それ逝け!ユメ先輩(偽) 作:ポンコツ太郎
アビドス3章も無事終わって良かった~
……スオウの出番あれで終わりじゃないよね?後々あるよね?
アンケートの回答ありがとうございました。リボルバーもハンドガンじゃねえかアホと思った方は申し訳ございません、俺が間違えただけです。ピストルとリボルバーって言いたかったんです……銃エアプがバレたね。ひぃん。
「暑い……暑いよぅ……」
「……口に出すともっと暑くなるよ」
「でもぉ〜」
「もう!キビキビ足を動かしてください!」
「はいぃ……」
いつもなら学園祭事務局──改め、廃校対策委員会の教室でなんやかんやしゃべっている時間だが、今現在、私とホシノはアビドス砂漠を彷徨っていた。日中なので太陽の日差しがガンガン照りついており、気温は30℃後半に迫っている。真夏の気温じゃねえかとなるが、なんとまだまだ5月だ。なにこれ、ふざけてるの……?砂の下に暖房でも埋まってるんじゃなかろうか。
ペットボトルの水が詰まったリュックをしょいながら、砂の上を歩く。ちなみにどちらも自分のお金で買った。すごいでしょ。ようやっとバイトを始めて、お金を自分で稼げるようになったのだ。……うん。給料はいいんだけど、ちょっと…………まあ、これは今はどうでもいいことか。
「で、ほんとにアレでいいんだよね?」
「そのはずー。多分、きっと、メイビー」
確認のため聞いてきたホシノにそう返すと、ジト目でこちらを見つめてくる。視線は冷たいが、そんなもんじゃ体は冷えないぞ。わはは。あっやめてくださいほっぺをつねらないでください。
さて、どうして私たちが学校をサボってまでアビドス砂漠に来ているのかというと。簡単に言えば謎を追うためである。そう、私に関する謎。私が目覚めた場所を詳しく調べれば何かわかるかもしれないと考えたホシノが、その廃ビルまで連れて行ってほしいと言ってきたのだ。特に断る理由もないので……というか、私だって知りたいので、こうして案内しているというわけだ。突き止める義務が私にはある。
問題はこの無駄に広い砂漠で乱立する廃ビルの中、どこで目覚めたのかがうろ覚えなことなんですけどね。多分目の前の奴だと思うんだけど、間違ってたらどうしよう。蜃気楼でぼやける建物を見ながら、私たちは歩みを進めた。
「ここ?」
「うん。見覚えがあるね、このエントランス」
倒れた椅子、汚れたカウンター、薄暗いエントランス。二軒ほど違う場所をめぐり*1、ようやっと引き当てた、私が目覚めた廃ビル。目覚めてから数か月たっているが、当然ながらそこまで劣化している様子はない。ライトを照らしながら、中へと入っていく。
「……血だ」
と、ホシノが床にぽつぽつと落ちた赤い斑点──まあ十中八九血だ。──を見つける。見覚えがあり、新しくついたわけではないと思う。少なくとも、新しくポップした死体とかはないんじゃなかろうか。
「やっぱり、ユメ先輩はここに逃げてきたってことかな」
「……分からない。とりあえず、目覚めた部屋まで連れてって」
「ん」
いかん、シロコがうつったか。なぜかドヤ顔のシロコが自然と頭に浮かぶ。留守番ちゃんと出来ているだろうか。ノノミちゃんに迷惑をかけていないだろうか。
……ともかく。血は、小さくも点々と階段に続いている。目覚めた場所まで続いていたはずだ。導いてくれるのを期待しつつ、ライトをそこかしこに向け、何かの痕跡がないか調べながら私たちは歩を進める。
「ここだね。ここが、私が目覚めた場所だよ」
「休憩室か……」
ソファに観葉植物、鏡に動いていない自動販売機。見間違えようもなく、ここが私の始まりの場所だ。とりあえず、二人で調べてみることにする。光源を持っているので、前には見つからなかったものを見つけられるかもしれない。
「ここが一番血が多いね。……足跡もついてる」
光を照らしてよく見れば、血溜まりのそばに足の跡がついている。すぐに気づいたのか擦って血を乾かしているけど。
「……じゃあ、やっぱりここで殺されたってこと?でも吹っ飛んだ腕は見つからなかったけれど」
梔子ウツホは死人にとりついた悪霊。それが私たちの共通認識のはずだ。本人が言うのもおかしい気がするが。とにかく、だとするならその身体の持ち主である梔子ユメを殺した者がいる。血と腕から考えれば、それが自然な予測になるはずだ。
「……なくした後、逃げてきた……は、ないか」
「多分ね。エントランスの血の量は大したことないし……それに弾痕もない……よね?」
「うん。戦った跡はなかった。ただ血がところどころについてるけど」
腕を無くした後に逃げてきたのだとしたら、血の量は今の比じゃないだろう。特にエントランスは血の海になっているはずだ。
そしてライトを照らして調べた限りでは、戦いの痕はなかった。ここ休憩室も同様、綺麗とは言わずとも、修復が必要なほど荒れてはいない。……掃除は必要だろうけど。
でも、だとするなら。
「……殺された後、運ばれてきた……?」
「それが一番ありうるかな」
死後運ばれてきた。それが今の所あり得そうな真実だ。
死んだあとは血が流れにくいとか、どこかで聞いたことがある。それなら所々についた血の量が少な目なのも納得できるだろう。休憩室前についていた血は少し多かったが……死体を落としたとかだろうか。丁寧に扱ってくれい。腕が見つからないのも、殺害現場に置いてきたと考えれば良い。
「でも運ばれてきたならここの外で殺されたってことだから……やっぱり、この前言ってたサンドワームに?」
銃ぽっちじゃそうそう血も出ない。それがキヴォトスに住む生徒の特性。その割には膝をすりむいたりするのはなんでなんだろうか。私気になります。
でも、それの腕が飛ぶというくらいなんだから、使われるのはまともなモノではないだろう。そんなもの、以前言っていたサンドワームくらいしか思いつかない。……それかエンジニア部……
巨大生物に襲われたという一見アホみたいな推理だが、ここは犬猫が立って喋る不思議の国だ。ホシノも存在を肯定しているし、割とあり得るんじゃないかと思う。
「ビナーね。確かに簡単に腕を吹っ飛ばすくらいの威力を持った奴なんて、そいつくらいしか思い浮かばないけど……」
「けど?」
「運んだのが人なら……」
「殺したのも人って?」
けど、ホシノはそうは思っていないようだ。半ば確信しているような感じで、人がやったと言う。確かに、ビナーとやらにやられたと仮定しても、見つけた人がわざわざこんなところに死体を運ぶ意味がよく分からない。埋めてくれた方がまだいいように感じる。
傷つきにくいキヴォトスの生徒を殺しうる方法……拷問とかだろうか。何度も同じ場所を攻撃すれば切断も叶うのかもしれないが、そんなことを生徒がするとは考えにくい。というか、子供がそんなことしてたら怖い。……とするなら、大人の仕業だろうか。
「心当たりでもあるの?」
「……ないことは、ない」
「ないことはないの!?」
なんてこった、思い当たる節があるらしい。うそん。そういうことをしそうな人を知っているということだろうか。小鳥遊ホシノ、いったい何者……
「まあ、それはこっちで調べておくよ」
「……どこまで知ってるの?」
「……別に。全然だよ」
こちらを一瞥して、そして目を伏せながらそう言う。別にって顔じゃない。何か、知っている顔だろう、それ。……でも、話してはくれないんだろう。私が分からないことの半分くらいはこの子が知っている気もするが、そんなほいほいしゃべってくれるほど信頼されているわけでもない。先は長い。そう感じた。
とりあえずそこでしゃべるのはおしまい。血痕以外にも何か手がかりがあるかもしれないので、口をとじて調べることになった。植木鉢の下やら、自販機の下やらを確認してみる。
「……ん、なんかある」
「え?」
すると、ホシノが何かを発見した。ソファの下に手を突っ込み、それを取り出す。ぬらりと出てきたそれは、光を反射して鈍い光沢を帯びている。
「リボルバー?」
隠れていたのは、リボルバーだった。随分と大きい。ホシノからもらった拳銃より二回りくらい大きいサイズだ。どうやら目覚めた時には見落としていたらしい。うっかり。……うっかりで済ませていいものだろうか。
「おお……でかいね。これ、黒幕の持ち物だったりしない?」
「いや、戦ってないのに銃だけ落としていくってのもおかしいよ。案外君のなんじゃない?」
「いや、ないでしょ……多分……」
……餞別、的な奴だろうか。もしそうだとするなら、黒幕は大分悪趣味な輩らしい。やけに手にしっくりくるのがまた、説得力を増させている。怖いんですけど……
そんなこともあってか、リボルバーは私が持っておくように言われた。何かしら憑いてそうで嫌だと思ったが、自分もそんなようなもんなので何も言えまい。とりあえずリュックにしまうことにする。
その後も壁やら天井やらを調べてみたが、収穫はなかった。
これ以上休憩室を調べても何も出ないという結論に至った私たちは、次にほかの部屋も調べてみることにした。といってもこのビルは6階建て。固まって調べていたら時間がかかるので、分かれて探索することに。私は4~6階、ついでに屋上を担当することになった。……なんか私の範囲広くない?気のせい?*2
しかしこれがなんとも退屈だ。だって特にめぼしいものが見つからない。強いて言うなら、ビルが傾いているのか、床に落ちているものが多いということぐらい。本当にそれぐらいだ。かつてはここに狡いパチンコ台とかがあったのかもしれない。
エントランスから休憩室までの道筋以外で最近誰かが入った形跡はない様子。血の跡は一つもないし、屋上には砂しかなかった。このビルに運んだ理由はあるのかと考えていたが、調べる限りは特にないように感じる。もっとも、1~3階に秘密の場所とかがあれば話は変わってくるだろうけど……
「なんかあった?」
「いや、特にないね」
「やっぱり……」
だが、ホシノの方も目立った収穫はないようだった。隠し部屋とかなかった?と聞けば、そんなもんないとのこと。少し残念だ。いや、あったらあったで困るけどさ。しかし予想通り、このビルが特別というわけではないようだ。
ここに来れば何かわかるかもしれないと思っていたけど、このビル自体には特に意味がない、というのが調べた所感だ。がっかりしながらも、まあすぐ分かったら苦労しないよなと思い、とりあえず私たちは帰ることにした。
「謎が増えたな……」
帰り道。この日差しの中帰ることに憂鬱な気分になりながら額の汗をぬぐいつつ、ペットボトルに入った水を口に含み、唇を濡らしてそうつぶやく。殺した犯人、運んだ犯人。ついでにリボルバー。分からないことを調べに来たのに、三つも謎が増えた。なんでぇ?特にリボルバー、お前なんなんだ。二発弾の残ったシリンダーを眺めながら、思わずため息をついた。
「そう?少しは減ったと思うよ」
「……」
もう一度、私はため息をついた。謎が増えていくから。私の頭では、今日の夕飯のメニューすら満足に考えられないのだ。
回収できるかはともかく伏線だぁ!黒っぽい人がすんごいちらついてますね
ご都合主義タグがいるかもしれない。私はそう思った。
先生の性別
-
男性
-
女性
-
ムキムキマッチョマン
-
TS幼女