お願いします千織さんっ!こっち見てニコッてしてください!! 作:猫好きの餅
ごめん。本編進めようとしたらただのイチャコラバカップル回になっちゃった。
中身は無いに等しい。
「……クレイ、鋏取ってちょうだい」
「はい。裁ち鋏で良かったですか?」
「ええ。大丈夫」
俺は針を動かしながら隣の棚から裁ち鋏を取り出して持ち手の方を向け、千織に渡す。受け取った千織は表情を変えずに布へ鋏を通した。
あれから……、俺と千織が婚約してから1週間程が経った。任務から戻った俺も千織屋に復帰して前と同じような日常が繰り返されている。
千織の方をチラリと見ると、相変わらず真剣な表情で、見ているこっちの気が引き締まりそうだ。俺も視線を戻して目の前の作業に集中しようとしたら、今度は視界の端から視線を頂戴した。
恐らく考えてる事は一緒だろう。視線は向けずに手を動かすことに集中した。
「いらっしゃいませ。どのような服をお探しですか?」
「…は、はいっ。…私千織屋に来たのが初めてで…」
「おや、そうだったんですね。ご来店ありがとうございます」
服の制作が終われば接客が始まった。千織屋のメンズの服をしっかり来てオシャレをキメてからお客様の前に出て案内をする。
任務へ行く前もそうだったけど、どうやら俺は若い女性客から人気らしい。正直この髪と目にはあんまりいい思い出がないんだけどなぁ。
それに、俺が女性客と話す度にバックヤードから極低温の視線が俺の背中を貫こうとしてくるのが心臓に悪い。チラリと視線の主を見ると済まし顔で逸らされた。
「……店員さん?」
「ああ、申し訳ありません。……こちらの服でしたら──」
この視線は、この日女性客を接客する度に頂いた。背中が凍りそう。
「クレイ」
「……はい、なんでしょうか」
「……」
本日15人目の女性客の接客を終えて一息つくと、バックヤードから無言の手招き。じっと見つめていると、ちょっとムスッとした顔になった。可愛い。
観念して近づいて行くと、ぐいっと服の裾を掴まれバックヤードに引きずり込まれた。されるがままになってみたりしていると、壁にびたんと押し付けられた。そしてそのまま抱きつかれる。千織の顔は不満顔のまんまだ。…ここ店ですけど?
「…あの、千織さん?」
「なによ」
「いや何よじゃなくて」
バックヤードとはいえここ店なんですけども。千織はまるで自分の匂いを俺に移すかのようにすりすりと体を擦り付けて来る。
「…なにしてんの?」
「ただの上書きよ。……なんか色目使われてるみたいだから、貴方が一体誰のものか思い知らせてやろうって思って」
「猫かな?」
そうは言いつつも、さっきまで職人の顔してた癖に今はただの嫉妬してる女の子になってるのがどうしようもなく可愛い。
「…ね、貴方は誰の?」
「…千織のものです」
「…わかってるんならもうちょっと補充されなさい」
「……ああもう」
なんでこんなに可愛いんだ。
千織がさらに密着し、今はもう上半身だけではなく脚も若干絡ませてくる。今はお客さんがいないとはいえ、店で飛ばしすぎじゃないですか?
そんな彼女に店モードの俺の理性が少しずつ溶けだす。千織を包み込むように抱きしめ、更にすりすりしてくる彼女に悶えた。
「……俺も補充していい?」
「…ん、今してるじゃない」
「こっちじゃなきゃ補充できないよ」
ああもう、本当に何してんの俺?千織の顎に指を当てて上を向かせる。驚いた顔の千織は嫌がると思いきや、少し頬に赤みが指す。そのまま耳の外縁を指先で撫でると、ぴくんっと反応した千織はしょうがないわねといいたげな顔で目を閉じる。
そんな顔をされて我慢できるはずもなく、俺は千織の唇を奪った。
「……はぁ、……はぁ、……と、とうと…ぃ……」
店内の方で誰かが倒れる音が聞こえたが、千織がキスに夢中で離してくれなかったので、そのままもう一度唇を重ねた。
なんだかんだ1日が終わって千織と並んで帰路に着く。
結局あの補充はあと2回程行うことになり、その度に店番しているエローフェさんが何故かスッキリした顔になっていたけど、どうかしたんだろうか。流石に3回も二人で裏に引っ込んでしまったので何か差し入れでもしようかと欲しいものを聞いたら「コーヒー、ですかね。飛びっきり苦いやつでお願いします」と真顔で言われた。何があったんだろうか。
「…というか、最近お客さんの年齢層が下がってきた気がするな」
「最近作った服がガーリーなやつだからね。……それに、ウチは顔の良い店員がいることだし?」
「…なんかごめん」
「べつに、褒めてるのよ?」
「それを言うなら、男の客が増えてもいいだろ?何せ、店主の顔が良すぎるんだからな……って、やっぱダメだ。俺が嫉妬する」
「もう、何言ってるのよ…」
そんなことを話していると、千織の手がするりと俺の手の中に入ってくる。そこで握るんじゃなくてすりすり擦り付けて来るのが本当にかわいいと思います。
「…でも、やっぱり効果はあったわね」
「そりゃね。あんだけ匂い付けられたら、誰だって察するでしょ。……それにトドメのコレ…」
俺は手袋を外して、黒く染まった自分の左手薬指に嵌められたシルバーのリングを見た。同じものを同じ指にはめている千織は、じっと上目遣いで俺を見つめながら言う。
「……別に言いふらす気はなかったのよ?でも、女よけにアレだけ効果的なら手袋の上に嵌めちゃってもいいかもね」
「えぇ、でも汚したくないし…」
「………」
俺の本心を伝えると、千織が黙りこくった。どうしたと視線を向けると、手を繋がれて引っ張られる。
「ちょ、千織?」
「早く帰りましょ」
そんなこんなで部屋の前。俺が入ろうとすると、開けた扉の隙間を千織がするりと入って行ってしまう。なにか急ぎの用事かなと玄関を開けたら。上着を置いた千織がこっちに小走りでよってきた。
「…おかえりなさいっ」
「……ぅおぉ」
やっばい変な声でた。
なんだそれ。俺におかえり言いたくて先に入ったってこと?可愛すぎるだろ。
「た、ただいま…」
「……ね」
俺が千織を直視出来ないでいると、千織がじっと俺の顔を見ながら背伸びしてくる。俺は昼間の様に手を伸ばして、千織の頬と耳を撫でる。
「…ぁ、…ん…」
千織は期待したような顔でじっと見つめてくる。店じゃないからか、擽ったそうにを捩る声もより色っぽい。俺はそんな彼女に今日もときめきながらおかえりのキスをするのだった。
「積極的ですね千織さん」
「……店で我慢してる分よ」
「キス3回もしてんのにまだ我慢の範疇なの?」
さっきのおかえりのキスから20秒後。荷物を置いてソファに座った千織が無言で隣に滑り込んでくる。そのまま腕を取って抱きつきながら指を絡ませてくる。
あれで我慢してたんですか。あと抱き込んだ手を太ももに挟むのやめて貰えない?
無言で黒ストの御御足に挟まれた手を動かすと、千織から押し殺したような吐息が漏れる。
「……なにしてんの」
「…最近、クレイの方から構ってくれないじゃない」
「構おうとしたらもう千織がくっついてるだけなんだけどな」
大体いつも千織のアプローチに悶絶してたらさらにコンポ重ねられてった流れになる。実際今もその流れになりかけてるし。
「…じゃ、俺からしてもいい?」
「……えぇ」
ちなみに、まだ帰宅して1分です。
俺が隣に座る千織の腰を抱き寄せた。俺に寄りかかるようにして肩に顔を乗せた千織はするりと俺の脚を跨ぐようにしながら、首筋に顔を突っ込む。山吹色のスカートの中から覗いた黒ストに包まれた太ももが俺の脚に乗り、首筋にキスされる感触がする。
「って、全然千織からしてるじゃねぇか」
「…無理よ。我慢なんて」
そう言いながら俺の片脚を跨いだ千織はぎゅーっと抱きついてくる。今度は千織の首筋に俺の顔が埋まり、息を吸うとめちゃくちゃいい匂い。そのまま押し倒されそうになったところを腹筋で堪えて、反撃に出る。
「こんのっ」
「…ぁ」
俺は千織の首の後ろに手を回し、内側の灰色に着物を留めているボタンを外して襟元をずらす。千織からか細い声が出る中、俺は彼女の白い肌にキスを落とした。
「…ん、…だめ」
「だめって顔じゃないけどな」
痕が出来るまで吸い、口を離すと、今度は千織に口を吸われた。しばし舌を絡めさせてから顔を離すと俺と千織の口の間を銀色の橋が繋ぐ。
「はぁ、…いったんここまで」
「なんでよ」
「ご飯とかお風呂入らないと」
「……なら、先にお風呂ね」
そう千織が言ったので、何とかイチャイチャフェーズは終わりそうだ。別に全然嫌じゃないし、むしろずっとくっついていたいけど千織の場合そのままどんどんエスカレートしてくから……。
千織はソファに座った俺の片脚跨ったまま、帯を解いた。……ん?
俺が千織の顔を覗き込むと、全てを察して息を飲んだ。
千織の顔が、明らかに「スイッチ」が入ったものになっている。この前、婚約した時に一線を超えてから新たに見つけた千織の一面。
まぁ、なんというか、これまで仕事一直線だった人ほど、吹っ切れると凄いって話がよくある。
「……お風呂、まだ汲んでる最中だけど?」
「…なら、それまでいっぱい汗かけばいいじゃない…」
千織は店の時とは別人だろと言いたくなる程の顔で、跨った俺の膝に自分の脚の付け根を擦り付ける。そのまま唇を吸われたので、俺は諦めて店主さまのスカートの中へ手を伸ばし、黒ストの中に手を突っ込みながら千織を逆に押し倒した。
「……マジでここ、防音でよかったと思う」
「…言えてるわね」
あれから少し。二人でしっかりと汗をかいたあと、熱いお湯を浴びるとさっきまでの自分たちがアホに思えてくる。それは千織と同じように、隣で湯に沈みながらぽけーっと天井を見つめていた。
「千織って、人に肌見せるの好きじゃないのかと思ってた」
「なんでそう思ったの?」
「まぁ、普段から露出少ないし。雰囲気的な?…まぁ今一緒に風呂入ってる時点で今更の話だけど」
千織は大きな浴槽の中で俺に近寄り、俺の背中に寄りかかってくる。本当に、最近の千織は隙あらば俺に触れてくるようになった。今も背中に柔らかい感触が着弾し、さっき消費したはずの気分がむくむくと復活を始めている。
「…そうね。確かにあまり好まないわね。……ましてや男に見せる時が来るなんて、前の自分に言っても信じないでしょうね。…でも、クレイのせいよ?」
「なんかごめん」
千織は俺の胴体に腕を回して抱きついてきたかと思ったら、俺の頬を持って後ろを向けさすとキスをしてきた。
ぷは、と唇を離し千織は俺の首筋や背中にキスを落とす。やっぱ千織キス魔だ。背中にだけされるのはあれなので、振り返って抱き寄せ、また唇を重ねる。顔を離すと、千織が湯船から立ち上がった。それとなくそっぽを向くと、囁かれる。
「ね、身体洗って?」
「さっき洗ったじゃん?」
「……なら、私が洗ってあげる」
「…さっき洗ったじゃん…!!」
見るとまたスイッチ入ってる。千織の手が俺の身体に着地、ある一点を目指して進軍てくるのを我慢する訳もなく。俺も手の前の千織の身体へ手を伸ばした。
なーんか、俺ら結婚してから明らかにアホになった気がずる。
千織の髪に櫛を通しながら、俺は遠い目をする。なんかこの構図デジャブじゃね?
「千織、その寝間着初めて見るんだけど」
「どう?自分で作ったのよ」
「…率直に言ってもいいか?」
「ええ。その方が助かるわ。これ今度新しく出そうとしてるのよ」
俺は肩越しに振り返る千織の黒くて薄い、ところどころ透けちゃってるネグリジェを見て真顔で言い放った。
「…エロい」
「好評で助かるわ」
なんだろう、見たことあるのがTシャツ姿だったからギャップで攻撃力がえぐい。というか下着つけてねぇってひと目でわかる位生地が薄い。丈も短いし、もはや下の下着に至っては隠す気ないんじゃないかと言われる出来だ。実際、横の紐部分が千織の腰にくい込んでるのが普通に見えて、俺は思わず天を仰いだ。
「……興奮した?」
「しました」
「……ねぇ、明日は休みよ?」
その確認なに可愛い、髪を下ろした姿の千織が櫛を待った俺の手を取って、そのままネグリジェの中に入れさせてくる。
「…はぁ、まさか千織が吹っ切れるとここまで積極的だなんて」
「…こう見えて緊張してるの知ってる癖に。……貴方にだけよ」
千織は俺の胸にすっぽり収まるように座る。そのまますりすりくっついて来た。可愛いんだけど今の自分の格好考えような?咎める意思も込めてネグリジェの中の手の動きを激しくし、千織の動きを止める。
「ん、…ぁ、……ね、私たち…って、その、多いのかしら」
「今更?……別に他がどうとか関係ないでしょ」
だってもう、こっちはその気なんだから(本日3回目)。
「なぁ、明日休みだよな?…なにか予定あったっけ?」
「……ないけど…」
「よかった」
そう話している間にも俺の腕は動き続けているわけで。物欲しそうな顔でこっちを見てくる。ネグリジェに関しては肩紐が外れてずり落ち、あんまり服の役割を果たして無い。俺は千織の弱点である耳に顔を寄せた。耳の縁の舌でなぞり、耳たぶを唇で食むと、千織は今日1番の反応を見せる。
「…ん、クレイ…」
「……なに?」
千織は、俺の上で反転してこちらを向くと脱げかけのネグリジェを完全に脱いだ。さっき着たばっかじゃん?そのまま押し倒されるのは癪なので俺も反転して逆に千織を押し倒す。
「……最近千織に襲われる」
「最終的に襲われてるのは私のほうじゃない?」
「千織が口の割に弱いだけだよ。……さ、本日はどのコースになさいますか?店主様」
「…………ぅ、……」
千織は頬を朱に染めて、小さい声で何かを言った。聞こえなかったので耳を向けると、千織が頬にキスを落として。
「わ、私が…おねだり……するまで………キスと耳舐めして」
コースじゃなくておねだりだった。
理性がぶっ飛んだ俺は翌日、予定がなくてよかったと千織と安堵することになった。
翌日。
「……あ、クレイ。…明日から店休みにして稲妻に帰省するわよ」
「えっ」
続く。
絶対感想欄が「大人版まだァ!?」で埋め尽くされるので先に謝っとく。
もうちょいまってて☆
千織さんと運動するならどれがシチュ的に好み?
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1回目、帰ってすぐ
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2回目、風呂
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3回目、風呂上がり