可愛い連邦生徒会長の姉として!   作:siyu

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これを書き始めてから小説を書いている人の凄さをしみじみと実感している所です。これを仕事にできる人とかどんな頭してんだ……


挑発

 

数瞬の間が空きアコは返答する

 

『あら、面白いことをおっしゃいますが何故そうお考えに?』

 

「いくつかあるけど……その前に、リッカ。何でアコの独断だって思ったの」

 

「へ、私?……えー、一つは動員された人数。この気配の感じだと目の前の隊と同じ規模の隊があと数個隠れてる。全部で……三百人ちょいか?どう考えても過剰だろう」

 

こんな人数を出撃させるなら風紀委員長(ヒナ)1人を出した方がコストも時間もかからない。こう言っては何だが便利屋はキヴォトス全域で考えれば大した犯罪者でもない。こんな暇があるなら温泉開発部や美食研究会を捕えろって話だ

 

「そもそも風紀委員長は便利屋をあまり危険視してない。他学校との軋轢を生みかねないこの侵攻の許可をわざわざ出すわけがない」

 

少しでも隙を見せればトリニティがしつこく突っついてくる。今の時期に問題を起こすのはどう考えても悪手だ

 

——エデン条約

 

存在を証明できない楽園(エデン)の名を冠した条約。証明も認知も出来ず、その存在を信じる事しか出来ない土地の名を与えたのは皮肉か、単なるあの子の趣味か

 

「もう一つは——本人に聞いたから」

 

『……はい?』

 

「文字通りヒナに直接聞いた」

 

右手に持ち、ちょこちょこ操作していたスマホをアコヘ見せる

 

会話を要約すると、ヒナは風紀委員がアビドス近くへ来ていることを知らず、すぐにこちらへ来るという内容。内容だけなら特段重要度が高いわけでもないが、アコにとっては生命線と同義。顔が真っ青に染まる

 

『貴方、何で委員長に言っちゃうんですか!!』

 

「憂さ晴ら……八つ当………うん、正当防衛(昼ご飯の恨み)☆!」

 

サムズアップをしつつ、見事なウィンクを決める。ご飯の恨みは深いのだ

 

「まぁ、うん……アコの独断って考えた訳はわかった」

 

……私の前で頭が痛そうな仕草する人多いけど偏頭痛なのか?()

 

「こんな人数、私たち(便利屋)やアビドスに向ける戦力じゃない。それこそ他の集団との戦闘を想定してたって考える方が辻褄が合う」

 

カヨコはその聡明さでアコの考えを読み解いていく

 

「貴方の狙いは先生の持つ権力でしょ。先生を手中に収めればエデン条約でトリニティに牽制できるし、ここで起きた不祥事以上の利益もある。アコが考えそうな事だね」

 

『なるほど……まったく、失敗しましたね。便利屋にカヨコさんがいることをすっかり忘れてました』

 

アコは納得したように頷く。その顔には焦りは一切見られない

 

『そこのバカが委員長にチクったせいで時間の猶予はありませんが問題ありません。全隊、前へ出なさい』

 

「誰がバカだ。処すぞ」

 

『うっさいです』

 

いや流石にそんな事はしないけどね?そこまで無法なことは出来ないし

 

『見事です、カヨコさん。先程のお話は正解……いえ、点数にすれば半分、といったところでしょうか。確かにシャーレと敵対することも想定しておりましたが、あくまで最悪の場合です。意図した訳では無いと承知いただければ』

 

『事の次第をお話ししましょう。……きっかけは、ティーパーティーでした』

 

アコは滔々と語る。人に指示を出すことに慣れた、大きくはなくとも良く通り、聞き取りやすい声

 

『もちろんご存知ですよね、ゲヘナ学園と長きにわたって敵対関係にある、トリニティ総合学園の生徒会のことです』

 

敵対ねぇ……両方とも相手を毛嫌いしてるが第三者から見ればどっちもどっちなんだよね。ゲヘナは暴力が酷いしトリニティは策謀が酷いし、酷さで言えば変わらん。外から見てヤバそうに見えるか否かだけだろ、2校の違いって

 

『そのティーパーティーが、シャーレに関する報告書を手にしている……と。そんな話が、うちの情報部から上がってきまして』

 

『当初は私も「シャーレ」とは一体何なのか、全く知りませんでしたが……ティーパーティーが知っている情報となれば、私たちも知る必要があります。それで、チナツさんが書いた報告書を確認しました』

 

「確認するのが遅くないです……?」

 

「てか、そこの褐色娘(イオリ)が私のことを知らないのもどうなんだ。私それなりに重要人物だぞ。チナツなら報告書にも(したた)めるだろ、本人の性格的に」

 

『貴方の名前は数年ぶりに聞いたんですよ。とっくに卒業してるか死んでると思ったので、確証を得られるまで緘口令を敷いてました』

 

生きとるわ舐めんな

 

『連邦生徒会長が残した正体不明の組織……大人の先生が担当している、超法規的な部活。どう考えても怪しい匂いがしませんか?』

 

まぁ、怪しいといえば死ぬほど怪しいのは確かだ。シャーレにはどんな学園や所属だとしても自由に所属可能という、私やSRTにすらない許可が下りている。そんな下手すれば、何処までも勢力を伸ばせる手がこれまた警戒せざるを得ない『外からの大人』に握られているのは学園の上層部にとっては頭の痛い事例だろう

 

『シャーレという組織は、とても危険な不確定要素に見えます。これからのトリニティとの条約にも、どんな影響を及ぼすのか分かったものではありません。ですからせめて条約が無事締結されるまでは、私たち風紀委員会の庇護下に先生をお迎えさせていただきたいのです。ついでに、居合わせた不良生徒たちも処理した上で……といった形で』

 

……へぇ?

 

少し気に入らない。口角を意識して上げ一歩前に出る

 

アコ(アホチチ)が言いたい事はさ、【先生の了承は得てないけど、私達が危険から守ってあげるから代わりに先生の威光は使います。無理やり捕えるために周りに迷惑かけるけど先生の為だからごめんね?】ってことか?」

 

『……随分と悪意に満ちた言い方をしますね』

 

「ごあいにく様、そうとしか聞こえないもんでね」

 

肩をすくめ、笑みを深くする。相手への友好心を示すためでは無い、相手を嘲るための嗤い

 

一つ目。右手の人差し指を立てる

 

「まず最初の迫撃砲。先生がいた場合、最悪死んでた。その時点で信用出来ない」

 

二つ目。中指を立てる

 

「先生が頼んだならともかく、何で風紀委員に守ってもらう必要がある?先生をここ(キヴォトス)に呼んだのは私の妹で、守る責任は私にある。先生に傷が付くのは私が死んだ後だ」

 

三つ目。薬指を立てた後、手の甲を相手に向け人差し指を動かす。とても分かり易いポピュラーな挑発

 

「私一人だけに負ける奴らになんぞに、先生を任せるわけないだろう」

 

 

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