それ逝け!ユメ先輩(偽)   作:ポンコツ太郎

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アイデアがポンと浮かんでもそれで一番書きたいところがなぜか悉く終盤になるため結局書けない人です。この現象何~~??

今回は早めに出せたぜ!まあ大したこと書いてないんですけどね……



私じゃないんです、信じてください

「よいしょー!」

 

「“おお!本物のロケットパンチ!うう、見れる日が来るなんて……”」

 

「好きねぇ、先輩たちも……」

 

 ヘルメット団を撃退した後、改めて自己紹介をした私たちは、現在先生にロケットパンチを見せつけていた。どうだすごいだろう。エンジニア部が(半ば強引に)つけてくれたんだ。ミレニアムなら他にもいろんなメカがあると思いますよと言えば、先生は歓喜のあまり泣き出していた。わかるよその気持ち。ちなみに他のみんなは引いていた。

 

「あの、そのくらいでお願いします……」

 

 アヤネちゃんに諫められ、とりあえず腕を戻す。先生も咳払いをして居住まいを正して、みんなの方を見た。急に落ち着いたな。

 

「改めて、ありがとうございます、先生。先生がいなかったら今度こそヘルメット団に学校を占拠されていたかもしれませんし、感謝してもしきれません……」

 

「“それが私の役目だから。それに、私の支援が遅れちゃったことも原因だし”」

 

「いえ、そんなことは!」

 

「“いやいや”」

 

「いえいえ」

 

「……ループ入ったね」

 

「はぁ……二人とも、それくらいにして!今はヘルメット団の話をしましょ!」

 

 そのままそんなことない合戦が始まりそうだったので、セリカちゃんがブレーキをかける。止めなきゃ一生やってそうだったし、正解だろう。

 

「そうだね。補給をしたからって、あいつらが諦めるとは思えない」

 

 無駄にやる気だけはある集団なので、シロコの言う通りまた近いうちにちょっかいをかけてくるだろう。テキトーだったボチボチヘルメット団が恋しい。……いや、そうでもないな。ヘルメット団は見飽きたし。

 

 

「そこで!おじさんの考えが火を噴くってわけだよ!」

 

 と、みんなしてヘルメット団にうんざりしていたところで、ホシノが手を挙げながらそう言った。何か考えがあるらしいが、珍しいこともあるもんだ。

 

「ということで、ヘルメット団の前哨基地を、破壊しに行こーう!」

 

 そう言ったホシノはしたり顔を浮かべて得意気だ。ドヤ顔である。一応基地の場所は割れているのだが、もろもろの理由で手を出していなかったというわけだ。あいつらも馬鹿では……まあないので、何個かある基地をローテーションして使っている。なので、一個潰すだけで逃げられたらあんまり意味がなかったりするのだ。しかしそれを今回、ついに叩きに行くという事。疲弊して逃げる気力もないだろうということか。

 

「えっ、今からですか!?」

 

「もっちろん。今なら先生もいるから補給を気にする必要もないし、逆にあっちは消耗してるし。今こそ逆襲のチャンスって感じじゃん?」

 

 実際、この機を逃す手はないという感じだ。潰せるときに潰しておくに限るだろう。そうでなくても、最近は襲撃頻度が上がって数日おきに突撃してくるのだ。*1ここらで殴り返しに行った方が心の健康的にも良い。

 

「おー、いいんじゃないかな?……ってどうしたの二人とも?」

 

「…ほ、ホシノ先輩が……」

 

「至極まともなことを言ってる…!」

 

 とセリカちゃんとアヤネちゃん。昼行燈モードの小鳥遊ホシノは昼寝ばっかするジジイなので、この評価もやむなし。……しかしまだ比較的日の浅い一年二人にまでこう言われるとは。

 

「ひ、酷ぉい…おじさん傷ついちゃう…慰めてノノミちゃん…」

 

「あらら…よしよし」

 

「私もさっき犯罪者呼ばわりさわれて傷ついた。だから私のことも慰めるべき」

 

「よしよし…」

 

 ホシノが引っ付き、それをノノミちゃんが撫でる。私もと引っ付いてきたシロコも撫でる。両手に花というやつだろうか。

 友人を慰める姿……というよりかは、母に駄々をこねる二人の子供という風に見える。もしくは木に止まったセミ。

 あっシロコがこっち見た。まだ怒ってるみたい。確かに犯罪者は間違ってるだろうけど近しいとは思うんだ。……余計なこと言うな?はい。最終兵器ラーメンを使う準備をしておこうと、財布の中身を確認しておく。

 

「よーし!おじさん復活!じゃあちゃっちゃとやってお昼寝にしよーう!」

 

「善は急げ、ってことだね」

 

「は〜い、それではしゅっぱーつ!」

 

 そう言って、飛び出していく三人。切り替え早いな。少し遅れて、ふんすと気合を入れたセリカちゃんもついていく。やる気満々って感じだ。まあ今まで辛酸をなめさせられていたんだからそりゃそうだろうけど。かく言う私も腕をぶん回して体をあっためている。

 

「“よし!じゃあ、私達も行こうか”」

 

「先生は留守番ですよ」

 

「“え”」

 

「えっと……前哨基地は、ここから30キロほど離れたところにあるので」

 

「“oh……”」

 

 聞けば、先生は耐久力だけでなく身体能力も一般人らしいので、残当である。

 

 

 

 

 

 結果から言って、アジト襲撃は驚くほどあっさり終わった。

 

 さっきホシノが言っていたように相手が消耗していたこと、我ら対策委員会の練度の高い連携*2、そしてそこに先生の指揮。

 

 三重苦を背負ったヘルメット団は、私から見ても可哀想になってくるぐらいボコボコにされた。いいぞもっとやれい。それはもう撫で斬りにされていた。いや斬られてはないけど。

 

「つっかれた〜眠〜い寝る!」

 

 撃退時とは打って変わって、先行し色々な仕事をしたホシノは、帰って来て早々寝る体勢に入っていた。というかグゥって言ってる。はええよ。

 

「皆さん、お疲れ様です!」

 

「アヤネちゃんも、オペレーターお疲れ様」

 

「火急の事案だったヘルメット団の件が片付きましたし、これで一息つけそうですね!」

 

「ん、先生の指揮はやっぱりすごいね」

 

 先生は定期的にドアに向かって撃つように言ったり、部屋にグレネードを投げ込むように言ったり。それでほぼちゃんと敵がいるんだから恐ろしいもんである。壁越しに相手の位置が分かっていたりするのか。FPSだったら禁忌だね。

 

 

「確かに先生のおかげね!これで心置きなく借金問題に取り掛かれるわ!ありがとう!この恩は一生忘れないから!」

 

 とその時、セリカちゃんが爆弾発言をした。あまりにも一瞬の出来事。私でなければ聞き逃して……みんな聞いていたらしく、口を開けて固まっている。借金の話。いつもならどうってことないのだが、先生に知られるのは良くないかもしれない。なんとなく後ろめたいのだ。

 

「”私は出来ることをしただけだよセリカ。……ところで、なんだか不穏な言葉が飛び出たけど……?”」

 

「あ゛っ……ええっと……それは……」

 

 指摘されるまで失言に気づいていなかったせいか、言い訳もろくにできていない。これはいかんと、助け舟を出すことにした。

 

「じ、実はセリカちゃん私に借金してるんですよ!ね?」

 

「え?あ、そ、そうなの!えっと、9000、億ぐらい!

 

「高すぎ!!!」

 

「ん、嘘がへたっぴ」

 

 駄目だった。億いらんねん億は。なんでアビドスの借金より多くなってるんだ。

 

「…いいんじゃない?二人とも。隠すようなことでもないしね」

 

 すると、寝に入ったはずのホシノがいつのまにか起きて真剣な顔をしていた。切り替えが早い。が、ちょっと寝癖がついているので微妙に締まっていなかった。

 

「うん。私も先生は信頼していいと思う」

 

「そ、そうかもだけど……でも!先生は結局部外者だし!それに今までの大人達はこの学校のことなんて気にも留めなかったじゃない!」

 

「セ、セリカちゃん…」

 

 食い下がるセリカちゃん。そりゃ相手は大人、疑うのも当然か。キヴォトスには碌な大人がいなかったわけだし。*3金儲け主義の人だったり、責任なぞ負うものかと逃げる人だったり、生徒になんか怪しい取引を要求してる人だったり……ほんとに碌なのがいないな!

 

「それに!この問題はずっと私たちだけでどうにかして来た!そこに今更大人が首を突っ込むなんて…私は認めない!」

 

「“ぐふぅ……”」

 

 そう言ってセリカは教室から走り去ってしまった。…と思ったら戻って来て、忘れ物のカバンを持ってまた走り去っていった。やっぱり締まらない……

 

「私、様子を見て来ますね」

 

 と、ノノミちゃんが追う形で教室を後にする。精神的ダメージを負った先生は、腹をさすりつつも何とか堪えたようだ。

 

「…うーん、軽く見ちゃったかな。ごめんね先生、セリカちゃん本当は優しい子なんだよ」

 

「“うん、それは分かってる。……よければ、借金の事について聞かせてくれる?”」

 

「うん。実はね……」

 

 そして、ホシノはアビドスが抱えている借金のことを話した。自然災害である砂嵐の対処のために悪徳金融業者からの借金があること。その額は四捨五入して約十億。払えない場合、アビドスが廃校になってしまうこと。そんな問題に、これまで誰もまともに取り合ってくれなかったこと……

 

 確かに、セリカちゃんが拒絶してしまうのも仕方ない。今更、本当に今更なのだ。大っぴらには言えないが、アビドスはすでにほぼ詰んでいる。こんなになるまで放っておいて、どうして今になってとなるのも仕方ない。

……まあ、ボロを出したのもセリカちゃんだけど……先生はアビドスが今に至るまでの流れを聞いて、けわしい顔をしていた。

 

「“うん、大体わかったよ。……私も、借金返済に協力させて欲しい。アビドスを……君たちを見捨てて帰るなんてことは、したくないから”」

 

「せ、先生!でも……いいんですか?」

 

「“もちろん!聞かせてもらった以上、とことん付き合うよ!”」

 

「……ありがとうございます、先生!」

 

 全て聞いた先生は、それでも協力したいという。それは名誉のためか、それとも。ただ、こんな言葉をさらっと言えるくらいだ、なかなかにイカれている事だけは確かか。敵に回せば恐ろしいが、味方になってくれるなら──

 

「へえ、先生も変わり者だねえ。こんな話を聞いてまで首を突っ込むだなんて」

 

「でも、シャーレの先生が力になってくれるなら、まだ希望はあるかもしれない」

 

 

「“よし!そしたらまずは、セリカの信用を得ないとだね。…うーん…”」

 

 さっきまで自信のあった先生は、しかしセリカちゃんをどう落とすか*4考えているようだった。セリカちゃんツンデレだからね。なかなかに厳しいかもしれない。なんとなく、一波乱ありそうだと思った。

 

 

 

 

 

「おはよーう、みんな……ってなんじゃありゃ」

 

 今日は自由登校日である。なんかこんなセリフ前にも言ったような……

 ちょっとした用事を済ませた後、いつもより少し遅れて教室に入ると、既に対策委員のみんなと先生が集まっていた。セリカちゃんはいなかったが、きっとバイトだろう。ホシノは机に突っ伏し、ノノミちゃんはゆったりと席に座り、アヤネちゃんはちょうどお菓子に手をつける所。そしてシロコと先生からは何か凄そうなオーラが出ている。見た感じ、何か勝負事をしていたみたい。

 

「あっ、ウツホ先輩。おはようございます!あれは……」

 

「“はあ……はあ……もう無理……”」

 

「あっち向いてホイ、だそうです♦︎」

 

「アレが!?すごい汗かいてるけど!?」

 

 ぜえはあ言いながら震わせた人差し指をシロコに向けている先生。たかがあっち向いてホイであんなジョニィ・ジョースターみたいになることあるんだ……

 

「“うぐおぉぉ……手が痛いぃ……”」

 

「あ、終わりましたね」

 

「シロコ選手の勝利〜!」

 

「ん、私こそがあっち向いてホイ」

 

 元気でいいねえ~とかホシノが言っているが、あれはいいことなんだろうか……

 

 私が来た時に多くホイった方が勝利というシンプルなルールは、しかし100戦を超えたあたりでどれだけ勝ったか分からなくなり、結局ホワイトボードに正の字で書き込むことになったそうな。おびただしい数の正の字は一種の呪いにも見える。怖。

 

 聞けば、既に1時間もやっていたらしい。飽きないのだろうか。「件の『テイルズ・サガ・クロニクル』をやった方が良くない?」と聞けば、「良くない」と迫真の表情で言われてしまった。そんなに。逆に気になってきたな、シロコにそこまで言わせるゲーム。

 

 

 まあ、先生もみんなと仲良くなれてるみたいでいいんじゃないだろうか。そういう旨の発言をすれば、しかし先生は苦悶の表情を浮かべてしまった。筋肉痛?

 

「“ああ……ええっと、実はね……かくかくしかじかで……”」

 

「なるほど、ここに来る途中でセリカちゃんに会ったけど逃げられたと」

 

 さて、先生はどうやらここに来る途中でセリカに会ったらしく、ツンを存分に味わってきたらしい。曰く生徒に拒絶されると死ぬ病にかかっているらしく、血反吐を吐いたとか。……今後も同じような事がありそうだけど、大丈夫だろうか。*5生きていけるだろうか。心配である。

 

「“うう…そうなんだよ。行き先もバイトとしか教えてくれなかったし……”」

 

「……しつこく言うのもアレなんじゃないですか?ちょっと怖いし」

 

「“ハイ…ごもっともです…スミマセン……”」

 

 でもそれはそれとしてその詰め寄り方は怖いよ先生。いつまでも付いていくるのは普通にホラーだよ。それにしてもよく先回りできたな先生。

 

「ふーむ。そうだねー…じゃあさ、セリカちゃんにちょっかいかけに行かない?」

 

 するとホシノがバ先に突撃することを提案してきた。どうやら心当たりがあるらしい。……まああるでしょうね。

 というか君、やっぱり聞いてたのね。定期的に調べているが、どこに盗聴器が付いているのかさっぱり分からない。普段使いしてるリュックかと思ったが、どうやらそうでもないみたいだし。…………まさか腕ってわけじゃないでしょ?

 

「セリカちゃんのバイト先にアテがあるんですか、ホシノ先輩?」

 

「ふふーん。おじさんだって伊達に先輩やってないもんねー」

 

「ん、ホシノ先輩もストーカー」

 

「……うへ」

 

 そう言いニコニコするホシノ。せめて否定をしてくれ。……やっぱり、バレたのは私のせいなのだろうか。罪悪感である。

 

 

 

 

 

 というわけでやって来た、柴関ラーメン。柴崎だと思っていたそこの君。柴関だから。あと紫じゃなくて柴だから。テストに出るので覚えておくように。

 

 店の外にもいい匂いが漂ってくる。あ〜〜すごいいい匂い。時刻はちょうどお昼ごろ、腹の虫がそれはもう暴れているので早く食べたい。

 

 とりあえず店に入って行くみんなの後ろにひっついて行く。暖簾をくぐれば、いつも通りの繁盛っぷりだった。

 

「いらっしゃいませ!柴関ラーメンで……」

 

「や、セリカちゃん」

 

「げぇ!!」

 

 店内へと移動すれば、バイト服姿のセリカちゃんが出迎えてくれた。やっぱりよく似合っている。でもげぇってそんな言い方。いやまあ全員で突撃したらそうもなるか。多分、いや絶対私もそうなる。

 

「6人でーす☆」

 

「えーと…あはは……セリカちゃん、お疲れ……」

 

「ん」

 

「“さっきぶり!”」

 

「みんな、どうしてここを!?しかも先生まで!…………ウツホ先輩?」

 

 驚きながらみんなを見回した後、ゆっっっくりと目をそらしている私の方を向いてくるセリカちゃん。わ、私は無実です……信じてください……ほかでもない私が一番信じ切れてないんだけどね。

 

「いや違うんだよセリカちゃん。いや違わないかもしれないんだけど、とにかく違うんだよ!」

 

「どっちよ」

 

「ふっふっふ。おじさんはなんでも知ってるんだよ〜」

 

「ホシノ先輩かっ!んぐぐぐ……」

 

 とおじさんみたいな事を言うおじさん先輩。おじさんじゃん。おじさんではないけど。……何を言ってるんだろう私。頭がこんがらがってきた。

 それにしても、今のは助けられたということでいいのだろうか。……いいのだろうか?

 

 ともかく、しばらくして出てきた柴関の大将と先生が話すのを尻目に見つつ、セリカちゃんに言われるがまま、案内された席に向かう。なんやかんやでシロコの隣に座った私は、メニューを持って何を頼むか決めかねていた。

 

「はい!先生はこちらに!私の隣が空いてますよー!」

 

「“お邪魔しまーす!”」

 

 遅れてやってきた先生は、ノノミちゃんに言われるがまま嬉々として隣に座る。そのタイミングでお冷を持ったセリカちゃんがやってきて、若干雑にコップを置いていった。

 

「それにしてもセリカちゃん、ユニフォームカワイイですね♧」

 

「うはー。もしかしてセリカちゃん、ユニフォームでバイト決めるタイプ?」

 

「ちちち違うわよ!こ、ここは行きつけのお店だったし!」

 

「すごく分かりやすいね……」

 

 へえ、そうなんだ。行きつけというのは聞いていたけれど、ここを選んだ理由がユニフォームだったことは知らなんだ。意外と乙女なところがあるのねセリカちゃん。

 

「うーん。写真を撮って売れば一儲け出来そうだねぇ。どう?先生」

 

「“三枚ください!”」

 

「先生?」

 

「ちょっ!?買うんじゃないわよ!」

 

「変な副業はやめてください、ホシノ先輩……」

 

 三枚って先生……しかし、割といい儲け方なのかもしれない。先生に売りつければ買ってくれるかもしれないし。チェキの実装を熱望していたホシノには、実はこういう考えがあったのかもしれない。……いや、無いか。

 

「も、もう良いでしょ!ご注文は!?」

 

「こらこら、そこは『ご注文はお決まりですか』でしょー?お客様には親切丁寧に対応しないと〜」

 

 とおじさんみたいな事を言うおじ(ry。実際これを言われるとなかなかにイラっとするが、セリカちゃんは何とかこらえて接客をする。ただ顔が引きつっていた。分かる。

 

「ぐう……ご注文は……お決まりですか……」

 

 そして、それぞれが自分のラーメンを注文する。塩に味噌に豚骨に……私は何にしようかな。先日は塩ラーメンだったので、違うものを頼みたい。………悩んだ末、豚骨ラーメンにした。味玉トッピングだ。

 

 そして頼んでから数分。今度は私とシロコがあっち向いてホイをして暇をつぶしていると、出来たラーメンが配膳されていく。……先生が箸を持ちにくそうにしていた。やはり筋肉痛か。

 

「この程度でへばって、先生は体力がない。もっと鍛えるべき」

 

「いや、君のスタミナがおかしいだけだよ……美味い……」

 

「“あはは……あ、美味しい!カップ麺の3倍は美味しいよこれ!”」

 

 先生も気に入ったらしく、速いペースで麺をすすっていた。基準がカップ麺なのがアレだが。……不摂生な生活が垣間見えた気がする。

 

「あったりまえでしょ!なんたって大将のラーメンなんだから!」

 

「なんでセリカちゃんが得意げなんでしょう……」

 

「いいじゃないですか、かわいいですし☆」

 

「う、うっさい!」

 

 どや顔のセリカちゃんをいじれば、可愛い反応が返ってくる。打てば響くとはこのこと。みんながセリカちゃんをからかうのも仕方ない。あとツッコミの才能もあるしね。将来有望だ。チャーシューうま。

 

「………ところで、お金は大丈夫なの?またノノミ先輩に奢ってもらうんじゃないでしょうね?」

 

「私は大丈夫ですよ♧限度額までまだ余裕ありますし!」

 

「や〜、なんと今回は先生が奢ってくれるんだってさ。ねー?先生」

 

「“え!?言ってないよ!?奢るつもりではあったけど!”」

 

 奢るつもりではあったんだ。流石先生、太っ腹である。そう思いながら味玉に手を伸ばし……あっシロコに取られた。貴様。やっぱり君まだ怒ってるよね?なんだよもうどうすりゃいいんだよ。あとその顔なんだよ。*6

 

「あはは、じゃあ今言ったって事で!隙ありー!」

 

「“うおっ”」

 

 するとホシノ先輩が先生のポッケに手を突っ込み、クレジットカードを取り出した。あんまりそういうの良くないと思いつつ、先生も先生でそういうのって財布に入れとくもんじゃない?ちと不用心なのではないだろうか。海苔うま。

 

「うへ〜、これが大人のカードかー」

 

「“こらこら、勝手に取るんじゃありません”」

 

 大人のカードとホシノが言ったそれは、黒光りしていてなんだか不思議な雰囲気をまとっていた。よく分からないが、なんでかすごそうな代物に見える。あれを盗めば借金も返済できるだろうか。……いかんいかん、それならノノミちゃんに払ってもらった方がまだマシだ。それも良くないが。

 

「それを使うような場所ではない気がしますが……先輩、最初からそのつもりだったんですね……」

 

「……替え玉一つ」

 

「こらシロコ」

 

「ん、エナドリの分」

 

 奢ってくれると分かったとたんに追加注文をするシロコ。助けた分じゃなくエナドリの分なのか……と先生は思ったそうな。

 

 

 

 

 今日もすごくおいしかった。完食した私たちは、セリカちゃんに追い出されるようにして店を出た。

 

「いやぁー!ゴチでした、先生!最高!太っ腹!」

 

「お陰様でお腹いっぱい」

 

「ご馳走様でした〜……でも、良かったんですか?」

 

「“うん、生徒に奢らせるわけにはいかないしね”」

 

 そういえば、会計でノノミちゃんと先生が小声で奢る奢らない論争を繰り広げていた。祖父と母……?結局は先ほど言った通りに先生が払っていた。良い大人って感じだ。

 

「早く出てって!そんで二度と来ないで!仕事の邪魔だから!」

 

「あはは……セリカちゃん、また明日……」

 

「ホント嫌い!みんなチョコになっちゃえーっ!」

 

「なぜ魔人ブウ?」

 

「“あはは”」

 

 なんだかよく分からない恨み言を背に、私たちは柴関を離れた。……「また明日」か。やっぱり、なんとなく嫌な予感がする。昔似たような感覚になったことがあった気がするが、いつだったろうか。

 

 

*1
でも水曜は来ない

*2
自画自賛

*3
柴(ry

*4
言い方

*5
???「私たちはあなたのような大人が一番嫌いです」

*6
(廿皿廿)




おかしい……先生がどうしてもうっすら気持ち悪くなる……
……元からか?

ところで、どこかで黒服の研究テーマは神秘と恐怖の両立って見たんですけど、これって公式?二次創作?漁りすぎて分からなくなってしまいました。あるあるだと信じたい。
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