逃亡人形の日常日記   作:シャオロウェをすこれ

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 遅筆()


11日誌目-Ⅲ

 {15:23:09}

 

 戦闘の様子はもう滅茶苦茶もいいところだクソッたれ!正規軍の砲撃能力は俺の想像の遥か上をいっている。あの戦闘ではどうやら本気を出していなかったらしい......損害がこれまでにないレベルで増大していっている。現地の部隊を撃破出来たはいいが、砲撃がさっきからひっきりなしに降り注いでくる。どうやら奴さんたちはもうなりふり構わずにこちらを撃破する腹積もりらしい。

 

もうすでに部隊損耗率は70%を超え、ほぼほぼ壊滅というか全滅の領域に達しかかっている。俺の操っていたユニットも駆動部をやられて行動不能になってしまったし、砲撃に対して防御力を持たないガンナー部隊とグレネーダー部隊はもう誰一人として生き残っていない。ただただ残骸だけが地面に伏している有様だ。今俺の手元に残った戦力は、僅かなグラディエーターとドッペルドルゾナーといった防御力を持つ機甲系のユニットだけだ。それも半壊しかけが混じってたりで大分不安だし......ウーランSWAPはもう壊滅してしまったから頼れない。

 

 通信もあの時の通信が最後で、それ以降はもうジャミングが掛かっていて通信は不可能な状態になっている。正規軍が敵対状態になったことだけ伝えられたのが幸いだが、果たして今あちらはどうなっているのだろうか......みんな精強だし、あの場にはグリフィンもいたはず。防御陣地を敷いたり、撤退していれば、大丈夫なはず......と信じたいけど。

 

 今はひとまず部隊を撃破したことで砲撃も一時的に止んでいるから、撤退するなら今しかないだろう。残存している部隊を連れて、後方の例の橋頭堡付近まで撤退する。戦力的にも、後自分の自衛力的にも、いささか不安が残る状態だが......ここにいても死ぬだけだ。一応武器としてはアリーナから託された鎌と、それからここぞという時に使うEMP手榴弾が一個ある。それを頼りにするしかないな。

 

だが、おそらく相当困難な戦いになるだろうな......敵が正規軍だけならまだしも、今は姿を見せてはいないが鉄血だってあたりにいる状況だ。万全な状態だったらハイエンドモデル以外だったら対処可能だろうが、流石にこうも損耗した状態だと厳しい場面がある。やはり接敵しないことを祈るしかない状況だが......どうなるかな......

 

 {15:42:55}

 

 クソッ......やっぱり状況は芳しくないな。どのユニットも、偏向障壁発生装置がいい加減そろそろ限界を迎え始めてきている。無論それは俺も例外ではあらず、大体もう通常時と比べておおよそ30%の出力しか出すことができない。一応それでも小銃弾程度なら防ぐことはできるだろうが、次にヒドラとかの高威力の射撃を受けたら受けられるかは天命にゆだねることになってしまうだろうな。

 

う~む、というかこうなってしまった以上、発見されるリスクを考えるともう俺以外のユニットは放棄して合流を優先すべきだろうか。ドッペルドルゾナーは大型だ、野ざらしにしていれば発見のリスクは大いに高まる。ここは......すまないが自律行動モードにして、自陣へと戻ることを優先しようか。

 

だが、戻るにしてもここから元来た道を戻るのは正規軍が警戒している可能性があってリスクが高い。ここは一つ、市街地の中に入って少しでも発見される可能性を下げるか。いくら正規軍と言えど、ここはまだ戦闘区域だ。俺の捜索にあまり多くの人員は割けないだろう。捜索個所が多くなる市街地に入れば、必然的に攻略できる可能性は上がるはず。

 

自分の状態としては、さっきから左腕の調子が悪い事だけが不安点だが、それ以外はまだ一応動ける状態だ。少なくとも鎌を振りかざす右手が残っているんだから、全然生き残れるはずだ。銃弾はまぁ、死にかけの偏向障壁で受け流......いや、撃たれる前に破壊するか避ければいいか。流石に俺はナルシス様のように強大な力がある訳じゃない......待て。

 

俺は今、何を思った?

 

 {16:11:01}

 

 時が経てば経つほど、焦りは増大していく。俺が先ほど考えてしまった、あのとち狂った考え......そんなものを思い浮かべさせるほど、焦りや不安というものが俺の中で渦巻いているのだろう。どんなクソみたいな状況になろうが、あの人の所に戻るのはもう絶対にありえないというのに。

 

あんな所に戻るくらいなら、死を選んだ方がまだマシだ。俺があそこにいて、■ル■ス様.....違う、■■■ス、そうだ、■■■■......の傍にいた時......私がどれだけあの人に■つけられ、そして......そして思い出すのも恐ろしい■■を植え付けられたか......

 

あぁ......でも何でこんな時に思い出すんだろうか......あんな絶望的で、見渡す限りしあわせしかなかったあの素晴らしい空間を......わたしが、わたしが尽くすべきただ一人のお方を、いや違う、待って、何を思い出して......違う、どうしても守らないといけない人が一人......うぅ、違う違う違う!!!どれが本物でどれが偽物の記憶なの!?

 

ダメダメダメ、絶対に忘れてはいけない記憶があったのに、■■■■■■さんと約束したのに、いつか......あれ、違う、こんなことは......わたしは、違う、わたしにとって大切な人はただただ一人■■■■様のみ、■■■■■なんて知らない、そんなのとは関わってはならない、また罰せられる、また傷つけられる......!!

 

 あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!痛い痛い痛い痛い痛い!!!思い出すたびに零れ落ちていく!■■■■様、わたしはけっして■■■■■としたことなんて......苦しい、苦しいよ、■■■■■■さん......!いやだ、帰りたい、会いたい、■にたくない......まだ■きていたい!

 

 どうして■■■■■になんているんだろう、わたしのいる場所はそこじゃない、もっと■■で暖かいところ、■■■■様の隣のような......■■■■様に付き従う事だけがわたしの■■■■、いますぐにもどらないと。それだけがわたしの存在理由だから。でないと......また罰せられてしまうから......あのお方が私にくださったモノは、まだ私の『ナカ』にある.....

 

 あのときにとったはずなのは『俺』のうそだ、実際は『私』が止めただけ。あぁ、こんなにも遅れて大変申し訳ございません、■■■■様。ただいま......ただいまから会いに行きます。ですからどうか......私を罰さないでください。■■■■■■さんをこれ以上痛めつけないでください......

 

 

 

 




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