それ逝け!ユメ先輩(偽) 作:ポンコツ太郎
グッモーニンinアビドス砂漠
Age quod agis.
Tu fui, ego eris.
「ん……?」
肌にひやりとした空気が触れる感覚で、ぼんやりと意識が浮かび上がる。エアコンを消し忘れて寝てしまったのだろうか。全く、昨日の自分め……とりあえずリモコンを探そうと、体を起こそうとする。
手のひらが冷たい。どうやら床で眠ってしまっていたようで、身体の節々が痛い。馬鹿なことをしたなと思いながらも寝ぼけ目を擦ると、次第に視界が鮮明に……
「……どこここぉ?」
すると自分は全く知らない場所にいた。少なくとも、絶対に自分の部屋ではない。友人の家……と言うわけでもないだろう。
「暗いし……なんか体重いし……」
いきなり直面したよく分からない状況に戸惑いながら、とりあえず自分の体は大丈夫かを確認する。ペタペタと体を触って、違和感を覚えた。妙に左腕がすかる。階段を踏み外した時のよう……というと、少し間抜けだけど。何事かと思って、視線をそっちの方へと向ける……
……そこには何もなかった。
「!?うわぁっ!?う、腕……っ」
なんで、こんな?意味がわからない。驚きながらまさぐってみれば、付け根から丸ごとなかった。しかも服に乾いた血がこびりついている。カサついているので、大分時間は経っているみたいだけど。もがれたとか吹っ飛んだとか、そういう感じだ。
「痛みは……ない。けど……」
なぜこんなことをされてのんきに眠っていられたのか。というかここどこなのか。声もなんかおかしいし……スルーしてたけどこの視線の下にあるデカいものは……?いろんなことが起こって何が何だかわからない。とりあえず、もう一度辺りを見渡す。
どうやらここは休憩室らしい。近くのソファを支えに立ち上がってあたりを見渡した限りそんな感じだ。薄暗くてわかりにくいが、よく見てみれば鏡が壁にかかっている。覗き込んでみれば自分に何が起こっているのか分かるんじゃないかとか思って、そこまで歩いて行ってみれば、しかし余計に分からなくなってしまった。
「……お、女の子?」
自分の姿がいい顔した女の子になっていたからだ。誰だって困惑するだろう。自分だって困惑する。
長い青緑の髪、黄色い瞳。着ている制服は左腕の付け根部分だけでなく、全体的に血が染みついている。まるで、死人が蘇ったかのような。夢でも見ているのかと思ったけれど、それにしては意識も感覚もしっかりしている。一応確認として体をひねったり足をあげたりとすれば、目の前の像も全く同じ行為をする。うん、やっぱり自分だ。
「……いわゆる転生って奴か?それとも憑依?」
少し冷静になってしばらく考えてみると、自分は転生か憑依したのかもしれない、という結論になった……た、多分。馬鹿なこと言ってるとは思う。もしかしたら、まだ気が動転してるかもしれない。でも、ない腕と胸に感じる質量とこの顔を考えると、やっぱりそれが一番ありそうだ。
物語とかではよくある事だけど、まさか自分がなるとは思っていなかった。所詮空想上のことだと思っていたし。……やっぱり、夢を見ているんだろうか。何が何だかさっぱりだ。
「うーん……」
とりあえず、周りを探索をしてみることにする。寝ていた部屋から廊下に出てみれば、色んな所にべっとりと赤いものがついていて、大分気味が悪い。やはり自分の血なんだろうか。記憶にはないが何かから逃げて、ここまで来たのかもしれない。化け物とかが出てこないことを祈ろう……
歩き回る限りどうやら廃ビルらしく、人っ子一人見つからない。隙間風だけが鳴っている。放棄するときに色々持って行ったのか、残り物がまばらに置いてあるくらいで役に立ちそうなものはなさそう。
窓から外を見てみれば、あたり一面砂だらけ。どうやらこの建物は砂漠の中にあるらしく、他の建物もまばらに建っているが、どれも埋もれかけている。遠くにビル群が見えるが遠そうだ。
「砂漠化とかそういうやつかな……ん」
そう思いながら歩いていると、エントランス部分で砂に埋もれかかったカードのようなものを見つけた。今の自分の顔が写っているので、重要なものだろう。首に掛ける用のストラップが千切れているそれを手に取る。
「……学生証か。アビドス高等学校……名前は……
発行日は結構前(多分。ビルにあったカレンダーから推測)。そんな名前の学校に通った覚えはもちろんない。左腕がなぜかないのと合わせて考えると、自分は転生したというよりも、この体に憑依したと考える方が自然かもしれない。……それも多分、死体に。頭の上に浮いている輪っかを見るに、そうとしか考えられない。死体に憑依ってそれゾンビか何かなんじゃないかと思ったけど、深く考えないことにした。
もし自分をこの体に移した輩がいるとすれば、なんとも無責任な奴だと思う。勘弁してくれい。
「……ごめん、借りるぞ」
でも、何もわからないまま二度死んでやるつもりもない。外に出て確かめなければ。今の自分が何者なのかを。そしてできれば、この子に何があったかも。
「さ、さむ……砂漠なのに……」
意気揚々と外に出てみればさっき見た通り砂漠だが、不思議なことに寒い。今は冬なのだろうか。風が強く吹いているのもあるかもしれない。というか、冬の砂漠って寒いんだ……
しかし暑くて移動ができないよりかはかなりマシだ。この間に目の前に見えてる市街地の方に行きたいところ。もしかしたら、この体の持ち主のことを知っている人がいるかもしれない。会ってどうするかと言われるとアレだけど。
「はあ…はあ……あ゛ー……」
起きてから飲まず食わずで随分歩いたので、大分疲れている。腕がなくなっていてバランスも悪いというのもあるだろうけど……あと胸が重いし……
ひいんひいん言いながら歩いていれば、日も暮れたころ、住宅街らしきところまでたどり着いた。振り返れば、今まで歩いてきた広大な砂漠が見える。自分の目覚めた廃ビルももう見えない。それほどまでに遠くまで来たらしい。よくここまで歩いてこれたな……もしかしてこの肉体優秀?
しかしここまで来てもまだ人の気配がない。家が連なっているのに、明かりが一つもついていないし、街灯もあまり点いていない。もしかして世界には自分以外に人なんていないんじゃないかとさえ思えてくる。
「うう……寒い」
びゅうと風が吹く。だんだんと寒さが厳しくなってきた。これ以上歩くのは危ないかもしれない。とにかく、今日はここで夜を明かす事にしよう。そう思い、ノブを回して扉を引いて、目の前の空き家に入る。幸い、鍵はかかっていなかった。
「廃ビルの次は空き家かぁ……」
家の中は意外と綺麗で、住もうと思えば住めるくらいには快適だ。少し穴が開いてたりするけど、それでも風をある程度しのげるのはありがたい。
と、落ち着いたところで腹が鳴る。意識するとより深刻になってきた。
「うう……とりあえず水と食料……あとできれば服……」
真っ先にキッチンを漁る。水道は通っていない。何かあるとしたら冷蔵庫か。ふらついてきた足で冷蔵庫まで行こうとして──
ガサッ
「っだ、誰!?」
音がした。誰かが、足を何かに引っ掛けたような音。ついさっきまで無かったはずの人の気配に冷や汗を流す。
キッチンの入り口を見ていれば、ぬらりとその影が出てきて……
そこに現れたのは、少女だった。そして、ボロい布を一枚着てこちらを見るその顔には……
「……い、犬耳?」
「違う。狼」
「あ、うん……」
いわゆるケモ耳と言うやつがついていた。世界観がわからん。
多分続きません。許して……
どっちがお好き?
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でっかいハンドガン
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でっかいリボルバー