先生がシャーレへ入った後、私はユウカ、ハスミ、スズミ、チナツの4人と世間話に興じていた。話しているうちに知ったのだが、皆私の名前だけは知っていたようである。主に先輩経由と言っていた。悪名で無ければ良いが。
結局、先生が何事もなく戻ってきた時点で連絡先を交換し、その日は解散となった。
あれから数日後の今日、私はシャーレへ来ていた。
「たのもー」
“リッカ、いらっしゃい”
オフィスでは先生が仕事をしていたが隈がとんでもない。徹夜で仕事でもしていたのだろう。
「…流石に寝た方がいいんじゃないか?」
正直幽霊じみていて怖い
“いや、早めに終わらせないと皆困るから…”
「寝てなさい」
放っておけば永遠に仕事をしてそうな先生を強制的に抱き抱え、ソファーへ連れて行く。随分抵抗していたが力はこちらの方が強い。
これ以上抵抗するなら
「さて…久方ぶりの書類仕事の時間か」
全くもって嬉しくない
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書類の山も随分減った頃、先生が起きた。早朝に来たというのにもう昼を回っている。よほど疲れていたようだ。だいぶ消えた書類の山を見て顔を青くする。
“ごめんね!書類を任せちゃって”
「構わんよ、元々私も似たような状況にはよくなっていたしな。それと、そっちにある袋に食べる物を入れてある。差し入れだ。どうせ朝ご飯もとっていないのだろう?せめて腹に何かは入れておいた方が良い」
私の目線を辿り、見つけた袋を手に取る。中にはエンジェル24で買った軽食や飲み物をいくつか入れてある。
“お金はいくら…”
「いい、大丈夫だ。それより少しは私達も頼ってくれ。書類を全部任せては流石に立つ瀬がない」
“…分かったよ”
しぶしぶではあるが納得してもらえた。すると、差し入れの入った袋の隣にあるバッグを不思議に思ったようでサンドイッチをぱくつきながら話す。
“んむ…随分と多い荷物だね?”
「今日からシャーレで過ごすからな」
“えっ?”
「?…ここに泊まるのに不便はないだろう?」
何せここは自由に使える空き部屋、シャワー、下にはコンビニ、少し歩けばスーパーもある好立地だ。
“そうじゃなくて、私もここに寝泊まりするけどリッカは良いの?”
「ああ、そういう…別に良い。ここに泊まると言ってもどうせ大体どこか出かけてる。ホテル代わりの様なものだ。それに、貴方は『先生』だろう、信用してるぞ?」
“…学校とかは大丈夫?”
聞き流しやがった
「袋の中にある飴を取ってくれ、そのマスカットの…それだ」
“どうぞ”
「ありがと。お、美味いなこれ。あー、私の学校は特殊でな。私個人の学園として
ユウカ達が私を名前だけとはいえ知っていたのはコレが理由かな?問題解決のために色んな組織と対立、協力を繰り返していた実に刺激的な毎日だった。2度としたくない。
「今は連邦生徒会長…妹もいないし先生の指示に従おう。便利な手駒として自由に使ってくれたまえ」
“…生徒を手駒って考えるのは…”
「…んー、私が勝手にそう考えるだけだ。先生からは他のシャーレに来た生徒達と同列に扱ってくれ。そっちの方が互いに楽だろう」
“…じゃあ、残りの書類を片付けるのを早速で悪いけど手伝ってもらって良いかな?”
「まだ残っていたな。それじゃあちゃっちゃと終わらせるか」
先生との会話で手を止めていた書類に手を伸ばす。
「先生は私が連邦生徒会長の姉と言うことを聞いても特に驚いていなかったな。リンにでも聞いたのか?」
“それもあるけど…他の人にちょっとね”
他の人?…アロナか?
「一応言っておくとあの子の居場所は私も詳しくは知らんぞ、予想はしているが確信は無いし、仮に予想通りでも私から会いにはいけない」
“そっか…”
シッテムの箱の中とかどうやっていけばいいか皆目見当がつかん。それにアロナについてもあまり知らない。誠に残念である
話も一区切りし、改めて書類に向き合う。
もとより少なくなっていた山が殆ど消えたところで先生が声をあげる
“リッカ、アビドス高等学校って知ってる?”
「勿論知っているよ、さっき言った特権を使って、二年ほど前に一時期在籍していたからな。もしかして、アビドスから手紙が?」
“そう、救援要請が来たんだよ”
「行くかどうかは…聞かなくてもわかるか」
“もちろん行くよ、生徒のピンチだ”
先生は端末をしまい、アビドスの地図を探しに資料室へ向かう。その背を追いながら、胸の中に湧く苦い気持ちを押さえ付ける。
——-アビドス、私は先生のように生徒たちを救うのは不可能と痛感し……私が【死ぬ】きっかけとなった場所
ブルアカアニメ見ました?ユメ先輩の死因が思った以上にアレでちょっと怖かったですねぇ