それ逝け!ユメ先輩(偽) 作:ポンコツ太郎
まあダメだったら消せばええか……の精神で行くぜ!
「しかし教官!当たりさえすれば構えなんてなんでもいいんじゃあないでしょうか!」
「確かに崩してる人もいるけどね、そういうのは基本を学んでからあえて崩してるんだよ!君のやってるのは形無しっていうの、お分かり!?」
「はいぃ!」
夏も本番。いよいよ殺人的な暑さになる中、私とホシノはちょっとした戦闘訓練をしていた。しかも外でである。死ぬ!もっぱら射撃訓練が多く……というか実際今日もそうだが、こんな気温なら中でやっても良いんじゃないでしょうか。水が滴るなら良いんだろうけど、汗が滴るのはちょっと違うんじゃないでしょうか。*1
ちなみに、シロコとノノミちゃんは二人で花火を買いに行っている。ついでに晩御飯も。なんでも昔の生徒会が花火をオアシスに埋めたらしい、という話を聞いたノノミちゃんが花火をやりたいと言いだしたのだ。みんなも乗り気で、早速一杯買って夜にやろうということになり、準備をしているというわけである。足取りも軽やかに飛び出して行ったので、相当楽しみなようだ。その調子だぞノノミちゃん。
で、私とホシノはお留守番である。理由は前話言ったので割愛。でも最近はヘルメット団が来る頻度が目に見えて減っている。奴さんも夏休みなのか、もしくはこんな暑い所に来たくないのか。どっちにしろ、賢明な判断だと思う。そのままフェードアウトしてくれい。
「む、無理ぃ……もうダメ……」
「はあ、仕方ないね。じゃあちょっと休憩ってことで」
「やったぁ~」
しばらく的当てを続け、体力がなくなったことを嘆けば、教官から休憩のお達しが出た。そろそろバテそうだったので助かる。とりあえず水分補給をと、購買まで行き二人分のミネラルウォーターを買って持ってくる。ふたを開けかっと流し込めば、ある程度生き返った心地だ。
「上達してる気があんまりしないなぁ」
「命中精度は良いと思うよ。後は動きと射線管理と投擲物の使い方とその他の技術を身に着ければ……」
「お、多くない?」
私をソルジャーにでもするつもりだろうか。と思ったけれど、シロコがすでにそれに片足突っ込んだ感じになっているので合っているのかもしれない。この間なんて塀の上を走っていたし。……ニンジャ?
まあ、銃の重さ的には私が一番身軽で動きやすいだろうし、そうでなくとも出来ることは多い方がいいだろう。目指せオールラウンダー。……なれても器用貧乏な気がしてきた。
ところで、今は後輩もいないわけで。他に私たちの話を聞く輩もいないというわけで。ホシノに、気になっていたことを聞くチャンスなのである。
「そういえば。こないだ心当たりがあるって言ってた奴、どうだった?」
「……ああ、あれ。いや、外れだったよ。大外れ」
「……そっか」
この間、二人でビルを調べた時に言っていた「心当たり」のことだ。犯人に繋がる手がかりが得られるかもしれないと思っていたが、どうやら当てが外れたらしい。
「もうわかんないよ、なんも」
「……」
自信があったのかは知らないけど、ホシノはひどく落胆した様子だった。その姿がいつもよりも小さく見えるほどだ。
「あ、あと。……先に言っておくよ、ごめん」
「え、何が?」
「そうだ。これ、フレアガンね。危なくなったら撃って、見えれば助けに行くからさ」
「待った。いや、なんで急に?もしかして、なんか目を付けられるような事したの?」
「いやぁ~~~今日は一段と暑いよね。動いてないのに暑いよ~」
「誤魔化せてないが?」
そんなことを考えていたら、いきなり謝られていきなり信号拳銃を渡された。何をしたのか知らないが、私にも危害が加えられかねないということだろうか。いや危険なのは別に構わないけれど、せめてちゃんと説明して欲しいんですよ。
「うへ……やっぱり?」
「危険なことに関わってるんじゃないだろうね?」
「……そんなわけないじゃないですか」
肩を掴んでとっちめると、ふいと顔をそらされる。絶対嘘じゃん。この目のそらし方は間違いなくよからぬことをしている奴だ。
周囲は嫌に静かで、セミすら鳴いていない。気温が高すぎると逆に鳴かないと聞いたことがあるが、今だけは鳴いてこの雰囲気を誤魔化してほしい。
なんだか訓練って感じじゃなくなっちゃったし、かと言って中に入って二人で涼むのもしづらくなってしまった。誤魔化すようにため息をつき、ペットボトルに口をつける。
「正直、振り出しかな」
そうつぶやくホシノは、よくよく見れば目元に薄らとクマができている。寝る間も惜しんで調べているのだろうか。それに比べたら私なんぞ、本当に大したことをしていない。
手がかりの手の字もつかんでいないのだ。はっきり言って役立たずである。最初の気概はどこへやら、冬から夏まで経っても何も分かっちゃいなかった。事の割には、手がかりが少なすぎるのだ。もしくは、そんなものハナからない超常現象なのか。
いっそのこと、本人から聞ければ良いんだけれど。
「反魂でもできればいいのに」
「……無理でしょ」
「でもほら、今日からお盆じゃん」
ペットボトルから口を離した私は、気づけばそう口に出していた。馬鹿野郎。最悪か私は。しかもオカルトで、どうしようもなく胡散臭いやり方を考えている。暑さでの故障か、私の頭の回転はどうしようもなく空回りしていた。
「……ああっと、その──」
「……確かに」
しかしホシノは妙案だ、とばかりに目を開く。こちらを向いたその顔は薄ら笑いをしていて、しかしその瞳は暗かった。
「……試してみる?」
「……」
どうやら、ホシノも暑さにやられてしまったようだ。アビドスは恐ろしい。
でもこの世界、意外とファンタジーじみたことが起こるらしい。それを考えるとなんかいける気もしてきた。なせばなる。
「ん、楽しみ」
「ですね」
駅前のスーパーで必要なものを買った帰り道。シロコとノノミの二人は行きの興奮ほとんどそのままでアビドスへ向かっていた。両者とも、友人と遅くまで遊ぶという体験は今回が初めてなのだ。そうなるのもやむなし。今日ばかりは寄り道もせず、最短距離で帰路についていた。
「少し持とうか?」
「いえ、大丈夫ですよ!これくらいへっちゃらです♠」
「むぅ……」
持っている荷物の量に大きな差があるためシロコがそう提案するが、ノノミはそれをやんわり断る。言い出しっぺだからというのと、実際本当にへっちゃらだからだ。最近変な語尾がつきはじめたノノミちゃんはこうなると意外と頑固だった。*2
持たせてくれないことに不満げなシロコ。無理矢理にでも持ってやろうと近づいて行くが、ひょいと手を挙げられてしまえば身長的にも届かない。頬を膨らませて抗議するが、軽く受け流される。
そういった展開が道中二、三回ほど繰り返された後、拗ねたシロコがすでに見えていたアビドス高校へと走っていく。少し意地悪だったかなとノノミが苦笑いするが、しばらくするとなぜかシロコは踵を返してこちらへと戻ってきた。
「……」
「?どうしたんですか、シロコちゃん」
「なんか……変なことしてる……」
そういうシロコは何故か少し怖がっている様子で首をすくめている。まさかヘルメット団かとも思ったが、それっぽい騒音も聞こえない。いったい何事だと疑問に思ったノノミが校門をくぐると。
「スカラカ、チャカポコ。チャカポコ、チャカポコ……」
「はらいたまえ~きよめたまえ~」
「ええ……?」
変なものを見た。赤いサークルの中心で先輩二人が数珠と木魚を持って呪文を唱えている光景だ。1d6。ヘルメット団がこの光景を見たら逃げ出してしまうかもしれない。
暑さでおかしくなってしまったのだろうか。*3後輩二人はそう考えた。もしくはいつもの発作かもしれない。あの人達はたまに変になるから。
「な、なにやってるんですか……?」
「ん?あ、お帰り二人とも。どうだった?」
「え、あ、はい。いっぱい買ってきました。ほら!」
二人に気づいた先輩たちは、ちゃんとお目当てのものを買うことができたか聞いてくる。ノノミはなんだか自分の質問をはぐらかされたような気がしたが、恐ろしい回答が返ってくるよりかはましだろうと思いこれ以上は触れないでおくことにした。
「ノノミがカードで買い占めてた」
「またか!」
「無駄遣いはいかんよ~」
「無駄じゃありません!全部使い切りますから!」
「ええ?」
そう言いながら、ノノミは持っているレジ袋を掲げる。中には市販の花火がぎっちり入っていた。それもその筈、ノノミがゴールドカードで買い占めたのだ。まさに大人買いである。大人じゃないけど。ちなみに、それを見たシロコは自分もやってみたいなと憧れた。そして銀行強盗計画を立てた。次回の対策会議で提案するつもりである。
「といっても……これ多くない?飽きない??」
「大丈夫です!飽きません!」
「ほんとぉ~?」
まさに両手に花(火)。もちろん食べ物よりも多く買ってきている。その量はさすがに使いきれないんじゃないだろうか。ウツホは訝しんだ。絶対余ると確信できるので、来年にも使えるのかを調べておくことにしたのだった。
「とりあえず、夕ご飯仕舞って来ちゃいますね」
「はいよ~」
この暑さでは傷むのも早い。冷蔵庫に入れた方がいいと考えたノノミは、ささっと家庭科室方面へ歩いていく。それにシロコもついていった。だんだん二人が遠くなっていき、陽炎に溶けていく様をホシノは見つめる。
「やっぱり駄目だったか……」
「そりゃあそうだよ。こんなので戻ってくるわけがない」
再び二人になったウツホとホシノが、正気に戻ったのかそう口にする。バカげた方法だとわかっていた割に、成功しなくて不満げなようだった。
「まあそうだよね。これが成功したら奇跡だよ」
「……奇跡、か」
その言葉に引っ掛かり、咀嚼しきれず、ホシノは思わず口に出した。あの人なら考えなしに起きると言うだろうか。何とかなると、そう言うだろうか。
「あ、でも」
「?」
「なんか体が軽い気はする」
「……」
そう言いながら腕を上げたり下げたりするウツホ。心なしか、本当に軽そうである。ホシノは思わず微妙な表情になった。最近この表情をすることが増えたような気がするな、なんてどうでもいいことを考えながら。
「これ以上はやめておこうか」
「そう?」
「うん。……成仏されても困るし」
「はは……」
成仏させればすれ違いで戻ってきたりするかもしれないとも思ったが、口には出さなかった。既に自分にはそんなこと出来なくなっていたから。手伝いに行こうと言ったウツホの後を追うように、ホシノは校舎の中へと入っていった。
「線香花火に手持ち花火、ねずみ花火に打ち上げ花火……いろんなのがあるんだねぇ」
「私、線香花火がやってみたいです!」
日も落ち切った夜、夕飯を済ませた私たちは校庭で花火を吹かしていた。市販の花火なんて何年ぶりだろう。祖母の家でやったのが最後だから……少なくとも五年以上は前だろうか。意外と経っているように思う。小さい頃は着火は親にやってもらっていたので、自分でやるのは実は初めてになる。それもあってか結構新鮮だ。
「ん、三刀流」
「危ないから咥えないの!」
「分かった。……四刀流」
「なにしとんねん」
「そしてこうすれば八刀流……!」
「あほか!」
手持ち花火を口にくわえるのをいさめれば、次に両脇に挟み四刀流に、さらに肘と膝に花火を差し込み八刀流になるシロコ。すごい絵面である。その後も試行錯誤して十四刀流まで行っていたが、「お尻に挟めば……!」と言い出したところで本格的に止めておいた。こら、やけどしたらどうする。
とりあえず、自分はねずみ花火を使ってみることにした。一つ火をつけてみれば周りに火をまき散らしながら花火が回る。……なんか持続長くない?キヴォトスだと強い火薬とかを使っているのかもしれない。さらに二つ、三つと追加すれば色の違う花火たちが鮮やかに回っている。ベイブレードみたいで面白い。……と思っていたらぶつかった花火がこっちへ飛んできた。うおあっぶね。
「ふふん。これでもおじさんは線香花火のプロでね。ちっちゃいころ*4は不死鳥ホシノなんて呼ばれてたんだあれぇ~~?」
「あら、落ちちゃいましたね……」
「ちょ、ちょっとタンマ。もう一回やろうもう一回」
「ホシノ先輩……」
不死鳥ホシノの駆る線香花火はものの十数秒で命を散らしていた。なんとも短いものである。その後も何回か勝負をしていたようだが、その悉くがすぐに落っこちていた。惨敗したホシノは鳴き声をひとつ上げ別の花火で遊んだそうな。
逆にノノミちゃんのは見事なことに長く燃え続けていた。一分を超えることも多く、こっちの方が不死鳥の名にふさわしいだろう。流石はショッピング師匠。買ったものに愛されているのかもしれない。(?)
その後もライトセイバーみたいに振り回したり、筒から煙のように出てくる奴を持って迫ってくるホシノから逃げ回ったり、ロケット花火でハリポタみたいなことをしたりした後、打ち上げ花火を使ってみようという話になったのだが。
「あれ?シロコは?」
「シロコちゃんなら、さっき校舎に入って行きましたよ。忘れ物でしょうか?」
「え、そうなの?打ち上げ花火持ってたし、そこらで打ち上げるのかと」
シロコがいつの間にやらどこかへ消えていたのだ。トイレにでも行ったのかと思ったが、二人から話を聞く限り花火を持って校舎に入っていったということになる。
「……すんごい嫌な予感がしてきた」
ドオン!
「おバカーーーーッ!!!!」
屋上から打ち上げるのだろうかとも思ったが、多分違うだろう。というか絶対違うと思う。だってシロコだし。とにかく、探しに行こうと校舎の方を向いたところで、破裂音と共に校舎が光った。
一応、校舎は燃えずに済んだが、着弾地点が黒く焦げていた。シロコ容疑者の供述によれば、「室内で打ち上げたらどうなるのかなって……」とのこと。危ないに決まっておろうが。
三人称って難しいですね……
エピソードアイギスをやるので次回はもっと遅れるかもしれません。許して……
あとどうでもいいですが編成画面のBGMってペルソナ4のOPに似てません?
先生の性別
-
男性
-
女性
-
ムキムキマッチョマン
-
TS幼女