容に関しては各学校から事前に提出されており、既に回答を書類上で終えている。
その為、この会議の半分は単なる形式上の会議となっている
「それに対しては申し開きの余地もありません。
が、本来連邦生徒会とはキヴォトスの存続、維持のための組織であり、各学校の問題に関しては余程のことがない限り、干渉致しません」
「だから関係無いと?」
「ええ」
「……わかりました」
既に回答を得ていたとはいえそれでも不満そうなハスミ
次にノアが挙手をする
「確かSRT特殊学校は連邦生徒会長が後ろ盾となり運営していましたね。その責任を取る本人が不在の今、どうなるのでしょう」
「それに関しましては連邦生徒会内での協議の末、決めることとなります。しかし、個人的な判断を言わせてもらうのならば……恐らくは、閉鎖となるかと」
冷徹に言ってはいるが、リンも思うところがあるのだろう。口もとが悔しげに歪んでいる
SRT特殊学校は、私の権限を組織化させたものだから、私より連邦生徒会に縛られる
私は連邦生徒会長に従ってはいるが、統治し続ける必要のある土地を持たず、殆ど独立しているからだ
学校の閉鎖について何とか出来ないか首を捻ったが、連邦生徒会の過半数を存続側に引き寄せるのは私じゃ難しかった
その後も各学校の懸念を解消、軽減するための質疑応答が続く。ここら辺に関してはほぼノータッチ
つまり暇だ
手慰みに、神秘で作った糸であやとりをする。星、ホウキ、東京タワー。簡単なものから順に難易度を上げていく。
手もほぐれたところで、以前に調べ見つけた、最も難しい技をする為に集中する
…………………………ほい出来た!天の川!神秘の補助があるおかげでだいぶ楽に作れた
「リッカさん、次貴方ですよ」
「ん?あ、すまん。あやとりに熱中してた」
糸を消し、話すべき内容を思い出す……なんかすっごい見られてる
「……何だお前ら、そんな私を見て」
「いえ、何というか……先ほどの糸?はなんです?」
「これか?」
指の先から神秘の糸を伸ばす
淡く発光する糸は、ふわふわと風に流されながら揺らめく
「えぇ……何なんですかそれ……」
「神秘で作った糸。なんか結構前に作れるようになった。だいぶ自由度高くて使い勝手良いぞ。脆いけど」
落とし物を屈まずに取れるし、炬燵に入ったままアイスやみかんを手元に持って来れる
とても便利
「……連邦生徒会長も十二分に理外の存在だったがお前も大概だな」
「失礼だなマコト。私はまだ人の身だよ。それに、私からすれば
「……この妹バカが」
「はっはっは、光栄だね」
まあ、妹ちゃんが何を出来るのか私もよくわかってないし、他の人が警戒するのも理解できる。が、私の妹かつ可愛いからどーでもいい
可愛いis正義
「話を戻すとして、何の話だったか……そもそも話始まってなかったな」
リンから資料の入ったタブレットを受け取る
ここからがこの会議の残り半分、本題だ
「さて……あの子の失踪、先生の到来等々、キヴォトスは空前の過渡期に入っている。その為、これを機に色々体制を変えることにした。詳しい事は資料を見てくれ」
新しい資料を配り、全員が資料に目を落とす
さほど時間を置かず手が上がる
「一つ聞いても?」
「勿論だ。気になったことは早めに聞いてくれ、なるべく答えよう」
「それでは……まずこの資料に書いてある内容については異論ありません」
ノアは、怪訝な顔をして続ける。ノアだけでなく同じように資料を読んだハスミやマコトも眉を顰めている
「ですが連邦生徒会の仕事との兼ね合いにより実現するのには数年かかるでしょう。この資料に書いてある移行期間はそれよりずっと短い」
「連邦生徒会のリソースの多くを注ぎ込み、ようやく実行可能になるだろう期間ですが、強硬すればキヴォトスがさらに混乱するのは必至。此れについてはどうお考えで?」
そう。資料でも送れば済むこの会議にわざわざ来てもらった理由であり、会議の残り半分の命題が
「それについても問題はない。後でまとまった時間が出てくるからな。その間に一気に進める想定だ」
「まとまった時間とは?」
「ここからはオフレコで頼む。……連邦生徒会防衛室長、不知火カヤがクーデターを企てている」
言った後は何と言えばいいか、あぁなるほど……みたいなどこか諦めたような空気が漂っていた
「あまり驚かないな。残念だ」
「あの方と関わりのある生徒なら超人への執着は知っているでしょうし、超人がいない今、野心を出すのは驚きませんよ。そもそも無理では?」
Oh……哀れなりカヤ。キヴォトス最大規模の学園、その治安維持組織No.2直々に無理だと判定されたぞ
「ふむ。つまりそのクーデターの時に手を貸して欲しいという事か?」
「いや逆だ。手を出さないよう勧告する為に来てもらった」
「ほう?ではどうする。仮にクーデターが成功した場合、シャーレすら手出しで…きな、い…………あー…なるほど、
勘づいたか。ヒナかイブキが関わると基本アホになるが、伊達にゲヘナのトップをやってないな
「恐らく考えてる通りだ。たとえカヤがクーデターを成功させようと、私に命令はできない。私は連邦生徒会長という立場ではなく、あの子に従っているからな。自由に動ける」
正直、私が何もしなくても自滅しかけるだろうが、私が関わった方が後処理が楽になる
「そもそも今のうちから叛逆が起きないようには出来ないんですか?」
「出来なくも無いが……やっておいた方が潜在的な危険分子を潰しておける」
原作を踏み外せば、いつ何処でキヴォトスが滅ぶか予想が立てられない。なるべく同じ道を辿るように踏襲する必要がある
「差し当たって、私たちは基本静観ということでいいんですね?」
「そうしてくれ」
堅苦しい話はこれで終わり
「それと会議とは関係ない、私からの個人的なお願いを一つ」
「あら、なんですか?」
「多分、数日後に先生が戦力を貸してくれって頼みに来るから、準備しといてくれたら助かる。ゲヘナとトリニティに行くはずだ」
目の前に置いてある紅茶を飲む……量産品だが意外とイケるな
「キキッ、ヒナに押し付けることにしよう!」
「………程々にな」
まぁ、早めにヒナに伝わっておくと先生も楽だろ。色々済んだら謝りに行こ
「代わりと言っては何だが……ほれ」
「これは……カヌレですか?」
「目敏いなハスミ。ようやく時間が取れたから昨日の晩から作ってみた。お茶請けに良いぞ」
「……どうも」
久々にお菓子を作れて満足。最近はアビドス行ったり、ブラックマーケットで暴れたり、書類仕事に忙殺されたり大変だった
あ、リン。タブレット返す。ほい
「取り敢えず、これで3校合同緊急会議を終了する」
前々回の前書きで言ったオタクの友人がブックオフで買った本をLINEで送って来ました
私ね、制服でR18の本を買う勇気はいらないと思うんだ