f月x日
さぁ、今日からいよいよ作戦開始だ。このことは詳細に記録しておきたいから、朝から随時記入していくぞ。
まず俺たちパラデウスは人形部隊が主力のグリフィンの部隊とは分かれて、その代わり正規軍と共同で機甲戦力を投入、これをもってエルダーブレインを撃滅することになった。おそらく正規軍の思惑としては、機甲戦力に自信のある俺たちで早期に電撃戦を展開し戦線を一点突破、取りこぼした敵をグリフィンに回収してもらうという算段なのだろう。
実際、周囲を見回してみるとグリフィンの人形が全くもっていない。いるのは正規軍の精鋭人間兵士、キュクロープスやヒドラといった軍の部隊とウーランSWAPといったパラデウスの機甲部隊だけだ。うーん、まぁ確かに進軍速度に差が出てしまうのは分かるが、これじゃあ共同作戦の体をなしていないような気がする。大丈夫かね?
まぁ、そんな心配をしていてもしょうがないか。ひとまず、俺たちは任務目標を達成しないと。アデリン、アリーナはまた別部隊の指揮を執っていて、今この場には俺が率いている部隊しかいない。基地で整備や開発を担当していた他の子達は補給系の任務に携わっているし、アリアはグリフィンの指揮官と共にいる。うーん、やっぱ一人は......なんか寂しいな。
お、そろそろ進軍を開始するようだ。それじゃあ記録中断、各自前進。目指すは敵戦力の撃滅だ!
{08:43:21}
今のところは順調に進めている。鉄血中枢部の撃滅作戦ということで、案の定敵もマンティコアやジャガーといった強力な戦力を次々と持ち出してきているほか、普通の歩兵戦力も大量に出てきている。今のところは接敵したら速攻でウーランSWAPやらヒドラが吹っ飛ばしていて、それでもダメなら俺やらキュークロプスが掃討する。そんな流れ作業のような工程で殲滅を続けている。
ただし一つ不安点があることとすれば、後詰をしてくれるであろうグリフィン部隊の展開が遅れていること。どうやら小さい襲撃が頻発しているらしく、思うように展開が出来ていないらしい。幸いなことに大部隊を輸送している輸送列車への襲撃はまだ起きていないらしいが、もしこの状況がずっと続くようならばそれが起こってしまうことも頭に入れておかないと。
だけどそれ以外なら、大分うまくいっている。アリーナ・アデリンにも戦線の状況を随時伝えてもらっているが、そちらも順調に進んでいるらしい。やはり鉄血勢力も大分勢いを失っているのか、抵抗は激しいけれども痛打を与えるような一撃は今のところ起きていない。やはり正規軍の力は強大の一言だな。
そうだ、どうでもいいことではあるが一応記入しておくか。正規軍のエゴール大尉、彼は随分部下に慕われているようだ。先ほどから彼を中心に兵士たちの士気が高まっているのを感じ取れる。カーターもそれなりに統率力を持っているようだが、どちらかといえばカリスマ性はエゴール大尉の方があるだろうな。俺も従うならあの胡散臭くて高慢なジジイよりも大尉の方がいい。
とりあえず記録終了。次回の記録は......また次になる。多分!
{09:01:43}
クソッ、早速不測の事態が発生した。後方から向かってくるはずのグリフィンの輸送列車が襲撃されてしまった。本来であったらグリフィンだけで解決すべき事案だが、指揮官曰く周囲に展開しているグリフィン部隊がおらずこちらに救援を要請したようだ。軍の方ではあまり救援に乗り気ではなかったようだが、エゴール大尉が言い聞かせたことで救援に向かえるようになった。やっぱあの人慕われてるな。
こっちも隊から多少はぐれることになってしまったが全速力で救援に駆けつけている。所々でヴェスピドやダイナ―ゲートといった雑兵が邪魔をしようとしてくるがブレードで斬り伏せて一直線で向かう。雑兵はお呼びではないんだ、大人しく土へ帰れ......って、あれか!遠くからでも煙を吹き出しているのが見える......火も出てるな。辺りも戦闘で滅茶苦茶だ。
正規軍が砲撃で始末してくれると言っていたが、これじゃあ人形たちが先に死んでしまう。吶喊あるのみ、みんなが倒れてしまう前に鉄血勢力を全て撃滅して救援作戦だな......まずはさっきから砲撃を加えている砲撃部隊を破壊しないと。あれがいる限りいつまでも支援砲撃の脅威にさらされてしまうことになるし。
ウーランSWAPを前に張らせ、後方で控えている迫撃砲部隊に支援要請をしつつ俺は後方に回って砲撃陣地を破壊する。今までは大して仕事できていなかったからな、少しくらいは仕事をさせてくれよ!
{09:23:11}
未だぼちぼち銃声は聞こえてくるが、とりあえず大方の鉄血勢力排除に成功した。しかし悔しいことに救援が間に合わず、ほとんどのグリフィン部隊が壊滅してしまった......救援を頼まれたというのに、これでは任務失敗も同然だな......クソッ!もう少し早ければ......すまない。
一応メンタルモジュールは回収できたが、逆に言えばそれだけのことしかできなかった。M4という人形曰く、俺らがいなければモジュールを回収することすら出来なかった、ありがとうとのことだったが.......救えたはずの命を救えなかったことは、悔しいな。
とりあえず回収できたコアは後方へと送られて、再びIOPの施設へと戻すことになった。何度も思っているが......本当にすまない。どうか俺を許して欲しい。
正規軍は列車の損害状況を確認の後、一部を残してここを離れるようだ。確かにこの襲撃の影響で本来の作戦に若干の影響を及ぼしているから、迅速な対応は必須になるな。俺も、心惜しいがここを離れて再び戦線に復帰しないと。この作戦を無事に完遂させて、良き戦果を持って行って彼女達の立場を上げる。それが、俺にも彼女達にとっても最善の選択なはずだ。
そしてそんな結果になってしまったものの、あの場で唯一生き残ったM4A1......さんは、前線に向かう正規軍の車列に乗って原隊復帰するらしい。ただ、なんだか見ていて大分メンタルが不安定なような、ずっと何かに責め続けられているみたいな苦難を感じ取れた。心配になってくるが、あのままで大丈夫だろうか。
それと、そうだ。彼女を見ていて思ったこと......なぜだか彼女には、不思議と自分と同じような......なんだ、こう。言い表しづらいな。とにかくなんだ、シンパシーというのを感じ取った。会ったこともないし、話したこともない。全く一切の関係もないはずなのに、一体どうしてだろうか?
{10:02:46}
列車襲撃事件から数十分、作戦地点に移動していると再び出撃命令が下された。今度は攻勢の邪魔をしている鉄血要塞を攻略し、その周辺で撒き散らされている傘ウィルスを阻害するための橋頭堡を作る作戦だ。そこを攻略しないことには前に進めないことから、この作戦が発動されたのだろう。
しかし敵要塞ということもあり、周辺には普通の歩兵部隊では甚大な被害を受けて機甲部隊でも攻略が安定せず、俺たちも何度かその威力を身に染みて受けているジュピターが配置されているし、敵歩兵戦力も馬鹿にならない量が存在する。軍の支援あれど、攻略はなかなか難儀なものになるだろう。
なので作戦としては、俺たちと正規軍で敵主力部隊を撃滅し、敵の警戒部隊や後方部隊をこちらに向けさせる。そうして敵の気を引いているうちに、指揮官率いるグリフィン部隊と再編成されたというAR小隊という特殊精鋭部隊が敵司令部を制圧するという算段だ。
不安要素は特にはないが、強いて上げるとすればあの打ち合わせの時から感じてやまない不吉な予感だろうか。今の所順調に行っているし、俺の懸念がただの気のせいであるといいんだけど......いや、きっと大丈夫なはずだ。そうだと信じよう。
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