お願いします千織さんっ!こっち見てニコッてしてください!! 作:猫好きの餅
【注意】周りに人がいる場所で読まないことをおすすめ致します。読んでニヤけて変な目で見られても僕は知りませんっ。
「───ダメじゃない」
「…」
部屋の中から音が消え、耳に入るのは時計の針が刻む音と、お互いの息遣いのみ。
俺に体重を預け、赤い顔で俺を見てそう言った千織は、息を飲む俺の腰に回していない方の手に、自分の白い手を重ねた。
すりすり。
手の甲を撫でられて、すこし擽ったい。千織の指はそのまま俺の指の間にするりと入ってきた。思わず、千織の腰を抱き寄せている手に力が入る。
「…ぁ」
千織は驚いたように目を少し開いたが、すぐに目を細めて、俺の首筋に頬擦りをしてきた。そして、指を絡めていない方の彼女の手が俺の腿の上に乗る。
これは、もう。そうだろ。イける。
俺は勇気を振り絞って、千織と目を合わせた。
「……千織」
「……」
ちょ、え?
俺は千織に意を決して告白しようと、口を開こうとしたその時。千織の顔が少しずつ俺に近づき始めた。千織の顔も真っ赤だが、俺の顔をじっと見つめてきている。
俺が何も出来ないまま流れに身を任せようとしたところでーー。
ピンポーン。
「「っ!?」」
突如鳴ったインターホンに、我に返った俺たちはバッと音が出そうな勢いで離れる。
見ると、千織も胸を抑えてはぁはぁと息を切らせていた。俺の方も似たようなもんだ。
一瞬、居留守を使おうか悩んだが、今の雰囲気のままテイク2はとてもできそうにない。俺は千織の方をチラリと見て、玄関まで歩いた。
誰だろう。フリーナかな?
そんなことを考えながら扉を開けると、白い髪に青を基調とした服。配色はフリーナ様と同じだが、背丈と纏う水元素の重みが違う。
「すまない。クレイ殿に話があるのだが」
ぱちくりと瞬きをする俺の顔を見ながら、尋ね人…ヌヴィレットさんはそう言った。
「…む、千織屋の店主殿もいたのか。……邪魔だったか?」
「別に、大したことはないわ」
「はい、大丈夫です。……えっと、…貴方が来たという事は、指名の依頼ですか?」
「…ああ」
頷いたヌヴィレットさんに、しっかりと着物を着込んだ千織の雰囲気が固くなるのを感じた。
そんな彼女を尻目に、俺は続ける。
「……つまり、結構な重大任務と?」
「いや、そういう訳では無い。ただ依頼人が君を指名していてな。話だけでもと」
「……なるほど。つまり、何かあるんですね」
「理解が早くて助かる」
「…どういうことよ?」
当然、ただ俺を指名したい依頼はそもそも俺に届く前に却下される。なのにヌヴィレットさんが直々に俺に頼みに来た時点で、何かでかい事が裏にある証拠だ。
俺が内容のことを尋ねると、ヌヴィレットさんは千織をちらりと見た。
「…すまない、千織殿は席を外して貰えないだろうか」
「…それは私に話せないことがあるからかしら?」
「そうだ」
千織は腕を組んでじっと俺を見て来たので、ちょっと頷きを返すよ。
「……ダメよ。私にも教えなさい」
「ち、千織さん?」
「…一応、依頼人には他言をするなと言われているのだが」
「関係ないわ。クレイは今、千織屋の店員よ。それを引き抜くのになんで私に話を通さないわけ?」
そう千織は言い放つ。
「それに、……二度と御免なの。コイツが私の知らないところで私の知らないことをしてるのが。………それでも話せないって言うなら、クレイを貸し出す許可は下ろせないわ」
千織は俺の肩に手を置いてヌヴィレットさんを真っ直ぐに見た。そんな彼はクスリと口角を上げ、俺を見る。
「…ふ、いい店主を持ったな。クレイ殿」
「…あはは、そうですね」
「…何よ」
とりあえず凄んでくる千織が怖いです。俺もヌヴィレットさんを見て頷くと、彼は懐から紙を一枚取り出した。
「依頼内容は護衛、期間は7日間だ。フォンテーヌで有名な資産家の娘が君を指名した」
「…護衛、ですか」
「……資産家の娘?」
俺に護衛とは珍しい、と思った横でポツリと呟く千織の声がちょっとなんか怖い。
俺は千織の方を見ないようにしてヌヴィレットさんに尋ねる。
「…ちなみに、俺を指名した理由って聞いてますか?」
「詳しくは聞いていないが、依頼人の娘が君に興味があるようでな。これが顔写真だ」
「…えーっと、…あ、この人」
差し出された写真に写っていた顔に見覚えがある。確かこの人、最近千織屋に来るようになった若い女性客の中にいた気がする。
「…ふ〜ん」
「……で、この人の護衛を7日間ですか?」
「そうだ。前の水没の復興に多額の寄付をしてくれた家の依頼とあっては、こちらも断りにくかったのだ。……どうかな?」
「………まぁ、俺は別に大丈夫ですよ。報酬も破格ですし」
内容だけ見ると別に変なところはない。護衛中の衣食住を向こうが完全にやってくれる割には報酬もかなり良いし。
さっきからなんか怖くて見れなかった千織の方を見ると、彼女は無表情で依頼書をじーっと見ている。
「………………7日、ね」
「…ど、どうですかね?俺は別に受けてもいいと思ってるんですけども」
「………………まぁ、いいわよ。…とくに危険な任務でもないんでしょう?」
と言いつつも凄い嫌そう。依頼書というか、依頼人の顔写真を見る目が迷惑客を見る目とほとんど同じになってるし。
そうは言えど許可が降りたので、ヌヴィレットさんにサインした紙を返す。それを懐に戻した彼は、椅子から立ち上がった。
「では、明日8時にパレ・メルモニアに来てくれ」
「わかりました」
玄関でヌヴィレットさんを見送り扉を閉めた俺は、さっきから背中に突き刺さる彼女の視線に耐えかねて振り向いた。
「……なんか、怒ってる?」
「別に怒ってないわよ。……ふーん」
「そのふーんが怖いってば」
千織のジト目を避けるように、鍋の様子を見に行こうとすると、ちまっと袖をつままれてそのまま着いてきた。
「そういえばさっきの依頼人、資産家の娘って言ってたけど。あの名字は大手の服飾メーカーをやってるところと同じだわ」
「それ、知ってて許可出したんでしょ?」
「……だって、束縛してるみたいでイヤじゃない。貴方も知ってて受けたんでしょ」
「まぁ、店に来てた時から大体感触が、ね」
そんな話をしつつ鍋の蓋を開ける。…おぉ、美味そう。まだ晩御飯の時間まで少しあるので蓋を閉めたところで。
背中にトンと何かが触れる感触がした。
「………ね、私の言いたいこと、わかる?」
恐らく千織さんの頭だろう。少し静かな声色で聞かれたそれに俺は即答した。
「俺が、千織屋からいなくなるわけないだろ。むしろ死ぬまで取り憑くつもりだよ」
「……そう」
少しの間とともにそう返すと、「お風呂、貰うわね」と俺から離れ風呂場に向かって歩いていく。
パタン、と閉まる扉を眺めながら、俺は背中に残る温もりを感じ、そっと微笑んだ。
ーーーそして、任務の時間がやってきた。
…………訳でもなく。
「なぁ、千織さんや」
「何?あと敬称」
「いや、これはわざとつけてるんだよ。…………1つ、お願いがあるんだけど」
「何よ」
「ーーー下、穿いて貰ってもいいか?」
さっきのやり取りから数十分後。お風呂から戻ってきた千織のむき出しの生脚に、俺は昨日同様撃ち抜かれた。格好はまた大きめのTシャツいっちょで、なんかもう狙ってる気すらする。
「えー。いつもこんな感じなんだけど」
どうやら家だとラフな格好をしてる派だったらしい。髪も巻いてないサイドテールにしてて俺に大ダメージが入った。可愛すぎだろ。
やはり普段編み込みに髪を使うのか、解くと想像よりも髪が長い。昨日下ろしてた時は背中まであったから、ストレートのサイドテールも肩にかかってる。インナーカラーの金髪が彼女の黒髪と混ざってこれはこれで凄くいいな。
そんな俺の視線に気がついたのか、千織はちょっとイタズラっぽい顔で自分のサイドテールを持ち上げると俺の鼻先に毛先をちょちょいっと擦ってきた。サラサラの毛先が鼻に当たり、いい匂いと同時にめちゃくちゃ擽ったい。
思わず鼻を押えて後ずさりする俺を見た千織はくすくすと笑っていた。そういう事されるとギャップ萌えで消し飛びそうです。
「……もしかして、泊まるつもり?」
「………あら、言ってなかったかしら」
「聞いてないなぁ」
多分、依頼の話を聞いて決めたのかな。明日から7日間は会えなくなるし、一緒に過ごすことを選んでくれたのかと考えると嬉しくなった。
……そういえば、ヌヴィレットさんが来て有耶無耶になっちゃったけど、あの時は本当にヤバかった。俺史上1番距離近かったし、なんなら向こうから…。
ぼす。
ベッドに何かが乗る音と、右手に柔らかな感触。逸らしていた顔を戻すと、ベッドに座った千織が俺の手を取っていた。シャツから覗く眩しい太ももが俺の目を直接攻撃してくるが、手を引かれたまま俺もベッドに座り込んだ。
「……ね」
たった1文字だけの発言。だが彼女何が言いたいのかわかってしまった。現に、取られた手の甲を千織の白い手がすりすりしてきて擽ったい。
「…うん」
「…ぁ」
俺は昼間の時のように、千織の腰に手を回して優しく抱き寄せた。着物の時とは違う、柔らかい肉感が手に伝わる。千織はまた俺の肩に寄りかかって来てリラックスした表情を浮かべた。手の甲をすりすりしていた手も指を絡めて来る。
なんだろう。…ずっとこうしていたい。
まさか千織とこんな体勢になるなんて、数ヶ月前の自分に言っても信じないだろうし、想像もできないだろうな。……そういや、回し蹴りから始まったんだっけか。
「……ど、どこ見てるのよ」
「え、あっごめん」
そんなことを考えていたら知らず知らずの内に千織の脚をガン見していた。千織にちょっとジト目で見られて謝っていると、手の甲側から指を絡められていた手が千織によって移動を始めた。…直後、掌に感じた信じられないくらい柔らかくて張りがある感触が俺の脳を直撃した。
「……そんなに気になるわけ?」
「ッ!?!?」
こりゃぁダメだろぉ!?
俺の手を自分の生太もも(言い方)に乗せた千織は、ちょっと恥ずかしそうにしながら言ってくるが、俺はそれどころじゃない。つーか、これはたから見たら痴漢にしか見えないんだけど。右腕で千織の括れ(腰ほっそ)に腕を回して抱き寄せて、左手に指を絡められ、そして太ももを触ってしまっている。それも千織の手で自らだ。
「……ち、千織っ、さすがにそれは」
「…良くなかったかしら?」
「最高だけども。……いいのか?このままだと俺の手が勝手に撫でさすることになるけど」
狙いとしてはちょいキモイ事言って嫌がって貰うことだったのだけど、今日の千織は俺の知ってる千織じゃないらしい。
「……好きにすればいいじゃない」
「エッ」
まさかのOKだと!?ちょ、ちょっと困ったことになったぞ。
ここで離そうもんならなんかヘタレみたいになるし、もしかしたら千織も覚悟を決めて言ってくれたのかもしれない。いやでも、千織が俺の事を…てのは俺側の勝手な推理だし…でもなら何でそんなこと言ったんだ!?
「…それなら、千織も好きにしてくれていいよ。フェアじゃないから」
「…そう?……じゃあ…」
千織の手を繋いでない方の手が、俺の腹を撫でる。腹筋の割れ目を指でつーっと撫でるものだから思わず身体に力が入り、千織の腿の上の手がすりっと動いた。
「…ぁっ…」
「ん!?」
耳元で聞こえた千織の吐息に俺の体が硬直する。腹を触っていた彼女の手はだんだん上に上がっていき、胸板、首筋を超えて俺の髪を触り始める。
「…」
「男の髪触って楽しいか?」
「うん。髪質良いわね」
「千織の方こそ」
俺は腰に回していた手に千織のサイドテールを乗せた。しっとりサラサラの感触は病みつきになりそう。
「結構髪長いのな」
「編み込むのに使うからね」
千織が髪をわしゃわしゃしてくるのが心地いい。なんか犬みたいだ。
「…手が止まってるわよ?」
「……ど、どっちの?」
サイドテールにふわふわと触れている手と、千織の太ももに置かれて止まったままの手。咄嗟に聞き返すと頬を染めて目を逸らされた。
ちょこっと、理性が壊れた音がする。
俺は、さっきよりも強く千織の腰を抱き寄せると、おもむろに太ももの方の手を動かし始めた。いやぁ、ほんとにすべすべで触ってるこっちの手が気持ちいい。
「……ん」
ぴくりと跳ねた千織の方を見ると、彼女の手も俺の胴体に回されていた。さっきよりも更に密着し、脇の下辺りくらいに柔らかいものが着弾する。
俺はもうセクハラを通り越しそうな手つきで脚を触っていたのだが、首筋に埋めている千織の顔が気になって、肩を持って離してみた。
「………?」
「………っ」
こんな顔の千織は初めて見た。いつものスンっとした顔はどこへやら、息が荒く、顔を紅潮させながら蕩けた目でじっと俺を見つめている。
ヤバい、本当にヤバい。何がやばいって千織の手が俺の首筋やら頬やらを触りまくってて俺も変な気分になりそうなところ。
そして、動いていた千織の手が、ついに俺の頬で止まった。多分千織もこの雰囲気にやられてるんだろう。並んで座っていたはずなのに、千織の脚が俺の脚に乗っかり始めた。そのせいでシャツの裾が捲れてかなり際どいのだが直そうともしない。
やばい。このまま行ったら絶対止まらない。俺はどうにかして、口から言葉を絞り出した。
「…ち、千織」
「…ん?」
「そろそろ、ご飯たべ、ない?」
「………」
俺が必死に出した脱出案。それを聞いた千織はベッドからするりと立ち上がった。
よかった、とりあえず身体は離れたし、飯を食って落ち着ーーー……お?
気づけば、俺の視界に天井が映っていた。そして背中にはベッドの感触があり、俺の腹に柔らかい重みが乗っている。
「……よくもまぁ、ここまでやっておいて引き下がれると思ったわね?」
「ち、千織?」
「……本当は、任務が終わってから言うつもりだったけど。……もう、我慢出来ないわ。
ーークレイ、店主命令よ」
「な、なんでしょうか」
そう呆然と返した千織の顔が瞬く間に赤く染る。息を飲み、目を泳がせた千織は四つん這いになって俺を見つめる。
当然、俺は目を逸らした。
「ちょっと、なんでこっち見ないのよ」
「見れるかっ!なんで家だとそんなに無防備なんだよ!」
千織の来ているオーバーサイズのTシャツの襟が大きく開き、今度こそ奥の黒い下着が見えてしまった。千織は顔ごと横を向く俺の体を抱き起こす。
「だから、命令だって言ってるでしょっ」
「な、なんだよ。俺が千織のお願いを断るわけないだろ?」
「……じゃ、じゃあ、………命令よ。
ーーー私を、あなたの、好きにして?」
「……ッ」
そう、両手を広げて受け入れるように、おねだりするように命令なされた千織さんに、俺のブレーキがブチ壊れる音が脳内に響いた。
「…後悔するなよ?」
「望むところ……ひゃっ」
俺は、膝に乗ったままの千織を正面から思い切り抱きしめた。身長差のせいですっぽり身体が収まり、素晴らしい感触を脳に送ってくる。
「……千織、好きだ」
「…ふふ、そう」
俺は今度は自分から、千織の身体に触れた。さっきの仕返しだ。まずは肩から、少しずつ上に手を上げていく。
「…んっ」
そして次に触れるのは千織の細い首。シミひとつない肌に触れないところがないようにすりすりと撫でながら触ると、千織の眉が八の字に歪み、目を閉じて身体を震わせた。
「無理してないよな?」
「……大丈夫よっ…ちょっと初めてだったから…。クレイは慣れてるの?」
「まぁ、そういうのは潜入で経験はあるよ」
次には耳。千織のしっとりした髪を楽しみながら耳の外側を指でなぞった。
「っ!」
特にここは敏感らしく、身体が少し跳ねた。千織は身体を震わせながらも、拒まずに俺をじっと見つめてくる。出会った当初のことを思い出すと、その事がとてつもなく嬉しかった。
ーーーそして。手がとうとう頬に到達した。いつの間にか、千織の腕も俺の首に回されている。
「……なぁ、俺は言ったぞ。………千織はどうなんだよ」
「………」
千織は俺の言葉に少しの間止まり、そのまま俺に体重を掛けてきた。俺は逆らわずに再度ベッドに押し倒された。天井が見えている俺の視界を、千織が埋め尽くす。
そして、そのまま。
「……んっ」
俺は千織に唇を塞がれた。
「…ん、…んんっ……ぁむ…」
感想はもう、何も言えない。
とてつもなく柔らかく暖かい唇がはむはむと俺の唇を食んで来る。つーか当てるだけじゃないんかい。唇気持ち良すぎるんだけど。
時間にして20秒。キスされるどころか唇を食べられた俺の顔から、真っ赤の千織が顔を離す。彼女は俺の頬に手を置いて至近距離から見つめながらーーー。
「…………だいすき」
蕩けた表情の千織に、もう一度唇を塞がれた。
続く。
まだ夕飯前ってマ?
あなたは完デレ千織さんを見て
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尊さで身体をくねくねした。
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吐いた砂糖で溺れ死んだ。
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次千織来たら引こうと決めた。
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R-18版お待ちしてます。