それ逝け!ユメ先輩(偽)   作:ポンコツ太郎

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評価感想ここすき誤字報告感謝感激雨霰。アンケもありがとうございました。そしてすまんかった。

アビドス編だーッ!
実は昔ちょっとだけ書き起こしていたのでしばらくは投稿も安定しそう。という願望。
飛ばせるところは飛ばしたいと考えているので今更ながら原作既読推奨です。今更すぎる。


我らアビドス廃校対策委員会
誘拐犯シロコ シャーレ勤めの先生


 先日……2週間ほど前か、連邦生徒会長が失踪したというニュースが流れた。私らアビドスは特に影響を感じなかったのでだから何だってんだという話なのだが、どうやらD.U.やミレニアム、トリニティの方では阿鼻叫喚の地獄絵図だったそうな。なんでも会長は治安維持の要的な人だったらしく、噂では失踪のせいで武器の不法流通が2000%増加したらしい。……なにそれ、ふざけてるの……?よく分からないがそれを何とか抑えていたのが連邦生徒会長ということだろう。すごいね。

 

 ただ、そんなごたごたもつい最近何とかなったようで。どうやら先生とかいう大人が代わりだか何だかに就任したらしい。ようやっとましな大人が出てきたということになるのだろうか。*1ちなみに、「生徒の味方」を公言しているらしいことを知ったアヤネちゃんが支援要請を出してみたんだそうな。弾薬がそろそろ尽きかけだし、もし本当に来てくれればありがたいが。本当に来ればだけど。

 

 ……でも、その先生もあの黒服と同じで外から来たらしいんだよね。それだけで怪しく思えてくるんだからあの黒野郎の罪は重い。こないだアレからスパムメールじみたのが来たし。怖。戸締りしとこ。

 

 

 

 さて、何でそんなことを考えているかと言えば、朝食片手に弄っているスマホでそんなニュースが流れてきたからで。何でスマホを弄っているのかと言えば、今現在話す相手がいないからである。

 

「シロコ~。ほれ朝だよ、遅れるよ」

 

「う、うう……許して……」

 

「ええ……?変な夢でも見てんのかね」

 

「寝かせて……」

 

 という風に、シロコが起きてこないのだ。目覚めたらガッチリ抱きしめられていて驚いたのはここだけの話。*2

 

 でも、今日のようにここまで渋るのは珍しい。まさかホシノの風邪が私を飛ばしてシロコに直撃したのかと思ったが、どうやらそういうわけではないらしい。

 

 そういえば昨日、遅くまで枕元の明かりがついていた。何かゲームをやっていたようで、うんうん唸りながらプレイしていたような気がする。じゃあただの徹夜じゃん。心配して損したわ。それにしても、そこまではまるのは随分珍しい。何やってたんだろうか、後で聞いてみよう。

 

「まったく……ラップしとくから、チンして食べんだよ。あと、そんなんなるなら徹夜なんてするんじゃありません」

 

「はい……」

 

「聞き分けがいいな……みんなには言っておくから、ゆっくり来なよ」

 

 なんだか母親みたいなことを言った気がする。ともかく、相当参っているらしいシロコを布団に置いておき、先に登校したのが朝の出来事。

 

 

 

 

「ってことがあってね」

 

「え、一緒に寝てるの?」

 

「あれ、言ってなかったっけ?」

 

「ないですね……」

 

 そして登校した私は、他の皆に心当たりがないか聞いてみた。……のだが、一年の二人は私たちが一緒に寝てることに引っかかったらしい。そう言えば話していなかった気がする。別に言う必要もないしね。疑う二人に、ノノミちゃんが私たちに寝起きドッキリをかましたときの写真を見せていた。あれはビックリしたよね。

 

 ちなみに、ホシノは爆睡している。教室に入るや否や「寝る!」と言って、枕をもってノノミちゃんにダイブし、ものの数秒で眠りについた。ええ……

 

 

「とにかく!シロコ先輩がやってたのってこれじゃない?」

 

「なんこれ。……『テイルズ・サガ・クロニクル』?直訳したら『物語・物語・物語』になるんだけど……いいのコレ?」

 

「いいかは知らないけど……先輩と一緒に『長く楽しめる!おすすめのゲーム10選!!』っていう記事を見てたら、一番上に載ってたそれをダウンロードしてたからそうかなって」

 

「見た限りはRPG……って言うものですかね?」

 

 なるほど、こういう記事はこっちでもあるのか。でもシロコは楽しんでるというよりも苦しんでるという感じだったような……ほんとに面白いのだろうか、そのゲーム。

 

「うーん……調べてみたけど、評価は……良くないし。*3セリカちゃん、変なサイト見てるんじゃ?」

 

「んな!?そ、そんなはずは……」

 

 と、スマホを覗いてみれば案の定。セリカちゃんが見たサイトは自称クソゲーハンターの人が書いているもので、つまりこの記事もそう言う事なのだろう。それにしても紛らわしいな。いっちょ前に私は普通ですみたいな雰囲気を出すんじゃない。

 

 それを聞いたセリカちゃんはシロコに劇物を与えたことを後悔しているようで。しょんぼりしたセリカちゃんを慰めていると、ガラッと教室のドアが開く音がした。どうやらシロコはサボらなかったらしい。

 

 

「おはよう」

 

「あ、その、おはようシロコせんぱ……え゛っ、後ろの大人誰!?

 

 しかし、ドアの方を見たみんながシロコの方を向いて固まっていた。何事かと振り向いてみれば、入ってきたシロコは、よく分からん大人を背負っていた。……なんでぇ?何やってんだ君?

 

「わあ、シロコちゃんが大人を拉致してきました!」

 

「“え”」

 

「拉致!?もしかして死体!?ま、まさかシロコ先輩がついに犯罪を!?」

 

「“いや私生きて…”」

 

「しゃ、シャベルとツルハシ持ってきて!とりあえず埋めないと!」

 

「おおおおちおち落ち着いてください!とりあえず話を!」

 

 シロコへの心配はどこへやら、「ついにやったか」とホシノを除いた三人はわたわたしていた。アヤネちゃんは狼狽し、ノノミちゃんはおろおろしつつも埋める準備をし、ホシノはノノミちゃんの膝からずり落ち地面に頭をぶつけた。でも起きない。起きろや。

 

 それにしたって君たちシロコをなんだと思ってるんだ。いくら犯罪者予備軍と言ったって人に直接迷惑をかけるようなことは…………やらないとは言い切れない気がしてきた。

 

「……むぅ……先輩……」

 

「大丈夫、シロコはそんなことはしないよ」

 

「先輩……!」

 

「……多分」

 

「アホ毛……!」

 

 ノノミちゃんたちを説得しようとし、しかし自分自身信じ切れていないので思わず目を背けながらそう言えば、ちょうどシロコと目が合った。裏切ったなという顔をしていた。

 

 

 

 

 

「ごめーんごめんてシロコぉー!」

 

「ケッ……*4

 

「凄い拗ねてる!本当にごめんて!」

 

 そうだね君はそういうことはしないよね。そういうことはね。とにかく撫でまわして機嫌を良くしようと試みた。失敗した。だんだんこの戦法も通用しなくなってきたな。

 

「す、すみませんでした……てっきり誘拐沙汰なのかと……」

 

「“いやいや。そもそも私が遭難したのが悪いわけだしね……”」

 

 背負われていた大人の人が遭難したところを助けてもらったという旨を話し、シロコに対する誤解が解けたところで。落ち着いた一同は椅子に座って話をしていた。ちなみにホシノは……寝たふりをしている。起きろや。

 

 ともかく。なんと彼は件の先生らしく、アヤネちゃんの要請通りに物資を届けに来てくれたのだった。正直、本当に来てくれるとは思ってなかったのでビックリ半分やったぜ半分と言う感じである。こんなとこまで来るなんて暇なんだろうかという思いも大きいけど。……でも大した準備もせずにアビドスに来たのはアホだと思う。砂漠なめとんのか。

 

「“……ところで。あんなに疑われるって、いっつもそういうようなことしてるってこと?”」

 

「誘拐はないですね」

 

「“誘拐は……??”」

 

 銀行強盗の計画は毎日してるけどね。先生はこれ以上は聞かない方が良いなと思ったのか、おもむろに話題を変えた。

 

「”えっと、とにかく!これが補給物資ね!これで多分当面は大丈夫だと思うけど……”」

 

「……どこから出したんだろう」

 

「ありがとうございます、先生!これでまだ戦えます!…あ、ホシノ先輩起こしますね!」

 

「ほらホシノ先輩、支援が来たわよ。寝てたら失礼でしょ。まったく、あんなに騒いでも起きないなんて……」

 

「“大丈夫だよ、寝かしておいてあ──”」

 

 と、とうとうセリカちゃんがいまだに寝ている(フリをしている)ホシノを起こそうと肩をゆすったその時。

 

 ダダダダダダダダダッ!!

 

 

「うわ」

 

「でたわね。まったく間が悪いんだから……」

 

「“外?”」

 

 窓から外を見ると、見知った集団が校門に集まってきていた。そう、ご存知カタカタヘルメット団だ。空気を読めい。

 

「武装集団が学校に接近しています!カタカタヘルメット団のようです!」

 

「“カタカタ?”」

 

「ん、毎日のようにちょっかいをかけてくる集団。また性懲りも無く…!」

 

 さて、どうするべきだろう。とりあえず先生には籠ってもらうとして。外から来た人と言っていたし、見た感じヘイローもない。多分銃弾一発で致命傷なはずだ。私がアレなだけで、多分普通はそうなんだろう。……私もだいぶキヴォトスに毒されてきた気がする……

 

 

「ほら先輩!寝ぼけてないでさっさと起きて!」

 

「むにゃ…あと5時間だけ」

 

「長ーーーい!!ほらバカ言ってないで行くわよ!」

 

 ようやっと起きたかと思えばまた寝ようとするホシノ。のび太か君は。うっすら思っていたことだけど、身長も相まって先輩後輩が逆転して見える。

 

「うへ〜厳しいねえ…あ、貴方が先生?」

 

「”うん。私が先生だよ、よろしく!”」

 

「うへぇ。うん、よろしく~」

 

 しかし、先生を見る目が一瞬だけ、敵を見る鋭い目をしていた。そういう所は先輩だ。そして、先生もそれに気づいている様子。……気まずい。

 

「あーっと、アヤネちゃん、敵の構成は?」

 

「はい、いつも通りです。前衛が7、中衛が18、後衛が5の30人ですね」

 

「”なるほど……アヤネ、私が指揮をさせてもらってもいい?”」

 

 無理やり話題を換えれば、先生が指揮をさせてほしいと名乗り出た。そういえば、指揮能力が凄いとか記事に書かれていたような。

 

「!はい、もちろんです!よろしくお願いします、先生!」

 

「”ありがとう。みんな、よろしくね”」

 

「それじゃあ、しゅっぱ〜つ☆」

 

「ボコボコにしよう」

 

「うへぇ」

 

 見せてもらおう、先生の実力とやらを。なんて考えながら、私たちは外に出ていった。

 

 

 

 

 

 カタカタヘルメット団。そう名乗る彼女らは、依頼の通りアビドスに向けて銃を向ける。作戦は大詰めを迎えており、あと少しで達成できると高をくくっていた。

 

「攻撃だ!補給を断たれている今がチャンス!」

 

「ひゃっほう!」

 

 相手は六人。確かに強いが、それも万全の状態だったらだ。連日による襲撃により相手の体力を削ぎ、しかも物資は枯渇寸前。弱った相手だ、制圧に時間はかからないだろうと彼女らは考え──しかし校庭に入ろうとした瞬間、門から二つの影が飛び出した。

 

「させるかってのぉっ!」

 

「覚悟して」

 

 セリカとシロコだ。飛び出してきた二人は、そのままヘルメット団に対して引き金を引く。前衛が何人かが、もろに食らってそのまま倒れていく。

 

「のわーっ!?」

 

「アバーッ!」

 

 強襲を喰らってしまい、出鼻を挫かれた。相手に余力は残っていない、という考えは間違いだったようで。昨日まで弱っていたはずのアビドスは、水を得た魚のように活き活きしていた。

 さらに一部は恨みはらさておくべきかと言った様子で目がすわっている。怖い。

 

『”今だよ、ノノミ!”』

 

「は〜い!お仕置きの時間ですよ〜♧」

 

 セリカ、シロコの不意打ちで混乱させたところに、射線の通る位置に移動していたノノミのミニガンが火を噴く。油断し切っていたヘルメット団は、それだけで半数がダウンしていた。

 

 そしてその中には彼女らの頭もいたようで。残ったヘルメット団は統率を失い、それぞれがバラバラに弾を撃ち始める。元々のパワーバランスはアビドスの方が上のため、連携をしていない彼女らの行動は悪手だろう。

 

「あれ、おじさんいらない感じ?」

 

「ほ、ほざけ!」

 

 半ば諦め自棄になり、しかし逃げ帰る前にせめて一矢報いてやろうと、ヘルメット団の一人がやる気のないタンクの背後に回って一発かまそうとするが。

 

「おっと。そんなんじゃ当たんないよーっと」

 

「ガッ!?」

 

「あよいしょ」

 

「ぐえっ」

 

 それも軽くいなされ、盾に吹っ飛ばされ。ショットガンをもろに喰らった一人が地に伏せる。弾を容赦なく使うあたり、どうやら相手は誰かから物資の補給をしたようだ。アビドスの面々はここ数日市街地に出ていないはずだが、実際に予想より多くの弾を使う以上そうだと考えるほかないだろう。

 

 しかしそれだけではなかった。アビドスの動きのキレが、普段よりも一段上だ。避けたところに弾が来る。壁越しにも関わらず位置が把握されている。それでいて、こちらからの攻撃はほとんど通らない。まるで空から、誰かが見ているかのよう。一連の動きを見ていた後衛の一人はそう考え、うすら寒いものを覚えた。

 

 正直言って、分が悪いだろう。前者はともかく、後者のからくりがわからない以上、これ以上の被害が出ないよう引くのが利口だ。そう考え、進言しようとして。

 

 

 ……そういえば。

 

「一人いない」

 

 それに気づいた瞬間、後ろからの衝撃で、彼女の視界は暗転した。

 

 

 

 

 

「て、撤退!撤退だぁ!引けーっ!」

 

 ボコボコにされたヘルメット団が尻尾をまいて逃げていくのを見ながら、みんなに合流する。これに懲りたらしばらく来ないでほしい。出来れば1年くらい来ないでほしかった。

 

「カタカタヘルメット団、郊外に撤退していきます」

 

「わあ☆勝てましたね!」

 

「よし!思い知ったかヘルメット団!」

 

「久々に思い切り暴れられた気がする」

 

 それにしても、普段の三倍くらい楽に倒すことができた。先生の出した指示通りに動けば、面白いくらいに敵が倒れていく。はた目から見てもちょっと怖かった。指揮官の有無って大事なんだな……

 

 かくいう私は別行動。みんなが大暴れしている間に回り込み、後ろからちみちみ邪魔をしてくる憎きスナイパーたちを殴り倒して回っていたわけだ。楽な仕事だった。……が。

 

「……私って影薄い?」

 

「まあ、そこまで前に出るわけでもなければ、火力があるわけでもないし……」

 

 なんか誰も私がいなかったことに気づいていなかった気がするんだけど。不満であります。

 ホシノに聞けば、悲しい答えが返ってきた。確かに他の子に比べたらインパクトは薄いけども。どうしてロケットパンチの女を忘れるんだ、おかしいと思う。

 

 と思ったが、最近ほぼ身内にしか使っていないことに気づいた。それでも今回は銃を撃つと音で他の奴にバレてしまうという事なのでロケパンを使ったし……いや、至近距離でだったし、どちらかと言えばほとんどパイルバンカーみたいなもんか。それもいいけど、そうではないのだ。人生ままならないもんだね。

 

「そんなことよりさ」

 

「そんなことよりぃ?」

 

 ホシノが聞き捨てならないことを言ってきた。そんなこととはなんだ君こっちは真剣に悩んでるんだよ。

 

「どう?あの大人」

 

「んー……胡散臭い」

 

「やっぱり」

 

 と思ったが、確かにそんなことよりだった。

 やっぱり、それらの作戦が成功したのも先生の指揮のおかげというのが大きいだろう。なかなかとんでもない力だ。

 そして、それが自分たちに向かないとは言い切れない。「今更連邦生徒会が」というのもあるし、実は悪い大人でした、となったら目も当てられない。故に警戒しておく必要がある。……なにより滅茶苦茶胡散臭い顔してるし。ホシノも思ったらしい。*5

 

 

「“ところでウツホ。さっきヘルメット団のみんなを倒したのってさ……”」

 

「え?ああ、これですよ。ロケットパンチ」

 

「“おお……あ、ごめんね”」

 

「いえ、あまり気にしてませんし。そうだ、何なら見ます?」

 

「“本当!?じゃあ後でお願い!”」

 

 と、みんなと話し終えたのかこちらへやって来て、ロケットパンチのことを聞いてくる先生。あとで飛ばすのを見せようかと聞けば、隈のできた目を輝かせて食いついてきた。ほう……

 

「やっぱ信用できるんじゃないかな」

 

「……」

 

「……そんな顔しないでよ」

 

「……」

 

「その……」

 

「……」

 

「……ひぃん……」

 

 

*1
柴大将以外で

*2
いまだに一緒に寝ている。最近狭くなってきた

*3
オブラートに包んだ言い方

*4
(廿д廿´)

*5
失礼




実はご都合主義タグをつけました。無理がある展開が出て来そうなので、その保険ということで……ご了承くださいませ。

先生の性別が決まったのは良いですが、今度はビジュアルどうしよう問題ですね。個人的には便利屋日誌の顔で考えてます。ただ極力描写は控えるので、皆さん自由な顔を思い浮かべていただければと。
……「””」つけた方が分かりやすいのはそうなんですけど打つのがクソ面倒なのはどうにかならんか!?
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