それ逝け!ユメ先輩(偽) 作:ポンコツ太郎
まあレ・ダウ倒せたしええかぁ!
短編二つくっつけりゃ結構文字数行くんじゃないかと思い、今回二本立てです。アヤネとセリカのお話。
《やっていることは鍛冶屋のチェストから(略)》
「今までのカタカタヘルメット団の襲撃についてまとめたところ、主に月曜金曜に多く、水曜には一回もないことが分かりました。他は隔週2回、ローテーションかと思われます」
「水曜にやる気でないのってどこでも同じなんだね……」
ヘルメット団の襲撃は月金に多く、次点で火曜木曜、そして稀に土日。それでも水曜には来ていないということは、その日は休みと言う事だろうか。万年休みの奴らだと思っていたけど、意外と規則正しいのかもしれない。ヘルメット団の規則なんて大したものじゃなさそうだけど。
そんな彼女らの習慣を暴いたのはアヤネちゃん。わざわざ監視カメラから襲撃されている日のものを全て調べたんだそうな。さらっと言っていたけど絶対時間かかったやつよね。とんでもない子である。
「じゃ、次の自由登校日は水曜にしてみようか~」
「それはいいけど……本当に来ないの?あいつらのことだし、気分で来そうじゃない?」
「ん……なら一人、ずっと居る留守番係を決めればいいと思う」
「なるほど、それなら襲撃してきても分かりますね♠︎」
ホシノの一声で、水曜が実質休みに決まる。というか明後日である。実は今までもホシノが気分で決めていたりするのだが、そこはともかく。
セリカちゃんの言う通り、気まぐれで水曜に来ることもあるかもしれない。あり得るかもという程度にはヘルメット団への信用がないのだ。悲しきかな。あんま悲しくないか。
「ところで……どうやって決めるんですか?留守番係」
その言葉が出た途端、周囲の空気が変わったような気がした。一日中お留守番というのはやはりみんな嫌らしい。割とみんな負けず嫌いだしね。戦闘集団アビドスの名は伊達ではないのだ。まあ私が勝手に呼んでいるだけだけど。
「私に秘策がある」
そう言いながらシロコが手を挙げる。みんなの視線が集まれば、得意げに立ち上がった。そして口を開き──
「あっち向いてホイで決めるべき」
──戦争が……始まる。
「負けた……?左腕が……?」
「勝ちました!」
「アイアムチャンピョン!」
「よ、よかった……」
負けた。完膚なきまでに負けた。総当たり戦だったが全員に負けた。違うんです左腕が……関係ないか。
ちなみに優勝はシロコ、準優勝はノノミちゃん。あとの三人は2~3勝している。そして私は全敗している。
もしかすると私はじゃんけんクソザコなのかもしれない。それくらいひどかった。そう言えば、初詣に行ったときにおみくじを引いたが大凶だったな。なんでこんなところで効果が出るんだ。
勝負が終わるや否や、みんな自分の用事があるらしくちゃっちゃとばらばらに散っていく。ある者は昼寝、ある者は運動、そしてある者は勉強。……勉強だと……!?セリカちゃん、ずいぶんと真面目である。
「はぁ……当日やる分の書類やろう……」
自分もと思ったが今日やることはないので、それなら留守番の日にゆっくりできるようにと、その日の分の紙束を片付けることにした。
書類と言ってもほとんどヘルメット団撃退に使った弾薬費の経費報告書(?)である。あいつらがよく来るせいで最近処理する紙の量が多いな。あと出費がかさんだりもしている。勘弁してください。
「手伝いましょうか?」
「え、いいの?」
「はい、ちょうど暇でしたから」
「神?」
以前に比べて多くなった書類に辟易していると、一度出て行ったアヤネちゃんがひょっこり戻ってきて手伝ってくれるというではないか。ホントに言っているのかい君?アヤネちゃんの事務処理能力は群を抜いているので、実際大助かりである。崇めておくべきだろうか。
「とりあえず、ホシノ先輩の分とそうじゃない分で分けちゃいましょうか」
「イエスマム!」
そういうことで、二人で黙々と書類を片付けていく。仕事モードに入ったアヤネちゃんが親指と人差し指で眼鏡の位置をなおした後、すごい速さで紙束を片付けていくの横目に見ながら、自分はちみちみと片付けていった。こんなん広告であったね。noobとproのやつ。半刻過ぎれば、アヤネちゃん側の紙は片付いてしまっていた。
「ふう……終わりました、そっちはどうですか?」
「早いねアヤネちゃん……私まだ半分近く残ってるよ……」
「あはは……一応、中学の頃からやっているので。生徒会でしたから」
「ほえぇ」
……中学生にそんなことやらせるのおかしくない?私が中学の時なんてほとんど遊んでたぞ。生徒会にしたってこんなに早くさばけるようになるほどの量をこなしているのはすごいことに思える。そんな頃から仕事じみたことしてるって、やっぱりキヴォトスはおかしいんじゃないだろうか。
結局もう少しアヤネちゃんにやってもらい、残すはホシノがやらなければいけない分のみである。私は大して量をこなすこともなく終わった。なんともみじめな先輩である。ひぃん。
「ありがとねホントに。すごい助かったよ」
「いえいえ。高校の書式に慣れるためでもあったので、気にしないでください」
前に超がつくくらいには真面目だ。もう少し力を抜いてもいいんじゃないかとも思う。余計なお世話かもしれないけど。
「それでもだよ。そうだ、今度は私が手伝っちゃうよ!なんか困ってることない?」
「うーん、そうですね……あんまり思いつかないかもしれません」
「そうですか……」
特に困っていることはないらしい。しかしお礼はしたいのです。ラーメン奢りとかでいいんだろうか。……自分が食べたいだけだなコレは。
「あ。じゃあ、宝探しを手伝ってくれませんか?」
「宝探し?」
かと思えば、いきなりよく分からないことに誘われた。正直言わなさそうなことだったので、思わず目をぱちくりさせてしまう。言った本人は真剣な様子。まじめはまじめだけれど、意外と愉快な子なのかもしれない。
「はい!アビドスは歴史がありますし、倉庫に使われていない貴重品が眠っているかもしれないと思いまして。それを借金返済に当てられればと!」
「なるほどぉ、確かに」
言われてみれば確かに、ここアビドス高校には使われていないものをしまっているであろう倉庫がいくつかある。かつてはキヴォトス一の規模を誇ったとか言われているし、宝の一つや二つは見つかるかもしれない。金とか見つかったりしないだろうか。
「特に鉄とかは、使われないまま放置されているものが多くあると思うんです。使い道は多いですし、アビドスは軍事も盛んだったそうですから」
「ほうほう……それじゃあ、ここから近い所……第二倉庫に行ってみようか。もし見つかれば古鉄屋に引き取ってもらおう」
「商店街の方にあるお店ですね、私も何度かお世話になったことがあります」
「アヤネちゃんも?まあ、あそこぐらいだもんね。私らも結構お世話になっててさ。特にシロコがね……」
「シロコ先輩が?……そ、その顔は……いやな予感が……」*1
さて、倉庫を漁ってみれば、最初の時点でそれなりの量を見つけることができた。台車にぽいぽいと乗せて集めて倉庫内を回っていく。後で売ればいいお値段になったので、これは借金返済も捗るだろう。たしかに宝探しというのは言い得て妙かもしれない。楽しさがあるのも利点だね。
次は別の倉庫を漁ってみようとアヤネちゃんと約束した。どこか楽しげな様子である。良かったねえ。ちなみに、件の狼が乱入してくるのはまた別のお話。
《なんというか救われてなきゃあダメなんだ》
さて、件の自由登校日。しばらくすればノノミちゃんは買い物に行き、アヤネちゃんは外の図書館で勉強へ。他の子は最初から来ていないので、私一人になってしまった。
誰もいない校舎を歩くのって何だか特別感があるよね……と前なら思っただろうが、在校生の数が少ないのでそんなものあまりないのだ。寂しいもんである。
一人適当に見回りをすれば、特にやることもなくなってしまった。対策委員会の教室に入りパイプ椅子にドカッと座る。今足を机に乗せても、怒る人は誰もいないのだ。……本当に暇だな。書類仕事、ある程度残しておいた方がよかったかもしれない。
ふと壁の時計を見れば、既に昼を過ぎている。意外と時間は経っていた。時間を認識すれば、とたんに腹が減ってきたような気がする。いや減ってる。
「……ラーメン食べたい」
ラーメンが食べたくなってきた。柴関ラーメンが。しかし私は留守番係であって外出をするのは良くないのだ。でもラーメン食べたいな。いやでも今学校には私以外誰もいないので外に出るとまずいかもしれないし。でもラーメン食べたいな。ラーメン食べたい。食べに行こう。バレなきゃいいでしょ。*2
「いらっしゃいま……せ……」
「やべ」
「うわーっ!」
「うわあびっくりした」
店に入ると店員の人が迎えてくれる。今までいなかったので、最近雇ったバイトか何かかと思い顔を見れば、何とセリカちゃんではないか。まさかここで働いているとは思わなんだ。ユニフォーム似合ってるね。……というか、サボりがバレてしまった。どうしよう。
「な、なんでウツホ先輩が!?」
「昼飯を食べに来ました」
と思ったが、私がここに来たのに相当ビックリしたのか、お咎めされることもなく。見た感じ、どうやらバイト先を秘密にしておきたかったらしい。分かる。
「うぐぐ……まさかバレるなんて……」
「はは……でもここ、みんなにも人気だからすぐばれると思うよ……」
「そんなぁ……」
がっくりした様子のセリカちゃんは、しかしそのまま席を案内してくれた。苦笑いを返しつつもそれに従ってそのまま席に向かう。
犬の人に猫の人に、少ないが生徒もいる。見ての通りのいつも通り、この街では珍しい繁盛っぷりだ。すんごい真っ白な服で来ている子もいるが……こぼしたら大変そうだな。でも美味しいからね。そりゃ来るよね。分かるよその気持ち。私なんて仕事ほっぽり出してまで来ているからね。ちなみに黒い人もどきもいた。見なかったことにしよう。
「うう……ご注文は」
「じゃ、紫関ラーメン一つ、麵固めで。あと餃子も」
「はい……」
頼むもの決めてきたのでメニューも見ずに注文する。出来るだけ早く食べたいのだ。セリカちゃんはショックを引きずりながらも手はしっかり動かして、伝票に注文を書き込んでいた。
「セリカちゃん。ちょっと早いが、まかない食っちまいな。先輩の分も運んで一緒にな」
「ええっ!?で、でも大将」
「いいからいいから!」
と、大将が気を利かせてくれたのか休憩の時間を早めてくれたようだ。大丈夫だろうかと思ったけど、この前まで1人でお店を回していたわけだしきっと平気なんだろう。セリカちゃんは渋々といった形で、ラーメンを持って私の隣に座る。そのままちゅるちゅる麵をすすりだした。
「良いよねここ。キヴォトス一のラーメン屋だよほんと」
「そんなに……でも、そうね。私も行きつけだし」
セリカちゃんも常連だったらしい。女の子がラーメン屋で、というのはハードルが高いだろうが、確かに行きつけならバイトの選択肢に入りやすいだろう。……私もここでバイトすれば良かったのかもしれない……
「……というか先輩。留守番は?」
「……ラーメン美味しいね」
「やっぱり!すっぽかしてきたのね!?」
「違うんだよこれには深いわけはないけどラーメンが食べたくって」
「言っちゃってるじゃない」
誤魔化せると思ったのに誤魔化せていなかった。このままだとみんなにチクられて何かしらの罰をくらってしまう。それだけは避けなければならない。
ちなみにこの前はおでんを顔に押し付けられた。テレビで見たことはあったけど、まさか自分がやられることになるとは……
「このことはどうか内密に……」
「いや、まあ……じゃあ、代わりに私がここで働いてるのも皆に言わないでね」
「分かった、誓ってみんなには言わないよ。バレると厄介だろうしね……」
「絶対そうよ、特にホシノ先輩とか……ってなによその顔!?目が死んでるわよ!?」
「私はバイト先に突撃されたからね……しかも、それ以降も定期的に来るし……」
「うわあ……」
最近はチェキを導入しないかと店長に熱弁していたらしいことをバイト仲間から聞いた。その熱量は一体どこから来るんだ。いつもはグータラしてるように見せかけているが、力を発揮するところがおかしすぎる。いつか変な方向に突っ走っていきそう。それ止めるのが私の役目な訳だが。
いかん、これ以上変なことを考えていたらラーメンが冷めてしまう。麺を多めにすすっていると、餃子を物欲しそうに見つめていたので半分あげた。へへ、これは賄賂ってことで……
とにかく、お互いに見なかったことにして今回は手打ちにしようということになったので、昼食を済ませた私たちはそれぞれの持ち場に戻ることにした。
「じゃあ、お願いね!秘密にしてよ!」
「もちろん。私から情報が漏れることは」
ない。と言おうとして、そういえば確約できないことに気づいた。
「あ」
「え、どうしたの先輩」
「……ごめんね……」
「え!?ちょっと、どういうことよ先輩!先輩!?ちょっと!」
願わくば聞いていないことを祈ろう。どこに耳がついているのかは分からないけれど……
ちなみに後半の副々題は「連邦生徒会長最後の晩餐」です。どうでもよい!
デカグラマトン更新が近い!それで別作考えてたけどぶっ飛びそうですね。まあまだ一文字も書いてないからええか……
うまいことマルクト以外全員登場してくれたりしない?()
先生の性別
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男性
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女性
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ムキムキマッチョマン
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TS幼女