逃亡人形の日常日記   作:シャオロウェをすこれ

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十一日誌目-Ⅲ

{13:21:09}

 

 今のところは順調に迎撃を進められている。鉄血の攻撃がてっきり激しいものかと思っていたが、いざ蓋を開けてみればそこまで激しくないしそれどころかむしろ協働しているAR小隊の面々が優秀なお陰で返り討ちにできている。少し敵を撃ち漏らしても、背後からババンと仕留めてくれる安心感は凄い。

 

しかし小隊の一員であるROさんが言ったことがどうにもひっかかる。このルートは正規軍から送られてきたルートらしいが、にしても鉄血があまりにも少なさすぎる。まるで誘導されているみたいだと言っていたが、そう言われてしまうとそうにしか思えなくなってきているんだよな。一応AR小隊も俺も補給は万全の状態だが、これは......何かの予兆なような気がしてならない。

 

とりあえずは前に進んで再び正規軍と合流することを目指すけど......っ、敵襲!?クソッ、さっき思ったら案の定か!被弾した......反応が遅れたか。もうブレードはダメだな、刀身が歪んで使い物にならん。適当にぶん投げて軽量化しておこう。偏向障壁発生装置がダメにならなかったことだけは幸いだけど、こっから接近戦用兵装がなくなったのは痛いぞ......というかマジか、通信に割り込んできたってことはハイエンドモデルまでいるのかよ!?

 

あいつは......確かジャッジといったか。指揮官から情報共有されて聞いたことがあるぞ。鉄血の中でも最新型のモデルで、かなりの高性能を誇っているらしい。現にさっき砲撃を食らってユニットを損傷させられた以上、指揮能力も自身の攻撃能力も伊達に見るべきではないだろう。通信もジャミングされていて援護は望めないし、自力で解決するしかない......

 

だが戦力差は絶望的だ。今は俺が障壁を貼っているうちに後退の用意を進めて、この包囲されてるクソッたれな状況から脱しようとしているが......ジリ貧というほかにない。一発のパンチ力が高いような二―マムやらジュピターがいないのが幸いではあるが、とにかく一体どこにそんな戦力を隠し持ってたんだって思うほど大量の物量が絶え間なく襲い掛かってきている。

 

このままじゃあ、後退しようにも包囲陣が狭まってきて困難になるし磨り潰されるだけだ。それにもうすぐすれば、おそらくジャッジが前線に出てきて余計突破は困難になるだろう。そのジャッジとの通信によると、鉄血はM4さんと......おそらく俺が司令官だからだろうが俺の身分をご所望のようだから、最悪自分を犠牲にすればAR小隊の誰かくらいは逃げられるかもしれない。最後の手段ではあるが。

 

 でも指揮官の部隊と連絡はついたらしい......オイオイマジか、ここにきてM4さんがなんか不調そうってマジかよ......!二人に背負っている暇はない、ユニットの補助ありで力に余裕のある俺が運んでいくしかないか!でも俺も調子が良くないんだよな......ここに近づく度になんか俺の身体がおかしくなっていっている気がするんだ。確固たる根拠はないから、気のせいかもしれないけどってあっぶね!?

 

{13:42:23}

 

 ああもう!さっきから砲撃爆撃雨あられ!M4さんは復帰できたけど塹壕から抜け出せないし......偏向障壁も貼り過ぎて段々と駆動限界を迎えてきそうだし、どうする、どうする......!?指揮官の部隊はまだこちらへ向かっている途中だと聞くし......パラデウス、アデリンとアリーナに支援を求めたいけどこっちの通信機はお釈迦になって使い物にならなくなってしまった。

 

ええい、あの支援砲撃・戦車による火力支援・機甲部隊による陽動、どれか一つでもあればこの状況を脱せるというのに......!ままならないものだな、現実ってのは......と、ちょっと待てよ。

 

M4さんが囮になって、この状況を脱する?......いやいや、その提案は流石に無しだろう。せっかくM4さんが久々にAR小隊に戻ってこれたのに、またお別れだってのはSOPさんやROさんの立場に立って考えてみると中々に酷なものがある。ほら、案の定別れたくないって言われてる。M4さんが行くくらいだったら俺が行ってやるぞおい。逝くかもしれないがな。

 

お、そんなこと考えているうちにいい感じな雰囲気になって来ているようだ。ふふ、それだけを見てたら安心だなってちょいちょい俺はAR小隊の一員じゃないぞ俺も仲間と思ってくれるのは嬉しいけど肩が捥げるっ!!SOPさん痛い!力強いからぁ!全員で肩を組むためとはいえいきなり引っ張られると痛いしびっくりするしで勘弁してくれ!......でも、誘ってくれるのはめちゃくちゃ嬉しいな。

 

でもいいことはあったけど、肝心の援軍の綱たる正規軍も繋がらないし......こりゃもう援軍は望めないとして見た方がいいかもな......グリフィンの指揮官が迎えに来てくれるってのも、限りなく厳しい条件となるだろうし......はぁ、ここで死んでしまうのならば、遺書の一つでもかいてあるって誰かに言っておけばよかったな。書いたはいいが、まだ机の下に置きっぱなしなんだ。大したことも書いてないけどな。

 

 とりあえず包囲陣を突破することを目標に、ここで耐え凌ぐぞ。もし帰ってこれなかったら、さっきの遺書が仕事をすることになるが......仕事をしないでいてくれることを願おう。

 

{14:00:00}

 

 ふぅ、なんとか首の皮一枚つながったというところか。もう押し切られそうになったタイミングで、奇跡的に例のカノシノ姉妹が援軍に来てくれて窮地に一生を得た。いやぁ、感動で涙が出そうだった。マジで......助かった。鉄血の砲撃が激しすぎて、ユニットがもうほぼ体を成さなくなってしまったからな。残りはアリーナに貰った鎌と偏向障壁発生装置、それから拾った鉄血のイェーガーの銃だけだ。最初と比べるといささか見劣りするな......あるものでなんとかするしかないのだけれど。

 

しかしこうも押されっぱなしだと補給がいささか厳しくなってくる。現地調達である程度何とかして、出来る限り近接戦闘で戦っているとはいえそもそもの肉体の限界が近づいてきそうだ。正直、もう疲れている......久々に感じるこの疲労感は、今感じたいものじゃないんだよな......

 

カノシノの二人が援護しつつ、俺が先陣を切って、AR小隊が掃討する。これで今のところはどうにかなっているが、マジで何度も言っているがジリ貧だ。いつか死んじまう......認めたくないがな。でも、カノシノ姉妹のお陰でさっきまでの絶望的でお先真っ暗な未来から、多少は希望のある未来になった。そう、つまり......突破口が見えたって訳だ。

 

 全員が力を合わせて一転攻撃すれば、ぶち抜けそうな箇所を一つ見つけた。あそこで、あそこにさえ攻勢をかけられれば......っ......え?

 

 

 

 

 

 

......M4さん!?ちょ、おい、大丈夫か!?急に倒れちまったぞM4さんが......さっきも不調そうにしてたけど、なんで今になって......戦闘の疲労で、限界に達した?いや、多分違う......そうヤワな人でもないだろうし、もっと別の原因......どこかに被弾したって訳でもない、ならばまさか......クソッ、やられた!そういうことか!

 

 メンタルモデルに侵入されたんだ!傘じゃない、もう一つの『何か』によって......ええい、なんでこうなっちまうんだクソッたれが!早めに気づかなかった俺の失態だ......こうなってしまった以上はどうすることもできない、ROさんがセーフハウスに向かってM4さんの治療を試みるみたいだし、俺たちはその間の防衛をするしかないか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 感想/高評価くださいまし......ドルフロで赤満取れたらとても嬉しいので.....
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