それ逝け!ユメ先輩(偽)   作:ポンコツ太郎

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今回は無味無臭だと思います。原作をいい感じにアレンジする方法is何。



会議は踊る、それはもう踊る

「全身がいてぇ~!!」

 

 セリカちゃん誘拐未遂事件。今までのちょっかいが可愛く見えるくらい急にえげつないことをしてきたヘルメット団の馬鹿野郎どもを何とかボコした私たちは、体の節々を痛めながら、とりあえず真っ赤に燃える周辺の機械たちの消火をしていた。バカスカ撃ちおってからに、周囲はなかなかひどい惨状である。空き家が多い通りだったのは不幸中の幸いか。柴関も無事だ。

 

「二人とも大丈夫~?」

「な、なんとか……」

「いやぁ、たまたま信号弾が見えてよかったよ。セリカちゃんがいなくなっちゃったら……ママ泣いちゃう!」

「何言ってんのよ……」

 

 ホシノに渡された信号弾が役に立ったね。想定された使い方ではないだろうが、なんにせよ助けに来てくれたので良かった。タイミングもバッチリだった。……正直、使わなくても来たような気はする。だってコイツだし。一応信用しているのだ。負のだけど……

 

「……でも、二人ともありがとう。……先生も。一人じゃどうなってたか分かんないし。……こ、この借りはいつか返すから!」

「“いいよ、私は先生として当然のことをしたまでだからね。……それに、ピンチのお姫様を助けるのも勇者の役目だし!!”」

「ええ……」

「なっ、ばっ……バッカじゃないの!?ぶ、ぶん殴るわよホントに!!

「ええ……」

 

 急に気持ち悪くなった先生と、まんざらでもなさそうなセリカちゃん。私ら二人は呆れていた。しっかりしていればイケメンなのにどうしてはっちゃけてしまうのか。どうして真に受けて赤面しているのか。お母さん心配よ。

 

 とりあえず、一旦それから目を背け、戦闘中にカタカタヘルメット団が口を滑らせたことについて考えることにする。あいつらが口が軽くて助かったが、借金だけでも大変なのにこれ以上問題を増やさないで欲しいんですが……

 

「……支援ねえ」

「どう思う?」

「正直うんざり……」

 

 支援してもらったと、ヘルメット団の一人は言った。確かに、つい昨日まであんな兵器群は影も形もなかったし、一つの不良集団がいつまでも零細学校を襲いにくるのは違和感があったが。詰まるところ裏に誰かがいるということで、アビドスの占拠を目論んでいるということで……思わずため息が出た。全く面倒である。

 

 ……というか、ヘルメット団が口を滑らせたのはホシノが来る前なはずなんだけど。コイツとうとう自分が盗聴してること隠さなくなってきたぞ、どうしよう。そろそろ文句言ったほうがいいのかな。

 

 それにも目を背けつつ、私らは散らばったヘルメット団の装備を回収し、我らが対策委員会の書記に調べてもらうことにした。頼んだアヤネちゃん。アヤネちゃんだけが頼りだ。

 

 

 

 

 

「ぐ、ぐるじい……」

「ん」

 

 ちなみに、家に帰ったらシロコに抱きつかれた。寝苦しい夜だった。

 

 

 

 

 

 

 

「セリカちゃん!襲撃を受けたって本当!?」

「え、ああ、うん。でも大丈夫よ、ウツホ先輩たちが助けてくれたから」

「怪我は!?今日来て大丈夫なの!?」

「だ、大丈夫だから。そこまで大事にはなってないから。ちょ、苦し……」

 

 翌日、少し遅れて来たセリカちゃんに昨日のことを聞いたアヤネちゃんが詰め寄っていた。傷には私が絆創膏を貼ったが、一晩寝れば治ったそうだ。私もそうだったので、やはり絆創膏は素晴らしい医療道具である。

 

「まあ私たちが来た時半泣きだったけどね」

「ちょっとぉ!?なんでばらすのよぉ!?」

「セリカ……心細かったんだね……」

「私たちがその涙を拭いてあげますから!」

「ちょっ……待っ……」

 

 というか、ひと段落ついて帰る時も若干べそをかいてたし。まあ当然だろうけどね。みんなで家まで送ることになったら復活していた。

 

 さて、シロコとノノミちゃんとアヤネちゃんに囲まれたセリカちゃんは、顔という顔を撫でまわされていた。千本桜善好(よしよし)。ほっぺがすごいムニムニされていて、表情が面白いことになっている。なんとも鬱陶しそうにしていた。

 

「おしくらまんじゅうみたいになってら……」

「に゛ゃ゛あ゛ーーーーッ!!」

「“うん、元気そうでよかった”」

 

 あれを元気と言っていいかはともかく、先生も色々心配していたらしい。ほほえましいものを見る顔で、目の前の惨状を見つめていた。

 

 

 

「回収したヘルメット団の武装等ですが……一部部品にキヴォトスで使用が禁止されているものがありました。ただのチンピラ集団がこれを手に入れられるとは思えません」

「それに、戦闘中にヘルメット団の一人が『支援してもらった』って言ってたよ。誰か裏にいるのは確実じゃないかな」

 

 閑話休題。みんなにもヘルメット団の装備の事を話すと、顔をこわばらせてうんざりしたような表情を作る。分かるよ、あれでまだ終わりじゃないってことだし。先んじて調べてもらったアヤネちゃんによれば、部品に違法なものが混ざっていたそうな。違法という事は、つまり違法という事だ。裏に隠れた黒幕はきっと大きい存在なのかもしれない。勘弁してほしい。……まさか黒服だったりしないよね?*1

 

「また後日詳しく調べますが、今回はこのあたりで。もう一つの借金返済の事も疎かにしてはいけませんから!」

 

 そう、借金のことも忘れてはいけない。面倒だが、ごくまれにまともな案が出ることもあるので、みんなで話し合うのは悪いことではないのだ。確率的にギャンブルやってる気分になるけど。

 

「ということで早速、具体的な方法を議論しようと思います。今回は先生もいるので、いつもより真面目な議論ができるはず!ご意見のある方は挙手を!」

「はいはい!!」

「はい、一年の黒見さん!」

「……こないだも思ったけどさ、まず名字で呼ぶのやめない?堅苦しいし……」

「ま、まあまあ……せっかくの会議だし……」

「うーん…まあそうね…とにかく!委員会会計担当の見解としては、我が校の財政状況は壊滅的と言っても過言じゃないわ!毎月の返済額は利息だけで788万!私たちも頑張ってるけど、正直利息返済も厳しいのが現状よ!」

 

 一番手はセリカちゃん。なんだか小難しい言い回しを会得していた。前回は見事にカモられて胡散臭さ限界突破な案を出していたが、今回は名誉挽回してくれるかもしれない。多分。きっと。メイビー。

 

「指名手配犯を捕まえたり苦情を解決したりボランティアをしたりじゃ限度がある!だからここらで一発大きく狙うべき!という事で……これよ!」

 

 と言って、セリカちゃんは紙を数枚机に広げた。どうやら人数分のチラシのようだ。曰く、今朝町で配ってたチラシらしい。手に取ってみたノノミちゃんが困ったような顔をしていた。

 

「えーっとなになに……『ゲルマニウム麦飯石であなたも一攫千金』…………うーん……」

 

 背景が虹色。フォントは既存のものでついでにこっちも虹色。見えにくいわ。もう怪しんでくださいと言っているようなもんである。パワポで作ったのか……?いや、パワポで作ってもここまでにはならないと思う。人を馬鹿にしているとしか思えない。

 

 先日家のポストにぶち込まれていた便利屋なんちゃらのチラシもこんな感じだった。どう見ても詐欺、噓八百である。

 

「“…えーっと。これは…”」

「町中で声をかけられて、軽く説明してもらったの。運気を上げるゲルマニウムブレスレットっていうのが売ってるんだって!これなんだけどね、身に着けるだけで運気が上がるんだって!さらにこれを周りの三人に売れば「セリカ」えっ、どうしたのシロコ先輩?」

「却下」

「ええ!?なんでぇ!?」

 

 案の定カモられていたセリカちゃんに合掌しつつ、案を却下するシロコ。遅れてきたのはコレのせいじゃないと信じたい。ホントに。昨日から散々すぎて私も涙が出てきた。半泣きである。

 

「セリカちゃん……それ、マルチ商法だから……」

「儲かるわけがないね……」

「え、ええ!?私もう二個も買っちゃったんだけど!?」

「セリカちゃん、騙されちゃったんですね」

「う、嘘でしょぉ……」

 

 最初の勢いはどこへやら、すっかり意気消沈してノノミちゃんに慰めてもらっているセリカちゃん。哀れなり……いやほんとに。ちなみに、ホシノが懐かしいものを見るような目で見ていた。どういう感情なんだ。まさか引っかかったことがあるのか。

 

「えーっと……それでは、他にご意見のある方……」

「はいはい!はいはいはい!!」

「元気ですね……はい、三年の小鳥遊委員長」

「ほーい!我が校1番の問題は、全校生徒がここにいる五人だけってことだと思うんだよ。生徒数はそのまま学校の力になるわけだし、三大校みたいに生徒数を桁違いに増やせれば、毎月の学費だけでもかなりの収益になるはず!」

 

 二番手はホシノ。もっともなことを言ってはいる。もっともなことは。だがあの笑顔なので、絶対碌なことじゃないよね。

 

「だからまずは生徒の数を増やさないとね!そうすれば連邦生徒会での発言権も得られるはず!ということで……他校のスクールバスを拉致ります」

「はいぃ!?」

「“ぶ、物騒だね……”」

 

 手を組んで碇ゲンドウみたいなポーズをしながらホシノはそう言った。全力でふざけ倒している。なんだその顔は無駄に雰囲気を出すんじゃない。

 

「バスジャックするでしょ?うちへの転入書類にハンコを押して貰うでしょ?これで生徒数がガッポガッポだよ!」

「ガッポガッポってあんま人に使うもんじゃないような……」

「それ良いね。ターゲットはトリニティ?ゲヘナ?それとも……ミレニアム?」

「却下ー!!駄目です、そんな方法で増やしちゃ!他校の風紀委員が黙っていませんよ!」

 

 案の定却下された。まあ、他校に迷惑がかかるのは良くないよね。元からないであろうアビドスの評価が底辺突破ンガランレグしてしまう。それだけは避けないといけない。

 

「はい!」

「はい、同じく三年の梔子副委員長……お願いなのでまともなものを……」

「逆カツアゲとかいいと思います」

「却下です!字面ですでに却下です!!」

「“う、うーん…まあ、よくないね…”」

 

 アヤネちゃんに川柳で返された。しかしねぇ……火の粉を払うついでに迷惑料をもらうみたいなものなのだから……ついでに治安維持機関に突き出せば報奨金がもらえて一挙両得、効率のいい稼ぎの方法なのだから……

 

「かー!おじさんそんな子に育てた覚えはないんだけどねぇ」

「ん」

「んじゃないよ。君ら二人にだけには言われたくないよ」

 

 片や盗聴、片や強盗(未遂)。それに比べれば逆カツアゲなんて軽いものだろう。納得がいかないぞ私は。これも却下されてしまってはもう空き家貸し出しくらいしか思いつかない。私の持ちネタは少ないのだ。

 

「ん、じゃあ次は私。良い考えがある」

「はい、2年の砂狼さん……なんだか嫌な予感がしますが……」

 

 四番手はシロコ。言わずもがな。何故かこれから言うことが分かる。なんでだろうね。シロコはカバンから覆面を取り出し、そして自分で被った。

 

「銀行を襲うの」

「……はい?」

「銀行を、襲うの」

「いえ聞こえなかったわけではなくてですね!?」

 

 一年が入ってからは自重していたようだが、ついに解き放たれてしまった。私の逆カツアゲよりひどいじゃないかと言えば、人を傷つけるのではなく銀行に傷をつける行為なので大丈夫と言われた。通ってたまるかそんな理論。シロコはそのままさらに覆面を取り出して、みんなに配り始めた。

 

「“ストップ!ストップシロコ!”」

「先生の分もあるよ」

「“そう言うことじゃない!!”」

「わー、プロレスラーみたいです♧」

 

 貰うや否やいそいそと被るホシノとノノミちゃん。セリカちゃんは苦い顔をして覆面を見つめ、アヤネちゃんは天を仰いでいた。ちなみに私が貰ったのは「5」のワッペンが貼られた空色の覆面。私5なんだ……

 

「良いねえ。やっぱ人生一発で決めないと。ね、セリカちゃん?」

「そんなわけないでしょ!却下よ却下!!」

「心配しないでも大丈夫、ターゲットも選定してあるよ。市街地の第一中央銀行。もちろん、金庫の位置、警備員の動線現金輸送車の走行ルートは調査済み。五分で一億は稼げるはず」

「駄目ですから!大丈夫じゃないですから!犯罪はいけません!」

「むう……」

 

 後輩二人から猛反対を食らったシロコは口をとがらせぶーぶー言っている。何がもちろんなのか分からないが、マジでやる目をしていた。あらやだ、この子危険だわ……今更か。

 

「そんな顔しても駄目です!……はあ。みなさん、もうちょっとまともな提案をしてください……」

「じゃあ、はい!次は私が!」

「はい、2年の十六夜さん。……犯罪と詐欺は抜きでお願いします……」

「大丈夫です!とってもクリーンかつ確実な方法ですから!」

 

 五番手はノノミちゃん。アヤネちゃんを除けばこの中で一番まともな案を出してくれるはずだ。他がもうダメダメのダメだったので、アヤネちゃんの怒りゲージは危険域にまで達しているはず。頼んだぞノノミちゃん、私たちを救ってくれ。

 

「アイドルです!スクールアイドル!」

「あ、アイドル……!?」

「“おお”」

「はい!アニメで観たんですけど、学校を復興する定番の方法はアイドルです!私達全員がアイドルとしてデビューすれば……」

 

 うんぬんかんぬん、ノノミちゃんの説明が繰り出される。今までの案に比べれば大分ちゃんとしている。が、アイドル……いや、前にやってみたいと言っていたけど……やっぱり恥ずかしさが勝る。

 

「じゃあ私裏方で~、みんなよろしく!」

「あ、ズルい!」

「えー?ホシノ先輩なら、特定のマニアに大ウケしそうなのに」

「……さりげなくディスっているような気が……」

「うへぇ、こんな貧弱な体が好きとか言っちゃう輩は人間として駄目っしょー。ないわ、ないない」

 

 コイツ、一抜けしおったぞ。すごい笑顔でこちらを見てきている。君いつもメイド喫茶でバイトしてるし大丈夫でしょと言う考えが透けて見えるぞ、ぶっ飛ばしたくなってきたな。みんなも恥ずかしいのか、それはちょっと…という感じだ。

 

「決めポーズも考えてるんですよ?『じゃーん!水着少女団のクリスティーナで〜す♧』」

「ダサい!というか『水着少女団』って何よ!なんで水着なのよ!!」

「…ゲッターに任せちゃダメ?」

「誰なのよ」

 

 個人名はともかく、グループ名が駄目だった。水着ってそれ水着で歌って踊るのか?お茶の間凍らない?後決めポーズも……そのポーズ難易度高くない?よくできるね……

 

「あのう……議論がなかなか進まないんですけど、そろそろ結論を……」

「じゃあ先生に任せちゃおー!先生、この中でやるならどれが良い?」

「“アイドルで”」

 

 即答したんだけどこの人?いやでもキリっとしているので、真剣に考えた結果なんだろう。他三つがおかしかったわけだしそう答えることになっても違和感はない。

 

「も、もう少しまともな意見を出してからの方がいいのでは!?」

「“アイドルで”」

「ええ……」

「本気ですか!?」

「やったー!楽しそうですね☆」

「うへぇー、マジー?マジにやっちゃう?」

「ほ、ホントにアイドルでいいの……?」

「仕方ない。こうなったら覚悟を見せる」

 

 あれ私欲じゃないかなコレ。本当にいいのかこれで?アヤネちゃんがぷるぷる震えだしたんだけど本当にいいのかなこれ。いや良くないよね。私はとっさにお菓子の乗ったお盆を持ち上げた。

 

「いい加減にしてくださぁい!!」

 

 アヤネのカンニンブクロが爆発。机が宙を舞った。今回は煎餅を守ることができた、やったね。と思っていたら吹っ飛ばされた机の脚がちょうどお盆に当たりお菓子をかっさらっていった。せんべいがっ!

 

 

 

*1
半分大正解




今年はもう一話だけ更新したい人です、よろしくお願いします。
出来なかったら除夜の鐘に括り付けてついてもらって構わない。……何かのゲームで見たな。
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