俺は今尋問室に居る。しかも銃を持った兵士2人に囲まれて。
「………つまり君が全部倒したと?」
「ええ……応援遅かったですから」
なんかいつもより応援遅いな〜と感じながら全部倒しましたよ。マチルポットはオーバーホールですが……*1
「ふむ……かなり信じ難い話だ。方法もただ
当たり前やろ。ライフル弾切れたんやから突っ込むしかなかった。
「それで、もう部隊に戻っても?疲れたんですが……」
「ん?あ、ああ……すまない。今日はこちらの個室で過ごしてもらってもいいか?また明日話を聞くし、あの後処理の話もある」
あ〜、そういやあの怪物倒した後解体しないとだよな……粗悪品だろうが……いくら貰えるんやろか……?
「わかりました。じゃあ出て良いですよね」
「ああ。すまなかった。時間を取らせてしまったな」
「ええ。お腹ペコペコです」
そう言い残しドアから出る。言った通りお腹ペコペコなんや。さっさと食わせろ。
***
あれからまだそんなに立っていないというのにパスファインダーはもう次の任務を続行している。
「アイツ……あんなに強かったんだな……」
部隊の一人がそう零すともう一人がそれに続いた。
「ただの作業用ポットでだぜ?戦闘用に調整されたやつならもっと凄かったのかもな……」
「ああ。大型も無傷だったのかもな……」
しかし、もうそんな奴はこの部隊に居ない。それがこの部隊を不安に晒していた。
勝利した時の興奮とまた襲われるかもしれない恐怖が彼等の口を閉ざす暇を与えない。
作業は淡々とこなしながら口ずさむのは彼の好きな曲だった。
「帰ってくるんかな。アイツさえ入ればどこも怖くない」
「バカ言え。あんな人材前線に配備されるさ。放って置く理由無いしな」
「だよな……はぁ。帰ったら射撃訓練場にでも行こうぜ」
せめて自分を守れる程には強くならなくちゃいけない。そう考えるのはあの戦闘を見て来た者達は全員思うだろう。
流れ弾で少なからず怪我人は出たし。初めて大型と出会った時の恐怖も半端なかった。
だからせめて……せめて小型だけでも討伐出来るようにならなくてはならない。そう考えるのは必然であったのかもしれない。
そんな中とある一報が部隊に知らされる。
「お〜い!!」
「なんだ〜!?どうしたー!?」
「こっちにへんなのが〜!!」
「へんなの?」
部隊が作業を中断して続々と集まってくる。
「………これは」
発見したのは、中に人のいる脱出ポットだった。
***
所変わって尋問官。彼は胃薬を飲んだ後上官へ報告を行っていた。
「――して、今回の戦闘は単独によって勝利でした」
上官が複数人も居るなかでのこんな出鱈目な発言。首が飛ぶ程ではないとはいえ緊張してしまうのも無理はない。
そして、上官のみならず、マチルポット開発副主任も居る。そろそろ胃薬の効果が早くも切れそうだ。
「………ふぅ……」
上官のため息に内心オロオロしつつ終始無表情を務める尋問官。
「…………ククッ!」
そんな中一つの笑い声が周囲の目を引いた。
「クカカッ……キャハハハ!!そんな事あるんだ!!すっごいね〜その子www」
その声の出所はなんとマチルポット開発副主任。『マイヤ・クリス』であった。
「しかもさ、こっちの機体の損傷データとかまだまだ詳しくは調べてもらってるけどさ。かなり摩耗が酷いんだよね。まあ、そりゃ戦闘用に調節されてない癖に戦闘モードにしたんだから当たり前かぁ……いや、それだけじゃ説明つかないよこれ」
「……どういうことだね?クリス副主任」
副主任の空気が変わった。そう、予想から確信になったかのような名探偵のように……もしくは嫉妬から執着になってしまった他クラスの子のようにたった3秒で変わってしまった。
その急激な変化に周囲は聞く耳を持たざるを得ない。
「簡単に説明すると機体の摩耗や損傷からしてその話本当だね。じゃなきゃ説明つかないような傷も付いてるからさ。本当じゃなきゃ困るよ。そもそも作業用なんだから戦うなんて考えてなかったしさ。彼には悪い事したね〜………
その言葉に動揺が奔る。つまりオンボロ車でF1にレースを挑むような状況で勝ったのだ。何者でもない、ただの一般兵が。
「だが兵士適性資格を得るときはデータにそう記録されていなかったぞ。そうだよな軍務長官」
「当たり前です!!全力を出してると結果も出てます!!そもそも彼には適性がCもありゃ十分な程度でしたよ!!」
そう熱くなるのは軍務長官ライノ・ボルテック。筋肉ムキムキのマッチョマンの変態だ。
「そう熱くなるな軍務長官。皆真実なのはわかる。異常なのは……彼だ」
「そうてす!!もしあの時実力に気が付いていれば俺達の部隊は更に強くなっていたはずです!!」
「それは早とちりじゃない?ボルちゃん」
猫なで声で煽る彼女は兵器開発主任のエノシマ・サクラ主任だ。笑っていながら笑っていないような気迫のする不思議な女性だ。
だが、今この時は本気であった。なにせ人類に関わりそうな事なのだ。笑い事で済ますような時じゃないと彼女は理解していた。
「その時がどうかはわからないけど、今は彼の動きをトレースし、それを訓練項目にリメイクすれば済む話じゃない。やってもいいと思うんだけど?」
「む?まあ、そうだな。それがコウリツってもんだな」
頭の悪いやら良いのやらわからなくなる会話には慣れている長官達を横に無意識に顔に汗を塗り始める尋問官。もう一生この仕事をしたくないと誓った瞬間である。
「とにかく、あとは彼に対しての処遇よ。今は事実調査の名目で保護出来ているけど、あとはどうするのよ?」
一番の問題点は彼をどう扱うのか。言うなれば英雄の卵をそのままにするのか、孵化させるのかといった問題。
だが、中身がわからない。もしかすると悪魔にもなる可能性がある。
ならばそのままそっとしておくべきなのか……?
「………501.1事件のせいで人類はまた身内に疑心暗鬼ばかりだ。彼に聞いて今後どうするべきか考えても遅くはなかろう」
そう答えた大統領に皆頷く他無かった。
501.1事件……これは、このクローズ・ザ・ドラッグのストーリーの根幹にもなる部分であった。
人類史上最悪の救世の物語。にんげんのものがたりだ。
「やっぱ目玉焼きには塩だよな。ソースなんか考えられんわ」
その問題人物は今目玉焼きソース派の人間である大統領(とその他の方々)に喧嘩を売っていた。